
『見る価値無し』海外で大不評の映画『箱の中の呪い』の衝撃の結末を完全ネタバレ解説。必要なもの、憎むもの、愛するものを箱に入れよという指示が、実は4つで、箱の意図も曖昧で、支離滅裂。振り回されるポリーも幻覚と現実に振り回され、訳のわからない展開が続く本当にクソ映画を見たいのなら本作を見るべき。
そんな箱の悪魔にゲームを強要される中年太りした女性を自己破壊の螺旋へと導く物語。
見る価値ないけど、IMDb6.0点、Rotten Tomatoes批評家41%という賛否両論の評価を受けた本作のあらすじから海外の感想評価まで徹底紹介。
「謎の箱が要求する三つの犠牲ーー選択の果てに待つ恐怖」2025年10月10日にParamount+独占配信された映画『箱の中の呪い』(原題:VICIOUS)のあらすじ結末までネタバレ解説と海外の感想評価をまとめて紹介する。
深夜に訪れた謎の老女から箱を受け取った孤独な女性が、一夜にして悪夢の世界に引きずり込まれる様を描いたサイコロジカルホラーである。箱に「必要なもの、憎むもの、愛するもの」を入れよという指示は、次第に主人公の精神と現実を崩壊させ、自己嫌悪と自己破壊の無限ループへと彼女を追い込んでいく。
アメリカのAtlas Entertainment製作のホラー映画で、当初は2025年8月8日に劇場公開予定だったが、2月28日に前倒しされた後、2024年12月にParamountが公開スケジュールから削除した。最終的に2025年9月19日にファンタスティック・フェストでワールドプレミアを飾り、10月10日にParamount+とデジタル配信で同時公開されるという異例の経緯を辿った作品である。
監督・脚本はブライアン・バーティーノ。2008年の傑作『ストレンジャーズ/戦慄の訪問者』で一躍注目を集め、2020年の『ダーク・アンド・ウィキッド』で復活を遂げた鬼才ホラー監督だ。本作は彼の最新作として期待されたが、批評家からは賛否両論の評価を受けている。主演のポリー役にはダコタ・ファニング(30歳)。『リプリー』や『ザ・ウォッチャーズ』に続くホラー作品への出演となり、本作でもキャリアベストと評される熱演を見せている。共演には『アンドール』のキャスリン・ハンター、『ザ・ホワイトハウス』のメアリー・マコーマック、『サマー・アイ・ターンド・プリティ』のレイチェル・ブランチャードらが名を連ねる。
今回は、謎の箱が解き放つ恐怖と自己嫌悪を描いた映画『箱の中の呪い』の衝撃的な結末について徹底解説する。以下の内容は本編の結末の重大なネタバレを含むため、鑑賞後に読んでいただきたい。また、自傷行為や自殺願望といったセンシティブな内容も含まれるため注意していただきたい。
『箱の中の呪い』あらすじ結末ネタバレ
ここから先は『箱の中の呪い』の核心である重大なネタバレを含む。本作は、謎の箱が要求する三つの犠牲を通して、孤独な女性の内面に潜む自己嫌悪と自己破壊願望を浮き彫りにする物語だ。現実と悪夢の境界が曖昧になる中、主人公は自分自身との戦いを強いられる98分間の苦痛に満ちた夜を過ごすことになる。
はずが、視聴者、私たちが98分間もの苦痛を味わう映画でもあるので注意。
孤独な女性ポリー
クリスマスシーズンの雪深い郊外。
大きな古い家に、ポリー(ダコタ・ファニング)は一人で暮らしていた。家の中はゴミと洗っていない食器で散らかっており、喉が乾けば適当にその辺のコップを使って飲み食いしてはタバコを嗜むという、無気力な日々を送っている。
32歳の彼女は独身にも関わらず一人暮らしには見合わない巨大なファミリータイプの家に住んでいるが、姉夫婦の持ち家を格安で借りているからである。基本的にバイトも長続きせず、ダラダラとニート同然の暮らしをしているダメ女だった。
留守番電話には、怒った上司からの叱責、心配する母親からのメッセージ、姉からの連絡が溜まっているが、ポリーはそれらを無視し続けタバコを吸いながら暗い家の中で過ごす日々を送っていた。
彼女の腕には複数のタトゥーがあり、その一つ一つが彼女の内面の痛みを表していた。ポリーは生きているというよりも、ただ生き延びているだけの状態のようにも見える。
深夜の訪問者
ある夜、ポリーの家のドアがノックされる。ドアを開けると、そこには不気味な老女(キャスリン・ハンター)が立っていた。老女は電話を借りたいと頼み、ポリーは渋々彼女を家に招き入れる。
最初は礼儀正しく見えた老女だったが、やがて異様な行動を取り始める。彼女はバッグから木製の箱を取り出し、「さあ、始めるわよ」と宣言した。箱には砂時計がついており、老女はポリーに箱の使い方を説明する。
「箱の中に三つのものを入れなさい。必要なもの、嫌いなもの、そして愛するものを」
老女はポリーに警告する。
「もしあなたが従わなければ、あなたの大切な人が死ぬことになる」
そう言い残すと、老女は消えてしまった。残されたのは、箱と砂時計だけだった。
嫌いなもの
ポリーは最初、この状況を理解できなかった。しかし箱は彼女に電話をかけてくる。死んだはずの父親の声、母親を装った声、そして他の悪意ある存在が、ポリーに何を箱に入れるべきかを指示してくる。
ポリーが最初にタバコを「嫌いなもの」として箱に入れようとすると、箱はそれを拒否する。彼女はタバコを憎みたいと思っているだけで、本当は憎んでいないからだ。箱は嘘を見抜くのだ。
不安になったポリーは隣人に助けを求め中に入れてもらい警察に連絡してもらおうとするが、隣人がかかってきた電話に出ると急に「お前のせいだ」「命令を実行しろ」と言い出し包丁で自分の喉を掻っ切って自殺する。怯えたポリーはすぐに家に逃げ帰る。
次に彼女は急に咳き込み始めなぜか古びた鍵を吐き出す。彼女はこの鍵に見覚えがあるのか箱の幻覚に惑わされながらクローゼットの鍵を開く。中にあったのは亡くなった父親との思い出の写真と父の大切にしていたロザリオだった。
ポリーはロザリオを持って箱の中に入れる「私は神様にずっと祈りを捧げていたのに、父親が死んだ。私は神が嫌い」と呟き箱を閉じ再び箱を開くとロザリオは消えていた。正解か不正解かは不明だが、隣にある砂時計が再び戻ったので正解だと思われる。
箱は単なる物体ではなく、意思を持っているかのようだった。それはポリーの心を読み、彼女の最も深い部分を暴き出そうとする。もし箱が気に入らないことをすれば、電話やテレビを使ってポリーを脅迫し、時には正確に何を犠牲にすべきかを示唆してくる。
しかし、箱は嘘をつくこともできる。幻覚も見せてくる。正解に見せかけて不正解の時もあれば、不正解のように見せかけて正解でした。など、箱も何がしたいのか何をさせたいのか、命令を完結させたいのかさせたくないのか曖昧で常にポリーを混乱させ続けるのだ。
もし箱が嘘をつけるなら、なぜ信じる必要があるのか?もし箱が欲しいものを知っているなら、なぜポリーに選択させるのか?何を求めているの?と、常に混乱と恐怖を煽ってくる箱に対し苛立ちすら感じさせてくる。
ちなみにこの父親のロザリオを入れるまでに作品は40分もかけている。とにかくポリーの中年女性の怠惰な生活、思考、背景、説明、無駄なシーンが延々と続き物語は進まず、引き伸ばされるため、飽きてしまうのだ。
必要なもの
ここからさらに映画は引き延ばされていく。
ポリーは次の愛するもの、必要なものが見つからずバタバタしていると、急に母親との幼少期の記憶を思い出しその中の童話で「指遊び歌」で指が不要という言葉を思い出す。
それが何のヒントになったのか、ポリーはハサミで足の小指を切断し箱の中に入れる。必要なものとして。が、ハズレ。箱を開いたら小指はそのまま残されており、無駄な自傷行為をしてしまう。
家の中では超常現象が起こり始める。影が動き、幻覚が現れ、過去の記憶が蘇る。ポリーは母親や姉、姪の幻影を見るが、それらが本物なのか幻覚なのか判断できなくなっていく。
次にポリーは、なぜか左手の人差し指をちょんぎると箱に必要なものとして差し出す。どうやら正解らしく箱の中の指は消え、砂時計は元に戻る。劇中彼女はどう見ても右利きで右手でタバコを吸っているのでどちらかというと右手の人差し指の方が必要な気がするが、箱は気にしていないようだった。
愛するもの
指を入れて残りは愛するもの。それは何かと考える前にポリーの家のドアが急に開き、何かに気がついたポリーは姉のレイニーの家に向かう。家に向かうが人気がない、レイニーの部屋に向かうとレイニーが死んでいる。慌てて姪のアリーの部屋に向かうとアリーも冷たくなっていた。箱の悪魔に対しアリーはまだ幼いのにと叫ぶが応答はない。
家中の電話が鳴り響き、アリーの声で「お前は選択を失敗した」と言われる。おそらく足の小指が余計な選択だったらしい。本当の選択は何だったのかは不明だが箱の悪魔の方から「残りは愛するものだ」と言ってくれたのでポリーはアリーの髪の毛を切って箱に入れる。
「私が愛していたもの」と。呟きながら。
箱を開けると髪の毛は消えていた。
ここでポリーは姪のアリーを溺愛していたことが判明するが、急に出てきた情報に、姉でも両親でもなく、姪のアリーを最も愛しているって何?というツッコミは無視されて物語は続く。
上からレイニーとアリーが起きてくる。正解だったのか、ついに平穏が、と思ったらアリーの顔が悪魔のような顔に変貌してめちゃくちゃ怖がらせてくるため一旦リビングに避難。
砂時計は動き続けていた。
愛するもの?何を入れたら良いの?と混乱するポリーは試しに身につけていたネックレスを箱の中に入れて蓋を閉じて開けるとネックレスは消えていた。箱の悪魔は人を騙して混乱させるのが好きなのだ。
3つの命令に従った。
じゃあ次は何をしたら?
結末ネタバレ:最後の指令
最終的に、ポリーは箱が要求した全ての犠牲を捧げたように見える。彼女は自分の「必要なもの」「憎むもの」「愛するもの」を箱に入れた。
しかし箱はそれで満足しない。
箱を持ち込んだ老婆のことを思い出す。
老婆は申し訳なさそうに箱を渡した。。。
箱の譲渡?箱の譲渡だ!箱を誰かに押し付ければ良いのだ!とポリーはすぐに実行する。
姉の家を飛び出し適当な近所の家をノックして出てきた若い女性に、老婆と同じように適当な理由をつけて家に上がり込み、箱を置いて、ゲームスタート、とか呟いて恐怖心を煽り始める。親切心を反故にされた若い女性は怒り出しポリーを追い出すが箱を渡すのには成功した。
姉の家に再び戻ったポリーだったが、突如冒頭の老婆がなぜかパジャマ姿で箱を持って現れポリーに襲いかかる。正当防衛で老婆の胸にハサミを刺して撃退に成功したポリーは死にかけの老婆に向かってなぜ私にはこを渡したのかと訪ねるが、老婆は適当に親切だったあなたに家に行っただけと神も仏もない悲しい現実を突きつけ死んでいく。
ポリーの目の前に置かれた箱、落ち続ける砂時計も残りわずか。
ポリーは自問自答、いや精神的自傷を繰り返し、最後に思いついた言葉は
「私なんていなくなればいい」
だった。
朝になった。
目覚めたレイニーとポリーがリビングに降りるとポリーおばさんが血だらけで寝っ転がっている。慌ててポリーを起こすレイニーは二人が起きていること喜ぶよりも混乱の表情を浮かべて外に飛び出すと、自殺したはずの隣人が生きており、箱を渡してしまった若い女性を訪ねてもあなたのことを知らないと言われてしまう。(箱は自分に返ってきているのに、若い女性を訪ねた理由も不明だが)
訝しみながらもポリーは自分は生き残ったのかな?と安心したのか急にタバコを吸い出す。
場面は急に変わり、箱を渡した若い女性の家。
若い女性の指は何本も切断され血だらけで、リビングでは死んだ両親が横たわっていた。
壁には「誰にも言うな」という血文字が。
若い女性は箱を見つめ物語は終了する。
(Roger Ebert – Vicious)からの引用と個人の感情で作成。
『箱の中の呪い』作品情報
映画『箱の中の呪い』の監督と俳優の詳細情報を紹介する。
興行収入
本作は劇場公開が中止となり、2025年10月10日にParamount+でのストリーミング配信とデジタル配信のみで公開された。当初は2025年8月8日、その後2月28日に劇場公開が予定されていたが、最終的に配信のみでの公開に変更された経緯がある。そのため興行収入のデータは存在しない。
ブライアン・バーティーノ監督情報
ブライアン・バーティーノは1977年10月17日、テキサス州クロウリー生まれのアメリカ人映画監督・脚本家・プロデューサーである。テキサス大学オースティン校で映画撮影を学び、その後ロサンゼルスに移住して照明技師として働きながら脚本を執筆していた。デビュー作『ストレンジャーズ/戦慄の訪問者』(2008年)で脚本をアカデミー賞ニコル・フェローシップに応募し、準々決勝まで進出。その脚本がバーティゴ・エンターテインメントの目に留まり、ユニバーサル・スタジオに売却された。監督経験がなかったにもかかわらず、自ら監督を務めることを依頼され、8200万ドルの興行収入を記録する大ヒット作となった。
その後『モッキンバード』(2014年)、『ザ・モンスター 暗闇の惨劇』(2016年)を経て、2020年の『ダーク・アンド・ウィケッド 呪いの農場』で映画批評家から高い評価を受け、キャリアの復活を果たした。本作『箱の中の呪い』は、トラウマや精神疾患をテーマにしたホラー映画を得意とする監督の最新作となる。
主演ポリー役「ダコタ・ファニング」情報
ダコタ・ファニングは1994年2月23日、ジョージア州コニヤーズ生まれのアメリカ人女優である。5歳から演技を始め、7歳の時に出演した『アイ・アム・サム』(2001年)でショーン・ペンと共演し、全米映画俳優組合賞助演女優賞にノミネート。史上最年少のノミネート記録を樹立した。子役時代には『アップタウン・ガールズ』(2003年)、『キャット・イン・ザ・ハット』(2003年)、『マイ・ボディガード』(2004年)、『宇宙戦争』(2005年)、『シャーロットのおくりもの』(2006年)など数多くの大作に出演した。
成人後は『トワイライト・サーガ』シリーズ(2009-2012年)のジェーン役、『ランナウェイズ』(2010年)のシェリー・カーリー役など、より成熟した役柄に挑戦。近年では『オーシャンズ8』(2018年)、『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』(2019年)、『イコライザー THE FINAL』(2023年)に出演。2024年には『ウォッチャーズ』に続き本作『箱の中の呪い』でホラー映画に連続出演し、30代に入ってからの演技力の高さを証明している。
海外の感想評価まとめ
映画『箱の中の呪い』は2025年10月10日にParamount+で配信開始され、賛否両論の評価を受けている。IMDbでは6.2点、Rotten Tomatoesでは批評家42%、観客スコアは未集計という結果だ。ダコタ・ファニングの演技は絶賛されているものの、脚本の不明瞭さや終盤の失速が批判の対象となっている。なぜこの評価になったのか?海外レビュアーたちの評価を見ていこう。
IMDb(総合評価:6.2/10)
①私はこの映画のホラー演出は良くできていると感じたし、ダコタ・ファニングの演技も素晴らしかった。しかし物語がほとんど説明されず、何が起きているのか理解するために情報を自分で繋ぎ合わせなければならなかった。そのため物語への関心を持つことができなかった。
②監督の演出技術は超自然的な恐怖を表現する点では優れているが、ストーリーテリングが不十分で、なぜこの物語が重要なのか、なぜ観客が気にかけるべきなのかが伝わってこない。コンセプトの説明が不足しすぎて、劇場を出た後も一体この映画の意図は何だったのかと首を傾げてしまった。
③ダコタ・ファニングのワンウーマンショーのような作品で、彼女は一人で演技する場面がほとんどだが、素晴らしい仕事をしている。与えられた材料がほとんどないにもかかわらず、キャラクターが経験している恐怖と感情を見事に表現していた。
④緊張感はよく構築されており、超自然ホラー映画で見られる多くの要素を使用しているが、時にはジャンプスケアが安易すぎると感じた。ペーシングも非常に遅く、物語がほぼ存在しないため、1時間にわたる超自然現象の詰め合わせを見ているような感覚だった。
Rotten Tomatoes(批評家:42% / 観客:スコア未集計)
①この映画は間違いなく恐怖を提供してくれるが、『箱の中の呪い』から何を得られるかは、あなた自身がどれだけその箱の中に自分を入れる覚悟があるかに依存している。
②序盤の展開は強く、不気味な雰囲気とファニングの素晴らしい演技があるが、終盤に向かうにつれて予測可能になり、少し長すぎると感じた。それでも欠点はあるものの、楽しめるホラー作品として一見の価値はある。
③映画は画面から飛び出してくるような迫力に欠け、より侵略的な恐怖感が不足している。監督のサスペンスに対するアイデアも想像力に欠けていた。
批評家レビュー
主要な映画批評媒体からのレビューを紹介する。
Roger Ebert 評価点なし
ブライアン・バーティーノ監督は2020年の傑作『ダーク・アンド・ウィケッド 呪いの農場』でトラウマと悲しみを記憶に残る物語に組み込んだ手腕を見せたが、本作『箱の中の呪い』ではその手綱を失っている。
本作は精神疾患や自殺願望と結びついたイメージとアイデアを扱っている点で『ダーク・アンド・ウィケッド』の姉妹作のように感じられる。しかし今回はトーン面でもテーマ面でも監督の意図が不明瞭なまま終わってしまう。強力な前提にもかかわらず、バーティーノは作品を通じて何を言おうとしているのか定義できておらず、過度に大きな音とジャンプスケアに頼りすぎている。ダコタ・ファニングは事実上のワンウーマンショーで献身的な演技を見せているが、作品全体がまとまるのではなく、主人公を引き裂くことだけに満足しているように見えてしまい、フラストレーションが募る。
評価点 バーティーノは監督としての技術は優れており、ファニングの献身的で感情的な演技を捉える完璧なアングルを見つけるフレーミングの技術を持っている。
批判点 脚本が答えを出さずに未解決のまま放置している点が最大の問題だ。エンディングでは魔法の箱による拷問が続くことを示唆しており、結局この映画が何を描いていたのか最初から理解していなかったのではないかと思わせる。監督自身も理解していないのではないだろうか。
Collider 評価点:6/10
ショーン・ヴァン・ホーン氏「ダコタ・ファニングが監督ブライアン・バーティーノの最新ホラーで素晴らしい演技を見せる」
ブライアン・バーティーノはホラー映画において女性をヒーローにすることを好んでおり、最新作『箱の中の呪い』も例外ではない。昨年『ウォッチャーズ』に出演したダコタ・ファニングがホラー路線を継続している。序盤は強力で不気味な雰囲気とファニングの素晴らしい演技が光るが、終盤は予測可能になり少し長すぎる。それでも欠点はあるものの楽しめるホラー作品だ。
バーティーノが教えてくれることが一つあるとすれば、雰囲気作りの名手であるということだ。『ストレンジャーズ』は雰囲気に満ちており、やや隔絶された家、夜、そしてドアをノックする音が来る前からキャラクターたちは緊張に満ちている。『箱の中の呪い』も構造は異なるが同様だ。ここには仮面の殺人者はおらず、不気味な老女と箱だけがある。少なくとも最初は。
評価点 大きくて視覚的に不穏な家を使うこともできたが、代わりにポリーがその静けさの中で完全に孤独であるという事実が全てを不気味にしている。謎の老女は私たちの肌を這わせるが、それは彼女の行動がトロープ的だからではなく、未知の謎があるからだ。
批判点 バーティーノは怖い前提を考え、不気味な設定を構築し、その中心に信頼できるキャラクターを配置することには成功した。しかし上映時間全体を通してそれらのヒットを維持する方法を知らない。第三幕にはミスが多く、タイトルの割には血と残虐描写があるにもかかわらず、十分に残酷ではない。
Dread Central 評価点なし
批評家名不明「バーティーノの最新作は意地悪なチャンバーピース」
ブライアン・バーティーノはアメリカのニヒリズムの巨匠であり、絶望感に満ちた作品を作り続けている。デビュー作『ストレンジャーズ』から2020年の悪夢『ダーク・アンド・ウィケッド』まで、バーティーノは原始的な恐怖への理解を示してきた。最新作『箱の中の呪い』も、以前の作品ほど鋭い牙はないものの、古典的なバーティーノのパンチを持っており、ダコタ・ファニングの素晴らしい演技によって強化されている。
32歳で燃え尽きたポリーを演じるファニングは、21世紀の成人期を這いずり回るような地獄の表現を見事に体現している。バーティーノの以前の作品と重複する要素もあるが、監督はミレニアル世代の倦怠感と無関心な世界で生き続けようとする苦闘についての物語で、相変わらず容赦ないパンチを繰り出している。
評価点 ファニングは『箱の中の呪い』で自身の幅広さと能力を証明しており、精神的・感情的・肉体的に追い詰められながらも、作品全体を肩に背負っている。彼女の演技は胃の底に感じるほどパワフルだ。普通の女性として、忍び寄る鬱と不安から逃れようとするポリーを完璧に演じている。
批判点 テーマが既視感があることだ。『箱の中の呪い』は良くも悪くもバーティーノの作品の集大成として機能しており、完全にオリジナルの物語というよりもコピー&ペーストのように感じられる点がある。これは必ずしも作品の効果を損なうわけではないが、バーティーノのファンはすぐに馴染みのある要素とテーマを認識するだろう。
Loud And Clear Reviews 評価点なし
批評家名不明「恐怖が空回りする」
ダコタ・ファニングは『箱の中の呪い』で輝いているが、まとまりのない物語、弱い恐怖演出、引き延ばされたペーシングがホラー映画として失敗させている。
ホラーは雰囲気、緊張感、そして頭の中に入り込んで夜眠れなくさせるような恐怖で成り立つ。残念ながらブライアン・バーティーノ監督・脚本の『箱の中の呪い』はそのどれも達成できていない。謎の箱、犠牲を求める儀式、現実が崩壊する中で解きほぐされていく女性という設定は十分に冷ややかなものになり得たが、展開されるのはまとまりがなく、フラストレーションが溜まり、怖くも賢くも記憶に残ることもない体験だ。
評価点 ファニングの演技は素晴らしく、孤独で悩める女性を見事に演じている。彼女がいなければこの映画は全く機能しなかっただろう。
批判点 映画最大の問題は物語構造だ。『箱の中の呪い』は一貫性がなく、瞬間から瞬間へと飛び移り、リズムやエスカレーションの感覚がない。サスペンスを構築する代わりに、物語は散発的なビジョン、フェイクのスケア、家族の幻影を繰り返し提供するだけで、恐怖よりも繰り返しの退屈さが勝る。映画が終わりに向かっていると感じるたびに、さらに10分から15分引き延ばされ、残っていたわずかな緊張感も失われていく。恐怖演出自体も的外れで、大音量、消える影、予測可能なフェイクアウトといった使い古されたホラーのトリックに頼っている。
(Loud And Clear Reviews – Vicious)
個人的な感想評価:最悪
とにかく長い、クソみたいに長い。90分がロードオブザリングぐらい長い。
余計で冗長で、意味もなく、理由もなく、雰囲気だけを映し出し続け、物語の進展を妨げるシーンを入れ続けるため、冒頭から進みの遅さにイライラしてしまう。箱の中に初めて何かを入れるまでに経過した時間は40分。見るのをやめたかった。
箱の悪魔の存在意義も、ポリーに結局お願いしたいことも言わず、嘘や幻覚で混乱させるため、何をしたいのか何をして欲しいのかが分からず、視聴中に混乱してしまい、支離滅裂な物語になってしまっている。
個人的に一番イラついたのは無駄なシーンの連続だが、二番目にイラついたのはこの幻覚と嘘と真実を全て曖昧にした点。それが狙いなら狙い通りだが、とにかく不快。ポリーの犠牲の意味もなく、タバコやめたがってたのにやめねぇし、最後は自分が嫌いとか言って身を捧げたと思ったら普通に生きてたし、姪っ子二人いるのにアリーだけ愛してるし、ゲームで指示されたのは3つなのに譲渡しないとダメとか4つだったり、全てが不快。
見る価値なし。
『箱の中の呪い』は傑出した主演女優と優れた演出技術を持ちながら、致命的な脚本の弱さによって可能性を台無しにした作品だ。
ダコタ・ファニングの演技は文句なしに素晴らしく、精神的に追い詰められていく女性の恐怖と絶望を全身で表現しているが、脚本と演出が足を引っ張りただのニートの自堕落な生活を続ける中年女性が幻覚に苦しむ様子にしか見えない。
バーティーノ監督の物語が何を伝えようとしているのか最後まで不明瞭なまま終わる点が決定的な欠陥だ。箱のルールは曖昧で、展開は予測不可能というより支離滅裂に近い。観客は何が現実で何が幻覚なのか判断できず、混乱と苛立ちだけが残る。という海外のレビューと珍しく意見があった。
終盤の引き延ばしも問題で、自然な終着点を何度も通り過ぎてしまう。ジャンプスケアに頼りすぎる演出も安易であり、劇場公開を見合わせ配信限定という判断は正しかったと言えるだろう。
昨日見たスマイル2ぐらいクソ。
まとめ
この記事では日本未公開のホラー映画『箱の中の呪い』の作品情報、海外での評価、批評家レビューをまとめて紹介した。
『ストレンジャーズ』のブライアン・バーティーノ監督最新作として期待を集めた本作は、ダコタ・ファニング演じる孤独な女性ポリーが謎の箱を渡され、一夜にして悪夢の世界に引きずり込まれる物語だ。IMDb6.2点、Rotten Tomatoes批評家42%という評価は、優れた演技と演出がありながらも脚本の不明瞭さと終盤の失速が足を引っ張った結果を示している。
海外では当初劇場公開が予定されながら最終的に配信のみとなった経緯もあり、期待値と実際の出来栄えのギャップが指摘されている。批評家たちはファニングの演技を絶賛する一方で、物語の曖昧さ、ルールの不明瞭さ、過度なジャンプスケア、そして何より監督が何を伝えたいのか最後まで分からない点を批判している。バーティーノファンにとっては過去作の焼き直しに見える要素も多く、新鮮味に欠けるという声もある。それでもホラー映画としての基本的な恐怖は提供しており、ファニングの演技を見るだけでも価値はあるという評価で落ち着いている。配信作品として気軽に視聴する分には楽しめる一作だろう。
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