「できれば”読まずに”観て欲しい」「日本映画は7年前から台湾に負けていた」傑作ホラー映画『紅い服の少女 第一章 神隠し』物語エンディングまでネタバレと感想。昔の映画と侮るなかれ!アジアホラーを研究し見事に昇華させ映画史に残る美しく奇妙で恐ろしい作品に仕上がっています。マジで、もう日本映画は終わりだと感じるはず。この映画はもう7年も前に日本以外の海外で上映されているにもかかわらず、日本では2022年にやっと上映されます。配給会社も認めようとしないこの見事な作品を是非堪能してください。
もくじ
映画『紅い服の少女 第一章 神隠し』あらすじ
原作は台湾で古くから伝わる都市伝説で実際に起きた事件。
ある日、おばあちゃんが行方不明になってしまった。
突然送られてきたビデオテープの中には、ハイキングを楽しそうに行なっている祖父の姿と、その後をずっと追いかけ続ける赤い服の少女の姿だった・・・。
映画『紅い服の少女 第一章 神隠し』スタッフ&キャスト
監督
程偉昊(チェン・ウェイハオ)
脚本
ジエン・シーゲン
出演者(クレジット順)
アン・シュー… シェン・イージュン
リバー・ファン… ホー・ジーウェイ
イン・シャン・リウ… ホー・ウェンシュファン
ポーチョ・チャン… クンおじさん
ユミ・ウォン … ビービーのママ
マリオ・プー … 店主
ミンフー・パイ… シュイおばさん
メイマンジン… 李おばさん
ヤウェイ・バサン… 捜索救助隊長
モー・チュアン・ロー… リトル・ウェイ
ケ・アン・シェ… ベイベイ
程偉昊(チェン・ウェイハオ) 監督最新作は『THE SOUL(2021)』中国台湾の大ヒット小説が原作。
あらすじ:未来型ガン治療法を開発する企業の創業者が惨殺され、病気で休職していた検事が、妊娠したばかりの刑事の妻に助けられ、事件の解決を依頼する。
海外でも6.6/10と紅い服の少女よりも評価が高い。今後も見逃せない監督の一人。
映画『紅い服の少女 第一章 神隠し』物語エンディングまでネタバレ
不動産屋のジーウェイ(リバー・ファン)は祖母(リウ・インシャン)と暮らしていた。ジーウェイが外出している時、家の中に違和感を感じた祖母が周囲を見渡すと家の中を誰かが土足で歩いたような跡を見つけるが、突然後ろから何者かに迫られ姿を消してしまう。ある夜、ウェイがラジオDJの仕事を終えた恋人イージュン(アン・シュー)を家に迎え入れ祖母の家を担保にイーチュンと結婚しようと迫るが。しかし、イーチュンは結婚するつもりはなかったと言う。
紅い服の少女
翌朝、寝坊をしたジーウェイが祖母がいないことに気がついた。祖母は友人と出かけているのだろうと職場に向かうと職場にビデオ機能のついたデジカメが入っていた。祖母は友人たちと楽しそうにハイキングをしている映像が収められていた。しかし、赤いワンピースを着た少女が一行の後をついてきていることに気づく。
ジーウェイの住むアパートの警備員をしている叔父のクン(ポー・チョウ・チャン)を訪ねたウェイは、送られてきたカメラについて伺うとそれはシュイ叔母さんのものだと教えてもらう。叔父と家を捜索していると突然スピーカーから大音量で音楽が流れ出し、誰かが家を叩く音、そして子供の声がするなど怪奇現象が突如起きる。パニックを起こしながらも2人は何とか建物から脱出する。
叔父のクンに防犯カメラの映像を見せてもらい祖母が行方不明になった日の映像をイージュンとと一緒に見る。そこには祖母の手を引く赤いワンピースの少女の姿が映っていた。さらに先ほど二人が慌てて脱出した映像を見ると、家から飛び出す二人の後ろに赤いワンピースを着た少女がずっといることが分かる。
祖母とジーウェイと少女
翌朝、ジーウェイは祖母が起こしてくれる夢を見て起きる。祖母がいるかと思いリビングに行くが誰もいない、、、、どころか、廊下に土足の足跡が、そこで目が覚めるジーウェイ。起き上がりリビングに行くと紅い服の少女がジーウェイに襲いかかり、悪夢のような体験をしてジーウェイは再び目が覚める。3度目のリビングに向かうと不思議なことに祖母が台所で食事を作っていた。今度こそ夢ではないことを確かめるようにジーウェイは祖母を抱きしめ泣き出す。祖母はようやく帰ってきたのだ。
ある夜、ラジオの生放送中のイージュンにかかってきた電話を取ると主は「彼はもう私を愛していない」と繰り返して電話を切ってしまう。そこに突然ジーウェイが現れるが、無表情で様子がおかしい彼は「おばあちゃんと一緒に食事をしよう」と無表情で呟くだけだった。汗をかいて具合が悪そうなジーウェイを心配し医者に連れて行くが、彼はイージュンが結婚も出産も望まないことに悲しんでいることを何度も呟き、そしてそのままどこかに立ち去ってしまう。
イージュンがジーウェイを追いかけると彼は自宅で一心不乱に食事をしていた。訝しげに近づくと彼が食べているのは鍋いっぱいのミミズなどの昆虫だった。彼女はクンおじさんを連れていくがジーウェイはどこにもいなくなっていた。
伝染する悪夢
ジーウェイの祖母が高速道路をふらふらと歩いているところを警察に保護されていた。一方、アパートの敷地で、クンおじさんとイージュンが悪魔祓いの簡易的な儀式を行い、爆竹を鳴らし、悪霊に向かって元の場所に帰れと聖水を振り撒いていた。警察の知らせを受けてイージュンは祖母の保護された病院に行くが、祖母は精神状態が不安定で意味不明なことを喚き散らしていた。
ジーウェイのデスクを調べ彼が見たビデオを見たイージュンはその山について調べ、”モシリアン”が人の心を狂わせているという動画を見つける。どうやらそこでは爆竹などの火薬を使えば、悪霊や災いを取り除くことができ、再び人が住めるようになると説明していた。
クンおじさんが監視カメラの映像を見ていると、トランシーバーから自分の名前が聞こえたため、周囲を調べると赤い服を着た少女が通りを走り木に飛び込むのが見えた。気のせいと思いブースのドアを閉めようとしたら赤い服の少女が現れたため、彼は爆竹を準備してブースから逃げ出すし爆竹に火をつけようとした瞬間、悪霊のような形相の少女に襲われてしまう。
イージュンは病院の医師から近況報告を受け祖母は食中毒になった可能性があると彼女の嘔吐物を調べたら生きている蛾のさなぎが発見されたこと。その蛹は “デスヘッド・ホークモス “と呼ばれる蛾の蛹だと言われる。イージュンはこの蛾について調べるが、その蛾の背面の模様は名前の通り人の様相にも見えるが、彼女はその顔が何度も見かけるあの”赤い服の少女”の顔に酷似していることに気がつく。その夜、イージュンが寝苦しく眠れない夜を過ごしていると、突如自分の下半身が血まみれになっていた。狼狽する彼女を不思議そうに眺めているのはあの赤い服の少女だった。あの蛾の背面そっくりのあの顔でこっちを見つめ続けていた。
イージュンと落ち着いた様子の祖母を家に連れて行くと、ジーウェイが戻ってきたらこの家をジーウェイに譲ると言う。さらに、昔は裕福な家庭だったが財産を失ったこと、そのためにジーウェイは一生懸命働いていることを話す。イージュンはクンおじさんにおばあさんの監視を頼むがクンおじさんは無表情で虚空を見ていた。
彼女はラジオで、奇妙な蛾の種類についてもっと教えてほしいと訴える。その後オフィスで電話を受けたイージュンは何かを書き留めたあと電話を切る。イージュンが向かった先では警察が祖母が再び失踪し山に向かったことが分かる。帰宅したイージュンは、彼女とジーウェイが写った写真を見て涙を浮かべる。
山の捜索と悪夢
イージュンは地元の捜索救助隊に加わり山を探索していたイージュンは、河原で座っている祖母を見つける。慣れない山の捜索で疲れた彼女はふとした途端に他のメンバーとはぐれ遭難してしまう。辺りは霧に覆われ迷わないように木々に赤いテープを巻き、笛を吹きながら誰かが見つけてくれることを願っていたが夜になってしまう。突然謎の手に掴まれ驚いた彼女は発火灯を灯したが、途端に例の蛾がイージュンに襲いかかる。
目を覚ましたイージュンが照明を灯すと、周囲から母を呼ぶ少女の声、そして木々に絡まるようにたくさんの死体が、子供の声がした下を見ると彼女のお腹が大きく膨らみ妊娠しているかのようだ、その中からお腹を押す子供の手、破水、そして出血が止まらず叫び出すイージュン。そして何かを出したイージュンの前で、羊水のような血に塗れた新生児がずっと見つめてママと呼んでいた。彼女は泣きながら子供を抱きしめた途端、イージュンは悪夢から目を覚ます。
イージュンが悪夢から目を覚ますと、目の前にジーウェイがいた、思わず抱きしめ安心したイージュン。家も引っ越したのか白を基調とした美しい部屋だ、そこで彼の祖母は2年前から老人ホームにいることを知る。祖母に会いに行こうと外に出ようとするとジーウェイに強めに止められたことで、ジーウェイの様子がおかしいこと、周囲に違和感を感じ、、、、、。
エンディングネタバレ「彼女たちの未来」
イージュンは発火灯を手にして森の中にいた。
幻を見ていたのだ、周囲を見渡し横の木に絡まって気絶しているジーウェイを見つけ揺さぶり助け出すが、周囲は大勢の子供の怪物に囲まれていた。
意識が朦朧としているジーウェイを引っ張り脱出しようとするが、赤い服の少女が彼女らを阻む。絶体絶命だったがイージュンはジーウェイとの明るい思い出を走馬灯に思い出し気を持ち直した彼女は発火灯を灯して怪物に突っ込み怯ませ、騒ぎを聞きつけた救助隊が撃ち上げた照明弾の光で悪霊たちは逃げ去っていく。
後日、祖母のいる家に、イージュンとジーウェイが現れ抱きしめ合う。二人は結婚し、イージュンは彼の子供を妊娠している様子がわかる。
映画も終わりに近づき、イージュン、ジーウェイ、祖母の三人は幸せそうに食事をしている。すべてが元通りになったかのように見える。
その時、部屋の片隅に例の蛾が壁際に飛んでいる。
ひょっとすると森を抜け出せず幻影の中に閉じ込められていることを示唆。
さらに、妊娠しているイージュンのお腹のCT画像が映し出されお腹の中の赤ちゃんは元気そうに動いているがこちらに顔を向けた途端、あの子供のように真っ黒な瞳をこちらに向けて物語は終焉を迎える。
海外の評価『IMDb 5.6/10』
9/10
台湾の文化と不気味な怪談の出会い
「紅い服の少女」は、エンターテイメント性の高い台湾のホラー映画です。広大な団地に住む老女が謎の失踪を遂げ、この地域で最近起きている数々の失踪事件が、山に住む少女の亡霊と関係していることに気づく。真相解明に近づくにつれ、彼らは忌まわしい呪術に命がけで立ち向かうようになる。
この見過ごされた映画は、多くの点で説得力がある。まず、この映画は台湾のホラー映画の中で最も重要な作品のひとつであり、人気のあるフランチャイズを立ち上げ、この種の映画で初めて海外限定公開された作品である。この映画は一見、別の怪談のように見えるかもしれないが、台湾文化の要素を数多く取り入れ、新鮮な視点を加えている。ロケ地は、薄暗い病院の上の寂れたアパートから、霧の立ち込める山林まで、完璧に選ばれている。特に、野心家の息子と怖がりな彼女との難しい関係が、映画を通して巧みに描かれている。ホラー映画である本作は、冒頭から不安な雰囲気に包まれ、いくつかの不穏な瞬間を見せるが、常にジャンプ・スケア・トロープよりも雰囲気を優先している。1時間30分という長さだが、長すぎることはなく、最初から最後までダイナミックな作品に仕上がっている。低予算を最大限に活用した演出は平均以上。
この映画と、出来は良いが説得力に欠ける続編を、まとめて7ドルで手に入れることができたのは嬉しい。しかし、この映画は私が支払った金額よりもはるかに価値があり、海外のホラー映画ファンも必ず納得するはずだ。台湾の文化と不気味な怪談の組み合わせは、ホラー映画に新しいものを加えている。ジャンルファンには、ハリウッドのリブート、リメイク、続編ばかりに注目するのではなく、海外の無名のフィルムメーカーにもチャンスを与えることをお勧めしたい。
9/10
良いホラーです。
久しぶりに良いホラー映画を観た。
10点満点中9点という高評価の他のホラーを思い出すことすらできない。
飛び上がるような恐怖を味わえる、素晴らしい映画だった。
唯一の欠点は、CGIがもう少しCGI的であればということです。例えば、少し隠したり、隅に追いやったりしてもらえれば。しかしこれは、素晴らしい映画のほんの少しの傷に過ぎません。
7/10
かなりキモい!
キャスト=4 演技=7 プロット=6 エンディング=7 ストーリー=4 恐怖=6 ジャンプ=9 F/X=7 クリープ=10 トイスト=6
ハイキングに行くグループのビデオに、赤いワンピースを着た謎の少女がついてくるという話。
“私の家でご飯を食べてほしいの…おばあちゃんが料理を作ってくれるの” 本当に不気味で…頭がクラクラするようなジャンプの怖さがありました。ただ、ストーリーがうまく書けていない気がします…引き延ばされたり、悪いところで急かされたり。でも、台湾版「呪怨」を求めているのなら、この作品は正解だと思います。
まとめと感想「台湾ホラー映画は片っ端から観たい」
最近台湾ホラーが半端じゃなく質が上がっているから、ついでに”初期”の台湾ホラー映画を慌ててて上映決定したんだろうなんて少し馬鹿にしていたけど、ごめんなさい。呪詛、SADNESSと同じぐらい怖いし面白いし、個人的にはこの作品の方が好きかも。日本のホラーに近いんだと思う。仄暗い水の底からのような、リングのような視聴中に背後を気にしたくなるような精神的に来た。前述した二作品とは違う見事な仕上がりにマジでビビる。これが7年前に台湾で上映されていたなんて、、、おい!なんでこの作品をもっと早く日本で上映しなかったんだ!って怒りを覚えるレベル。台湾語なんて分かる訳はないが、俳優は美しくカッコ良く、CGも多用しているが、出しすぎず、アナログな見せ方もしっかりと緩急も見事で緊張感を持って最後までどきどきさせていただいた。
台湾三大ホラー「紅い服の少女」「呪詛」「哭悲 sadness」凄い。ぜひお勧めしたい。
今作を見て驚いたのは、最新台湾ホラー映画(そして傑作)の呪詛とSADNESSを見て台湾の映画監督たちはしっかりと日本だけじゃなくて世界中のホラー映画を研究していることが良くわかったが、今作「紅い服の少女」の監督は「日本映画を徹底的に研究した」ように感じる。そしてさらに昇華させ、独自に練り上げて作り上げたことがよくわかる。
一番好きなシーンは、悪霊たちが登場人物に幻覚を見せるというところ、何度も夢から覚めて祖母に出会ったと思ったら、、、恐怖の後の明るい未来のように魅せてきたり、、、そしてラストの蛾がめっちゃくちゃ悲しくて怖くて痺れた。夢オチならぬ幻覚オチを示唆させてくれたのはうれしい悲鳴。しかし、最後に妊娠した彼女のお腹の恐怖シーンのせいで、幻覚ではなく、現実だけど恐怖は続いているよーってシーンのせいで色々ぼやけてしまったような気がするが些細なもの。このモヤモヤすらも堪能できた。
私のようなフォレスト・ガンプな男でもシンプルに怖がり楽しめたってだけでも評価が高いのである。
とりあえず最近の日本のホラー映画なんて足元にも及ばないレベルの素晴らしい作品に仕上がっている。なんというか後味の悪さとか、間の静けさとか、唐突なんだけど自然に怪奇現象を見せる感じ、静かに精神的に怖がらせてくれるのでうれしく、怖い。
台湾ホラー。凄いぞ。海外の人もそりゃアジアホラーの代表国は台湾だって叫ぶよ。
2024年アメリカ公開映画
ネタバレ↓