
「閲覧注意、普通に駄作」リュック・ベッソンは脚本だけの映画『ドライブ・クレイジー:タイペイ・ミッション』(原題: Weekend in Taipei)の結末あらすじのネタバレと海外の感想評価をまとめて紹介する。本作は2024年9月1日に台湾・台北で世界初公開され、同年9月25日にフランスと台湾で劇場公開、11月8日に北米で公開されたアクション・スリラー映画だ。
物語の舞台はミネアポリスから台北へ。DEA(麻薬取締局)捜査官ジョン・ローラーは、13年前に任務で知り合った運び屋の女性ジョーイとの悲恋の過去を抱えている。潜入捜査でボロを出したジョンは、台北に逃亡したかつての恋人を追うが、彼女は今や自分が追う麻薬王クワンの妻となっていた。さらに衝撃的なことに、ジョンは自分に息子がいたことを知る。
アクションスリラーとして注目を集めた映画『ドライブ・クレイジー:タイペイ・ミッション』は、『レオン』『TAXi』シリーズで知られるリュック・ベッソンと、『スイミング・ウィズ・シャークス』のジョージ・ホァンが共同で脚本を執筆し、ホァンが監督を務めた。製作はベッソンのEuropaCorpが担当し、台北市政府と台北電影委員会の全面協力を得て台北で撮影された。本作はEuropaCorpが財政再建を経て4年ぶりに製作した作品でもある。
主演のジョン・ローラー役を『ドラキュラZERO』『美女と野獣』のルーク・エヴァンスが演じ、ヒロインのジョーイ役を台湾の女優グイ・ルンメイが、麻薬王クワン役を『ワイルド・スピード』シリーズでハン役を演じたサン・カンが務めた。エヴァンスとカンは共に『ワイルド・スピード EURO MISSION』に出演しており、本作で再共演を果たした。撮影は2023年8月に台北市内の複数のロケ地で行われ、台湾映画史上最多となる12件の道路封鎖申請が行われた大規模なアクション作品となった。
今回は、1990年代風のB級アクション映画として賛否両論を巻き起こした映画『ドライブ・クレイジー:タイペイ・ミッション』の結末について解説していこう。以下の内容は本編の結末の重大なネタバレを含むため、必ず視聴してから読んでいただきたい。
もくじ
『ドライブ・クレイジー:タイペイ・ミッション』あらすじ結末ネタバレ
ここから先は『ドライブ・クレイジー:タイペイ・ミッション』の核心である重大なネタバレを含む。
潜入捜査の失敗
DEA捜査官ジョン・ローラー(ルーク・エヴァンス)は、ミネアポリスの中華料理店でシェフのフリをしして潜入捜査をしていた。狙っている相手は、海産物商人を装う億万長者の麻薬王クワン(サン・カン)だった。ジョンはシェフとして働きながら半年かけてクワンの麻薬密売の証拠を集めていたが同僚の捜査官が警察バッジを厨房で落とすというミスを犯し、同僚の命を救うためジョンはクワンの部下たちと厨房で激しい戦闘を繰り広げ何とか逃げ延びたが、半年間の潜入捜査は水の泡となった。
上司のシャーロット・フィールズは、ジョンの功績を認めながらも、クワンは用心深く再び潜入するチャンスは二度とないだろうと。ジョンに休暇を与える。さらに一通の匿名メールが届き、タイペイでクワン・エンタープライズのクワンの麻薬取引の全記録が記載され帳簿を持って待っていると書かれていたことを漏らしてしまったため、ジョンは休暇に行くと伝えて偽名でタイペイ(台北)に向かう。
タイペイ・ミッション
台北ではジョーイ(グイ・ルンメイ)と息子のレイモンドが危機に瀕していた。
ジョンたちにメールを送り帳簿を盗み出した内部告発者がレイモンドであることがバレてしまったのだ。レイモンドはクワンが麻薬王だとは知らず、父親が環境汚染に関わっていると信じ、「イルカの殺害」に関する記録を暴露するために帳簿を盗んだのだつもりだったが、まさかの逆鱗に触れてしまいレイモンドは殺される一歩手前までクワンに暴行を受けていた。
クワンの妻ジョーイは死にかけている息子を助けるために必死に命乞いをする。(この時彼女は15年前にジョンと付き合っていたが、身の安全のためにクワンと結婚した過去が明かされる)
ジョーイの命乞いによりレイモンドの命は助けられたが、すでに帳簿は人の手に渡り台北マリオットホテルでDEA捜査官ジョンに届けることになっていると告白する。
そこでジョーイとクワンは驚いた表情を浮かべる。まさかここでジョン・ローラーの名前を聞くとは思わなかったのだ。怒り狂ったクワンはレイモンドを殺そうとするが、ジョーイが部下の銃を奪いクワンを拘束してレイモンドと一緒に逃げ出すのだった。
先に部屋を訪れたのはジョーイとレイモンドだった、二人は命を助けてほしいとジョンに伝え、ジョンが武装をしているとクワンの部下たちが部屋を襲撃する。ジョンは友人と二人で武装した部下たちをぶっ殺しまくり、友人は犠牲となったがジョン、ジョーイとレイモンドは無事にホテルを脱出。レンタカーを借りてジョーイの実家に身を隠すことにする。
15年前の恋
15年前、ジョンは台北で潜入捜査、ジョーイは犯罪組織の運び屋として驚異的な運転技術を持つドライバーで、二人は任務で出会い、立場を超えて恋に落ちた。
ジョーイは『トランスポーター』のフランク・マーティンにも匹敵する運転の達人で、台北の街を縦横無尽に駆け抜ける姿は圧巻だった。ジョンは彼女の協力を得て捜査を進めていたが、次第に任務よりも彼女への想いが勝っていく。
しかし、ジョンの正体が犯罪組織にバレたことをきっかけに、ジョーイは彼を守るために組織を裏切り逃走を助け、ジョンは台湾から逃れることができたが、組織に追われる羽目になってしまう。さらにジョーイはお腹にジョンの子供を孕っていることがわかると、クワンの保護下に入るために彼と結婚したのだった。レイモンドには、父親は死んだパティシエだと嘘をついていた。そのため、レイモンドは父親に近づきたいという思いから、料理学校に通って調理を学んでいたのだった。
結末ネタバレ:新たな家族の始まり
レイモンドはそんなジョンとジョーイのために再びクワンの留守を狙い、帳簿を奪おう屋敷に侵入したためあっさりとクワンに捕まり、レイモンドを人質にジョンにレイモンドの命とジョーイの身柄の引き渡しを伝える。
クワンはレイモンドを連れてジョンとジョーイの待ち合わせ場所に訪れると、部下たちにジョンに銃口を向けさせ殺害指示をするとジョーイを連れて立ち去る。5人に銃口を向けられたジョンだったがあっさりと銃を奪って殺害すると、クワンの車を撃って走行不能にする。
クワンが逃げ込んだ映画館に入ったジョンはスクリーンの前で殴り合いをする(背後のスクリーンにはチャン・イーモウ監督の武侠映画が映されている)
激闘の末、ジョンはクワンを倒すことに成功。
タイペイ警察に捕まったジョンだったが、シャーロットの助け舟でジョンは英雄として釈放されると、受付で待っていたジョンとレイモンドと合流すると、新たな3人家族として出発して物語は終了する。
エンドクレジットでは、三人の幸せそうな写真が次々と映し出され、最後に4人目の家族が生まれたことを記念する撮影現場で物語は締めくくられる。
『ドライブ・クレイジー:タイペイ・ミッション』作品情報
映画『ドライブ・クレイジー:タイペイ・ミッション』のネタバレを読んで興味を持った読者のために、本作を手がけた監督と主演俳優の経歴について詳細を紹介する。リュック・ベッソンが脚本に参加したEuropaCorpの復活作であり、台北を舞台にした国際的なアクションスリラーとして制作された本作は、ベテラン監督と実力派俳優たちの手によって生み出された。
『ドライブ・クレイジー:タイペイ・ミッション』興行収入
本作は2024年9月25日に台湾とフランスで劇場公開され、台湾では初週に週間興行収入1位を記録した。しかし2週目には5位に後退し、累計興行収入は台湾ドル4058万元(約125万米ドル)となった。北米では11月8日に1,021館で公開され、初週末に36万ドルを記録したが、Deadline Hollywoodはこの数字を「低迷」と評した。
ジョージ・ホァン監督紹介
ジョージ・ジェイ・ホァンは台湾系アメリカ人の映画監督、脚本家、プロデューサー、教育者である。1994年の映画『スイミング・ウィズ・シャークス』の脚本・監督で最も知られている。
ホァンは『トロイ戦争』(ジェニファー・ラブ・ヒューイット主演)や、カルト的人気を博した『ハウ・トゥ・メイク・ア・モンスター』(クレア・デュヴァル主演)などの独立映画を監督し、『The Invisible Man』などの短命なテレビシリーズの監督も務めた。興味深いことに、ホァンはイライジャ・ウッドの『ロード・オブ・ザ・リング』フロド役のオーディションテープを撮影した人物でもある。
2006年、ディメンション・フィルムズはコミックシリーズ『マッドマン』の映画化権を取得し、ホァンが監督、ロドリゲスとエリザベス・アベランがプロデュースすることが計画されていた。現在、ホァンはUCLAで脚本執筆を教えている。
主演ジョン・ローラー役「ルーク・エヴァンス」紹介
ルーク・ジョージ・エヴァンスは1979年4月15日にウェールズのポンティプールで生まれたウェールズ人俳優である。彼は舞台でキャリアをスタートさせ、ロンドンのウエストエンドで『レント』『ミス・サイゴン』『ピアフ』などに出演した後、2010年のリメイク版『タイタンの戦い』で映画界にブレイクスルーを果たした。
エヴァンスはアクション映画からドラマ、ミュージカルまで幅広いジャンルで活躍する実力派俳優として知られ、その肉体美とカリスマ性で多くのファンを魅了している。本作『ドライブ・クレイジー:タイペイ・ミッション』では、ニューヨーク訛りのアクセントで(やや不安定ながら)DEA捜査官を演じ、ユーモアのセンスと激しいアクションシーンの両方で魅力を発揮した。
海外の感想評価まとめ
映画『ドライブ・クレイジー:タイペイ・ミッション』は海外で賛否両論の評価を受けた。Rotten Tomatoesでは批評家支持率55%(22件のレビュー)、平均評価5.8/10を記録し、IMDbでは5.7/10の評価となった。批評家たちは本作のアクションシーケンスとエンターテインメント性を称賛したが、脚本の陳腐さとキャラクター描写の浅さを批判した。なぜこのような評価になったのか、海外レビュアーたちの本音の評価を見ていこう。
IMDb(総合評価:5.7/10)
①私がこの映画に期待を寄せたのは、リュック・ベッソンが脚本に参加し、『ワイルド・スピード』のサン・カンが出演していたからだ。この組み合わせは素晴らしいはずで、映画も素晴らしいに違いないと思っていた。悲しいことに、そうではなかった。他のレビューを読んで、同じ映画を観たのか疑問に思った。
②私が感じたのは、本作が90年代から2000年代初頭の高オクタン価でメロドラマティックなスリラーへの郷愁に満ちたラブレターだということだ。ルーク・エヴァンスはCall of Dutyのスナイパーより速く銃を撃ち、台北の街をNeed for SpeedのDLCのように駆け抜ける。彼の対面に立つグイ・ルンメイは、ヴィン・ディーゼルを周回遅れにできるほど熟練したドライバーだ。
③継父のクワンを虐待的、酔っぱらい、レイプ魔など何か悪い人物として描くべきだった。確かにクワンは犯罪者だが、家庭での犯罪的側面は焦点ではなく、少年の注意の焦点でさえなかった。彼が泣き叫んでいたのは「イルカ」についてだった。この馬鹿げた物語の展開を乗り越えられなかった。
④私が評価できるのは、本作が見たことのあるアクションスリラーを10億回も観たような感覚だということだ。設定、プロット、俳優が違うだけで、この映画には複数のプロットラインがあり、ランタイムはわずか100分だ。映画製作者は観客が簡単に退屈すると考え、複数のプロットラインを追加する必要があったようだが、実際にはそうする必要はなかった。
Rotten Tomatoes(批評家:55% / 観客:データ不足)
①私が驚いたのは、すべてのスタントとチェイスと流血の後、『ドライブ・クレイジー:タイペイ・ミッション』は健全な「家族」の感覚についての映画だということだ。とはいえ、映画が終わった瞬間に何についての映画だったか忘れてしまうかもしれない。
②私の印象では、本作は終盤でノンストップの勢いを失うが、劇場に足を運ぶ価値のある十分な見どころがある。アクションシーンは魅力的で、エンターテインメントとして機能している。
③私が感じたのは、本作がアクション映画の陳腐な表現とコーンボールなコメディの寄せ集めだということだ。台北に行ってかつての恋人とその腐敗した夫の問題に巻き込まれるアメリカの法執行官についての、活気のない硬い演技の物語である。
Rotten Tomatoes – Weekend in Taipei
Metacritic(総合評価:レビュー不足のためスコアなし)
Metacriticには現時点で十分な批評家レビューが集まっておらず、総合評価スコアは算出されていない。しかし、いくつかの批評家レビューと一般レビューが掲載されている。
①私が台北には何度もアジアを訪れたことがあるが、まだ訪れる機会がなかった。映画のロケーションとして素晴らしい場所だ。ゴージャスな車も登場し、特にフェラーリが印象的だった。残念ながら、多くの車がクラッシュして破壊される。戦闘シーンの多くはユーモラスで、振り付けも良い。
②私の評価では、本作はリュック・ベッソンのアクション工場から生まれた洗練されたB級映画だ。表面的で驚きはないが、無駄がなくシャープで、心地よい軽さが魅力的だ。もしこの手のものが好きなら、この手のものを気に入るだろう。
③私が観たのは、意外にもユーモラスな作品だった。アクション、ロマンス、家族のプロットがあることは知っていたが、コメディ要素には驚かされた。対話を通じたものも状況的なものもある。この映画が自分自身をあまり真剣に受け止めていないことがすぐにわかり、それに乗ることができた。
Metacritic – Weekend in Taipei
批評家レビュー
海外の専門批評家による『ドライブ・クレイジー:タイペイ・ミッション』の詳細な評価を紹介する。1990年代風のB級アクション映画として制作された本作が、リュック・ベッソンとジョージ・ホァンの手によってどのように評価されたのかを知ることで、この映画の多角的な魅力と課題を理解できるはずだ。
RogerEbert.com 2.5/4
クリスティ・レミール氏「すべてのスタントとチェイスと流血の後、この映画は健全な家族の物語だ」
本作は1990年代から飛び出してきたようなB級映画である。派手で安っぽく、意図的に大げさなアクション映画で、リュック・ベッソンの伝統に則っている。ベッソン自身がジョージ・ホァン監督と共同で脚本を執筆したのだから当然だろう。
映画の特徴は、薄っぺらいキャラクターが堅実な戦闘シーンに参加し、対話があまりに馬鹿げているため意図的な選択に違いないということだ。例えば、台湾の10代のレイモンドが初めて知らなかった父親ジョンに出会った時の台詞が象徴的だ。「ずっと死んだパティシエの父さんに近づくために料理のレッスンを受けてたのに、父さん死んでなかったじゃないか!」。この台詞が映画の数あるカーチェイスの最中に発せられるという事実が、不条理さを増幅させている。
評価点 アクションシーケンスは堅実で、ジョンが働く厨房での初期の戦闘シーンは、限られた空間での複雑な振り付けと中華鍋の面白い使用法が光る。クライマックスの映画館でのジョンとクワンの対決も印象的だ。
批判点 キャラクター描写は皮相的で、映画が終わった瞬間に何についての物語だったか忘れてしまうだろう。すべてのスタントとチェイスと流血の後、本作は結局のところ家族の物語なのだが、それが心に残ることはない。
(RogerEbert.com – Weekend in Taipei)
Variety 肯定的評価
デニス・ハーヴェイ氏「馴染みがあり定型的だが楽しいアクションスリラー」
本作は定型的なアクション映画へのスローバックを提供している。エネルギッシュなチェイスシーンと軽快なトーンが特徴だが、最終的には深みと記憶に残る要素に欠けている。それでも、この手の映画が好きな観客には十分楽しめる作品だろう。
台北のロケーションは映画に活気ある場所の感覚を与えている。路地裏からクレーンゲームのアーケードまで、都市の様々な側面が映し出される。撮影監督コリン・ワンダースマンは、多くのシーンを洗練された輝きで照らし出している。
リュック・ベッソンのアクション工場の特徴である表面的な輝きが全編に漂っているが、それは決して悪いことではない。無駄がなくシャープで、心地よい軽さが魅力的だ。少なくとも映画を観ている間は、定型的な素材をより良いものに見せる自信に満ちた表面的な輝きが機能している。
評価点 アクションシーケンスの振り付けが優れており、台北という都市の魅力を存分に活かしている。軽快なトーンがエンターテインメント性を高めている。
批判点 深みに欠け、使い捨てのエンターテインメントのレベルを超えることはない。記憶に残るような独創性や感動はない。
Screen Rant 肯定的評価
メイ・アブドゥルバキ氏「魅力的で、よく撮影され、スリリングで、何よりもエンターテインメント性が高い」
本作で最も予想外だったのはユーモアだった。多くのアクション、ロマンスの一部、家族のプロットがあることは知っていたが、コメディには驚かされた。対話を通じたものも状況的なものもある。すぐにこの映画が自分自身をあまり真剣に受け止めていないことがわかり、それに乗ることができた。
ジョージ・ホァンとリュック・ベッソンの脚本による本作は、欠点がないわけではないが、魅力的でよく撮影されており、スリリングで、何よりもエンターテインメント性が高い。映画は明らかに欧米の観客をターゲットにしており、主にアジア系のキャストが台北を舞台にしているにもかかわらず、大半のランタイムで英語を話し合っている。やや違和感があり、キャラクターが母国語を話してくれたらよかったのだが、それが映画の興奮を損なうことはなかった。
評価点 ゲームキャストとスリリングなアクションシーケンスが期待以上の魅力を提供する。ユーモアのセンスが予想外の楽しさをもたらす。
批判点 キャラクターの深みに欠け、ロマンティックなシーンが長引くと二人の間のロマンティックなケミストリーの欠如がより明白になる。陳腐なアクション映画の要素が多い。
(Screen Rant – Weekend in Taipei)
Culture Mix 批判的評価
カーラ・ヘイ氏「活気のない硬い演技の物語」
本作はアクション映画の陳腐な表現とコーンボールなコメディの寄せ集めである。台北に行ってかつての恋人とその腐敗した夫の問題に巻き込まれるアメリカの法執行官についての、活気のない硬い演技の物語だ。
映画全体を通じて、キャラクターたちは定型的な行動パターンに従い、予測可能な展開が続く。対話は不自然で、俳優たちの演技も硬い。特にルーク・エヴァンスのニューヨーク訛りのアクセントは不安定で、没入感を損なっている。
プロットは複数の要素を詰め込もうとしすぎている。家族ドラマ、ロマンス、アクション、コメディのすべてを100分のランタイムに押し込んだ結果、どの要素も中途半端になっている。特にレイモンドがイルカの保護を理由に継父を告発するという設定は、物語の焦点を曖昧にしている。
評価点 台北の街並みは美しく撮影されており、ロケーション選択は良かった。一部のアクションシーンには見応えがある。
批判点 脚本が陳腐で予測可能。演技が硬く、キャラクターに魅力がない。複数のプロットラインが中途半端に処理されている。
(Culture Mix – Weekend in Taipei)映画『ドライブ・クレイジー:タイペイ・ミッション』完全ネタバレ解説と海外の感想評価まとめ【パート4】
個人的な感想評価
驚くほどつまらない。
よくある展開、よくあるアクション、しょうもないコメディ、家族?スパイ?イルカ?麻薬?カーチェイス?それぞれが一気に鍋にぶち込まれ曖昧で絡まることもなく、苦味だけが抽出された学生が気の迷いで作った闇鍋のようだった。
まず、時系列をごっちゃにしすぎてすげぇ邪魔。過去今過去今、しかも過去編も同じ役者が演じるせいで「これはいつの話だ?」ってごっちゃになる。
レイモンドが帳簿を盗んだのはイルカのせいです。
ってアホか。
親父の職業ぐらい察しろ。
クワンは家庭面では妻を愛して息子を愛そうと努力をして養育ちゃんとしていたし、ジョンに奪われた時も冷静に人質として要求して殺そうとはしなかったし、意外と良いやつすぎて最後まであまり敵対心を持てず、むしろ半端に子供作ってアメリカに逃げたジョンの方がクソじゃね?とか思った。
グイ・ルンメイがやたら可愛い。でも運び屋としての才能の割に現在ではジョンに運転任せっきりなのはどうなの?最後ぐらい最高の運転とかでジョンとレイモンドを驚かせるぐらいのことはしてほしかったね。
ジョンとグイ、クワンが15年前も同じ役者が演じて、その演じ分けが「髪伸ばす」ってのは何かの冗談だと思ったけど真剣に演技しているからこれで良いのなら良いだろう。そこはCGとか使うとかさぁ。
まとめ
この記事では、映画『ドライブ・クレイジー:タイペイ・ミッション』の物語結末までの完全ネタバレ、作品情報、そして海外の批評家と一般観客による評価をまとめて紹介した。
本作は2024年9月に台北で世界初公開され、リュック・ベッソン共同脚本のアクションスリラーとして注目を集めた。『スイミング・ウィズ・シャークス』のジョージ・ホァン監督がメガホンを取り、『ドラキュラZERO』のルーク・エヴァンス、『ワイルド・スピード』シリーズのサン・カン、台湾の女優グイ・ルンメイが主演を務めた。製作はベッソンのEuropaCorpが担当し、台北市政府の全面協力を得て台北で撮影された大規模なアクション作品となった。
物語の内容は、13年ぶりに台北で再会したDEA捜査官ジョンと元恋人ジョーイが、麻薬王クワンを巡る戦いに巻き込まれるというものだった。ジョンは自分に息子レイモンドがいたことを知り、家族を守るために戦う。クライマックスでクワンを倒した後、三人は失われた時間を取り戻すように家族として再出発する。表面的には派手なアクション映画だが、その核心にあるのは「家族」というテーマであり、意外にも温かい結末を迎える。
海外での評価は賛否両論に分かれた。Rotten Tomatoesでは批評家支持率55%を記録し、IMDbでは5.7/10の評価となった。批評家たちはアクションシーケンスとエンターテインメント性を称賛し、「馴染みがあり定型的だが楽しいアクションスリラー」「魅力的で、よく撮影され、スリリングで、何よりもエンターテインメント性が高い」と評価した。特に台北のロケーション選択、厨房での戦闘シーン、映画館でのクライマックスが高く評価された。
一方で、脚本の陳腐さとキャラクター描写の浅さが批判された。「活気のない硬い演技の物語」「使い捨てのエンターテインメント」という厳しい意見もあり、対話の幼稚さ、複数のプロットラインの中途半端な処理、記憶に残らない内容が指摘された。また、台北が舞台でありながらキャラクターたちが英語を話すことへの違和感も指摘された。
興行的には台湾で初週1位を記録したものの、その後失速し、北米では初週末36万ドルという低調な成績に終わった。しかし本作は、1990年代風のB級アクション映画への郷愁を意図的に狙った作品であり、リュック・ベッソンの伝統を受け継ぐ軽快なエンターテインメントとして一定の評価を得た。傑作ではないが、週末に気軽に楽しめる娯楽作品として、アクション映画ファンには十分推奨できる作品である。
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