映画『ハンガー・ゲーム0 (2023)』物語ネタバレと海外の感想評価。壮大で見事な前日譚の内容とは?




「サーガーの始まりにして傑作」海外で大絶賛の前日譚「ハンガー・ゲーム0(原題:The Hunger Games: The Ballad of Songbirds & Snakes)物語ネタバレと海外のリアルな感想評価を紹介。なぜあの競技が生まれ、スノーは支配者になったのか?全ての物語の始まりを描く本作は傑作と言われています。

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映画『ハンガー・ゲーム0 (2023)』物語ネタバレ

ハンガーゲームが始まる3年前、パネムでの最初の反乱の最中。

幼いコリオラヌス・スノー(デクスター・ソル・アンセル)従兄弟のティグリス(ローザ・ゴッツラー)は、死体が散乱した荒廃した街を隠れ進んでいた。二人が隠れている目の前で、人肉を食べる男を目撃し慌てて逃げる。子供たちが家に帰ると、スノーの祖母(フィオヌーラ・フラナガン)は、スノーにスノーの父クラッサス・スノー将軍が殺され、家の存亡はあなたにかかっていると告げる。

第一部:老人

13年後、年老いたスノー(トム・ブライス)は、ティグリス(ハンター・シェーファー)と祖母と一緒に暮らし、一族の名声を回復するためエリート街道を突き進んでいた。

彼らは第10回ハンガー・ゲームの準備を進めており、ゲーム参加者の1人の指導者に任される。その中には、友人で裕福な家庭の出身でハンガー・ゲーム反対派のセジャナス・プリント(ジョシュ・アンドレス・リヴェラ)もいる。

ゲームメーカーのトップ、ヴォルムニア・ガウル博士(ヴィオラ・デイヴィス)が関係者全員を集め、ハンガー・ゲーム創設の責任者であるディーン・キャスカ・ハイボトム(ピーター・ディンクレイジ)を紹介する。ハイボトムは近年ハンガー・ゲームの視聴率が低迷しているため、勝利よりも観客を楽しませることに集中するよう指導者たちにアドバイスをするが、多くの指導者たちは彼の助言に困惑する。

スノーが配属された第12区の貢ぎ物はルーシー・グレイ・ベアード(レイチェル・ツェグラー)という若い女性だった。彼女はメイフェア市長に貢物として名前を呼ばれた際、彼女を嘲笑う市長の娘メイフェア・リップ(イゾベル・ジェスパー・ジョーンズ)のブラウスに蛇を投げ入れて、市長を激怒させ、殴られ倒れる。しかしルーシー・グレイは立ち上がると、市長のマイクを奪い、反抗の歌を歌い始める映像を見たスノーは、彼女に興味を持つ。

貢ぎ物たちが列車で運ばれてくる中、スノーは、彼女の信頼を得て自分のやり方で彼女をチャンピオンにしようとルーシー・グレイに会いに行く。勢いで配送トラックに乗ったスノーは富裕層が急に乗ってきたことに腹をたてた貢物たちに殺されそうになるが、ルーシー・グレイがそんなことをすれば全員殺されてしまうと周囲を抑え目的地に到着する。

目的地は動物園の柵の中だった。スノーはルーシー・グレイと話し、彼女が歌手だと知る。

そして、檻の外で待機していたインタビュアーのルクレティウス・”ラッキー”・フリッカーマン(ジェイソン・シュワルツマン)(ハンガー・ゲームの司会を務めるシーザー・フリッカーマンの祖父)率いるカメラクルーにも臆することなく返答する。

ある日、スノーたちは食堂から食事を盗み、それぞれが担当する参加者に食事を渡し、信仰を深める中、参加者の一人ブランディ(加瀬ルナ)が、指導者のアラクネ・クレーン(リリー・クーパー)から手渡されたボトルを奪い取ると、瓶を叩き割りアラクネの喉を刺し殺す事故が起きる。ブランディはピースキーパーに射殺される。

スノーはガウルに、観客からの寄付金で競技中の貢ぎ物たちに、物資を送るよう指導者に提案することを思いつく。これをガウルに持ちかけようとしたスノーは、友人のクレメンシア・ドブコート(アシュレイ・リアオ)を連れて行き、彼女に提案させる。提案書を受け取ったガウルは、彼女が繁殖させている巨大な蛇の水槽に提案書を入れ、クレメンシアにその桶に手を突っ込ませ提案書を取り出させるが、彼女は噛まれて倒れてしまう。ガウルは冷酷な表情で彼女を見つめ、薬を投与させた後、提案書を書いたのがスノーだと知ると、提案書を受け取るのだった。

スノーはルーシー・グレイや他の指導者、貢ぎ物たちとともに競技が行われる巨大な闘技場を見学に訪れる。しかし突然、反乱軍の襲撃にあい、指導者や貢物、護衛の兵士たちが何人も犠牲になる。瓦礫の下敷きになったスノーだったが、ルーシー・グレイが危険を顧みずスノーの瓦礫を除去して命を救う。命を救われたスノーはルーシー・グレイを見る目が大きく変わり、彼女が以前テレビで歌っていた映像を見て、多くの観客たちが感動して涙を流す様子を見て、彼はルーシー・グレイに優勝してもらいたいと強く願うようになり、母のコンパクトミラーの中に殺鼠剤を忍ばせてルーシー・グレイに渡す。

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第二部:賞品

貢ぎ物が競技場に連れて行かれ、スノーたち指導者は、世界中の人々とともに本拠地でハンガー・ゲームの放送を見て彼女たちを見守る。競技が始まると皆中央にある武器を取り、互いに殺し合いを始める、特にコーラル(マッケンジー・ランシング)が次々にライバルたちを殺し始める。。ルーシー・グレイはなんとか攻撃をかわし、ジェサップ(ニック・ベンソン)と一緒に闘技場の地下に逃げ隠れる場所を探す。

夜になり、一旦殺し合いが収束する。セジャナスが友人だった参加者のマーカス(ジェローム・ランス)を弔うために闘技場に忍び込んでいた。スノーが休んでいると、ガウルからセジャナスを連れ出すよう命じられる。スノーは無事にセジャナスと合流するが参加者のタナーに襲われるが、返り討ちにして殺して二人はなんとか逃げ延びる。

二日目、ルーシー・グレイと一緒に逃げたジェサップが、コウモリに噛まれ錯乱状態になり、ルーシー・グレイに襲いかかる。その様子を見ていたスノーは、ガウルに許可された支援者からの寄付で参加者に貢物を送る機能を使い、水を入れたドローンをジェサップの足元で割り、ジェサップは驚いて転落死する。

その騒ぎを聞きつけた他の参加者たちがルーシー・グレイに襲いかかるが、スノーはさらに水のドローンを送り込み、参加者に直接ぶつけ、ルーシー・グレイが逃げ出す隙を作る。混乱に乗じ隠れたルーシー・グレイは参加者同士が殺し合いをしている最中に、支援物資の水の中に殺鼠剤を入れる。

殺し合いをする奴が飲めば良いと思っていたが、その毒入りの水を飲んだのは、ディル(ルーシー・スティープルズ)という小柄な少女だった。彼女は苦しみ死んでしまう。それを見ていたルーシー・グレイが自責の念に駆られる中、死神と呼ばれる参加者が、幼いディルの遺体を発見し、彼女を弔った後、死亡した参加者を全員集めると、腹いせに彼らの遺体にキャピトルの旗を立て、周囲はざわつく。

死神の様子が切り替わり、突如ガウルが画面に登場すると、キャピトル大統領の息子フェリックス・ラヴィンスティル(アーメル・フセイン)が反乱軍の爆撃で死亡したため、それを受けて他の貢ぎ物もガウルの蛇を解き放ち全員殺してゲームを終わりにすると発表する。発表を聞いたスノーは衛兵の目を潜り抜け、ルーシー・グレイの匂いがついたハンカチを蛇の水槽に忍ばせ、ルーシー・グレイだけが襲われないように画策する。

ルーシー・グレイは通気口に隠れていたが、コーラルたちに襲われ窮地に陥ったところで、ガウルの何千匹もの蛇が闘技場に放たれ、ルーシー・グレイ以外の全員が死んでしまう。

残ったルーシー・グレイを蛇が徐々に取り囲み、彼女に近付く。スノーは一人だけが生き残ったので彼女が優勝だと、ガウルに進言するが、ガウルはずっと様子を見ているだけだった。すると、ルーシー・グレイは蛇に囲まれながら力強く歌い続けたため、ガウルは彼女の勝利を宣言することを拒んでいたが、他の指導者や視聴者たちが彼女の勝利を讃え始めたため、ルーシー・グレイがハンガーゲームの勝者と宣言するのだった。

スノーの担当者が優勝したことで、彼の将来は約束されたと思っていたが、突如ハイボトムに呼ばれ、目の前に殺鼠剤とハンカチを置かれ、彼が背後で不正を行っていたことが暴露され、今後20年間ピースキーパーとして地区に追放することが決まる。

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第三部:ピースキーパー

丸坊主にされたスノーは、ゲームに反対し共にピースキーパーとして地方に左遷されたセジャナスとともに訓練を開始する。スノーは当初8区に異動する予定だったが、ルーシー・グレイのいる地区に配属されるために、賄賂を渡して第12地区へと向かう。

ピースキーパーとなった二人は、早速支配者側の防衛として理不尽な現状を目の当たりにする。夜になり酒場で飲んでいると、壇上で歌っていたのはなんと、ルーシー・グレイだった。

再会したスノーとルーシー・グレイは二人だけの時間を過ごすようになり、互いへの思いに身を任せ、恋人関係となる。ルーシー・グレイはスノーにジャバージェイ(嘲笑するカケス)を見せ、サジタリアの花(通称 “カットニス”)を見せる。

ある日、スノーは、セジャナスが反乱軍の何人かと話しているところを目撃し、問い詰めるとセジャナスは反乱軍の何人かを北へ逃がす手伝いをするのだと話す。スノーはその会話を録音してガウルへ送るのだった。

ある夜、ホブでスノーはルーシー・グレイ、市長の娘メイフェア、セジャナス、ルーシー・グレイの元恋人ビリー・タウプ(ダコタ・シャピロ)セジャヌスの友人スプルース(ジョージ・ソムナー)グループが言い争いをしている場面に出くわす。そこでメイフェアは、憎んでいたルーシー・グレイをハンガー・ゲームの参加者にさせたように、脱出計画を父親に密告すると立ち去ろうとしていた。それを見ていたスノーは咄嗟にメイフェアを銃で撃ち殺してしまう。怒ったビリーが報復しようとするが、スプルースが彼を撃ち殺す。

その後、スプルースはメイフェアとビリーの死に関与したとされ捕まり、セジャナスもスノーの録音を聞いたガウルによって逮捕される。処刑の前に、セジャヌスはスノーに助けを求めるが、民衆たちの前で彼もスプルースも絞首刑となる。

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エンディングネタバレ「スノーの本性と変化」

スノーはルーシー・グレイと北へ逃げようと一緒に逃亡の旅に出る。道中、セジャナスに起こったことに自分が関係しているかもしれないと、うっかり伝えてしまう。それを聞いたルーシー・グレイはスノーに花を摘んでくると立ち去り、スノーが彼女を探しに行くが、ルーシー・グレイはどこにもいなくなっていた。

森を探し回り、近くに落ちている彼女のショールを見つけ、屈んで拾おうとすると、彼女が忍ばせていた蛇に噛まれ毒に蝕まれてしまう。

怒り狂ったスノーは、毒で朦朧とした意識の中、ルーシー・グレイが走っているのを見つけ、ライフルで彼女を撃つ。スノーはさらに症状が悪化し、鳥が彼女の歌を歌う幻覚を聞いて銃を乱射する。撃ったはずの彼女の遺体を見つけることができず、メイフェアとビリーを殺すのに使った銃を処分したあと、宿舎にしれっと戻る。

軍に戻ったスノーは事情を知らないセジャヌスの両親の好意でアカデミー復学の権利を得たため、キャピトルに戻ることができた。

スノーはガウルと会い、ガウルからもう一度ハンガー・ゲームの意味を尋ねられる。

彼は、当初は反乱を起こした地区への罰だと考えていたが、自分が経験した様々な体験から考えが変わったと伝える。話を聞いたガウルは、スノーをゲームメーカーにする準備を始めると伝える。

次にスノーはハイボトムに会い、ルーシー・グレイの死体が発見されなかったこと、ルーシー・グレイの運命は不明のままで、彼女はどこかで孤独死したか、逃亡に成功したのだと告げる。

するとハイボトムは、昔、酔った勢いでスノーの父親にハンガー・ゲームの計画を提案したことを話す。ハイボトムはそれが現実になるとは思っていなかったと後悔の念があることを告白する。スノーが去った後、ハイボトムは酒を飲むが、その酒はスノーが毒を入れた酒で、ハイボトムは死んでしまう。

そしてスノーは街の広場に出て、街の中央にある銅像を見上げる。

支配者となったスノー大統領(ドナルド・サザーランド)の声で

“It’s the things we love the most that destroy us.”

(私たちが最も愛するものこそ、私たちを滅ぼす)

そしてエンドクレジット。

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海外の感想評価

それでは「ハンガー・ゲーム0」を先行上映された海外の感想評価を紹介していきます。

8/10
嬉しい驚き
最初に断っておくが、8点とは思わない。7.5~7.7点だと思う。
しかし、低予算で、ストーリーはお粗末だが、それ以外はそこそこ観られる映画を期待して観に行った。まあ、自分でもびっくりするほど夢中になった!そして、あえて言うなら、ハンガー・ゲーム映画の中では良い部類に入る作品だった。
私が読んだ酷評は的外れなようだ。これはゲームの起源についての物語ではないし、「ルーシー・グレイ」についての物語でもない(彼女の名前は1000回くらい出てくるけど)。これはスノウについての物語であり、なぜ彼が私たちが原作で知っているようなサイコパスになったのかについての物語なのだ。ハッピーエンドではない結末が新鮮で、社会的経済的/哲学的ジレンマを人間心理の観点から楽しみ、理解するのであれば、さらに評価が高まるだろう。
嫌われるのは理解できない。特に1~3点★のレビュー。何を見ていたんだ?

7/10
ハンガーゲームがもっと観たい…。
今回初めて「ハンガー・ゲーム」の世界に触れましたが、気持ちよく楽しませてもらいました。今後どうなるかはわからないが、シリーズのオリジナル映画と同じように、いやそれ以上に楽しませてくれることを期待している。
ストーリーは魅力的で、3つのパートに分かれていて楽しめた。ゲームの導入から回避、結論に至るまで、すべてがうまく演出されていた。暴力的な描写が多いにもかかわらず、PG指定を維持するためにあまりに陰惨な描写をすることなく、緊張感と殺伐とした雰囲気を醸し出している。
演技は力強かった。予告編を見た限りでは、若いスノウがオリジナルの映画によく似合っていたが、確かなことはわからない。レイチェル・ツェグラーとトム・ブライスの相性が良かった。
音楽も素晴らしかった。ツェグラーは素晴らしい声の持ち主で、彼女の歌は明らかにこの映画によくマッチしている。映像はほとんど素晴らしい。明らかにスクリーンでの演技だとわかる箇所がいくつかある。本物のように感じられる部分もあったので、物理的なセットがあればいいのにと思う部分もある。

9/10
信じられないほど本に忠実
この映画の要点は、スノーがどのように権力を握り始めたか、またキャピトルがどのように操られ始め、ゲームが好きになって観戦し始めたかを示すことだった。
キャッチング・ファイヤー』以来、最も忠実な素晴らしい映画化だった。レイチェル・ツェグラーは素晴らしい歌手であり、素晴らしい女優だ。歌はストーリーにとってとても重要で、どの歌にも映画の重要な部分が含まれている。特に彼女が湖のほとりで寝そべって歌う歌は素晴らしい。
人々は自分が見ているものに注意を払う必要がある。

5/10
大失敗
私はこの2時間38分の長編映画のどの登場人物も好感が持てず、どの登場人物も明確な動機を持っていない。スノウの友人以外は、観客が自分で点と点を結ぶことができない場合に備えて、パネムの国が腐っていることを常に教えてくれる。
映画が結末を迎えたとき、私にはそれが何を伝える旅なのかさっぱりわからなかった。ジェームズ・ニュートン・ハワードは脚本にエモーショナルな核心を見出すのに苦労したのだろう)。
それに、あの音楽は一体何なんだ?本編の一部であることは知っているが、映画ではただうっとうしいだけだ。主役の女優が、生意気で完璧なディクシー・チックのように歌い、過剰に芝居がかった表情を浮かべるからだ。
オリジナル映画のカットニスは、地に足がついていて、現実的で、傷つきやすい。この映画のルーシーには目的意識がない。彼女は最初から完璧で、パワフルで、正義感が強く、怪しさなど微塵もなく、発展の余地もなく、それによって観客が彼女に感情移入する理由もない。彼女はスノウが闇へと向かう旅のプロット・デバイスのように感じられ、彼女と敵役の間にはまったく化学反応がない。
時間の無駄だった。

5/10
これは確かに燃えない。
レイチェル・ツェグラーの演技には何の問題もなかったし、むしろうまいと思ったが、彼女や登場人物の誰にも感情移入できなかった。
映像の一部は素晴らしく、素晴らしい特殊効果もあったが、あの音楽は私には合わなかった。

5/10
バラード?
「ハンガー・ゲーム The Ballad of Songbirds and Snakes(邦題:ハンガー・ゲーム:歌姫と蛇のバラード)」は、そのタイトルから想像できるように、長すぎる。第10回ハンガー・ゲームとパネムのスノー大統領(別名コリオラヌス・スノー)についての前日譚で、ここでは俳優トム・ブライスが熱演している。
もう一人の傑出した演技は、キャスカ・ハイボトム役のピーター・ディンクレイジによるもので、彼のキャラクターは、ゲームがどのようにして初期に結実したかを説明するのに役立っている。
原作者スザンヌ・コリンズの原作を基にしたこの映画のストーリーは、若くあまり堅苦しくないスノーを共感できる人物として描くという、人間味のある角度を追求している。
ストーリーの中心は、ハンガー・ゲームとのつながり、首都での緊張した社会的立場、そして彼女の師であるルーシー・グレイとの関係に基づき、権力、地位、愛のいずれを追い求めるかというスノーの決断にある。
ルーシー・グレイの歌声があまりにも多く聞こえてくる時点で、この映画は間違っている。まるで『ハンガー・ゲームMTV』のようだ。

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まとめと感想

『ハンガー・ゲーム0』は、原作の魅力と映画の独自性が交錯する一作です。本作は、若き日のコリオラヌス・スノウの心理的な成長と彼の野心の根源を探ります。トム・ブライスが演じるスノウは、内面の葛藤と権力への渇望を巧みに表現しており、彼の演技は本作のハイライトの一つです。

しかし、映画はそのストーリーテリングでいくつかの重要なポイントを見逃しています。特に、スノウとルーシー・グレイ(レイチェル・ゼグラー)との関係の発展において、二人の間の化学反応が不足していると感じられます。シンプルに愛をとるか否かという選択の割には、二人の間は深いようで浅く、彼女のゲームでの死闘と、スノウの関係性が十二分に浸透しないまま、物語の感情的な結びつきが弱まり、観客はキャラクターたちに共感するのが難しくなっています。

映画のビジュアル面と音楽は、特に注目に値します。豊かな色彩と細部へのこだわりが、パネムの世界を生き生きと描き出しており、その壮大なスケールは観客を魅了します。また、レイチェル・ゼグラーの歌声は、物語に深みを加え、特に「ハンギング・ツリー」のシーンは印象的です。その反面、彼女の歌声を気に入らないという声もあるのも納得です。

総じて、『ハンガー・ゲーム0』は、ハンガー・ゲームシリーズのファンならば見逃せない作品です。しかし、一部のキャラクター開発の不足とストーリーの流れの問題点を考慮すると、シリーズの他の作品と比較してやや劣ると言えるでしょう。それでもなお、新たな視点からパネムの世界を探求する試みとして、その価値は高いです。

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