「映画館で溺れると思った…」海外で話題の『ラスト・ブレス/Last Breath』を完全ネタバレ解説。IMDb6.6点、Rotten Tomatoes79%の実話サバイバルスリラー。ウッディ・ハレルソン、シム・リウ主演の日本未公開映画のあらすじから結末まで、海外レビューと感想評価をまとめて紹介する。
『Last Breath』物語結末ネタバレ
ここから先は『Last Breath』の核心である重大なネタバレを含む。
飽和潜水士の危険性
世界中の海底には2万マイル(約3万km)のパイプラインが敷設されているが、全て300mの深海で活動する飽和潜水士によって行われている。
潜水士、世界で最も危険な職業の一つと言われている。
テキストの後、深海で意識を失い倒れている飽和潜水士の映像が流され、「この物語は事実である」と表示され物語は始まる。
スコットランドのアバディーンシャー
クリス・レモンズ(フィン・コール)は婚約者のモラグ(ボビー・レインズベリー)と暮らしている。モラグはクリスのことを常に心配しているが、クリスは刺激的でかなりクールだと思っている。
クリスは船に乗り込み長年の友人ダンカン・オルコック(ウッディ・ハレルソン)と経験豊富な潜水士デイブ・ユアサ(シム・リウ)とチームを組んで減圧のため潜水艇に乗り込む。デイブは孤独を好むタイプで誰とも会話をしようとしない。ダンカンは20年の勤務を経て会社からクビを宣告されてこれが最後のローテーションになるとクリスとデイブに告げるのだった。
嵐の中の作業開始
作業ポイントに到着するがそこは大嵐の真っ只中だった。
しかし業務に外の天候は関係なく、クリスとデイブはベル(水中エレベーターのようなもの)から出て水中作業を開始し、ダンカンは内部に留まって彼らの作業を監視しながら酸素、通信、電力を供給管理する。
嵐が激化したせいで動的位置保持システム「DPS」(船舶が海上の一定位置を自動的に保持するためのシステム、GPS、スラスター、コンピューターを組み合わせて、風や潮流に対抗して船の位置を維持する。海底作業船では作業者の安全のため、正確な位置保持が不可欠で故障すると船が漂流し、海底の作業者との位置関係が崩れて命に関わる)が故障して船が回転してしまう。
船が回転し動き続けるため、ベルは大きく動いてしまいクリスとデイブは酸素コードごと大きく引っ張られ命を危険を感じた2人は急いでベルに戻ろうとするがクリスのベルとの命綱が切断しかかっていることにデイヴは気付いてしまう。
デイブはクリスに10分間の酸素を供給する緊急用エアサプライに切り替え、ベルに戻った後にすぐにクリスを見つけることができるようにマニホールド(海底の大型配管設備)の頂上にいるように指示して、デイヴはベルに戻り、クリスはマニホールドを歩き始める。
海の上、船がまだ電力を失っている中、アンドレ・ジェンソン船長(クリフ・カーティス)は乗組員と潜水士の命を救いながら、作業中のパイプラインを破損させないように必死に考えて手を尽くしていた。
海底に残されたクリスは残された酸素の中、ほぼ真っ暗な中、かなり滑る鋼鉄のマニホールドを上り続けるが…酸素はすぐに尽き、クリスは意識を失ってしまう。
救出作戦
船の乗組員がROV(船上から操縦する水中ロボット)を使ってクリスを発見するが、意識を失い痙攣している彼は明らかに酸素欠乏症に苦しんでいる状態であることを示していた。
ROVを使って彼を引っ張り上げて救おうとするが、クリスは潮に流されないようマニホールドに身を縛り付けていたため助けることができずにいた。
乗組員の努力でDPSが再起動に成功する。船に電力が戻りデイブは再びベルから出てクリスを回収に向かう。嵐の影響で船とベルが動き回る過酷な潮流の中、デイブは何とかクリスを回収するが、彼は既に約30分間酸素なしの状態だった。
ベルの中でダンカンはすぐにクリスの蘇生作業を行うが、30分間も無酸素状態だったクリスが生き返る可能性は低い。それでもダンカンは蘇生活動を続けた結果、奇跡的にダンカンの意識が戻り、全員で歓声を上げる。
クリスたちの作業は中止され、3人は3日間減圧のため飽和チャンバーに入って過ごすことになる。そこでデイブはクリスのそばを離れず看病を続け、自身の身の上の話をしてクリスを元気づけ、ダンカンもクリスのそばに付き添うのだった。
結末ネタバレ:奇跡の生還
クリスは家に帰りモラグに死にかけたことを話す。動揺するモラグに君の元に戻りたいと願う覚悟が自分を生かし続けたのだと話して2人は抱き合う。
エンディング、
クリスが29分間酸素なしの状態だったにも関わらず、永続的な身体的または精神的損傷を受けていない事実に対し、専門家たちは彼の生存をいまだに説明できないと述べられている。
3週間後、彼はダンカンとデイブと共に潜水作業に復帰した。
『Last Breath』作品情報
映画『Last Breath』のネタバレを読んで興味を持った読者のために、この驚異的な実話の詳細と制作陣について紹介する。北海での潜水事故という極限状況を描いた本作の背景情報を知ることで、より深く作品を理解できるだろう。
興行収入
制作費は未公開だが、全米興行収入は初週末785万ドルを記録し、2位でスタートした。Focus Featuresは線形テレビ広告に510万ドルを投じたが、ドラマスリラー平均の60%にとどまる3720万のソーシャルメディア反応しか得られなかった。その後観客動員は減少し、4週目には興行収入トップ10圏外となった。
アレックス・パーキンソン監督紹介
イギリス出身の映画監督で、2019年に同じ事故を扱ったドキュメンタリー『Last Breath』を共同監督した経歴を持つ。HBO Max向けドキュメンタリー『Lucy the Human Chimp』でエミー賞にノミネートされた実績がある。
本作で長編ナラティブ映画監督デビューを果たしたが、実際の事故を熟知していることから、リアリティと娯楽性のバランスを重視した演出を心がけたと話す。
パーキンソンは「この物語をハリウッド的に脚色しすぎることなく、現実に敬意を払いながら映画として成立させることが課題だった」と語っている。
ダンカン・オールコック役「ウッディ・ハレルソン」紹介
アメリカ出身の俳優で、『ナチュラル・ボーン・キラーズ』『ラリー・フリント』『スリー・ビルボード』でアカデミー賞に3度ノミネートされている。『ゾンビランド』『トゥルー・デテクティブ』などでも知られる実力派俳優だ。
本作では実在の潜水士ダンカン・オールコックを演じ、「魅力的で本当に前向きで積極的な男」と表現している。ハレルソンは実際のオールコックと面会し、「彼らの反応を読んでいたが、幸運にも好評価だった。ただしデイブは多くを語らず、『気に入った』とだけ言った」と撮影後のエピソードを明かしている。
クリス・レモンズ役「フィン・コール」紹介
イギリス出身の俳優で、『ピーキー・ブラインダーズ』『アニマル・キングダム』での演技で知られている。
本作では実際に事故に遭ったクリス・レモンズ本人を演じ、29分間の呼吸停止から奇跡的に生還した男性の体験を表現した。コールは事前にスキューバダイビング経験があったものの、映画撮影のための集中的な水中トレーニングは予想以上に過酷だったと語る。「シム・リウのような仲間と一緒にやることの良い点は、お互いを支え合えることだ。私たちは一緒に困難を乗り越えた」と撮影時の結束を振り返っている。
海外の感想評価まとめ
海外での『Last Breath』の評価は概ね肯定的で、Rotten Tomatoesでは批評家79%、Metacriticでは65点という「好意的」な評価を獲得している。多くのレビュアーがウッディ・ハレルソンの安定した演技と、実話の持つ説得力を評価している一方、キャラクター開発の浅さを指摘する声も見られる。
IMDb(総合評価:6.6/10)
①私は劇場でこの映画を観たが、非常に集中的な体験だった。緊張が高まるにつれて深呼吸をしている自分に気づいた。まるで自分がまだ呼吸できることを確認するかのようだった。ウッディ・ハレルソンとシム・リウ、フィン・コールは堅実な演技を見せ、映画は効率的にペース配分されている。
②私の感想では2019年に監督アレックス・パーキンソンが同じ事故について作ったドキュメンタリーの長編リメイクだ。地球上で最も危険な仕事の一つである、北海の海底ガス管を保守する飽和潜水士を描いている。事故後、一人が数分の酸素を残して取り残され、救助か回収かの任務となる。
③私が観た印象では信じられない実話で素晴らしい演技だった。この実際の話を事前に聞いたことがなかったが、後でドキュメンタリーを観たくなった。この話は奇跡が起こることの証明かもしれない。
④私はこの映画が始まりから終わりまで席の端に座らせ続けたと感じた。これが実話に基づいていることが信じがたい。現象的な映画で、人々を席の端に留まらせるかもしれない。
Rotten Tomatoes(批評家:79% / 観客:データなし)
①私が最も愛するのは、これが実際に起こったということだ。これらの専門家が、彼らのスキルと大胆さで、このことをやってのけた。息を呑むような壮観で、この映画は本当に効果的だ。
②私の感想では実際の災害の奇妙に血なまぐさくない説明で、致命的に控えめな日常業務の長い区間を区切る緊迫した緊張の瞬間がある。
③私はそれを観た後、机に縛り付けられていることを深く幸運に感じた。忠誠心と英雄主義についての感動的な実話で、ウッディ・ハレルソンが出演陣を率いているのは大きなプラスだ。
Metacritic(総合評価:65/100)
①私の感想では衝撃的な実話について語らなければならない映画に関しては、この映画は一度観ただけで私のトップ10に入る。飽和潜水士にとっての危険を学んだ瞬間、私は即座にスクリーンに釘付けになった。
②私が観た印象では残念なほど浅く、致命的に無気力だ。91分というコンパクトな上映時間の『Last Breath』は、完成された映画のように感じられない。
③私の感想では機能的で厳密で、台詞は機能的で、3人の主人公のうち誰も本当に印象を残すほど少ない時間しかキャラクター設定がない。
批評家レビュー
海外の専門批評家による『Last Breath』の詳細な評価を紹介する。実話の映画化という題材に対して、各メディアがどのような視点で作品を分析したかを知ることで、この映画の多角的な魅力と課題を理解できるはずだ。
Roger Ebert.com ★★☆
サイモン・エイブラムス氏「期待通りの現代男性冒険メロドラマを正確に提供」
実話に基づく潜水救助ドラマ『Last Breath』の制作者たちは、現代的な男性の冒険メロドラマから期待される種類の映画を正確に提供している。この場合、北海の底で石油パイプライン近くで倒れた飽和潜水士についての緊迫した状況的危険がある。フィン・コール、ウッディ・ハレルソン、シム・リウが率いる(大部分は)強力なアンサンブル・キャストのおかげで人間らしく見える、信じがたい地に足の着いた人物たちが交わす過熱した対話もある。
評価点
水中アクションの提示方法を知っており、ハンドヘルド・カメラワークと監視カメラ映像を巧みに統合
批判点
主人公たちが感情の深みを探求する瞬間では悪い映画の台詞しか出てこない
(Roger Ebert.com – Last Breath)
Variety 評価点なし
デヴィッド・ルーニー氏「『Last Breath』は映画的ジャーナリズムのような特異性で各事件を提供」
映画は奇妙なアンカニーのわずかなうずきを残す一方で、『Last Breath』は映画的ジャーナリズムのような特異性で各事件を提供している。『Last Breath』はとても緊迫している。そして語る物語が非常に注目に値するため、最も明白な前提でさえ疑い始めるかもしれない。それは、これほどハックニーな映画において、それだけ印象的である。
評価点
実際の主題に近いため、物語に過度なハリウッド的ひねりを加えることができない
批判点
現実の物語に正義を行おうとする意図が、なぜ古典的災害映画の前提を活用しないのかという疑問を残す
(Variety – Last Breath)
The Guardian ★★★
ピーター・ブラッドショー氏「パーキンソンはクリス・レモンズの実話を生き生きと描く」
ゆっくりとしたスタートの後、『Last Breath』は緊張感を高めて握りしめるような勝利のサバイバル・スリラーに発展する。高度に専門化されたブルーカラータイプの男たちが、誰かがやらなければならない汚い仕事をする人々への賛辞として、飾り気のない機能的な作品である。規範的なアプローチ(これが起こって、それからこれが起こったなど)で、観客の注意が次に何が起こるかという期待で釘付けになることはない。
評価点
高度に専門化された技能を持つ労働者への敬意を示し、緊張感を効果的に構築
批判点
規範的すぎるアプローチで、観客を完全に引き込むほどの期待感を生み出せない
The Hollywood Reporter 評価点なし
フランク・シェク氏「『Last Breath』は大部分が握りしめるような出来事だ」
職場で嫌な一日を過ごしたと思った時、すべてを視点に置く映画が現れる。『Last Breath』はどんなホラー映画よりも悪い悪夢であり、時々私は息をすることを思い出さなければならなかった。パパ映画として、これは依然として良いものだ。将来のいつかの日曜日にソファでこれを観ながら眠りに落ちる自分を確実に想像できる。
評価点
どんなホラー映画よりも現実的な恐怖を提供し、観客に深い印象を与える
批判点
キャラクターと職業についてもう少し発展があれば、観客とのより強い結びつきが生まれたはず
(The Hollywood Reporter – Last Breath)
個人的な感想評価:60点
おそらくこの事故を扱った長編ドキュメンタリーを撮った監督が、自身でハリウッドリメイクしたが、このリアリティを失わせたくなかったと語るが、これが絶妙に噛み合わなかった気がする。
ドキュメンタリー作品は好んで見る。この場合抑揚がなくても実際に起きた事件や事故や出来事を知りたいという欲求を満たしてくれるから、どんなことが起きても楽しむことができるのが好きだ。先の見える映画よりもドキュメンタリーの方が楽しめることが多いのも事実である。
で、監督がハリウッドリメイクだけど、リアリティ重視にしてしまったので、正直物足りない。主役のクリスがマニホールドの頂上を目指すサバイバルシーンは手に汗握る展開だったが、少し登ったところであっさりと失神してしまったのは映画としては期待外れだった。もう少し、少ない酸素の中工夫して暗闇の深海を歩くシーンとか、信じられないサバイバルスリラーな展開が欲しかったところ。
クリスが失神した後の海上の電気再起動シーンとか割と多くて蛇足だなって思ったし、ダンカンもデイブも安全なベルのなかにいて電気がくるまで暇だからって昔話しているし、そんな無駄話している暇があったら、とりあえずクリス探しに行くわって一番のベテランのダンカンが探しに行ってギリギリ助けられなかった!!!みたいな展開も欲しかった。結局ダンカンは最後まで潜水服着ないのもね、色々と期待外れ。
ラストのデイブがクリスを救出するシーンも速攻見つけて速攻捕まえて速攻救出しちゃうからものたりねぇ。
でも水中シーンは息苦しさを感じるし、無人潜水艇の白黒の映像なんてリアルすぎて本物のように見えてドキドキしたし、映像に関しては最高だった。だからこそ・・・。
そんな感じ。
海外レビューを総合すると、『Last Breath』は実話の説得力とウッディ・ハレルソンの安定した演技力に支えられた堅実なサバイバルスリラーに仕上がっていると評価する反面、やはりキャラや脚本に物足りなさを感じている批判の方が多い。
一方で、アレックス・パーキンソン監督の水中撮影技術は高く評価されており、実際のドキュメンタリー映像と巧みに組み合わせた映像美は見応えがあるとされている。
結果として、世界で最も危険な職業の一つである飽和潜水士の現実を知る貴重な作品として、一定の価値を持っている。
まとめ
この記事では、映画『Last Breath』の完全ネタバレあらすじから海外での感想評価まで詳しく解説してきた。
期待度は実話という題材とウッディ・ハレルソン主演ということで中程度だったが、実際はIMDb6.6点、Rotten Tomatoes79%という好意的な評価を獲得した堅実なサバイバルスリラーだった。29分間の呼吸停止から奇跡的に生還した潜水士の実話という素材の説得力が作品を支えている。
海外では「映画的ジャーナリズム」「現実的恐怖」として評価される一方、「キャラクター開発不足」「予測可能な展開」との批判も見られた。それでも多くのレビュアーが91分という効率的な上映時間での緊張感構築を称賛し、「Dad Movie」として親しまれる可能性を秘めた話題作なのである。
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