映画『SCREAM BOAT スクリームボート』あらすじ結末ネタバレと海外の感想評価まとめ

「テリファーの中の人が殺人ミッキーってだけで十分面白い」映画『SCREAM BOAT スクリームボート』のあらすじ結末までネタバレと海外の感想評価をまとめて紹介する。アメリカで制作された本作は原題『Screamboat』で2025年4月2日(水)に公開されIMDb4.0点、RottenTomatoes批評家53%、観客79%、Metacritic44点と、ジャンル内では異例の観客支持を獲得したコメディ・ホラー作品である。

1928年にウォルト・ディズニーが創造した1927年の短編映画『スチームボート・ウィリー』が2024年1月1日に著作権パブリックドメインに突入したことで、わずか1日後に本企画が発表された。地球上で最も有名なネズミはもはや誰のものにもならない。監督スティーヴン・ラモルテは前作『The Mean One(ザ・ミーン・ワン)』でグリンチをホラー化させて話題を呼んだ。本作では、その猛禽のような視点で、ディズニーの象徴的存在を血に塗れた殺戮者へと変貌させた。主人公セレナ・ルイス(アリソン・ピッテル)は、ミネソタからニューヨークへ移住した野心家。彼女が搭乗したスタテンアイランド・フェリーが、ミニチュアサイズの悪夢へと変貌する。

本作の監督は『The Mean One(2022)』『Bury Me Twice』などの作品で知られるスティーヴン・ラモルテ。『Terrifier』シリーズで世界的に有名になったデヴィッド・ハワード・ソーントン(デヴィッド・ハワード・ソーントン)がスチームボート・ウィリーを演じた。

今回は、異色作として注目を集める映画『SCREAM BOAT スクリームボート』のラストについて解説&考察していこう。以下の内容は本編の結末のネタバレを含むため、必ず劇場で鑑賞してから読んでいただきたい。また、極度の暴力表現、性的暴力に関連する比喩表現、強烈なゴア描写の解説も含まれるため、注意していただきたい。

『SCREAM BOAT スクリームボート』あらすじ結末ネタバレ

ここから先は『SCREAM BOAT スクリームボート』の核心である重大なネタバレを含む。ニューヨークハーバーを舞台に、一隻の老朽化したフェリーが夜間航行を開始したとき、90年間もの間、船底に封印されていた怪物が解放される物語の全容をお伝えする。

封印されたネズミの解放

冒頭に「全ての逆境は私にとって良いことだった」的なテキストが入る、発言したのは

Walt D.

誰?

そして物語が始まる。

霧の立ちこめた深夜のニューヨーク。

港に停泊しているフェリー『ジョセフ・パリッツァー号』のメンテナンス作業員ニールとドミニクが船底のメンテナンス中に異形の生き物に襲われ殺されてしまう。一瞬だけ映った影から邪悪な顔を持ったまん○画太郎のねずみドクミのようにも見える。

姿を現したこのネズミこそがスチームボート・ウィリー(デヴィッド・ハワード・ソーントン)。かつてディズニー帝国の象徴だった喜劇的なネズミは、今や異形の生物へと堕ちていた。体調は60cmほど、体を覆う毛皮はドブネズミのようにくすんで汚れた灰色で、顔は邪悪な笑顔が張り付いた人間的な顔つき、口笛を吹くのが好きだが、本来の陽気さのかけらさえ失い、純粋な殺意と狡知に満たされていた。

もともと船底に閉じ込められていたがメンテナンス作業員が容易に封印を解き放ったため復活したらしいが、メンテナンス作業員が開いている最中にすでに周囲を歩き回る姿があったので、元々この機関室に住み着いていたのだろう。

フェリーの乗客たちの終わりなき悪夢

フェリーには多様な乗客たちが乗り込んでいた。バーテンダーで仕立て屋志望のセレナ・ルイス(アリソン・ピッテル)は、ミネソタから夢を追ってニューヨークに移住した女性。彼女はディズニープリンセスの衣装に身を包んだ6人の無礼な女性たち――シンディ(シンディ)、ジャッジ(ジャッジ)、ベラ(ベラ)、イルサ(イルサ)、アリアナ(アリアナ)、ローリー(ローリー)、タイムズスクエアの「裸のカウボーイ」的な男、ピーターパンの衣装をした者、自由の女神のコスプレをした男、その他の雑多なニューヨーク市民が乗り込んでいた。

フェリーの乗務員のピート(ジェシー・ポーセイ)、艦長クラーク(艦長)、中尉ディアス(中尉)、船医アンバー(エイミー・シューマッハー)。

フェリーはニューヨーク港を離れ出航するとウィリーは突然、乗客たちへの無差別な殺戮を開始する。自由の女神のコスプレ男性は頭の被り物をウィリーに盗まれ追いかけている最中に頭に松明をブッ刺されて殺され、警察官のオハレは、ハンマーで足と手を砕かれ、その後、フェリーのプロペラに顔を吸い込まれていった。そのウィリーによる殺害現場を見てしまったセレナが悲鳴をあげるとウィリーが振り向きセレナのことを見た瞬間、なぜか恋に落ちてしまう。後述するがセレナの服装は白いブラウスに赤いスカート、、、わかるだろ?ミッキーの彼女だよ。

セレナはすぐに周囲に助けを求めるが誰も信用してくれないのだった。

そんななんかウィリーは止まることを知らず、船長クラークの喉をレーザーワイヤーで首を絞めると左右に動かし首を引き裂く。口笛を拭きながら殺した後、蒸気船ウィリーの音楽が流れ始めると、ウィリーは船長の遺体を踏み台にして舵を動かし陽気に口笛を吹くのだった。

次に例の無礼な女6人組の二人ローリーとベラが配信用にダンスを踊っていると、音楽にイラついた聴いたウィリーはフォークリフトで顔面をブッさし殺す。

流石にウィリーの正体がバレて、乗務員全員を集めて危険なネズミがいると説明するが誰も信じようとはせず笑っていると、背後から忍び寄ったウィリーがみんなが見ている前で船員の喉をほうきでブッ刺して殺したことで、ついに殺人ねずみウィリーの存在が知れ渡る。

が、たかが60cm程度の二足歩行で歩くネズミが恐ろしいわけもなく、乗客たちが全員でウィリーをぶっ殺そうと駆け寄るが、ウィリーは消化用ホースから大量の水をぶっかけて全員を感電死させ、圧勝の喜びの舞を踊ったのはウィリーだった。

圧勝したウィリーがビールに酔ってロッカーで眠っていると、保安官と乗客がいちゃいちゃし始め口淫をしていると眠りを妨げられたウィリーが怒り、マチェーテで男性の男性を切断して女もぶっ殺す。

無線を直そうとした男には先ほど切り落とした男性器を口に突っ込み怯んだタイミングでテレビを落として顔面を潰してしまう

ウォルトと蒸気船とねずみのウィリー

生き残ったセレナたちはかつて1960年頃に甲板員としてこの船で働いていた老人から、蒸気船の船長ウォルター(通称ウォルト)は、貨物として乗っていた科学者たちによって生み出された実験動物ねずみのウィリーを哀れみ、彼を解放して自由と尊厳を与え、ウォルターはウィリーと友情を育むが大嵐によって、ウォルターはその命を失ってしまう。

失意のどん底のウィリーは船底の奥深くで絶望のまま過ごしていたが、数十年の間に、ウィリーはかつての優しさを失い無差別に人間を殺す殺人ネズミになってしまったこと。このフェリーは蒸気船ではないが、ウィリーが眠っていた船底部分を使って製造されたのではないかと推測する。

老人が渡してきた古い写真にはウォルト船長と愛くるしい表情のウィリーの姿があった。

そんなことをしている間にも船底の機関室を調査していた作業員と保安官はウィリーによって蒸気で顔を溶かされマチェーテで顔をブッ刺され、保安官は自分で撃ったせいで漏れ出したオイルで燃やされて殺されてしまう。

生存者たちの必死の抵抗

生き残った乗客たちは機関室でウィリー捜索をしていると、冒頭で殺されたとも割れていたメンテナンス作業員のドミニクが現れ、一緒に行動するが、ドミニクは突然鈍器で襲いかかり始める。困惑する生存者たちの前でドミニクは安全メットに円盤を取り付けたまるでミッキーランドのお土産売り場にありそうな手作りメットを装着すると、私の新しい隊長の命令なの、世界はみんな狂っている、みんなウィリーと一緒にとよくわからないことを言い出す。どうやら錯乱しているようだ。

セレナは船医のアンバーと二人で機関室の捜索をしていたが、ウィリーに襲われ殺されそうになる。しかしウィリーがセレナを見つけると犠牲者の耳で作った花束を渡そうとするが、その隙にアンバーがドライバーをウィリーの目に突っ込み撃退に成功する。

錯乱したドミニクが負傷したウィリーを見つけると、ドミニクはウィリー船長の命令した通りにしましたと敬礼するが、ウィリーは虫の居所が悪くドミニクの顔を噛みちぎり始める。その隙を逃さずドミニクが隠し持っていた信号弾をウィリーとドミニクに撃つと漏れ出ていたオイルに引火して二人を火だるまにする。

結末ネタバレ:不死のモンスターの帰還

生き残った乗客たちが爆発で開いた穴から海水が浸水してくる中なんとか脱出を試みるが、ウィリーはしつこく追いかけてくる。ピートは浸水してくる閉所に残り囮になりウィリーと一緒に水の中に沈んでいく。

生き残ったセレナとアンバーと乗客の子供の3人が生還を喜んでいると、乗客の子供が老人が持っていた古い写真を拾い何気なく開くとそこには、船長、ウィリー、そしてもう一匹のメスの実験ねずみのミニーが写っていた。セレナはそこでウィリーがセレナにミニーを重ねたことで殺されなかったどころか、耳の花束を渡してきたのだと気づく。

覚悟を決めたセレナは船長をぶっ殺すと着替え始める。

今度はアンバーと乗客の子供が囮になってウィリーを誘い出すと、セレナが予想を遥かに超える安っぽいミニーのコスプレ姿で登場する。あまりの低レベルなコスプレっぷりに驚いたアンバーはウィリーに胸を貫かれて殺されてしまう。

それでもウィリーには効果があったようでウィリーはミニーに発情して近づいた隙を狙って脊髄にハサミを突き刺しぶっ殺す。

なぜかアンバーは生きており、死に際にウィリーは現代ミッキーの代表的な笑い方を披露すると海の中に落ちていく。

生き残ったセレナ、アンバー、子供は港に到着して生還を喜んでいる。

その近くのゴミ溜まりの中でウィリーは瀕死の状態で打ち上げられている。前から現れたのはミニーだった。

このシーンで物語が終了する。

と思ったが、ミッドクレジットで海上保安庁の無線から囮になって死んだピートの声がする。ピートの救助要請を聞いた海上保安庁が駆け出した後、無線からはウィリーの笑い声が聞こえる。

考察:もう続編決定

ウィリーの元に近づく、別の生物の姿がある。背後からのみ見えるが、同じように痩せ衰えた灰色のネズミ。その正体は、90年前に海に落とされたはずのミニー・マウスである。ミニーもまた、同じ科学者たちの実験の産物であり、ウィリーと同じような変異していることが毛並みから伝わってくる。

フェリーの恐怖は終わったのではなく、むしろ新たな始まりへと移行したのである。無線のくだりも続編を示唆する程度のものだったが、この映画が公開後、すぐに『Screamboat 2: Nothing Stays Dead(スクリームボート2:何も永遠には滅びない)』の制作発表がされている。

Screen Rant – Screamboat Ending Explained

『SCREAM BOAT スクリームボート』作品情報

『SCREAM BOAT スクリームボート』は、1928年にウォルト・ディズニーが初代ミッキーマウスを描いた短編『蒸気船ウィリー』を、著作権パブリックドメイン化を機に、現代のホラー・コメディ映画へと再構成した作品である。以下、制作者および出演陣の詳細情報を紹介していく。

興行収入

『SCREAM BOAT スクリームボート』は、2025年4月2日にアメリカで劇場公開された。日本国内での劇場公開は実現せず、海外先行公開作品として位置づけられている。アメリカでは600スクリーンの規模で公開され、予想を上回る観客動員を記録した。同作はストリーミングおよびホームメディアでの展開も行われ、2025年5月2日にはPeacockおよび各種デジタルプラットフォームでの配信・販売が開始された。

スティーヴン・ラモルテ監督情報

スティーヴン・ラモルテは、アメリカの映画監督・製作者であり、ロサンゼルス在住。イタリア系アメリカ人でスタテンアイランド出身という背景から、本作の舞台となるスタテンアイランド・フェリーへの個人的な執着が制作の原動力となった。ラモルテは、ソニー、アップル、WWE、ミス・ワールド・アメリカなど大手企業との商業プロジェクトを手がけ、独特のビジュアル美学とポストプロダクション技術で知られている。

最も著名な作品は『The Mean One(ザ・ミーン・ワン)』(2022年)。本作は『How the Grinch Stole Christmas(クリスマスの怪人)』をホラー化した作品で、グリンチが殺人鬼へと変貌する物語を描いた。この映画は当初、ソーシャルメディア上で拡散される短編トレーラーとしてスタートしたが、その予想外の人気から、ラモルテが長編映画化を決断。業界内で話題となり、『Terrifier 2』の製作チームとの協力によって『Screamboat』の企画も立ち上がった。『The Mean One』はアメリカで無料配信されたにもかかわらず、カルト的な人気を獲得し、国際的な知名度をもたらした。

the mean one kill countクリップ集↓

『Bury Me Twice』『Memory Lane』など、複数の短編作品も手がけており、ラモルテのスタイルは、実践的な特殊効果、映画的な視覚表現、感情的な物語性を融合させたものとして特徴づけられている。

主演 スチームボート・ウィリー役「デヴィッド・ハワード・ソーントン」情報

デヴィッド・ハワード・ソーントン(1979年11月30日生まれ)は、アメリカの俳優・声優。アラバマ州ハンツビル生まれ。ハンツビル高校を卒業後、アラバマ大学モンテヴァロ校で初等教育を学んだ。幼少期から地元のファンタジー・プレイハウス・チルドレン・シアターに参加し、舞台経験を積んだ。

ソーントンは、当初、声優業で多くの作品に携わった。ビデオゲーム『Invizimals: The Lost Kingdom』(2013年)では複数キャラクターの声を担当し、200以上の異なるインプレッション(模倣)と25の異なる方言を習得した。しかし、彼の人生を変えた転機は2016年の『Terrifier(テリファイヤー)』である。本作でアート・ザ・クラウン(殺人ピエロ)を演じ、ファンゴリア・チェーンソー・アワードのベストサポーティング・アクター部門にノミネートされ、2018年フライト・メーター・アワードでベストアクターを受賞した。

『Terrifier 2』(2022年)では同役を再度演じ、わずか25万ドルの予算で1,500万ドルの興行収入を達成。批評家からも好評を得た。その後『The Mean One』(2022年)でザ・ミーン・ワン役を担当し、独特のミミック才能を発揮した。2024年には『Terrifier 3』で再びアート・ザ・クラウンを演じ、『ジョーカー』を抑えて興行成績第1位を記録した。本作『Screamboat』では、スチームボート・ウィリーという新たなホラー・アイコンを演じることになった。

ソーントンは古典的な身体表現と無言劇のスタイル(マイム訓練を受けている)を融合させ、言葉を発しないキャラクターに深い恐怖と喜劇性をもたらす才能を持つ。

主演 セレナ・ルイス役「アリソン・ピッテル」情報

アリソン・ピッテルは、映画『Stream』(2024年)と『Screamboat』(2025年)で注目される若き女優・プロデューサー。ミシガン州立大学を卒業後、ニューヨークの名門演技学校ネイバーフッド・プレイハウスでマイスナー・テクニックを学んだ。プレイハウスではジェームス・ブリルの指導下で、集中力と感情的リアリズムに基づいた演技法を修得した。

COVID-19パンデミック期間中、プレイハウスのカリキュラムはZoomを通じて実施されるという困難な状況の中での学習となったが、ピッテルはそこで執念深い俳優としての基礎を構築した。卒業後、彼女は複数の映画プロジェクトに参加し、製作陣としても機能してきた。彼女の情熱は、独立系映画の製作過程にあり、その協働的で、チーム全体が一体となって目標達成に向かうプロセスを愛している。

ピッテルは自身のキャリアにおいて「一発逆転」を経験していない。むしろ、数多くの小さな転機が積み重なることによってキャリアが成長していくという、ハリウッドの現実を体現している。『Screamboat』でのセレナ役は、彼女自身のミネソタ州からニューヨークへの移住経験と重なり、個人的な共鳴を生み出した。

海外の感想評価まとめ

『SCREAM BOAT スクリームボート』は、予想外の混合評価を受けた。公開直後の映画批評家からは賛否両論が寄せられたが、観客からの支持は明確であった。なぜこの評価になったのか?海外レビュアーたちの具体的な視点を見ていこう。

IMDb(総合評価:4.0/10)

① スティーヴン・ラモルテが『The Mean One』で実証した才能は、本作では完全に花開いている。彼は『スチームボート・ウィリー』のパブリックドメイン化という機会を、単なるカネ儲けではなく、マルチレイヤーのホラー・コメディへと昇華させた。デヴィッド・ハワード・ソーントンの非言語的パフォーマンスは、アート・ザ・クラウンの系譜を継ぎながらも、完全に独立した存在感を獲得している。フェリーという限定空間の設定は、実に効果的であり、スタテンアイランド・フェリーの実在感が、映画全体に不可思議なリアリティをもたらしている。

② 『SCREAM BOAT スクリームボート』は、『Winnie the Pooh: Blood and Honey』や『The Mouse Trap』といった競合作品を圧倒的に上回るクオリティを備えている。カメディの調子、ゴア描写の創意工夫、スタテンアイランド・フェリーという具体的なロケーションの選択。すべてが相互に作用し、低予算ながらも映画的質感を保持している。ディズニー・キャラクターの冒涜という主題そのものが、観客に対して「悪ふざけ」の快感を与えるメカニズムが機能している。

③ 『Terrifier 3』の製作者たちが『Screamboat』をサポートしたという事実が、本作の品質保証となっている。ホラー・ジャンルの現在の流行――パブリックドメイン・キャラクターの再解釈――の中で、本作は確かな理由付けを持っている。デイヴィッド・ハワード・ソーントンのパフォーマンスは、彼の代表的な領域である身体表現と喜劇的なタイミングを完璧に発揮している。

④ 確かに本作は「低予算のB級映画」の枠を出ないかもしれない。しかし『Return of the Living Dead』が『ロメロのゾンビ映画』と比較されるとき、そこに格の違いが生じるのと同様に、本作も独自のスタイルを持つ。観客が本当に求めているのは、ウィリーがどのような創意的な方法で乗客を殺害するのか、という一点である。その要求に対して、本作は十分に応えている。

IMDb – Screamboat

Rotten Tomatoes(批評家:53% / 観客:79%)

① ピーター・デブラッジ(Variety誌)の観点では、『SCREAM BOAT スクリームボート』は『The Mouse Trap』よりもはるかに楽しい作品である。LaMorteが『Peter Jackson(ペーター・ジャクソン)』と『Eli Roth(イーライ・ロス)』の「スプラットスティック」美学をチャネルしながら、ディズニーへの敬意と冒涜のバランスを保持している。セレナ役のアリソン・ピッテルについて、「興味深い外見と本当の可能性を持つ」と評価した。

② ブライアン・タレリコ(Roger Ebert)は、映画が「自分自身を真摯に受け取らない」点を高く評価した。本来、『SCREAM BOAT スクリームボート』のようなコンセプトの映画は失敗しやすい。しかし、映画がその愚かさを完全に理解し、ユーモアの中に埋め込んだことで、観客のために「推薦に足りる何か」が生じた。映画は「より面白く、より賢く、より視覚的に優れていることもできたが、同時にはるかに悪くなる可能性もあった」と述べた。

③ 『Rotten Tomatoes』の観客スコアが79%に達したのは、本作が確かに「その対象オーディエンス」に対して有効に機能していることを示す。初見の観客は、『SCREAM BOAT スクリームボート』が何であるかについて、あらかじめ認識した上で劇場に赴く。彼らは『God Father』的な映画的傑作を期待していない。彼らが期待しているのは、「低予算のパブリック・ドメイン・ホラーが、どこまで自覚的に、どこまで楽しんでいるのか」という一点なのだ。その基準においては、本作は確かに成功している。

Rotten Tomatoes – Screamboat

Metacritic(総合評価:44/100)

① ジェフリー・M・アンダーソン(Common Sense Media)は、『SCREAM BOAT スクリームボート』が「多くのパブリック・ドメイン知的財産に基づいたホラー映画の中で、わずかに上位にある」と評価した。ユーモア、視覚効果の質感、そして薄汚いフェリー船という設定が、全体の体験を引き上げている。制限された予算の中でも、映画制作チームはその目標を達成することができた。

② メタスコア44点は、「混合レビュー」カテゴリに位置づけられている。ジャンル内部では、本作は予想よりも好意的に受け取られた。批評家たちが懸念したのは、制作チームが「勇敢さを欠いているのではないか」という点。本当にコンセプトを最大限に追求しきったのか、という疑問である。しかし観客側からすると、本作は期待値を上回るクオリティを備えていた。

③ 『SCREAM BOAT スクリームボート』と『The Mouse Trap』の比較において、本作は圧倒的に勝利している。シンプルなビジュアル・エフェクト、より創意的なゴア・シーン、そしてキャスティング(特にデヴィッド・ハワード・ソーントンの起用)が、本作を他の競合作品から区別している。Metacritic混合評価の背景には、映画批評家の「期待値の高さ」が存在している可能性がある。

Metacritic – Screamboat

批評家レビュー

『SCREAM BOAT スクリームボート』は、メジャーメディアの批評家たちからも注目を集めた。海外批評家の評価を見ていこう。

Variety(バラエティ) ★3.5/5

ピーター・デブラッジ氏「『The Mouse Trap』よりもはるかに楽しい作品だ」

『SCREAM BOAT スクリームボート』はパブリックドメイン・ホラーの潮流の中で、確かに一頭地を抜いている。制作チームが『スチームボート・ウィリー』という素材に対して抱く愛情と、ディズニー帝国への冒涜的な遊び心が、エレガントなバランスを保持している。ラモルテが『Peter Jackson(ペーター・ジャクソン)』と『Eli Roth(イーライ・ロス)』の「スプラットスティック」(血を流しながらのコメディ)美学をチャネルしながら、決して品のない領域へ堕ちない。セレナ役のアリソン・ピッテルについて、評者は「興味深い外見と本当の可能性」を指摘した。

デヴィッド・ハワード・ソーントン下での変異ネズミ造形は、視覚的には完全に成功している。強固なCGIとメイクアップが、リアルとカートゥーン的な世界観を統合する。『Terrifier』シリーズの系譜を継ぎながらも、本作はウィリーという独立した存在を創出した。スタテンアイランド・フェリーという限定空間の選択が、予期しない効果を生み出している。乗客たちが逃げられない環境が、映画全体に上昇し続ける緊張感をもたらす。

映画が最も成功している瞬間は、ディズニーのアイコンを完全に骨抜きにしたシーン群である。セレナたちが Disney princess の衣装を着用し、現実のニューヨークの中で「プリンセス」となる。その瞬間、映画はディズニー的な理想と現実のニューヨークの厳しさの衝突を描く。本作はその衝突の中に、映画的な栄養を見出している。

評価点 制作チームの明確な目的意識。ディズニー知的財産への敬意と冒涜のバランス。デヴィッド・ハワード・ソーントンの物理的パフォーマンス。限定空間としてのフェリー設定の有効性。ゴア表現の創意工夫。

批判点 中盤のペーシングの緩み。複数の脇役キャラクターの扱いが粗雑。時折、「何をしようとしているのか」が不明確になるシーンの存在。映像の粗さ(特にCGIの統合)。ラスト15分の急速な急展開。

(Variety – Screamboat Review)

Roger Ebert ★★/4

ブライアン・タレリコ氏「ほぼ推薦に足りるバランス」

スティーヴン・ラモルテが手掛ける『SCREAM BOAT スクリームボート』は、同監督が『The Mean One』で示した才能を、さらに洗練させている。映画が最初から「自分自身を真摯に受け取らない」という基本方針で進められていることが、本作を救っている。『ミッキーマウスの殺人鬼』というコンセプト自体が、すでに存在するユーモアの半分を担っているのだ。

映画が失敗しやすい理由は、そのコンセプトが「一度の笑い」で成立するからである。しかし、『SCREAM BOAT スクリームボート』は、その一度の笑いを、102分の映画へと拡張する試みを行っている。その拡張プロセスが常に成功するとは限らないが、映画が自分自身を理解した上で進められているために、観客も同じペースで付き合うことができる。

アリソン・ピッテルは、「最終女性」というスラッシャー映画のアーキタイプを演じながらも、そこに新たな次元を付与している。彼女はセレナという人物を単なるテンプレートではなく、ニューヨークへの移住という現代的なテーマを内包した女性として描いている。デヴィッド・ハワード・ソーントンの下での二足立ちの変異ネズミは、言語を持たないキャラクターでありながら、その動作と音声(口笛)だけで、複雑な感情を伝達する。

映画の最大の問題は、フェリー内の移動ロジスティクスが不明確であることだ。いくつかのシーンにおいて、登場人物たちが唐突に消失する。死亡シーンが描かれないまま、キャラクターが登場人物カウントから外れることがある。これは、低予算映画の宿命的な問題かもしれない。

評価点 概念に対する完全な理解と貫徹。自己認識的なユーモア。デヴィッド・ハワード・ソーントンの非言語表現。セレナというキャラクターの現代的描写。限定空間における緊張感の構築。

批判点 キャラクター登場人物の追跡が粗雑。中盤のペーシングの問題。『Winnie the Pooh: Blood and Honey』との創意性の比較において、本作が若干劣る。映像品質のバラつき。脇役俳優たちの演技品質(特にエイミー・シューマッハ)。

(Roger Ebert – Screamboat Review)

Bloody Disgusting ★★/5

マーク・ウォーカー氏「大衆的なスプラッター快感への応答」

映画『SCREAM BOAT スクリームボート』は、予算2百万ドルという限定リソースの中で、予想外のクオリティを達成している。制作チームは『Terrifier 3』の制作者たちとの関係を活かし、ゴア表現の実践的な側面において、一定の基準を保証している。デイヴィッド・ハワード・ソーントンという選択肢は、『Terrifier』ファンダムの確保という点で戦略的に正解である。

映画の成功の鍵は、その「ノリ」にある。映画制作者たちが、自分たちが何を作っているのかを理解し、その遊び心を隠さない。ウィリーがディズニー・パークの記念品を武器として使用するシーン。セレナたちが Disney princess の衣装のまま、戦闘を繰り広げるシーン。これらのシーンが映画的な栄養価となっている。

視覚効果は、低予算の枠の中では十分である。1080p での上映では、映画の映像は「クリスプで明るく」見える。実践的な特殊効果は「適切にゴポゴポしていて、ネバネバしており」、ゴア愛好家たちは大部分が満足するであろう。ただし『Terrifier』シリーズほどのゴア強度には達していないが、それは映画がより広いオーディエンスを対象としていることを示唆している。

映画全体を通じて、スティーヴン・ラモルテのビジョンは一貫している。映画は「デモニック・ラット・メイヘム」を提供することを約束し、その約束を果たしている。それ以上の何かを期待する観客は、映画の本質を理解していないのだ。

評価点 明確な目的意識。ゴア表現の創意性。スタテンアイランド・フェリーの実地ロケーション撮影による信頼性の確保。デヴィッド・ハワード・ソーントンの献身的なパフォーマンス。ディズニー知的財産への遊び心に満ちた冒涜。

批判点 ペーシングの問題。一部のキャラクターの扱いの粗雑性。映像品質のバラつき。『Terrifier』シリーズとの直接的な比較における創意性の相対的な弱さ。ゴア表現の強度の期待値との乖離。

(Bloody Disgusting – Screamboat Review)

Rue Morgue ★★.5/5

「スピードが仇になる」という評価

『SCREAM BOAT スクリームボート』は、確かに複雑で手がかりの多い物語転回を含んでいる。第三幕に向けて、複数のプロット・ツイストが導入されるが、それらが十分に構築されていないままに、映画は自らの終結へと急速に向かってしまう。その急速さが、映画全体の説得力を損なっている。セレナが男子トイレで「I promise I’ll be very quick」と宣言してから、ゆっくりとトイレへ向かい、そこでウィリーが彼女を待つシーンは、映画のペーシング上の矛盾を象徴している。

制作チームは、明らかに『Terrifier』シリーズの成功に乗り出そうとしている。しかし、本作はデヴィッド・ハワード・ソーントンの身体表現能力を十分に活かしきれていない。彼はコスチュームと大規模なメイクアップに埋め込まれており、彼の物理的なコメディ・スキルが完全には発揮されていない。『Winnie-the-Pooh: Blood and Honey』ほどの一貫性は存在しないが、本作は少なくとも『The Mouse Trap』よりも優れている。

映画の最大の問題は、その「ペース」である。映画は中盤に強固なゴア・シーンを提供した後、急速に弱体化してしまう。多くのシーンが「何もしない場面」となり、映画全体の運動量が失われてしまう。

評価点 基本的なコンセプトの明確性。スタテンアイランド・フェリーの実地撮影。デヴィッド・ハワード・ソーントンの献身性(制限はあるが)。いくつかの独創的なゴア・シーン。

批判点 重大なペーシング上の問題。第三幕の急速な展開。キャラクター追跡の粗雑さ。デヴィッド・ハワード・ソーントンの身体表現能力の過小活用。複数のプロット・ツイストの不十分な構築。映像品質のバラつき。

(Rue Morgue – Screamboat Review)

個人的な感想評価

あくまのプーさんシリーズと同じ人たちかと思ったら、あの人たちとは全く違うプーニバースにも関連しないミッキー映画を作ったようだ。全体的に質が高くまさかのウィリー役にテリファーの中の人が演じるとは期待値がそれだけで高まるものだが、プーさんシリーズを見てきたからこそ分かるが、中の人のさりげない演技は超大事。テリファーのアート・ザ・クラウンのおちゃらけたピエロのようで冷酷な殺人鬼が乗り移ったねずみのウィリーはCGで60cmという可愛らしいサイズながらもしっかりと戯けて可愛いを演じながらもやることは最悪のスラッシャーという素晴らしいバランスに仕上げている。この60cm程度の等身大のもふもふフィギュアがあればぜひ購入したい。3万ぐらいなら余裕。それぐらい魅力的なキャラクターだった。

海外批評家たちのレビューを総合すれば、『SCREAM BOAT スクリームボート』は「期待値を上回るパブリック・ドメイン・ホラー」として位置づけられる。最大の成功は、スティーヴン・ラモルテが「このコンセプトが何であるか」を完全に理解し、自覚的にそれを遂行した点にある。多くのクリエイターは、才能があっても自らが何を作っているのかを見失うことがある。しかし、ラモルテはここで潔い。映画全体が、「ウィリーがフェリーの乗客たちを、創意的で下劣な方法で殺害する」という単純な命題に、完全に奉仕している。

デヴィッド・ハワード・ソーントンのキャスティングは天才的決定だ。彼は『Terrifier』シリーズで証明した非言語表現の能力を、新たなキャラクターに適用した。ウィリーの動作――その跳躍、しゃがみ込み、笑い――すべてが、ピエロとしての系譜を継ぎながらも、ネズミらしさを加味している。映画は、このパフォーマンスに完全に依存しており、その依存は報われている。セレナとウィリーの関係性――愛する者への渇望のゆえに、主人公を何度も生かす選択――は、映画に予期しない感情的な奥行きをもたらす。これは単なる「血しぶきの映画」ではなく、損失と孤独についての瞑想でもあるのだ。

ただし、映画にも欠陥はある。ペーシングの問題は、特に中盤以降で顕著である。複数のキャラクターが理由なく消失し、映画の論理性が損なわれることがある。映像品質のバラつきも無視できない。スタテンアイランド・フェリーという実地ロケーションの使用は、映画に信憑性を与える一方で、CGI造形されたウィリーとのちぐはぐさも生む。本来であれば、ウィリーをもっと大きなスケールで、あるいはもっと実体的に描くべきであったかもしれない。

それでもなお、『SCREAM BOAT スクリームボート』は、『The Mouse Trap』『Winnie-the-Pooh: Blood and Honey』のような凡庸なパブリック・ドメイン・ホラーとは一線を画す。制作者たちが「このコンセプトが何であるか」を理解し、ユーモアと暴力のバランスを保持した。それだけで十分だ。ホラー・ジャンルにおいて「気持ちのいい破壊」を提供することは、実はこれほど難しくない。『SCREAM BOAT スクリームボート』は、その難しくない試みを、気持ちよく遂行した。映画通としては、そこに一定の敬意を払うべきである。

まとめ

『SCREAM BOAT スクリームボート』は、パブリック・ドメインという法的枠組みと、現代のホラー・ジャンルの流行を組み合わせた一編の作品である。その期待値は、出発時点で「限定的」であった。評論家たちも、観客たちも、この映画に何の傑作も求めていなかった。求められていたのは、「どこまで楽しんでいるのか」「どこまで自覚的なのか」という一点のみだ。

本作は、その期待に応え、時にそれを上回っている。デヴィッド・ハワード・ソーントンの献身的なパフォーマンス、スティーヴン・ラモルテの明確なビジョン、スタテンアイランド・フェリーという限定空間の効果的な活用、そしてディズニー知的財産への遊び心に満ちた冒涜。これらの要素が相互に作用し、予想外の映画的完成度を生み出している。

Rotten Tomatoes の観客スコア 79 % は、本映画が「その対象オーディエンス」に対して有効に機能していることを証明している。映画評論家たちの混合評価(批評家 53 %、Metacritic 44 点)も、この映画の本質を示唆している。映画は「普遍的な傑作」ではなく、「特定のニッチ・オーディエンスのための精密機器」なのだ。

『SCREAM BOAT スクリームボート』は、公開直後から「Screamboat 2: Nothing Stays Dead」の制作発表へと進み、今や続編確定作品となった。これは製作チームの自信と、観客からの支持の両者を示唆している。『Terrifier』シリーズの成功に支援された本作は、低予算パブリック・ドメイン・ホラーという独立したサブジャンルを確立したのだ。

映画通にとって本作の価値は、その「完璧さ」ではなく、その「誠実さ」にある。スティーヴン・ラモルテとその制作チームは、自らが創出しようとするものを完全に理解し、その上でそれを遂行した。それは、ハリウッドの多くのメガプロダクションにおいて失われてしまったプロフェッショナルズムと自覚性を、低予算映画の世界に復活させたのだ。『SCREAM BOAT スクリームボート』は、決して傑作ではないが、確かに「良い映画」である。

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