映画『ズートピア2』あらすじ結末ネタバレと海外の感想評価まとめ

「ディズニーが歴史に残る最高のアニメーションを生み出した」世界で大絶賛された映画『ズートピア2』のあらすじ結末までネタバレと海外の感想評価をまとめて紹介する。アメリカで制作された本作は原題『Zootopia 2』で2025年11月26日に公開され、Rotten Tomatoes批評家スコア92%、IMDb 7.7/10と高く評価された冒険コメディ作品だ。オスカー受賞の栄誉を得た前作から実に9年ぶりの続編として、世界中で大きな期待を集めている。

ジュディ・ホップス(ジニファー・グッドウィン)とニック・ワイルド(ジェイソン・ベイトマン)は、最初の事件解決から一週間後、今ではズートピア警察の正式なパートナーとなっていた。しかし二人の相異なる性格は日々の業務で摩擦を生み、チーフ・ボゴ(イドリス・エルバ)は二人をパートナーシップセラピーに参加させることを命じる。その一方、ジュディは密輸事件の現場で蛇の脱皮を発見し、ズートピアに蛇がいるという仮説を抱くことになる。

本作の監督は『タングルド』『ズートピア』を手がけたバイロン・ハワード、シナリオを担当したのは新しくウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオの最高創作責任者となったジャレッド・ブッシュである。主人公ジュディの相棒であり、用心深い狐のニックを『アレステッド・ディベロップメント』で知られるジェイソン・ベイトマンが熱演。さらに、新キャラクターのガリー・デ・スネーク(ケ・ホイ・クアン)が物語の心となるキャラクターとして登場する。

今回は、社会的な深いテーマを内包しながらもエンターテインメント性に富んだ映画『ズートピア2』のラストまで詳細に解説&考察と、海外ではどのような評価を受けているのか?を紹介していきたい。以下の内容は本編の結末のネタバレを含むため、必ず劇場で鑑賞してから読んでいただきたい。また、権力者による搾取・歴史の改竄・移民差別など、社会的な葛藤を描いたシーンを含むため、注意していただきたい。

『ズートピア2』あらすじ結末ネタバレ

ここから先は『ズートピア2』の核心である重大なネタバレを含む。ジュディがズートピアの建国にまつわる秘密へと迫り、それに伴う権力者たちの陰謀が明かされるため、鑑賞前の閲覧は避けることを強く推奨する。

ジュディとニックの大活躍?

(前作ズートピアで)ジュディ・ホップス(ジニファー・グッドウィン)とニック・ワイルド(ジェイソン・ベイトマン)はドーンは副市長ベルウェザー(ジェニー・スレイト)による肉食動物を貶める陰謀を暴露し逮捕に貢献したことで二人は警察官のバディとして正式に認められ、ズートピアを救った英雄コンビとして有名になっていた。

しかし二人はそんな英雄視されることへの余韻に浸ることはなく、警察官として悪を逮捕するために潜入捜査を始めるシーンから物語が始まる。

警察署で朝礼を終えたチーフ・ボゴ(イドリス・エルバ)が部下たちに任務を割り当てているが、ジュディとニックはすでに退席しており、密輸を行っている盗みの常習犯アリクイ、スートリー(ジョン・レギザモ)に対処するため埠頭へ潜入捜査を開始していた。

二人はフィニック(トミー・リスター・ジュニア)(前作のニックの元相棒、可愛らしい見た目とは裏腹に中年のおっさん)の親になりすましてスートリーの気を逸らしている間に、ジュディは密輸の証拠となるコンテナを解錠していたが、上司のボゴが朝礼に参加しないジュディのトランシーバーに向けて大声で怒鳴ったことで二人は警察だとバレてしまい、スートリは車で逃走してしまう。

スートリを追いかけてジュディとニックはズートピアを走り回り多数の被害を出しながらなんとかスートリーを逮捕。彼の車の中を捜査したジュディはスートリーのバンの後部で蛇の脱皮した皮を発見する。

二人の捜査劇で元俳優の市長ブライアン・ウィンドダンサー(パトリック・ウォーバートン)のスピーチを台無しにするなど多数の被害について説明するボゴはジュディとニックのしたことを認めながらも、ボゴの割り当てた事件だけを扱うこと、次に命令違反をしたらコンビを解消すると命じ、ついでにボゴは二人をクォッカのセラピスト・ファズビー(クインタ・ブランソン)の「パートナーシップ・イン・クライシス」と呼ばれる草食動物と肉食動物コンビを対象にしたグループセッションに強制的に参加させる。退屈な内容ではあるものの、そこでジュディとニックは自分たちに違いがあることを認めるが、自分たちを「ドリームチーム」と考えているため、コンビ間のトラブルなどは微塵も心配していない。

ズートピアと蛇の歴史

帰宅したジュディは、ズートピアの創設者で街の種族ごとに快適な環境を生み出す天気壁を開発したオオヤマネコの祖先エベニーザー・リンクスリーによって開催されるズートピア100周年祭に関するニュース報道で、スートリの乗っていたバンと同じペイントのバンが祭典会場に駐車されていることを見て、ジュディは興味を持つ。

ジュディは陰謀論ビーバーのニブルス・メープルスティック(フォーチュン・フェムスター)の動画を見て、過去に蛇がエベニーザーの亀の家政婦を咬んだ事件がきっかけで、ズートピアで爬虫類は100年以上都市に現れておらず、爬虫は恐ろしい存在としてズートピアでも言い伝えられており、誰もがそう信じていた。だからこそバンに残されていた蛇の抜け殻と、祭典で展示されるリンクスリー家の秘蔵の日記、何かがあると感じたジュディはニックを連れ出し祭典に潜入する。

ジュディは出展されていたエベニーザー・リンクスリーの日記を探していると、パウバート・リンクスリー(アンディ・サムバーグ)と出会うが、パウバートだけが、リンクスリー一家の中で父親ミルトン(デイヴィッド・ストラザーン)兄妹のキャトリック(マコーレー・カルキン)とキティ(ブレンダ・ソング)から若干疎まれているように見える。

一方、ニックはパーティー会場の蛇の脱皮を見つけ、頭巾をかぶった人物を見かけ追跡するが、ボゴに見つかりニックに連れ去られそうになっていると、頭巾の男はミルトンが演説中の舞台に上がり頭巾を剥ぎ取るとピットバイパー種の蛇のガリー・デ・スネーク(ケ・ホイ・クアン)であることを明かす。

恐怖の象徴である蛇が突如現れたことで会場はパニックになると、ガリーはミルトンと日記を連れ去ろうとするが、ジュディトニックの追跡で部屋に追い込む。ジュディたちが部屋に飛び込みガリーとつかみ合っている最中にタイミング悪くボゴが現れガリーの牙の一つが誤って刺さってしまい毒で倒れてしまう。ガリーはジュディに日記を返してほしい、これがあれば家族がようやく家に帰ることができるからだと話す。

しかしタイミング悪くジュディがボゴに刺さった牙を抜いた瞬間に他の警察官たちが到着、すかさずミルトンはジュディを指さして殺人鬼だと助けを呼ぶ。どうやらミルトンはガリーに日記を渡すと彼ら一族の存亡に関わる何かを暴かれることを恐れているらしく、ジュディとニックも殺して全てを闇に葬り去るつもりのようだった。

ジュディの咄嗟の判断で暖炉の火を撒いて火を放ったタイミングで、三人は窓から外に飛び出す。ガリーは謎の緑のマフラーの男に連れられバイクで脱出し、ジュディとニックは前作でもお世話になったマフィアのボスであるミスター・ビッグ(モーリス・ラマーシュ)の車に助けられ脱出に成功する。

ジュディ、ニック全国指名手配犯に

メディアはジュディとニックはガリーと共にリンクスリー一族を攻撃した逃亡者として烙印を押され全国指名手配されてしまう。ミルトンはウィンドダンサー市長に無言の圧力をかけ、三人を手段を問わずに捕まえることができなければすぐに市長の座を失脚する羽目になると脅されてまう。ウィンドダンサーはキャプテン・ホッグボットム(ミシェル・ゴメス)率いる警察官チームを配置して二人を追跡させる。

ミスター・ビッグのアジトに連れ去られたジュディとニックは久々にフルフル(リア・ラシャム)と娘のリトル・ジュディ(セシリー・ストロング)に会う。ミスタービッグは二人にズートピアの外で新しい人生を始めるために必要な証明書などをすでに用意しており、ニックはその取引を受け入れようとするが、ジュディはガリーの懇願を思い出し、彼を助けたいと伝えると、フルフルは陰謀論配信者のニブルスを頼れと彼と落ち合う場所を教えてくれるのだった。

ビーバーのニブルス

ジュディとニックはニブルスと合流すると、陰謀論配信者のニブルスはズートピアの英雄警察官を協力することに感激しており、最大限の助力を約束して彼女は彼らをズートピアから隔離された水辺に住む動物種たちが暮らすマーシュ・マーケットに連れていく。マーシュ・マーケットには水を好むセイウチやアザラシ、イルカ、カバなど多様な哺乳類たちが住んでいる独特の文化があり、ズートピアにはない環境にジュディとニックは驚かされながら、ニブルスは彼らを隠されたBARに案内する。

そこは爬虫類による爬虫類のためにあるBARで、ズートピアでは一切見ることない爬虫類たちが活き活きと過ごしていた。ニブルスは驚くジュディとニックをボスのバジリスクのヘスス(ダニー・トレホ)の元に連れて行く。ジュディは早速ニンブルが隠したがり、ガリーが必死に求めていた日記を差し出すと、日記の表紙には蛇にしか読めない文字であること、かつてリンクスリー一族が自分たちの領地を拡張するために数多くの爬虫類たちを迫害して街から追いやった過去を話す。ジュディたちの匂いを追ってきた警察官たちがBARに突入し、ヘススはジュディ、ニック、ニブルスをボートに乗せて逃がす。

逃亡劇の最中、突然ガリーが現れジュディが持っていた日記を持って爬虫類がアクセスできるが通常の哺乳動物にとって致命的な水で満たされたトンネルを通って逃亡を図る。ジュディは勢いで追いかけるがどこまで長い水の中で呼吸が止まりかけてしまい、追ってきたニックがジュディを助けるため緊急出口を開けてジュディを助ける。

山岳地帯と緑の男の正体

豊かな山岳部に出てなんとか生還したニックはジュディにミッションを放棄するよう説得するが彼女は拒否する。その様子を見ていた二匹の羊ハイカーが渡してきた花が、日記に記されていた花だと気がついたジュディがこの花の場所を聞くと、ハイカーは目の前にそびえ立つ高い山の頂上にたくさんあると教えてくれたため、ニックはしぶしぶジュディと一緒に登山を始める。任務に対する温度差からニックがベルウェザーを捕まえるのに使われたニンジンペン型レコーダーでふざけていたら落として壊してしまい、それを見たジュディはかなり落ち込んだ様子で無言で登山を続けてしまう。

ニックとジュディが山頂に到達すると、崖の上に家を見つけ中に入って捜査を始める。そこにはエベニーザー・リンクスリーとガリーの祖先蛇のアグネスに関する新聞がスクラップされ誰かがここを捜査か研究のための資料室のように使っていたことがわかる。

そこに再び別の警察官たちが登場しジュディとニックを捕まえようと暴れ回り半壊した家でジュディとニックが離れ離れになってしまう。ついにニックが捕まってしまうが、ジュディの前に緑のマフラーの男パウバート・リンクスリーとガリーが現れジュディを助け出し屋敷を脱出する。

ズートピアの本当の歴史

ガリーとパウバートはジュディを荒野のキャンプ地に連れて行き、ガリーはジュディが手に入れた日記の解読を始める。そこで天気壁の発明者でズートピアの真の創設者はガリーの高祖母のアグネスであること、かつてズートピアではさまざまな種族が暮らしていたが、それぞれに合った環境ではないため快適な暮らしとはいえず、誰かが常に我慢を強いられているような環境だったのを見たアグネスははズートピアのすべての動物が共存することを望んでいたため、天気壁のアイデアを思いつき、実現するためにエベニーザー・リンクスリーに出資してもらい天気壁を発明して豊かな環境を手に入れた。

しかし、彼はエベニーザーは欲に走りアグネスの特許を自分のものにするようにすり替えて全ての功績を自分のものにしようと企み、それを知ってしまった家政婦の亀を殺して口封じした後、死体を見たアグネスに対し警察に彼女が犯人だと嘘をついて彼女を逮捕させ、オオヤマネコたちにとって過ごしやすいレプタイル・レイヴィンを雪山地帯に天気壁を操作して強制的に寒さに弱い爬虫類たちを地域から追い出したという歴史が全て記されていた。

しかし、ガリーが本当の天気壁の特許は、アグネスの古い家のどこかに隠されていてそれを見つけることが祖母の汚名を晴らすことができると伝え、パウバートは嘘に塗れた自分の家族の悪事を全て暴露して一族を倒すのを手伝いたいとそれぞれの想いを知ったジュディも協力すると誓う。

刑務所からの脱出劇

ニックは多様な動物が収容されている刑務所に収監され、向かいにはニブルスも逮捕されていた。ジュディを助けることができなかったことを後悔するニックをよそに、ほうきの柄を齧って牢屋のキーを作ったニブルスとあっさりと脱出に成功、ついでに謝って牢屋の扉を全て開放するボタンを押してしまい全ての凶悪犯(ベルウェザーを含む)が脱獄してしまう。ニックはナマケモノのフラッシュ(レイモンド・S・パーシ)に電話をかけ、猛スピードで登場したフラッシュの車に乗って誰よりも素早く脱出する。

ジュディ、ガリー、パウバートは砂漠地域の中に隠されているレプタイル・レイヴィンにあるアグネスの屋敷を探すため、バーニング哺乳類祭りを訪れていた。脱出したニックは警察の同僚クローハウザー(ネイト・トーランス)に電話をかけてジュディの居場所を探してもらい、彼らも砂漠地域に向かう。

本当の黒幕とは

警察に追い込まれたジュディたちだったが、暴走するフラッシュの車のおかげで窮地を脱出し、無事にアグネスの屋敷があるレプタイル・レイヴィン(雪山地帯)のコントロール室に辿り着き、灯台の光からアグネスの家への道を見つけ出すことに成功。

ついでにニックとニブルスも近くの制御室に無事に逃げ込めたことを確認して合流しようとするが、突然パウバートがジュディに蛇毒を注射し、ガリーを掴むと極寒の外に放り出してしまう。(パウバートの持つ蛇毒の注射針は蛇の牙の形をしており、全て蛇のせいにしようとする悪意の塊のような形をしていた)

本性を出したパワバートはアグネスの家に隠されている本物の特許を見つけてそれを破壊してその功績を持って家族に認められたいという歪んだ想いで行動していることを明かすと、次に何も知らないニブルスにも毒を注射する。

ニックもパウバートに襲われそうになるがかろうじて注射を避け戦いが始まる。パウバートが隠し持っていた蛇毒の解毒薬を奪ったニックがガリー渡し、ガリーが即座に解毒剤を注射したことでジュディは復活する。

パウバートとニックが氷の崖から落ちそうになるが、間一髪ジュディがニックを助け出し二人は無言で抱き合うと、ニックとジュディは互いに曖昧にしていた想いを伝えあうのだった。

結末ネタバレ:二人の行方

そんな二人の横でガリーは解毒薬でニブルスを助け出しており、遠くで生き延びていたパウバートがスノーバイクで逃亡する姿を見つけて雰囲気が台無しになる。

パワバートはリンクスリーの屋敷に到着し家族たちと合流するが、そのタイミングで英雄たちは彼らに追いつくと、勢揃いしたリンクスリー一族たちは本性を表しジュディたちを殺そうとするが、話を聞いていた市長のウィンドダンサーの助けでリンクスリー一族全員をぶちのめす。

ジュディ、ニック、ニブルス、ガリーはレプタイル・レイヴィンに入り、ついにアグネスの屋敷に辿り着き、ついにオルゴールの中に隠されていた特許を見つけ出す。

特許が明かされた後、リンクスリー一族は逮捕され、爬虫類はたちはついにズートピアで自由に歩けるようになった。ボゴは眠りから目覚め、ニックとジュディは彼らの「パートナーシップ・イン・クライシス」クラスに合格。

ガリーはジュディたちに家族を紹介してジュディに改めて感謝を伝えると、ニックがジュディに壊してしまったニンジンペンを渡す。ニックが落ちたペンを修理したもので、彼女が再生ボタンを押すと「I Love You」とジュディに言っているニックの声が再生されてニックは焦る。

どこかの空港でベルウェザーが逃亡を図ろうとしているが、すでにジュディとニックが変装して待機しているシーンで物語は終了する。

クレジットではガゼル(シャキーラ)のコンサート会場で、物語に登場した人物が紹介されていき、ベルウェザーが刑務所に投獄されたことが示される。

隠しクレジット:ズートピア3

最後に、ジュディはニンジンペンで「I love you」メッセージを再生して出かけると、何かが頭上を飛び、羽がジュディの部屋の窓に着地する。

翻訳元:The Movie Spoiler – Zootopia 2

『ズートピア2』作品情報

『ズートピア2』の制作を手がけた監督と出演俳優、作品の基本情報について紹介する。

興行収入

『ズートピア2』は公開初週で世界的な大ヒットを記録した。北米での公開初週末は1億5600万ドル、世界全体では5億5600万ドルの興行収入を記録。これはアニメーション映画としては史上最高の全世界オープニング記録となり、特に中国での興行成績が驚異的で、2億7200万ドルという同国の外国アニメ映画としては過去最高記録を達成している。その後の公開でも堅調な成績を重ねており、年内の大きな題材として業界から注目を集めている。

バイロン・ハワード監督情報

バイロン・ハワードは米国生まれの映画監督で、ウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオを代表する才能として知られている。『ボルト』『タングルド』『ズートピア』『エンカント』といった数々のディズニー・アニメーション作品を手がけており、『ズートピア』と『エンカント』でアカデミー長編アニメーション映画賞を受賞している。実は映画業界で初めてオスカーを2度受賞したLGBTQ+の映画監督であり、その業績はアメリカン・シネマの歴史において象徴的である。共同監督ジャレッド・ブッシュの創作パートナーとして、本シリーズの両作品に深く携わり、物語の視覚的な側面とキャラクター開発を統括している。

ジニファー・グッドウィン(ジュディ・ホップス役)情報

ジニファー・グッドウィンは舞台出身の実力派女優で、シェイクスピアの訓練を受けた経歴を持つ。『ビッグ・ラブ』でHBO作品の中核を担い、『ワンス・アポン・ア・タイム』ではスノーホワイト役として多くのファンに愛された。

映画では『ウォーク・ザ・ライン』『恋愛適齢期』『サムシング・ボロード』など数々の作品に出演。声優としてのキャリアも豊かで、『ズートピア』でジュディ・ホップス役を演じたことで一躍アニメーション映画の世界で認知を高めた。本作ではジュディのキャラクターを2作品にわたって演じることで、警察官としての成長と人間関係の深みをより豊かに表現している。

ジェイソン・ベイトマン(ニック・ワイルド役)情報

IMDb Jason Bateman

ジェイソン・ベイトマンは少年時代から映像界で活躍してきた経歴を持つ実力派男優で、『シルバー・スプーン』『アレステッド・ディベロップメント』『オザーク』などのテレビドラマで鮮烈な演技を見せてきた。

映画では『ジュノ』『ホリブル・ボス』『アイデンティティ・シーフ』など、コメディからドラマまで多様な作品に出演。声優活動では『ズートピア』でニック・ワイルド役を担当し、その皮肉な姿勢と心温かい本質のバランスを完璧に表現することで、映画を支える重要な柱となっている。本作では前作から9年が経過した後のニックの成長を、細微な演技の変化で巧みに演じている。

海外の感想評価まとめ

本作は海外でどのような評価を受けているのか。海外での総合的な評価を紹介後、なぜこの評価になったのか?海外レビュアーたちの評価を見ていこう。

IMDb(総合評価:7.7/10)

①「ジュディとニックの化学反応が完璧で、9年の時を経ても変わらぬ魅力を感じた」。ケ・ホイ・クアンの声優演技が深い感情を込めており、ガリー・デ・スネークというキャラクターを通じて、刻板観念に対する異議を唱えるメッセージが伝わってくるという。アニメーション品質の向上、ストーリー展開のテンポの良さ、そして社会的なテーマを含む深みが評価の対象となっている。

②「前作から9年ぶりの続編とは思えないほど、新鮮さと興奮が保たれていた」特に新しいエリアであるマーシュ・マーケットやレプタイル・レイヴィンの世界設定、そして多くのユーモアが効果的に機能していることが指摘される。ジェイソン・ベイトマンとジニファー・グッドウィンのコンビネーション、そしてシャキーラによるエンドソング「ズー」の親しみやすさが、映画全体の満足度を高めていると述べられている。

③「このシリーズの最大の強みは、家族全員で楽しめながらも、大人向けの社会的メッセージが組み込まれている点だ」動物パン、ラットツール・リファレンス、ポップカルチャーへの言及など、細部に渡るジョークが層をなしており、子どもから大人までが異なるレベルで楽しめる構成に感動を覚えている。

④「グラフィックスの美しさ、キャラクター設計の洗練、そして物語の重みのバランスが取れている」。前作を彷彿とさせつつも、爬虫類という新しい要素を通じて異なる視点から社会問題へアプローチする創造性が称賛されている。ジャレッド・ブッシュとバイロン・ハワードのビジョンが、9年の時を経てもなお鮮烈であることが証明されたと述べられている。

IMDb – Zootopia 2

Rotten Tomatoes(批評家:92% / 観客:95%)

①「ズートピア2は、前作のエッセンスを保ちながら、より大胆で複雑なストーリーラインを展開させている傑作だ」。監督たちが意識的に避けた単純な模倣ではなく、9年後の社会背景の変化を反映した新たなテーマ――ジェントリフィケーション(遺伝子的な町おこし)と歴史の改竄――を中心に据えたことが、映画に深みをもたらしているという。

②「子どもたちが笑い、親たちが涙する。これ以上に完璧な家族エンターテインメントはない」特にケ・ホイ・クアンの演技を通じた思いやり深いキャラクターの描写、そしてジュディとニックの関係性の発展が、視聴者の心に深く響いているようだ。また、マイケル・ジャッキーノによるスコアと、シャキーラによる新たな楽曲が、映画の感動的な瞬間を高めていると指摘されている。

③「このシリーズの最大の成功は、複雑な社会問題を、動物という寓話的な存在を通じてアクセシブルに表現している点だ」前作は動物と被食動物の関係性を通じてバイアスを語ったが、本作では移民コミュニティの周辺化とそれに伴う歴史の抹消という、より広範なテーマを採り上げている。その結果、子ども向けアニメーションの枠を超えた、真の社会派エンターテインメントとなっているという評が聞かれている。

Rotten Tomatoes – Zootopia 2

Metacritic(総合評価:73/100)

①「ズートピア2は、快適性と革新性のバランスを見事に成し遂げている」。前作の人気の秘訣を理解し、それを継承しつつも、新たな視点を導入することで、続編特有の陳腐さを見事に回避しているという。ガリー・デ・スネークというキャラクターを中心に据えることで、爬虫類への偏見という新たな社会問題を織り込み、映画に新鮮な血を吹き込んでいるとの指摘がある。

②「アニメーションの技術的な進歩が著しく、9年の時を経た進化が随所に見られる」ズートピアという世界観の拡張、新たなエリアの設計、そしてアクション・シーンの迫力が、前作を超える質感を生み出しているという。同時に、物語の構造はやや複雑であり、若干の冗長性が感じられるという批判的な指摘もあるが、全体的には高い評価を受けている。

③「社会的メッセージの強さが、時にストーリーテリングの重みとなる可能性がある」しかし、映画としての娯楽性とメッセージ性のバランスが概ね良好であり、家族向け作品として傑出した完成度を誇っているという評価に落ち着いている。ジャレッド・ブッシュとバイロン・ハワードの創作意図が、映画全体に一貫性をもたらしていることが、作品の品質を支える基盤になっているとされている。

Metacritic – Zootopia 2

批評家レビュー

海外批評家の詳細な評価を見ていこう。

Variety 高評価

ピーター・デブルージュ氏「ズートピア2は、9年の時を経てなお、その魅力を失わぬ傑作だ」

「前作がジュディとニックの相互信頼についてのストーリーであったのに対し、今作は相互尊重という、より成熟したテーマへと進化している」と評価している。映画の核となるメッセージ性と娯楽性のバランスについて、「これらの映画は第一義的にはコメディ作品であり、第二義的には犯罪映画へのオマージュだが、その第三次的価値である社会的コメンタリーこそが、このフランチャイズを不可欠な存在にしている」と述べている。ジュディとニックの成長、そして新キャラクターたちの立体的な描写が、映画に深みをもたらしているという評が多く聞かれている。

評価点 アニメーション技術の向上、キャラクター開発の緻密さ、社会的テーマの自然な統合。ジャレッド・ブッシュとバイロン・ハワードによる監督の手腕が光る。9年の時を経た続編とは思えないほどの新鮮さと完成度が実現されている。

批判点 続編ゆえのやや予測可能なストーリー展開。また、社会的メッセージの強度が時に娯楽性を上回る瞬間が存在し、若干の違和感を感じる視聴者も存在するだろう。

(Variety – Zootopia 2)

Roger Ebert 最高評価

ネル・ミナウ氏「ズートピア2は純粋なる喜びであり、オスカー受賞作に匹敵する傑作だ」

本作を四つ星(最高評価)で評価している。「ズートピア2は、前作と同等かそれ以上に興奮に満ちており、心温かく、想像力に富んだ傑作である。むしろ、前作よりも笑いに溢れているかもしれない」とのコメント。映画全体を通じての一貫性、キャラクターの成長、そして世界観の拡張が、前作のレガシーを十分に引き継ぎながらも新たな地平を切り開いていると述べている。特にケ・ホイ・クアンの深い感情表現と、ジニファー・グッドウィン、ジェイソン・ベイトマンの継続的な演技が、映画を支える基盤となっているという評価が下されている。

評価点 前作に劣らぬユーモアと感動、そして社会的意識。アニメーション品質の飛躍的な向上。ガリー・デ・スネークという新キャラクターの深み。ズートピアという世界観の豊かな拡張。

批判点 物語の構造が複雑化したことで、若干の冗長性が生じている。また、一部の視聴者にとっては社会的メッセージが過度に明示的に感じられるかもしれない。

(Roger Ebert – Zootopia 2)

Entertainment Weekly 高評価

ケイト・アーブランド氏「ズートピア2は待つ価値がある続編だ」

本作を高く評価し「前作『ラルフ・ブレイクス・ザ・インターネット』『アナと雪の女王2』『モアナ2』といった最近のディズニー・アニメーション続編が、オリジナル作品の核心を再現するのに苦労していた中で、ズートピア2は見事にそれを成し遂げている」とコメント。映画の心臓部であるニックとジュディの関係性の深化に重点を置きながらも、複雑なプロット、アクション、そして感動的なシーンのバランスが完璧に取られていると指摘している。また、新キャラクターたちが古いキャラクターたちと同等かそれ以上の魅力を備えていることに、驚きと賞賛を示している。

評価点 前作の本質を保ちながら、新たなテーマを導入する創造性。ニックとジュディの成長を丁寧に描写した脚本。ケ・ホイ・クアンの感情的で思慮深い演技。マイケル・ジャッキーノのスコアと、シャキーラの新曲の調和。

批判点 ストーリーが複雑化したことで、一部の若い視聴者には理解が難しいシーンが存在する可能性がある。また、社会的テーマの重みがストーリーテリングの流れを時に妨げるという指摘も存在する。

(Entertainment Weekly – Zootopia 2)

Los Angeles Times 高く評価

カルロス・アギラール氏「ズートピア2はディズニーの最も効果的なアニメーション続編だ」

『ロサンゼルス・タイムズ』のカルロス・アギラールは、「ズートピア2はディズニー・アニメーションの最も成功した続編の一つであり、その理由は何か」という問いに対して、「フォーミュラの継承と拡張のバランスにある」と述べている。
前作が動物と被食動物の共存を通じてバイアスと刻板観念について語ったのに対し、本作はジェントリフィケーションと歴史の改竄というより複雑なテーマへと踏み込んでいるという。その大胆さと精密さのバランスが、映画に真の深みをもたらしており、単なる家族向けアニメーションの枠を超えた傑作になっているという評価が下されている。

評価点 成熟したテーマの導入と娯楽性の両立。ジャレッド・ブッシュとバイロン・ハワードによる一貫した創作ビジョン。キャラクター設計の洗練さ。世界観の拡張の巧みさ。9年の時を経た続編とは思えぬほどの鮮烈さ。

批判点 複雑さゆえに、映画の一部が若干散漫に見える瞬間が存在する。また、社会的メッセージの強度が、一部の視聴者にとっては過度に感じられる可能性がある。

(Los Angeles Times – Zootopia 2)

個人的な感想評価

これは面白い。というか子供から大人まで楽しめるエンタメ映画としての完成度がありえないほど高い。前作ズートピア1でジュディの目線から彼らの世界を学び楽しみ、2ではそれら全てを昇華して再びジュディとニック共にズートピアを飛び出して世界中を冒険し、それだけでは収まらずズートピアを形作った歴史に隠されていた秘密など社会的なメッセージ、新たな魅力的なキャラ、コメディ、何もかもが素晴らしい。歴史的な収益記録を生み出したのも納得の最高の映画だった。

ズートピア2は、9年の沈黙を破ったディズニー・アニメーション続編として、単なる当て込みではなく真摯な創作姿勢を貫いている傑作だ。

ジャレッド・ブッシュとバイロン・ハワードの両監督が、前作の成功の秘訣を理解しつつも、新たな時代の課題に向き合おうとする意気込みが随所に感じられる。ジェントリフィケーションと歴史の改竄というテーマは、単に動物世界の寓話ではなく、現在進行形で我々が目撃している社会問題そのものであり、その大胆さは称賛に値する。

ニックとジュディの関係性の深化も巧妙で、単なるロマンティックな発展ではなく、相互尊重と信頼という、より成熟した形での絆の構築を描いている点に、脚本の知的さが光る。ケ・ホイ・クアンの声優演技は、ガリー・デ・スネークというキャラクターに真摯な人間性をもたらし、爬虫類への偏見という潜在的なテーマを強力に支えている。映像表現の洗練さ、キャラクター設計の豊かさ、そしてマイケル・ジャッキーノのスコアが生み出す感情的な振幅は、前作を確実に上回っており、ディズニーが本気で作った傑作の香りがする。

まとめ

『ズートピア2』は、9年の期待と重圧を見事に受け止めた、真の意味での傑作続編である。本記事では、ジュディとニックが追い求める蛇のガリーをめぐる冒険が、実は隠された歴史と権力者たちの陰謀の解明へと繋がる複雑なプロット、そしてレプタイル・レイヴィンという新たな世界観の拡張について解説してきた。

その中で、前作が扱った動物と被食動物のバイアスを越えて、ジェントリフィケーション、歴史の改竄、そして移民コミュニティの周辺化という、より広範で複雑な社会問題へと踏み込んでいることが明かされた。海外での評価も圧倒的で、Rotten Tomatoes批評家スコア92%、観客スコア95%、Metacriticスコア73という成績は、前作に匹敵するか、それを上回る評価を獲得していることを意味している。

特にケ・ホイ・クアンの深い感情表現と、ジニファー・グッドウィン、ジェイソン・ベイトマンの継続的な演技力の融合が、映画全体に説得力をもたらしている。ジャレッド・ブッシュとバイロン・ハワードが示した創作姿勢は、続編映画が陥りがちな陳腐さを見事に回避し、新たな地平を切り開く意気込みを感じさせる。世界興行収入5億6000万ドル超えという圧倒的な商業的成功が、映画の質の高さを物語っている。ズートピア2は、家族向けアニメーションの枠を超えた、真の意味での社会派エンターテインメント傑作として、今年を代表する作品となるだろう。

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