
1999年を舞台にした恐怖のアンソロジーシリーズ5作目の映画『V/H/S/99』の結末までのネタバレと海外の感想評価を徹底解説。IMDb5.2点、Rotten Tomatoes批評家76%を獲得したV/H/Sシリーズ第5弾の狂気の物語を完全紹介。ミレニアムの恐怖が今、明らかになる。
「フランチャイズ史上最大の賭け」2022年10月20日にShudderで全米配信された映画『V/H/S/99』のあらすじ結末までネタバレ解説と海外の感想評価をまとめて紹介する。本作は2022年9月16日にトロント国際映画祭でワールドプレミア上映されたアメリカ制作のファウンドフッテージ・ホラーアンソロジー映画で、V/H/Sフランチャイズの第5作目となる作品だ。
本作は1999年、ミレニアムの夜明けを舞台に、5つの恐怖のファウンドフッテージで構成されている。パンクロックバンドの惨劇、女子学生会の危険な通過儀礼、復讐に燃える母親とゲーム番組司会者、覗き見少年たちが遭遇する恐怖、そしてY2K前夜に地獄へと迷い込んだ撮影クルーという、それぞれが独立した恐怖の物語である。VHSテープ最後のアナログな日々と、新しいミレニアムへの狂気の飛躍を描いた作品だ。
監督はマギー・レヴィン、ヨハネス・ロバーツ、音楽プロデューサーとしても知られるフライング・ロータス(スティーブン・エリソン)、タイラー・マッキンタイア、そしてヴァネッサ&ジョセフ・ウィンター夫妻が手がけた。制作はStudio71、Bloody Disgusting、Radio Silence Productions、Cinepocalypseが担当している。
今回は、V/H/Sシリーズの勢いを引き継ぎながらも新たな挑戦を見せた映画『V/H/S/99』の各セグメントについて詳細に解説していこう。以下の内容は本編の結末を含む重大なネタバレを含むため、必ず視聴してから読んでいただきたい。また、暴力的なシーンや不快な描写も含まれるため注意が必要だ。
『V/H/S/99』あらすじ結末ネタバレ
ここから先は『V/H/S/99』の核心である重大なネタバレを含む。本作は5つの短編から構成されており、それぞれが1999年という時代背景を持つ独立した恐怖を描いている。本作には従来のV/H/S作品のような狂言回しのストーリーはなく、代わりにブレイディが制作したおもちゃの兵隊のストップモーションアニメーションが各セグメントの間に挿入される構成となっている。
シュレッディング
1999年、若いパンクロックバンドのメンバーたちが、かつてビッチ・キャットという女性バンドが悲劇的な死を遂げ廃墟となったアートコレクティブの会場に侵入するシーンから物語は始まり、彼らは反体制のパンクロックのテンプレのようなトラブルメーカーで、自分たちでビデオ撮影しながらジャッカスのように破壊行為や悪ふざけを繰り返している。
廃墟となった会場の内部は不気味な静けさに包まれ、壁には古いポスターが貼られ、舞台には古びた楽器が放置されたままだ。メンバーたちは数年前にビッチ・キャットのメンバーが観客に踏み潰されて死亡した事件について語りながら探検を続け、誰かがその事件を単なる都市伝説だと笑い飛ばしていた。

バンドメンバーたちは楽器が揃っている舞台に上がって演奏を始める。ここでも悪ふざけを続け笑っていると若者の一人が何者かに引っ張り上げられたと思ったら大量の血飛沫をあげて挽肉の状態で落下してくる。
残されたメンバーたちは必死に逃げようとするが、会場の出入り口をゾンビのような化け物のビッチ・キャットのメンバーが塞ぎバンドメンバーに襲いかかる。メンバーは次々と残虐な方法で殺されていき最後まで生き残ったカメラマンも襲われて殺される。
カメラは床に落ちながら映像を収め続け、最終的に殺された若者たちもゾンビのような怪物になってバンドを開始するところで物語は終了する。
スーサイド・ビッド
夢にまで見た大学に入学したリリー(アリー・イオアニデス)は、大学で華々しくデビューするために、キャンパスヒエラルキーで最も人気のある女子学生クラブの入会を切望し、「スーサイド・ビッド」と呼ばれる賭けに乗る。これは、誰でも挑戦できるが、入会できなければ今後一生他のクラブ会とも関わりを持てなくなるという、一歩間違えれば最悪の学生生活になる危険な賭けだった。
リリーは応募するが、先輩の女子学生たちの試練は想像を絶するものだった。
リリーは、ギルティネはかつて同じ通過儀礼で死亡した女子学生の霊で、今も学生会を呪っているという言い伝えがある墓地に連れて行かれ、棺の中に閉じ込められ上から土を盛られてしまう。先輩たちは、一晩そこに留まれば合格だと告げて立ち去る。
棺の中は狭く、暗く、息苦しいがリリーは乗り越えれば夢の学園生活が待っていると希望に満ちた表情だったが、やがて、棺の中に蜘蛛が侵入してきたことで絶望に変わっていく。割とお大きめの蜘蛛が何匹も棺の中に侵入しリリーの体を這い回り始め、我慢できなくなったリリーはギブアップを宣言する鈴の紐を何度も引っ張り助けを求める。

しかし外にいた先輩たちは、鈴が鳴るのを大笑いして盛り上がっていた。これはいじめなのか入会の儀式であるかは最後まで不明のままだったが、墓に車が入ってきたため一目散に寮に逃げ帰る。
ギブアップの鈴を鳴らしても何も起きないため諦めるしかなかったリリーだったが、雨水が棺の中に流れ込み、あっという間に棺の中は雨水で溢れていきリリーは溺れそうになる。さらに水位が上がり、彼女の顔が水没しかけたとき、ついにギルティネの霊が現れ腐敗した姿の女性の霊は、リリーに襲いかかる。
翌朝、先輩たちが墓地に戻ってくると、棺は雨水で完全に満たされていた。彼女たちはパニックに陥り、どうすべきか相談し始めるところで急に砂嵐が入る。
先輩たちが目を覚ますとそれぞれが棺に閉じ込められていた。パニックになり蓋を開けたり叫ぶが彼女たちは昨夜のリリーたちと同じ状況に陥っていることに気がつく。そして足元を見るとリリーとギルティネの悪霊が全員に襲いかかり天罰を加えたところで物語は終了する。
オジーのダンジョン
1999年、子供たちが実際に危険な障害物コースに挑戦しクリアすると夢を叶えるチャンスを得るという内容だった人気子供向けゲーム番組「オジーのダンジョン」が放送されていた。
司会者のオジー(スティーブン・オッグ)は、親しみやすいキャラを演じていたが、実際には全ての裁量を一任された神のような存在で、実際の性格も自己中心的で冷酷な人間だった。
ある回で、少女ドナが出場する。彼女は必死に障害物をクリアしようとするが、ライバルの子供がドナの脚を叩き、彼女は足を折る重傷を負ってしまう。しかし、大量の出血と千切れかかった足が映し出されるが、オジーは観客を盛り上げながらドナに対して一切の同情を示さず、さっさと妖精たちにお願いしてドナを連行させると、普通に番組を続行し会場は大盛り上がりしたが、この事件が大きな問題となり、番組は打ち切りとなる。
数年後、ドナの母親デブラと夫の二人が、地下室でオジーを誘拐して小さな檻に監禁しているシーンが映し出される。
檻の前にはドナが座っており、デブラはあの怪我が原因で娘は足に酷い障害を負ってしまったとオジーを攻め立てると、娘が受けた屈辱と苦痛に対する復讐を始める。

カメラが横を向けるとそこには番組と同じ障害物コースが再現されていた。
デブラはオジーに、娘が経験したのと同じ試練を強制する。オジーは屈辱的な課題をこなさなければならず、失敗するたびに拷問が待っている。彼は泥水の中を這い、電気ショックを受け、身体を傷つけられる。かつて子供たちを嘲笑していたオジーは、今度は自分が苦しむ番だった。
オジーは何とか脱出しようと試みるが、デブラは容赦しない。彼女は娘が受けた痛みを、何倍にもしてオジーに返そうとしている。障害物コースは徐々にエスカレートし、より危険で残酷なものになっていく。
次にデボラがオジーを連れて行ったのはかつてのオジーのダンジョンセットがあった場所で、先に進むと極端にお腹が肥大化した女性が祀られており、複数の信者らしき人が彼女に向かって跪いている。なんだこれ、という表情でオジーが女性に近づくと突然お腹から巨大な化け物が生まれ謎の怪光線を出し始める。そこにいた全員の顔が溶けたところでもの語りは終了する。
覗き見少年たち
1999年、郊外に住む10代の少年たち、ブレイディ、ディラン、カート(タイラー・ロフトン)、マーク(クリー・カワ)、ボーナー(ダンカン・アンダーソン)は、暇を持て余しビデオカメラを使って悪ふざけを撮影したり、近所の女の子たちを盗撮したりして過ごしていた。ブレイディはその中でもいじられ役で馬鹿にしていた。

ある日、向かいの家に魅力的な金髪の女性サンドラ(エミリー・スウィート)が引っ越してくる。少年たちはサンドラに夢中になり、彼女を盗撮しながらブレイディをけしかけて友達になってこいとイタズラをするが、驚いたことにブレイディはサンドラと友達になることに成功し、彼女の家に招待される。
調子に乗った仲間たちはブレイディに、サンドラのコンピューターにスパイウェアをインストールし、ウェブカメラをハッキングして彼女の裸を見せろと強要する。ブレイディは罪悪感を感じながらも、仲間外れにされたくないため、渋々従う。
その夜、少年たちはハッキングしたウェブカメラを通じてサンドラの部屋を覗き見る。サンドラが服を脱ぎ始め全裸になり少年たちは興奮する。ブレイディは居た堪れなくなり部屋を後にする。
ブレイディが立ち去った後、仲間たちが覗きを続けているとサンドラが金髪のかつらを外し、中から髪の毛が蛇のゴルゴンーーギリシャ神話に登場する蛇の髪を持つ怪物に変身する。
何が起きているんだとパニックを起こす暇もなく、ゴルゴンとなったサンドラが彼らの部屋に飛び込んでくると若者の一人を八つ裂きにすると、他の若者たちを皆石に変えていく。サンドラの庭にあった石像は全て彼女の犠牲者だったことがわかったところで物語は終了する。
結末ネタバレ:地獄へ行って帰ってくる
1999年12月31日、ミレニアムを迎える前夜、二人の映像作家アーチェラウス(アーチェラウス・クリサント)とトリスト(ジョセフ・ウィンター本人)は、あるオカルト教団の悪魔召喚儀式を記録するために教壇に侵入していた。教団は、新しいミレニアムの到来と共に悪魔を召喚するため、テーブルの上に生贄の女性を横たわらせ儀式を始める。
時計の針が0時になりミレニアムが訪れた瞬間、予想外のことが起こる。
生贄の乗ったテーブルの下から悪魔が飛び出しアーチェラウスとトリストを地獄へと引き摺り込んでしまう。赤暗く荒涼とした岩だらけの渓谷に立っていた二人はカメラを回し地獄に来てしまったことを理解し慌てて周囲を撮影する。
よく見ると周囲には様々な悪魔や怪物が徘徊しており、二人は恐怖に駆られながら逃げ回るが、どこへ行っても危険が待ち受けている。奇妙な生き物、拷問を受ける魂たち、グロテスクな風景が次々と現れる。

そこへ、一人の逃亡中の女性メディア(メラニー・ストーン)と合流する。彼女は地獄に囚われた魂で、長い間この場所にいるという。メディアは二人に、真夜中の12時ちょうどに通過すると地獄から脱出できるポータルに向かっていると告げ二人も同行する。
メディアの案内で、アーチェラウスとトリストは地獄の奥深くへと進んでいく。途中、様々な悪魔や怪物に襲われるが、何とか撃退しながら進み、食料は拷問されて焼かれた人間を食べ、地獄の風景は悪夢のようで、人間の理性では理解できない光景が広がっているが死に物狂いでメディアの後を追う。
やがて、彼らはポータルのある場所にたどり着くが、数多くの悪魔たちが周囲を守っていた。3人はそれぞれ武器を持って戦い活路を見出したと思われたが、メディアは巨大な悪魔に殺されてしまう。二人は謝りながらポータル(巨大な人の開いた腹)に飛び込む。
光に包まれ、二人は現実世界へと戻ってくるが、現実世界では少しも時間が経っておらず、周囲を見渡し安堵した瞬間に二人は信者に殺されて物語は終了する。
『V/H/S/99』作品情報
映画『V/H/S/99』を手がけた監督陣と主要キャストの情報を紹介する。本作は5人の監督による共同制作で、それぞれが1999年という時代背景を活かした独自の恐怖を描き出している。
興行収入
本作はShudder独占配信作品のため劇場公開は行われなかったが、ホームビデオセールスで607,955ドルを記録した。配信初日から4日間で、前作V/H/S/94を28%上回る視聴者数を獲得し、Shudderの配信記録を更新した。同期間中、Shudderのオンデマンドストリーム全体の22%を占め、AMC+では週末で最も視聴された映画となった。
フライング・ロータス監督情報
本名スティーブン・エリソン、1983年10月7日ロサンゼルス生まれ。ジャズピアニストのアリス・コルトレーンの孫であり、サックス奏者ジョン・コルトレーンの大甥という音楽的血統を持つ。2006年にAdult Swimでの楽曲採用をきっかけにキャリアをスタートさせ、レコードレーベルBrainfeederを設立した。
音楽プロデューサーとしては『1983』(2006)、『Los Angeles』(2008)、『Cosmogramma』(2010)、『You’re Dead!』(2014)、『Flamagra』(2019)など7枚のアルバムをリリースし、批評家から高い評価を受けている。ケンドリック・ラマーの『To Pimp a Butterfly』ではプロデューサーとして参加し、グラミー賞のアルバム・オブ・ザ・イヤーにノミネートされた。映画監督としては、2017年にサンダンス映画祭で物議を醸した長編デビュー作『Kuso』を発表。極端にグロテスクな映像で多くの観客を退席させたことで悪名高い作品となった。2025年にはSF
ホラー映画『Ash』を監督している。
主演リリー役「アリー・イオアニデス」情報
「スーサイド・ビッド」セグメントで主人公を演じたアリー・イオアニデスは、アメリカの若手女優。1998年生まれで、テレビシリーズ『Into the Badlands』(2015-2019)でのティルダ役で広く知られるようになった。同作では、マーシャルアーツを駆使したアクションシーンで注目を集め、若手アクション女優としての地位を確立した。
本作では、女子学生会への入会を夢見る大学新入生リリーを演じ、徐々に恐怖に支配されていく様子を熱演している。特に棺の中で蜘蛛に襲われ、溺れそうになるシーンでの演技が高く評価されている。最終的にギルティネの霊に取り憑かれて復讐の化身となる変化を見事に表現した。他の出演作品としては、ドラマ『Law & Order: Special Victims Unit』や映画『The Curse of La Llorona』(2019)などがある。ホラージャンルへの出演も多く、今後のジャンル映画での活躍が期待される女優の一人だ。
海外の感想評価まとめ
映画『V/H/S/99』は批評家から概ね好意的な評価を獲得したものの、前作V/H/S/94ほどの熱狂的な支持は得られなかった。Rotten Tomatoesでは批評家支持率76%、観客支持率48%を記録し、Metacriticでは58点という賛否両論の評価となった。IMDbでは5.2点と、シリーズの中では低めのスコアだ。なぜこの評価になったのか、海外レビュアーたちの評価を見ていこう。
IMDb(総合評価:5.2/10)
①シリーズのすべての映画を見てきたが、99はViralと並んでシリーズ最悪の出来だ。サスペンスが全くなく、墓地に埋められた女の子のシーンだけは緊張感があったが、怪物が登場した瞬間に台無しになった。その怪物は紙と泥で作った仮面よりも安っぽく見えた。前作94には少なくともラートマというスタンドアウトなセグメントがあったのに。
②5つのストーリーのうち、特にひどいものはないが、過去のV/H/S作品が達成した高みには到達していない。1時間50分という上映時間はこの種のアンソロジーには長すぎて、時間の経過とともにダレてくる。オジーのダンジョンは可能性があったが退屈になり、地獄へ行って帰ってくるも同様だ。最も完成度が高いのはスーサイド・ビッドで、良い恐怖シーンと巧妙なエンディングを持っている。
③各セグメントにそれぞれ本当に素晴らしい何かがあり、今年見たファウンドフッテージ作品の中で確実に印象に残る内容だった。一つの地獄のような良い時間を過ごせるはずだ。ホラー愛好家なら、このアンソロジーのアップダウンをよく知っているだろうが、全体として楽しめる作品だ。
④これは冗談のようなひどい出来だ。この映画には怖いものが一つもない。もし誰かが怖いと言うなら、頭を検査してもらうべきだ。すべてのセグメントが安っぽいクリーチャー・フィーチャーで、一つとして現実に基づいたものがない。V/H/S 94のボツネタを寄せ集めて、金儲けのために作ったように感じる。
Rotten Tomatoes(批評家:76% / 観客:48%)
①前作94よりは大胆だが、やや一貫性に欠ける作品だ。それでもV/H/S 99は良いホラー映画であり、V/H/Sフランチャイズへの素晴らしい追加作品だ。各セグメントの質にばらつきはあるものの、全体として粘着質で不快な90年代後半へのトリビュートとして機能している。
②特に「地獄へ行って帰ってくる」の2つのセグメントは、シリーズ最高のものに数えられる。フライング・ロータスのセグメントを見て、ただ大笑いして「うわあ、フライング・ロータス、お前の脳みそは本当に奇妙だな」と思わされた。彼の独特な感性が光る作品だった。
③ホラーアンソロジーファンや以前のV/H/S作品を楽しんだ人なら、V/H/S 99にも楽しめる要素が十分にある。ただし、アンソロジーシリーズが5作目に入り、フランチャイズのカセットにどれだけテープが残っているのか疑問に思わざるを得ない。キャンプとコメディの追加は進化の証だが、どこまで続けられるのだろうか。
Metacritic(総合評価:58/100)
①V/H/S 99は90年代の課題を理解し、ガッツにまみれた低予算の混沌を作り上げている。ノスタルジアに満ち、パンクな態度を持った統一されたアンソロジーだ。各セグメントは走りすぎる感もあるが、ワイルドで記憶に残る瞬間が詰まっている。
②映画が蛇行せず、製作者が時間の使い方を理解しているときは、V/H/S 99は創造的なエネルギーで震えている。最高の時は、深夜にテープを再生してテレビの光を部屋に浴びせる喜びがある。しかし、すべてのセグメントがその高みに達しているわけではない。
③枯渇の感覚がある。V/H/S 99は過去のヒット作を奪い取り、自らを可動的で活力あるものに保とうとする悲惨な努力をしているように感じる。アイデアは強いが、実行能力の欠如により、最終的なプロジェクトは苛立たしく失望的なものになっている。
批評家レビュー
映画専門メディアの批評家たちによる詳細なレビューを紹介する。
RogerEbert.com 2.5/4
ブライアン・タレリコ氏「怒りの叫びのような映画」
V/H/S 99は悪意に満ち、怒りに満ちた映画だ。偶然かもしれないが、これらのファウンドフッテージ短編映画のすべてが、人々が「やりたい放題やって、その報いを受ける」様子を描いているように意図的に感じられる。これは新しいミレニアムの始まりについての映画ではなく、古いミレニアムの終わりについての映画なのだ。無責任な馬鹿者、意地悪な女子学生会員、人を操るテレビ司会者などに対する扉を激しく閉ざす映画である。
全体的な映画としては、いくつかのセグメントがうまく機能していないため、より強力なリブート作V/H/S 94よりも一貫性に欠けると感じた。しかし、全体として怒りの叫びのような作品であることは評価できる。私は今でも、毎年新しいV/H/S映画が作られることを望んでいる陣営にいる。
評価点 ヴァネッサ&ジョセフ・ウィンター夫妻の「地獄へ行って帰ってくる」は、地獄を舞台にしたファウンドフッテージ映画というクレバーなアイデアが素晴らしい。メラニー・ストーンの演技も楽しく、サタンの領域での狂気をガイドする役割が見事だった。ヨハネス・ロバーツの「スーサイド・ビッド」も優れたセグメントで、恐怖と巧妙なエンディングを持っている。
批判点 マギー・レヴィンの「シュレッディング」は最悪のセグメントだった。混乱した、一貫性のない、ただうるさいだけの短編で、V/H/Sシリーズの底辺に位置する。何も言いたいことがないのに、ただ叫んでいるだけだ。ストリーミングサービスで視聴する観客は、最初のセグメントが悪いとすぐに離脱してしまう可能性がある。
IGN 7/10
マット・ドナート氏「フランチャイズ史上最大の賭け」
V/H/S 99はフランチャイズ史上最大の賭けだ。実践的な特殊効果の使用と、蜘蛛恐怖症や生き埋め恐怖症といった一般的な恐怖症の描写によって不安と恐怖を生み出すことに成功している。各セグメントは狂乱したファウンドフッテージの楽しさを資本化し、電撃的な混沌で吠え、観客を痛めつけるのが大好きな爆竹の束のように爆発し続ける。
1999年という時代設定も効果的に機能している。VHSテープの最後のアナログな日々と、地獄のような新しいミレニアムへの一大飛躍を描いている。従来の狂言回しストーリーを廃止し、おもちゃの兵隊のストップモーションアニメーションで繋ぐという創造的な選択も新鮮だった。
評価点 実践的な特殊効果が素晴らしく、CGIに頼らない恐怖の演出が評価できる。各セグメントが異なる種類の恐怖を提供しており、飽きさせない工夫がされている。特に「スーサイド・ビッド」の閉所恐怖症の演出は見事だった。
批判点 すべてのセグメントが均等に成功しているわけではない。特に「オジーのダンジョン」は途中でペースが落ち、退屈になる。また、1時間50分という上映時間は長すぎて、アンソロジー映画としては冗長に感じる部分がある。
Variety 否定的評価
デニス・ハーヴェイ氏「最高のエピソードでも十分なだけ」
最高のエピソードでもせいぜい十分なだけで、最悪のものは退屈なだけだ。おもちゃの兵隊の面白いストップモーションアニメーションがセグメント間の幕間として機能しているのは評価できるが、V/H/S 99は視聴可能ではあるものの期待外れのフランチャイズの時計打ちを提供しており、記憶に残るハイライトがない。
V/H/S 99は90年代の課題を理解し、それに忠実であろうとしているが、結果として得られるのは単なるノスタルジアに過ぎない。実質的な恐怖やイノベーションが欠けており、フランチャイズが新鮮さを失いつつあることを示している。セグメント間のトーンの違いも大きく、統一感に欠ける作品となっている。
評価点 おもちゃの兵隊のストップモーションアニメーションは創造的で、従来の狂言回しストーリーよりも視覚的に面白い。一部のセグメントには強いアイデアがある。
批判点 強いアイデアを持っていても、実行が伴っていないセグメントが多い。各セグメントが長すぎて、アンソロジー映画に相応しいキレのあるエンディングを持っていない。全体として記憶に残るハイライトがなく、凡庸な仕上がりだ。
Common Sense Media 肯定的評価
ジェフリー・M・アンダーソン氏「前作よりは控えめだが十分な衝撃」
前作ほど野心的ではないが、この不均一ながらも良質な第5作は、十分な衝撃と残酷な創造性を提供しており、見る価値がある。V/H/S 99は、ファウンドフッテージホラーというサブジャンルがまだ生命力を持っていることを証明している。
各セグメントは1999年という時代を効果的に再現しており、VHSテープ、Y2K恐怖症、90年代後半のポップカルチャーへの言及が随所に散りばめられている。特に若い観客にとっては、この時代への郷愁が新鮮に感じられるだろう。ホラー愛好家にとっては、粘着質で不快な体験を求めるなら満足できる作品だ。
評価点 時代考証が丁寧で、1999年という設定が単なる飾りではなく、各ストーリーに組み込まれている。実践的な特殊効果の質が高く、グロテスクな描写がリアルだ。
批判点 セグメント間の質のばらつきが大きく、優れたものと平凡なものが混在している。全体的に前作V/H/S 94ほどの勢いや革新性は感じられない。
(Common Sense Media – V/H/S/99)
個人的な感想評価
先に85を見てしまったから、それに比べると全体的にまとまっているクソ短編映画って感じで良かったかも。シュレッディングは勢いの良いクソ作品といった印象を受けたが、次のスーサイド・ビッドは少女が棺桶に埋められて恐怖体験からの普通に溺死からの復讐という結構小君良いテンポとオチで面白楽しみ、オジーのダンジョンでなんとかテンションを維持してくれた。失敗っぽい雰囲気を醸し出していた覗き見少年たちも美しい女性の裸体を堪能したあと正体はゴルゴン(メデューサ)で全員ぶっ殺されてくノリも良い。そして何より本作の最も光った作品は地獄へ行って帰ってくる。だ。
最初のテーブルの下から出てくる死霊の映像とスピードが結構怖くて良い感じかも?という期待を全く裏切らず。地獄の様子もどうせ地獄っぽく見せただけ・・・と思ったら、しっかりロケハンしたんだろうね。夜中、赤暗く光る渓谷は見事に地獄っぽさを演出しており、さらに地獄に滞在する様々な化物や悪魔そして拷問された人間たちが、初めて地獄に落ちた二人の恐怖するタイミングと出現が綺麗にマッチしていて、この地獄めぐりが死ぬほど楽しくて、本当に地獄なのかもと思わずにはいられなかった。
85が全体的に微妙で最後のオチも微妙だっただけに全く盛り上がりに欠けるシリーズと思っていたら、まさか前作99の方が面白いとは、レビューを読んでいたら94が最も面白いってことだったからこれからみようと思う。
まとめ
本記事では、映画『V/H/S/99』の5つのセグメントすべての詳細なあらすじと結末ネタバレ、そして海外での批評家と観客の評価を紹介してきた。
海外での評価は前作V/H/S 94と比較すると控えめだった。
特に評価が高かったのは、ヨハネス・ロバーツの「スーサイド・ビッド」とヴァネッサ&ジョセフ・ウィンター夫妻の「地獄へ行って帰ってくる」の2つのセグメントだ。前者は閉所恐怖症と蜘蛛恐怖症を効果的に使った恐怖演出が、後者は地獄を舞台にしたファウンドフッテージという斬新なアイデアが高く評価された。一方で、オープニングを飾った「シュレッディング」は最も弱いセグメントとして批判され、ストリーミング配信という形態では致命的な選択だったとの指摘もある。
配信記録の面では大成功を収め、Shudderの歴代最高視聴者数を更新したものの、批評的には前作に及ばなかった。それでも、V/H/Sフランチャイズが5作目にして新たな実験的アプローチに挑戦したことは評価に値する。従来の狂言回しストーリーを廃止し、おもちゃの兵隊のストップモーションアニメーションで繋ぐという構成は、賛否両論を呼びながらもシリーズに新しい風を吹き込んだ。
ファウンドフッテージホラーのファンや、V/H/Sシリーズの愛好家にとっては、本作も見逃せない一本だ。前作ほどの完成度は期待できないかもしれないが、1999年という時代へのノスタルジアと、ミレニアムを迎える不安が入り混じった独特の雰囲気は、この作品ならではの魅力となっている。特に「地獄へ行って帰ってくる」は、V/H/Sシリーズ全体の中でも屈指の名作セグメントとして、長く記憶に残るだろう。