映画『天国と地獄 Highest 2 Lowest』完全ネタバレ徹底解説と海外の感想評価まとめ

「A24✖️リー✖️ワシントンが面白くない訳がない」Apple TV+で2025年9月5日配信された映画「天国と地獄 Highest 2 Lowest」のあらすじ結末までネタバレ解説と海外の感想評価をまとめて紹介。黒澤明監督『天国と地獄』の現代版リメイクはRotten Tomatoesで88点と驚異の高評価を獲得。

『天国と地獄 Highest 2 Lowest』物語結末ネタバレ

ここから先はapple TV+で配信中の映画『天国と地獄 Highest 2 Lowest』の核心である重大なネタバレを含む。

音楽帝王の栄光

音楽業界の大物デヴィッド・キング(デンゼル・ワシントン)は、自身が共同創設したレコードレーベル「スタッキン・ヒッツ・レコード」を大手レーベルの買収計画を阻止するため、キングは個人資産のほとんどを手放してでも経営権を買い戻そうと奔走している。

常に忙しいキングに対し妻のパム(イルフェネシュ・ハデラ)は息子トレイ(オーブリー・ジョセフ)の大学進学を目前に控えていることから、そろそろ音楽のキャリアと向かいキングが制作ペースを落として家族との時間を増やすことを期待している。

キングは息子トレイを友人カイル・クリストファー(イライジャ・ライト)のバスケットボール試合に連れて行く。試合中、トレイは新進気鋭のアーティストについて父に勧め、父のレーベルで契約させてあげてはどうかと提案するが、最終的に興味を失ったキングは約束を破って途中で立ち去ってしまう。

キングはパートナーのパトリック・ベシア(マイケル・ポッツ)と買収阻止計画について会議を行う。AIに頼った音楽制作で質の高いアーティストを犠牲にする大手レーベルに対抗するため、キングはペントハウスや黒人アーティストの作品コレクションなど個人資産を担保に資金提供することを提案し、パトリックも最終的に同意ことになる。

その夜、キングが妻に計画を報告している最中、謎の人物から電話がかかってくる。

トレイが誘拐されたという知らせだった。

警察が即座にキング家のアパートに到着し、ヒギンズ刑事(ディーン・ウィンターズ)、ボール刑事(ラチャンゼ)、ブリッジズ刑事(ジョン・ダグラス・トンプソン)がキングを尋問する。彼らは家族に近い人物が関与している可能性について質問し、ポール(ジェフリー・ライト)やトレイのコーチ(リック・フォックス)からも事情を聴取するが、警察はあっさりとトレイを発見してしまう。

なんと、誘拐犯は間違ってポールの息子でトレイの友人であるカイルを誘拐していたのだ。

命か、金か

誘拐犯(A$AP Rocky)から電話がかかり、誘拐する相手を間違えていると指摘するが、犯人はカイル返還の身代金としてスイスフランで1750万ドル(30億円)を要求し、誘拐犯は標的はキングの金で、誰を誘拐しようが気に求めていないのだ。

キングは身代金を支払えば買収阻止計画ができなくなる。

ポールは息子を取り戻すためにキングに金を払うよう懇願するが、キングはキャリア、命より大切なレーベル、息子の友人の命、大金、心の中で葛藤し即答できず躊躇してしまい、その様子を見たトレイは父の姿に嫌悪感と失望してしまう。

一晩考え抜いた末、キングは最終的に身代金を支払うことを決断する。

犯人から連絡を受けたキングはGPSトラッカーを仕込んだエアジョーダンのバックパックを手に、刑事の尾行されながら受け渡し場所に向かう。

ヤンキー・スタジアムへ向かう地下鉄で、犯人はキングに電車に乗るように指示し、キングが電車に乗ると共犯者の一人が緊急ブレーキを作動させ電車を止め、外の線路にバッグを落とすように指示する。キングがバックパックを落とすとさらに別の共犯者がバッグを回収して街の喧騒に紛れて逃亡を図る。

地下鉄を出ると街はパレードの真っ最中。さらに犯人たちは何度も仲間同士でバッグを交換し続けるためヒギンズ刑事が当たりをつけた犯人を捕まえるも、彼が手にしていたバッグには何も入っていなかった。

カイルは無事に戻り、地下鉄で誘拐犯の指示に従い奔走するキングの姿を撮影したビデオが世界的にバズると、彼は「ブギー・ダウン・ブロンクスの黒いパンサー」として英雄視される。

真犯人の動機

しかし、資金提供する予定の金融屋のゲイブ(ウェンデル・ピアース)から、キングが金を全て誘拐犯に奪われたことを知った投資家連中はキングの資金提供を中止してさらに詐欺として訴える話も出ているとと伝え、最終的に2週間以内に資金を調達しなければ投資家たちは完全に撤退すると通告されてしまう。

キングはカイルが捕らわれている間に流れていたというラップ曲を思い出し、病院でカイルと刑事たちにその曲を聞かせ、曲はヤング・フェロンという名のラッパーのもので、キングは彼が犯人だと確信するが、警察は捜査をしようとしない。

キングと息子の命を助けてくれた恩返しをしたいとポールも同伴し、銃を手に取りヤング・フェロンの住所を突き止めて金を取り戻しに向かう。キングがアパートに侵入すると本人はいないが、妻のローザ(プリンセス・ノキア)と息子に出会う。息子はキングにちなんで名付けられており、フェロン(本名アーチー)はキングを憧れの存在として崇めていることを知る。

機転を利かせたキングはローザにフェロンのデモを聞いて自身のスタッキン・ヒッツと契約したいことを伝え、彼のいるレコーディング・スタジオの場所を聞き出す。

スタジオでキングがフェロンと対峙すると、フェロンはキングを偶像視していたが全くキングに相手にされないため誘拐事件を起こして注目を集めたかったと動機を話すと二人はラップ・バトルの形で言葉を交わし、追い詰められたフェロンはキングを撃とうとするがポールが身を挺したため失敗して逃亡を図る。

キングは地下鉄に逃亡したフェロンを追いかけ、電車の車両間で格闘となる。最終的にフェロンを失神させて誘拐劇は終了する。

結末ネタバレ:天国と地獄

警察にフェロンを突き出し逮捕させ、盗まれた金を無事に回収したキングは負傷したポールを病院に見舞う。キングは彼に新しいレーベルへの参加を申し出るが、ポールは自分とカイルにとって新しい始まりの時だと答える。

ヤング・フェロンは悪名により最もストリーミング再生されるラッパーになる。彼は司法取引を受け入れて25年の刑期と引き換えに、キングともう一度会うことを要求する。キングが独房で彼を訪れると、フェロンは二人が組めば多大な利益をもたらすと訴えスタッキン・ヒッツとの契約を売り込むがキングはスタッキン・ヒッツを離れてより小規模なレーベルを始めると告げキングが立ち去ろうとすると、裏切られたと感じたフェロンはキングの背後から罵声を浴びせることしかできなかった。

家に戻ったキング一家は、トレイが推薦した若いアーティスト、スーラ(アイヤナ・リー)と面会する。彼女の歌「Highest To Lowest」を聞いた三人は、その素晴らしい歌声に感動する。キングはスーラに音楽業界に伴うすべての困難に立ち向かう覚悟があるかと尋ね、彼女が「はい」と答えると、「それでは仕事を始めよう」と告げて物語は幕を閉じる。

『天国と地獄 Highest 2 Lowest』作品情報

日本でApple TV+で公開された本作のネタバレを読んで興味を持った読者のために、スパイク・リーとデンゼル・ワシントンの5度目のコラボレーション作品となる詳細について紹介する。黒澤明監督の1963年の名作『天国と地獄』を現代のニューヨークに移植した本作は、音楽業界を舞台にした道徳的ジレンマを描いたクライムスリラーとして、2025年カンヌ国際映画祭でプレミア上映され高い評価を獲得している。

興行収入

日本でApple TV+で公開された本作は、2025年8月15日にA24配給で限定劇場公開され、9月5日からApple TV+で独占配信のため興収、視聴者数の具体的な数は不明。限定公開ながらアワードシーズンを狙った戦略的リリースとなっており、2025年5月19日のカンヌ国際映画祭でのワールドプレミアでは大きな注目を集めた。Apple TV+オリジナル作品としては、デンゼル・ワシントンとスパイク・リーという大物コンビによる話題作として位置づけられている。

スパイク・リー監督紹介

スパイク・リー監督は1957年生まれのアメリカの映画監督で、『ドゥ・ザ・ライト・シング』(1989年)、『マルコムX』(1992年)、『ブラック・クランズマン』(2018年)などの社会派作品で知られる現代アメリカ映画界の巨匠である。

ニューヨーク大学芸術学部で学び、1986年の『シーズ・ガッタ・ハヴ・イット』で長編デビューを果たした。人種問題や社会正義をテーマにした作品を一貫して制作し続け、2019年には『ブラック・クランズマン』でアカデミー脚色賞を受賞している。本作は彼にとってデンゼル・ワシントンとの5度目のコラボレーションとなり、『インサイド・マン』(2006年)以来19年ぶりの共同制作となる。

デヴィッド・キング役「デンゼル・ワシントン」紹介

デンゼル・ワシントンは1954年生まれのアメリカの俳優・監督・プロデューサーで、現代ハリウッドを代表する実力派俳優である。『グローリー』(1989年)でアカデミー助演男優賞、『トレーニング デイ』(2001年)でアカデミー主演男優賞を受賞し、アフリカ系アメリカ人俳優として数々の記録を打ち立てている。

『マルコムX』『ヒー・ガット・ゲーム』『インサイド・マン』『ブラック・クランズマン』でスパイク・リー監督と組み、社会性の高い作品を多数手がけてきた。本作では音楽業界の大物として、道徳的ジレンマに直面する複雑な人物を演じ、70歳を迎えてなお衰えない演技力を披露している。

ヤング・フェロン役「A$AP Rocky」紹介

A$AP Rocky(エイサップ・ロッキー)は1988年生まれのアメリカのラッパー・俳優で、本名はラキム・ネイカーズ・メイヤーズ。2011年にミックステープ『LIVE.LOVE.A$AP』でブレイクし、ヒップホップシーンで確固たる地位を築いている。

近年は俳優業にも進出し、本作ではスパイク・リー監督によると「メインの役割」を演じている。劇中では誘拐犯ヤング・フェロンとして、デンゼル・ワシントンと対峙する重要な役どころを担当。また本作のサウンドトラックでは「Both Eyes Closed」と「Trunks」の2曲を制作し、音楽面でも貢献している。

海外の感想評価まとめ

日本でApple TV+で公開された本作は、スパイク・リーとデンゼル・ワシントンという実力派コンビによる現代版『天国と地獄』として高い期待を集めている。

批評家からは黒澤明の原作へのオマージュとニューヨークへの愛情あふれる演出が評価される一方で、過度に長い上映時間(2時間13分)と一部の演出の冗長さが指摘されている。Rotten Tomatoesでは88%のCertified Fresh、Metacriticでは73点と概ね好評な評価を獲得している。

IMDb(総合評価:6.1/10)

①私はこの映画を10点満点で5点と評価する。デンゼル・ワシントンとジェフリー・ライトが映画を支えているにもかかわらず、脚本がひどく、他の全員が新人俳優のように見えて、映画がBETやLifetimeの映画のように感じられたからだ。

②私が感じたのは、この映画が2時間を超える理由が全く分からないということだ。映画の最後の10-20分がいかに見ていて恥ずかしいものになったかで、劇場から出て行きたい衝動に駆られた。スパイクは映画をどう終わらせたいのかすら分からず、不必要なシーンで引き延ばしたように思える。

③私の評価では、この映画は黒澤明の古典的な「天国と地獄」の再解釈として期待していたが、非常に失望した。音楽スコアは私が今まで聞いた中で最悪の一つで、プレゼンテーション、サウンド、音楽の使い方すべてがめちゃくちゃで途方もなくひどかった。

④私が観た印象では、パフォーマンスがテレビレベルの演技か意図的にひどいもののように感じられた。プロダクション・デザインと構造が安っぽくて時代遅れに感じられ、映画がHallmarkやLifetimeのアプローチを取っているかのようだった。

IMDb – Highest 2 Lowest

Rotten Tomatoes(批評家:88% / 観客:未発表%)

①私の感想として、これは年に数年しか作られないスパイク・リー作品であり、この映画により彼がカメラの後ろで何年ぶりかに活力に満ちているのを見ることができる。編集、スコア、パフォーマンスのすべてのトリックを使って、本当に魅力的な映画を作り上げている。

②私が評価するのは、「Highest 2 Lowest」が黒澤の原作には及ばないものの、今日の観客に語りかける大胆で現代的な再話であり、スリリングなストーリーテリングとルーツへの心のこもった頷き、そしてニューヨークの魂への鮮やかなラブレターとのバランスを取っていることだ。

③私の印象では、これはあらゆる意味でスパイク・リー作品であり、大きくて形式的に大胆で、作家のエネルギーで脈打っているが、監督の商標的な甘やかしがすべて成功しているわけではなく、全体がその利益のために少し長すぎるものになっている。

Rotten Tomatoes – Highest 2 Lowest

Metacritic(総合評価:73/100)

①私にとって、この映画は年間最高の映画の一つだ。また、リーの最高傑作の一つでもある。スターと監督の両方がここでゲームの頂点に立っており、それが映画の良さということだ。

②私が評価するのは、リーが「天国と地獄」を新たな高みに引き上げ、文化がどこに向かう可能性があるかについて警鐘を鳴らしながらも楽しませる魂を探求するジャンル映画を届けたことだ。

③私の印象では、演技は(ジェフリー・ライトを除いて)ひどく、これらの多くは通常非常に良い俳優であるにもかかわらず、対話は悪いメロドラマのようで、音楽スコアは私が今まで聞いた中で最も退屈だが大声で邪魔なものの一つだった。

Metacritic – Highest 2 Lowest

批評家レビュー

日本でApple TV+で公開された本作への海外の専門批評家による詳細な評価を紹介する。黒澤明の名作『天国と地獄』を現代のニューヨークに移植したスパイク・リー監督の挑戦的な試みについて、批評家たちはデンゼル・ワシントンの円熟した演技とリー監督の視覚的センスを高く評価する一方で、原作の緊張感を完全には再現できていない点や冗長な演出について批判的な意見を述べている。

Variety 評価90/100

ピーター・デブルージュ氏「最終的に、リーは『天国と地獄』を新たな高みへと引き上げ、文化がどこに向かう可能性があるかについて警鐘を鳴らしながらも楽しませる、魂を探求するジャンル映画を届けた」

この映画では、リーは派手で威圧的なショーマンの役割を演じており、それを完璧に演じ、純粋に楽しめる大きく、高度に洗練された映画の塊を提供している。オープニングでは、ビッグアップル(ニューヨーク)の美しいショットに「Oh, What a Beautiful Mornin’」を響かせて、『オクラホマ!』のヒット曲をニューヨークを象徴するショーチューンとして扱い、ヒップホップの大物デヴィッド・キングが世界の頂点に立っている。

本作は最終的にApple TV+での配信を予定しているが、大画面に値するプロジェクトであり、A24が8月22日に劇場公開する際には良好な成績を収めるはずだ。カンヌでのコンペティション外でのプレミア上映から3ヶ月後のことである。

評価点
視覚的に洗練された演出、ニューヨークへの愛情、社会的メッセージの巧妙な織り込み

批判点
一部のシーンの冗長さ、原作からの大胆な脱却

(Variety – Highest 2 Lowest)

Time 評価90/100

ステファニー・ザカレク氏「それは賢く、非常に面白く、センチメンタルとは程遠い方法で深遠だ」

『Highest 2 Lowest』は、リーの公のペルソナと同様に、映画の混沌のエージェントであり、あなたがズームを期待するときにジップする種類の豪華で予測不可能なクライム・スリラーだ。リーがワシントンを適切なシーン、適切なパワー・ダイナミクス、適切な神経を逆撫でする対話に配置すると、その結果は高い芸術の産物となる。

評価点
予測不可能な展開、深みのあるキャラクター描写、高度な映画技法

批判点
一部の観客には複雑すぎる構成

(Time – Highest 2 Lowest)

The Hollywood Reporter 評価80/100

デヴィッド・ルーニー氏「監督はここで派手で威圧的なショーマンの役割を果たしており、それを完璧に演じ、純粋に楽しめる大きく、高度に洗練された映画の塊を提供している」

この映画は、ワシントンを中心とした流れが、ソロアルバムのトラックのように感じられる。あるものは威張り歩き、あるものは陰鬱で、あるものはラップバトルだ。『Highest 2 Lowest』はリーの最高傑作の一つにはならないかもしれないが、彼なしには映画の世界がより貧しい場所になっていただろうと確実に断言できる。

リーは黒澤への愛情深いオマージュを捧げているが、この疑惑に満ちた示唆に富むスリラーは、彼自身の独特なビジョンを通して挑発的な新鮮さを与えられている。

評価点
洗練された演出技法、黒澤明への敬意、独自性のある現代的解釈

批判点
リーの特異性が全ての観客に受け入れられるとは限らない

(The Hollywood Reporter – Highest 2 Lowest)

Roger Ebert 評価88/100

ロバート・ダニエルズ氏「リーの公のペルソナと同様に、『Highest 2 Lowest』は映画の混沌のエージェントであり、あなたがズームを期待するときにジップする種類の豪華で予測不可能なクライムスリラーだ」

この映画は年に数回しか作られないタイプのスパイク・リー作品である。編集、スコア、パフォーマンスのすべてのトリックを使って、本当に魅力的な映画を作り上げている。リーがカメラの後ろで何年ぶりかに活力に満ちているのを見ることができ、それが映画全体に波及している。

しかし、映画の商標的な甘やかしがすべて成功しているわけではなく、全体がその利益のために少し長すぎるものになっている。それでも、この映画はスパイク・リーの映画制作を際立たせる特異性を確実に保持している。

評価点
リー監督の復活した活力、優れた編集技法、魅力的なキャラクター

批判点
過度に長い上映時間、一部の自己陶酔的な演出

(Roger Ebert – Highest 2 Lowest)

個人的な感想評価:60点

黒澤明の天国と地獄を高校で見てすげぇ印象的で細部まで覚えていたから、思ったよりも捻りや驚きの少ない本作の脚本と展開には疑問が生まれた。新解釈って言うから、文系で繊細さんで、漫画原作のアニメを楽しめない視野の狭い私でも楽しめると思ったが、舞台をニューヨークにしただけ。みんなそれぞれの再出発を描いているし、ラストの構図も何もかも同じ気がした。

どんなに流行しようが、鬼滅の刃をアニメで見ても映像美に感動する以外楽しない私のような人間には少し退屈だったかも、appleTV+にこのために一瞬だけ加入するのも面倒だし、手元にリモコンがあると10秒送りしたい衝動と争ったので、そこまでして観たい作品ではないかなーという印象。面白くはないんだけど…である。

海外の評価も賛否って感じで、社会性と娯楽性を両立させた手腕、ニューヨークの街並みを愛情込めて撮影し、音楽業界という現代的な舞台設定で黒澤の原作が持つ緊張感を再現しようとする姿勢は評価するとしているも、2時間13分という過度に長い上映時間と、リー監督特有の自己陶酔的な演出が作品のテンポを損なっている部分は否めないとも。

また、A$AP Rockyをはじめとする一部キャストの演技力不足が指摘されており、脚本の完成度にも疑問符が付き、原作が持つ洗練された緊張感を完全には再現できておらず、現代版としてのオリジナリティと原作への忠実さのバランスに苦慮しているとも言われている。

Apple TV+での配信作品としては十分に話題性がある部類だけど、サブスクに溢れかえる昨今、appleTV+にわざわざ登録する人は少ないだろう。

まとめ

『天国と地獄 Highest 2 Lowest』は、黒澤明の1963年の名作『天国と地獄』を現代のニューヨーク音楽業界に移植したスパイク・リー監督による意欲作である。この記事では、音楽業界の大物デヴィッド・キングが身代金誘拐事件に巻き込まれ、道徳的ジレンマに直面する物語の完全ネタバレを紹介した。

期待度について言えば、デンゼル・ワシントンとスパイク・リーという実力派コンビの5度目のコラボレーションとして、また黒澤明作品の現代版リメイクとして大きな注目を集めていた。2025年カンヌ国際映画祭でのプレミア上映でも話題となり、Apple TV+オリジナル作品としては最高クラスの期待値を背負っていた。

内容の評価としては、デンゼル・ワシントンの円熟した演技力とスパイク・リーの視覚的センスが光る一方で、過度に長い上映時間と一部の演出の冗長さが指摘されている。原作が持つ緊張感を現代に完全移植することの難しさも露呈しており、娯楽作品としては成功しているが芸術的完成度では原作に及ばないという評価が一般的だ。

海外での評価は、Rotten Tomatoes88%のCertified Fresh、Metacritic73点と概ね好評だが、IMDbユーザースコア6.1点と一般観客からはやや厳しい評価を受けている。批評家は映画技法と社会性を評価する一方で、一般観客は娯楽性と完成度に物足りなさを感じているという構図が見て取れる。

日本でApple TV+で公開された本作は、限定劇場公開を経て配信開始となったが、デンゼル・ワシントンとスパイク・リーのファンには必見の作品となっている。黒澤明の原作を知る観客にとっては比較対象となる名作があるだけに評価が分かれるところだが、現代アメリカの音楽業界と人種問題を題材にした社会派エンターテイメントとしては十分に見応えのある仕上がりとなっている。

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