映画『アフターサン』物語結末ネタバレと考察感想「ラストの意味とは」




「ラストの意味は?」映画『アフターサン』物語結末までネタバレと考察を紹介。この映画では意図的に曖昧に表現されたシーンが数多くあり海外でも考察が多く行われています。視聴後に疑問に残ったことをできる限り解決していく記事になっています。

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アフターサンはどんな映画?

『アフターサン』は、トルコのリゾート地で休暇を過ごす娘のソフィと父カラムの関係を描いた、穏やかで楽しい雰囲気を映した映画です。

しかし楽しそうに描かれるバカンスの最中、唐突に挟まれるフラッシュバックなどから、父カラムの情緒不安定な部分や、大人になったソフィがこの頃の記憶を思い出そうとしていることなどが、意図的に曖昧に映し出されるため、不思議な緊張感を持たされます。そしてラストにはあなたの心を揺さぶるシーンが描かれ、しばらく席から立ち上がることができなくなるでしょう。

シャーロット・ウェルズが脚本・監督を務め、ポール・メスカルとフランキー・コリオが出演したこの作品は、ほろ苦く切ない作品であり、キャストや制作チームに対する高い評価を得て、批評家としても成功を収めました。

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映画『アフターサン』物語ネタバレ

エジンバラ、11歳の少女ソフィは、離婚した父カルムと一緒にロンドンに引越したことをカメラに向かって説明する。

ソフィとカルム親子は夏休みはトルコで過ごす間、miniDVカメラで撮影することにした。ホテルに到着して、ソフィが眠っているのを確認したカルムは、バルコニーでタバコを吸っている。延々とタバコを吸っている姿が映し出されるが、カルムはこのバカンスを心から楽しんでいるようには見えない不穏な空気感を出している。

何故バカンスに?

二人でプールや海で遊びホテルで眠る毎日を過ごす。バカンスを満喫する親子は仲良く、何も問題がないように思える。

ある日、スキューバダイビング中に、スキューバマスクを海に落としてしまいカルムに謝るが、カルムは何も気にしていないように振る舞ってはいるが、父が動揺していることを察知し、父を慰める。この時、隣にいたダイビングインストラクターに対し、“40歳まで生きられるとは思っていない“と話している。

後日、カルムとソフィーは絨毯屋に行き、カルムはソフィーが気に入ったトルコ絨毯£850(850ポンド=約13万円)の値段を聞いて悩む様子を、ソフィーは横目で見ていた。一度は購入を諦めて店を出る。カルムは、ソフィーがバカンスで知り合った青年たちと遊んでいる間に、その絨毯を購入する。(しかしその表情は愛する娘のために購入した表情ではなく、諦めと絶望を表しているように見える。ソフィは年上の青年たちの大人なやりとりを見て少しだけ大人になる。

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カルムは精神病なのか?

物語が進むにつれカルムは、仕事など経済的な問題に直面していること、時折見せるソフィに見せる笑顔とはかけ離れた落ち込んだ姿、無言で無表情だったり、自己啓発の本を読み、一人で太極拳をする、パーティ中、極端にハイテンションな行動などから、カルムはうつ病、離人症の兆候が出ていることがわかる。

そのことからカルムは、ソフィには離婚したことで受けた心の溝を埋めるため、その姿を隠そうと、バカンス中は常に笑顔を浮かべる努力をしていることがわかる。タバコを吸う姿も実は彼女に隠し事の一つだった。

その夜、二人はカラオケイベントに行き、父親と思い入れの深い歌”Losing My Religion”を一緒に歌おうとカルムを誘うが、素っ気なく断れてしまう。断られたことに驚きを隠せないソフィーは、動揺したままステージに上がり何とか歌いきるが、落ち込んだ表情は隠せずにいた。

苛立ちを隠さず席に戻ったソフィに対し、カルムはもう戻ろうと誘うが、ソフィはホテルの部屋に戻るのを拒み、知り合った若者たちと一緒にバーで過ごす。その後、ソフィは昼に一緒に遊んだ少年と再会し、プールのそばでキスを交わす。その頃、カルムは真っ暗闇のビーチを一人で歩き、そのまま海向かっていた。夜遅く、ホテルの部屋に戻ったソフィーは、カルムが全裸で眠っているのを見つけ、シーツで優しく覆い隠す。

悪夢を見て起きたソフィは、大人だった。彼女は誕生日を迎えており、同居している恋人の女性から誕生日を祝うキスとセリフを貰う。隣の部屋では赤ん坊の鳴き声がけたたましく聞こえる。彼女も大人になり親になることの大変さを思い知っている最中なのか、表情は暗い。

翌日、2人は泥風呂ツアーバスの中で昨夜のことについて和解する。
泥風呂や海を堪能した後、ビーチにいたソフィは他のツアー客にお願いをして、カルムの31歳の誕生日のサプライズにみんなで“For He’s a Jolly Good Fellow“を歌わせ、カルムを驚かせる。皆がお祝いの歌を歌う最中、カルムは無表情で黙って見ていた。

次の場面、前日のカラオケの夜、裸のカルムが眠る前にホテルの部屋で号泣した後、ソフィーに宛てた手紙が床に置いてあるのが映し出される。

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エンディングネタバレ「最後の意味」

その夜、休暇の最後の夜の食後に、カルムはソフィと一緒にQueenの名曲“アンダープレッシャー“をBGMにダンスを行い、最後に強く強くソフィを抱きしめる。

このダンスシーンでは、フラッシュバックが始まり、暗闇の中でストロボが定期的に焚かれるパーティ会場で、大人になったソフィが、カルムが踊り狂っている姿を見た後、他の人と言い争い喧嘩する姿を見る。ソフィは彼に近づこうとするが、他の客に阻まれる。2人は抱き合うことができるが、カルムはソフィーの抱擁から離れ倒れてしまう姿が映し出される。

現実、そして二人はダンスを終えるがカルムは今にも泣きそうな表情を浮かべる。

カルムとソフィーは空港で別れを告げるシーンが描かれる。ソフィは離婚した母親の元に帰るのだろう。カルムは手を振って“愛しているよ”とソフィーを送り出す姿を映し出す。

映画の最後、ソフィーと空港で別れたたあと、ビデオカメラをしまったカルムは、空港の廊下を歩いて奥にあるドアから奥の部屋に向かうシーンで終了する。(この時、空港の廊下のはずだが、扉を開けると例のフラッシュバックで何度も現れた、ストロボが焚かれたパーティ会場のような場所になっていることから…)

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海外の感想評価 IMDb:7.7/10

10/10
この映画は傷ついた
「Aftersun」は、クライマックスまでゆっくりとした展開で、私は思わず涙を流し、エンドクレジットが終わった後、自分を落ち着かせるために少し劇場に座っていなければならなかったほどです。
この映画は、しばらくは大した内容でもなく、荒廃したリゾート地で休暇を楽しもうとする父親と10代前の娘についての哀愁漂う物語に過ぎないように思えた。しかし、あのエンディングがやってきてあなたを打ちのめし、この映画が多くのことを描いていること、そしてずっとその層が徐々に明らかにされていることに一気に気づかされます。
この映画のことを考えると、涙が止まらなくなります。父親が娘に楽しい休暇を与えたいだけなのに、うつ病のブラックホールに沈んでいく様子や、幼すぎて父親の絶望の深さを十分に理解していない娘が、大人になってから過去に戻って父親を助けたいと思う様子など、あの結末を考えると、涙が出そうになるんです。
今年観た映画の中でベストの一本です。映画賞を真面目に考えるなら、この映画はあちこちでノミネートされるはずだ。

9/10
理解には努力が必要
Aftersun』は、クレジットが回り始めた時には、理解できたかどうか確信が持てなかった映画です。しかし、座って自分の見たものすべてについて考えているうちに、この映画は天才的だと思うようになった。
この映画には、あからさまな実質的な筋書きがないが、それを補って余りあるほど、信憑性があり、キャラクターを形成するイメージや台詞が微妙に配置されている。瞬間的には、これらはしばしば余談のように感じられ、全体像がはっきりしない。
しかし、この映画のラストショットですべてが明らかになり、中心人物2人に圧倒的な感情を抱くことができた。
この映画の多くの静かな瞬間の積み重ねが、私が今年見た中で最も効果的でニュアンスのある思いやりのメッセージのひとつを突きつけたのです。
この映画は、微妙なニュアンスの傑作であり、間違いなく若干の欠点がある。しかし、私たちが現在生きている、映画における「頭を打つ」メッセージの時代に、それを見るのは新鮮である。

まとめ考察感想

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カルムは死んだのか?

映画を見終わった後、ひたすらに悲しかった。

多くを語ってくれないため、勝手に妄想し想像してしまったが、私にとっては楽しいバカンス中に時折見せる父親としての葛藤に痛いほど共感してしまい、ラストのソフィとの別れのシーンではカルムに共感して涙が溢れてしまった。しかしこれは感動ではなく悲しみである。悲しくて涙する映画なんて見た記憶がないので驚いたので、一体何を見たのか理解するため色々調べたが、大体は自分が思ったことで合っていた、この物語は感動的なものではなく、人を憂鬱な気持ちにさせる映画だったってことだ。

だとしてもこの作品を見た人の心を揺さぶることには変わりはなく、全く調べていないので怒られそうだが、アカデミー賞の何らかにノミネートされたことも納得である。

これから伝えるのは見出しの通り「カルムについて」だが、これは先に知っておいた方が良くもあると思ったので珍しく、もう少しだけ文字を紡がせてもらう。(そうじゃないと、僕のように視聴中二人のただのバカンス映像を見て、時折挿入される不可解な映像に、首を傾げるだけになる可能性がある)

一応お断りしておくが、考察だなんて文系でフォレスト・ガンプな私にはおこがましいので、海外の考察サイトをコピペしているとでも思って欲しい。誤字脱字は酷いだろうし今回も視聴後の感情を引きずったまま書いているので、文章も破綻しているかもしれない。それでも言いたいことがあるので見てほしい。チラ裏ってやつだ。

この映画は父親と同じ30歳の誕生日を迎えたソフィーが、かつて子供の頃に離婚して別居中だった、父とのトルコ旅行を振り返り、ビデオカメラの映像や自分の記憶をたぐり寄せ、父に何が起こったのかを理解しようとする姿が描かれた映画である。ただし9割以上がトルコでの映像になるため、その背景は海外のレビューなどを読んでの考察である。

一番大事なことだが、最後まで描かれてはいないが“父親のカルムは精神的に不安定で、おそらくうつ病であること“
このバカンスで別れた後、カルムは“自殺“してなくなっている可能性がある。購入した絨毯は彼女のアパートに飾られているが、カルムはソフィーの生活には登場していないことから考察できる。

カルムが自殺しない可能性もあるが、それでも離婚して生活苦、精神的に追い詰められている彼の人生は悲痛な形になる可能性があるので、幸せとは言えないだろう。ただ確実なのは、カルムに何があったにせよ、ソフィが思い出に浸っていた休暇中の愛すべき父親は永遠にいないということだ。

カルムは『アフターサン』で診断されることはなかったが、うつ病の一種に苦しんでいる人の兆候を多く示している。彼はソフィーにそれを隠そうとするが、一人になる瞬間、彼を取り巻く痛み、自己嫌悪、恐怖、絶望を目の当たりにすることになる。この映画は、うつ病について最も考えさせられる映画のひとつである。
IMDbレビューより

最も腹に響く瞬間のひとつは、カルムが何気なく「40歳まで生きられるとは思わない」「30歳まで生きられたことに驚いている」と口にしたときだ。

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ストロボシーンの意味は?

劇中、本当に唐突に真っ暗闇の中、ストロボが焚かれて眩しいパーティらしき会場で踊り狂うカルムの姿が描かれている。全く意味がわからないほど唐突に挿入される。

前述したように、この映画は大人になったソフィが、父親が録画したビデオ映像を見返しながら、自分の中の記憶と一緒に振り返っているため、このストロボで暗闇と一瞬だけ描かれるカルムは“ソフィーの父親に対する記憶が薄れていることを表現“しているということらしい。

そうすると、この作品の数%を占める“ストロボのシーンこそが彼女の記憶の全て“、残りの数%はカルムとソフィが撮ったビデオの映像、そして残りの90%の美しく楽しく描かれるバカンスシーンは、あくまで彼らにおきたことを補正に過ぎないということだ。

そうするとソフィにとっての思い出はほぼ薄れているのだろう。

アンダープレッシャーの中一緒に踊る父親側に立つことで、涙が溢れてしまう感動シーンも実は大人のソフィにとっては“踊っていた“程度の記憶で、ほぼ忘れかけているほど薄いことがわかる。

アンダープレッシャーの意味

そんな悲しいオチは辛いなともう少し調べると、少しだけ救いのある感想があったので、これで終わりにしたい。

インタビューで、ウェルズ監督は“視聴者が、キャラクターたちの愛が薄れることはないという考えを持ち帰ってくれることを望んでいる“と述べたらしい。

どんなに記憶が曖昧で薄れたとしても、ソフィのカルムへの愛は本物だったし、カルムはソフィを誰よりも愛していたということだ。特にカルムはソフィにとって良い父親になろうと賢明に努力し、内なる戦いに挑み抗い続けていたことは明白だ。

長くなって申し訳ない、

そうすると最後のダンスで流れたクイーンのアンダープレッシャーの歌詞も意味があるのかと調べてみると、、、ああ、また涙が出てきてしまうような内容だった↓


Watching some good friends screaming ‘Let me out’
仲の良い友達が叫んでいる場面を見る「僕をここから出してくれ」
Pray tomorrow gets me higher
明日を祈る 僕をもっと高いところに連れてってくれと…
Can’t we give ourselves one more chance?
僕たち自身にもう一度のチャンスを与えてみないか?
Why can’t we give love that one more chance?
愛にもう一度のチャンスを与えてみないか?
Why can’t we give love, give love, give love, give love
僕たちは愛を信じてみないか?
Give love, give love, give love, give love, give love?
愛を…

And love dares you to care for
そして愛は君に勇気をあげるから
The people on the edge of the night
夜の片隅にいる人々を気にかける勇気を
And love dares you to change our way of
そして愛は君に勇気をあげるんだから─方法を変える勇気を
Caring about ourselves
自分たちの人生の生き方を変える勇気を
This is our last dance
これが僕たちの最後のダンス

https://ameblo.jp/kasiwayakuより一部抜粋

視聴後にこんなに何かを語ることはほとんどないのだが、今回はあまりに号泣してしまったので、どうにかして文系なりにバカなりに、ガンプなりに理解しようとして色々調べてしまった。

器の広い人なら正解はないと思うが、こんな考え方もあるんだな、そう捉えて楽しんでくれると思うが、ちょっと喋り過ぎてしまった気がするのでこれでおしまいにする。申し訳ない。ここまで読んでくれてありがとうございます。

クレームは受け付けません。悪しからず。

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