映画『プリミティブ・ウォー』日本未公開作品を徹底解説|完全ネタバレ・海外の感想評価まとめ

「ジュラシック・パークと地獄の黙示録の融合、侮るな、面白いぞ」映画『プリミティブ・ウォー(原題;Primitive War)』の結末ネタバレと海外の感想評価をまとめて紹介する。本作は、2017年に発表されたイーサン・ペッタスの小説を原作とした作品だ。

物語は、1968年のベトナム戦争中、密林の奥地に消息を絶ったグリーンベレー部隊の捜索に向かった偵察部隊が、ソビエト連邦の科学実験によって現代に蘇った恐竜たちと遭遇し、生き延びるために戦う姿を描く。

監督は『オキュペーション』シリーズのルーク・スパーク。主演は『トゥルーブラッド』のライアン・クワンテン(38歳)。共演にはジェレミー・ピヴェン、トリシア・ヘルファー、ニック・ウェクスラーといった実力派俳優が集結した。

今回は、わずか700万ドル(約10億円)の低予算ながら、ハリウッドスタジオに拒否されても独立制作で完成させた、恐竜アクションの新境地を開いた映画『プリミティブ・ウォー』の物語を完全ネタバレで徹底解説する。以下の内容は本編の結末ネタバレを含むため、必ず鑑賞してから読んでいただきたい。

『プリミティブ・ウォー』物語結末ネタバレ

ここから先は『プリミティブ・ウォー』の核心である重大なネタバレを含む。ベトナム戦争の密林で恐竜と遭遇した兵士たちの壮絶なサバイバルを、結末まで詳細に紹介していく。

謎の惨劇

1968年、ベトナム戦争の真っ只中。ある遠隔地の密林渓谷で、グリーンベレー部隊が任務中に何者かに襲撃され、全滅する事件が発生。

事態を重くみたジェリコ大佐(ジェレミー・ピヴェン)は、グリーンベレー部隊の捜索命令を出す。

運悪く選ばれたチームは、バルチャー・スクワッドで、チームリーダーのライアン・ベイカー軍曹(ライアン・クワンテン)、副官のグザビエ・ワイズ軍曹(アーロン・グレナン)、新人無線手レオン・ヴァーン(アンソニー・イングルーバー)、元海兵隊員イーライ・テイラー(カルロス・サンソンJr.)とチャーリー・ミラー(マーカス・ジョンソン)、そして狙撃手のジェラルド・キーズ(ライアン・パニッツァ)とローガン・ストヴォール(ジェイク・ライアン)の7名の少数精鋭の部隊で捕虜救出任務を終えた彼らに捜索命令を伝えるが、かなり不満がある様子のまま謎の失踪事件の捜索にあたる。

ヘリコプターで渓谷に降下したバルチャー・スクワッドは、すぐに異変に気づく。ジャングルには見慣れない巨大な鳥のような足跡と、大人の上半身ぐらいある恐ろしく大きな羽根が散乱していたからだ。

夜になるとベイカーは得体の知れない大きな生物に襲われ、足を掴まれてどこかに”持ち去られそうになる”が冷静なベイカーは暗闇で見えないが足を掴む何かに向けて銃を乱射して撃退に成功する。この地には何かがいる、バルチャースクワッドはやっと危険な任務であることを理解して気を引き締め捜索を続ける。

洞窟の襲撃

捜索を続けグリーンベレー部隊の痕跡を見つけた部隊が洞窟に辿り着くと、彼らは信じられない光景を目にする。

突如として、デイノニクス(近年の研究で羽毛に覆われた恐竜)の群れが現れ部隊に襲いかかる。鋭い爪と牙を持つ肉食恐竜たちが、容赦なく兵士たちに襲いかかる。

残された部隊も無事に外に脱出するが、彼らの前をティラノサウルスの親子が横切り部隊は呆気に取られるしかできない。ティラノ親子は彼らが目に入っていないのか、王者の余裕か悠々と横切り立ち去る。

混乱の中、部隊とはぐれたベイカーとヴァーンが蔦を登ってなんとか洞窟から脱出することに成功するが、彼らが逃げ延びた先は運悪く先ほどのティラノサウルス親子の餌場で、怒り狂った親ティラノと子供達に追いかけられて執拗に追いかけられる。ジュラシックパークとは違い人間の走る速度よりも遅いティラノサウルスからあっさりと逃げられそうになるが、結局追いつかれてしまい絶体絶命に追い詰められた二人は崖から川に落下して逃亡を試みる。走った勢いでティラノザウルスも川に落下し溺れると思いきや、美しい泳法で難なく岸まで辿り着くと、子供達のことが気になったのか、二人を横目にあっさりとどこかに行ってしまう。

バルチャー部隊はベトナムの戦場にいたはずがジュラシックパークよろしく恐竜たちの楽園に足を踏み入れてしまったようだ。バルチャー部隊は草食恐竜たちの間を歩き捜索を続ける。

なぜ恐竜がいるのか?

ティラノサウルスから逃げ延びたベイカーとヴァーンは、生物学者と名乗るソフィア・ワグナー(トリシア・ヘルファー)という女性に安全な場所に連れて行ってもらう。

ソフィアに案内された2人が目にしたのは巨大な廃墟となった研究施設で、あの巨大な恐竜たち、この密林で何が起きているのかを説明する。

ソフィアの説明によると、かつてこの研究設備で、ソビエト連邦のグリゴリー・ボロディン将軍(ジェレミー・リンジー・テイラー)が粒子加速器を使って、ワームホールを生成する技術開発を行なっていた。この技術が成功すればソビエト軍を世界のどこにでも瞬時に転送できる革命的な兵器になるはずだった。しかし最初の実験で機器が誤作動を起こし、別の時代へのワームホールが開いてしまった。

その結果、恐竜時代から様々な種類の恐竜たちが現代のベトナムの密林に転送されてきたのだ。しかも粒子加速器は未だ現役で稼働中で、加速器を破壊しなければ、ワームホールによる世界規模の破滅が訪れると警告する。ベイカーは無線でジェリコに連絡を取り、ことの経緯を説明し脱出ヘリを要請するが、加速装置の価値を見出し米軍が到着して粒子加速器を確保するまで、装置を無傷で保つよう命じるのだった。

デイノニクスの襲撃

ソフィアの案内でバルチャー部隊と合流しようとしたベイカーとヴァーンの前で、バルチャー部隊とは別のソビエト国籍の兵士たちが翼竜(おそらくクオリドラゴン)の群れに襲われていた。羽毛に覆われたクオリドラゴンは体長5mを超す大型の肉食で、人間を見つけるとカエルを捕食するかのように鋭い嘴でお腹をひと突きして内臓をついばむ恐ろしい捕食集団だった。幸い銃が効く相手だったため、ソビエト兵たちは何人か逃げ延びていく様子を見守る。

翼竜騒動後、ベイカーとヴァーンはバルチャー部隊と合流するが喜びも束の間、すぐにデイノニクスの大群に襲われる。しかし、昨夜とは違い銃弾が効くので1発で撃退できるため、円陣を組んで集団に対応するも、怪我をしていた隊員の一人が連れ去られてしまう。

連れ去られた隊員がデイノニクス相手にナイフ一本で抵抗を試みているが、突如背後から現れた体長4m近い巨大な爪を持つ羽毛に覆われた恐竜(おそらくシュリパラックス。ヴェロキラプトルよりも一回り大きいため)に襲われて殺されてしまう。

フランスの大学で発表されたモンゴルに生息していたと言われるヴェロキラプトルの近種「シュリパラックス」は、ラプトルの2倍近い巨大で鋭い爪を持つ。

窮地を脱して休息を取ったバルチャー部隊だったが、川を渡った先でさらに大量のデイノニクスの集団に襲われかなりの兵力が削がれることになる。

結末ネタバレ:最後の戦い

ついに加速器のあるソビエト軍基地に侵入したバルチャー部隊は早速破壊工作を開始する。ここでも加速器を止めるべきだと主張する現場の兵士と、効く耳を持たない上層部との間の軋轢を見たバルチャー部隊は勾留された二人のソビエト兵士を味方につけて破壊工作を続ける。

ここでソビエト兵の一人がティラノサウルスの子供を殺してしまい、怒り狂ったティラノ二匹が基地で暴れ兵士を殺し始める。どさくさに紛れて基地の奥深くに侵入したバルチャー部隊は加速器に爆薬を仕掛け、あとは脱出するだけだったが、そこに現れたのは三度登場のデイノニクスの集団だった。

デイノニクス集団、ティラノ夫婦の大暴れの影響で混乱状態となった基地で撤退戦を繰り広げるバルチャー部隊は多少の被害を出しながらもなんとかアメリカ軍の増援部隊に合流し無事に脱出する。

ヘリの中で上官が加速器が冷戦でアメリカに優位をもたらす可能性があったと非難されるが、ソフィアはすでに手遅れだと伝え外を見るように促すと、すでにアメリカ軍基地の周辺を巨大なブロントサウルスたちが闊歩している姿が映し出され、上官は言葉を失う。

すでに地球は人間が支配者ではなくなっていたのだ。

エンドロールが流れる中、アメリカ軍が恐竜を捕獲して本土に連れ去ろうと試みる映像が映し出され、さすがアメリカ、諦めない姿勢を描き物語は終了する。

(Wikipedia – Primitive War)

『プリミティブ・ウォー』作品情報

映画『プリミティブ・ウォー』の制作陣とキャスト情報を紹介する。本作はハリウッドに拒否されながらも、独立制作で完成させた意欲作だ。

ルーク・スパーク監督情報

ルーク・スパークはオーストラリア出身の映画監督、脚本家、プロデューサーだ。彼の家族はオーストラリアで歴史的な軍服や小道具を映画会社やテーマパークに提供する事業を営んでおり、彼は生まれた時から映画業界に触れて育った。

大きな転機となったのは、スティーヴン・スピルバーグ製作のHBOシリーズ『ザ・パシフィック』で1年間働いた経験だ。この巨大なプロダクションでの仕事が、彼に映画制作の全貌を学ぶ機会を与えた。

長編デビュー作は2016年のモンスター映画『Red Billabong』。続く2018年の『オキュペーション』は、オーストラリアを舞台にしたエイリアン侵略映画として注目を集めた。低予算ながら野心的な作品で、国際的な成功を収めた。

2020年には続編『オキュペーション:レインフォール』を監督。前作よりもスケールアップした作品で、ケン・チョンやダニエル・ギリーズといった著名俳優を起用した。Netflixで配信され、世界中で視聴された。

2023年には犯罪スリラー『Bring Him to Me』を監督し、作風の幅を広げた。同年にはホラー映画『Devil Beneath』も手がけている。2024年にはワンカット・スパイダー・ホラー『Scurry』を監督し、技術的な挑戦を続けている。

スパークは監督だけでなく、脚本、プロデュース、編集、プロダクションデザイン、VFXスーパーバイザーまでこなす多才な映画作家だ。特にSFアクションとホラーを得意とし、限られた予算で大作級の映像を作り出す手腕が評価されている。

主演ライアン・ベイカー役「ライアン・クワンテン」情報

ライアン・クワンテンは1976年オーストラリア・シドニー生まれの48歳。オーストラリアのテレビシリーズ『ホーム・アンド・アウェイ』で10年間レギュラー出演し、国内で人気を確立した。

国際的な知名度を得たのは、HBOの人気シリーズ『トゥルーブラッド』(2008-2014年)だ。主人公の弟ジェイソン・スタックハウス役を演じ、セクシーで単純だが愛すべきキャラクターとして視聴者の心を掴んだ。

映画では2014年の『7500』で主演を務め、密室サスペンススリラーで演技力を見せた。2020年にはケビン・ベーコンと共演したホラー映画『Glorious』で、ガソリンスタンドのトイレに閉じ込められた男を演じた。

2023年のNetflixアクションスリラー『Red Right Hand』でも主演を務め、アクションスターとしての地位を確立している。筋肉質な体と精悍な顔立ちを活かし、タフなヒーロー役を得意としている。

『プリミティブ・ウォー』では、恐竜と戦うベトナム戦争の軍曹を熱演。リーダーシップと冷静さ、そして仲間を守るための献身を見事に表現している。

主演ソフィア・ワグナー役「トリシア・ヘルファー」情報

トリシア・ヘルファーは1974年カナダ・アルバータ州生まれの50歳。元ファッションモデルで、ラルフ・ローレンやヴェルサーチのランウェイを歩いていた経歴を持つ。

女優としてのブレイクスルーは、SFドラマ『バトルスター・ギャラクティカ』(2004-2009年)でサイロンのナンバーシックスを演じたことだ。冷酷で官能的なヒューマノイド型サイロンを演じ、SFファンの間で絶大な人気を得た。

その後も『LUCIFER/ルシファー』でシャーロット・リチャーズ役、『ウエストワールド』にゲスト出演するなど、SFドラマで活躍を続けている。2019年のNetflixシリーズ『ルシファー』では、悪魔の母親という複雑な役柄を演じた。近年でも活躍は続き2025年「Hello Beautiful」で主役を演じている。

『プリミティブ・ウォー』では、ソビエト連邦の古生物学者という知的な役柄を演じている。彼女の存在が、単なる恐竜アクション映画に知性と深みを与えている。

(Movie Insider – Primitive War)


海外の感想評価まとめ

『プリミティブ・ウォー』は海外で賛否両論の評価を受けている。IMDbでは5.4点、Rotten Tomatoesでは批評家53%という微妙な評価だ。恐竜のVFXとアクションシーンは評価されているが、135分という長すぎるランタイムとキャラクター描写の浅さが批判されている。なぜこの評価になったのか、海外レビュアーたちの評価を見ていこう。

IMDb(総合評価:5.4/10)

①ベトナム戦争と恐竜という組み合わせは最高だ。クリーデンス・クリアウォーター・リバイバルの「フォーチュネイト・サン」が流れる中、グリーンベレーが恐竜に襲われる。バルチャー・スクワッドが密林に投下され、ジェレミー・ピヴェンが演じる口の悪い大佐の命令を受ける。VFXは予算1000万ドル以下とは思えない高品質で、恐竜デザインはスピルバーグより忠実だ。

②予想以上に楽しめる作品だった。確かに脚本は荒唐無稽で、キャラクターは未発達、非現実的な展開も多い。しかしバルチャーチームの俳優たちの結束力と、いくつかの感情的な瞬間が素晴らしい。ベトナム戦争のサウンドトラックと恐竜、大量の死。これ以上何を望む? オスカー候補ではないが、新鮮な恐竜ポップコーン映画として十分だ。

③楽しい時間だったが、30分長すぎる。俳優たちは演技の授業でキャラクター研究をしているかのようだった。ジュラシック・パークの4分の1の予算で、良い場面もたくさんあった。より良い脚本と演技と予算があれば素晴らしい映画になれただろう。第3幕には素晴らしいシーンと良い撮影もあった。なぜ皆がベトナム戦争の古い定型を繰り返すのか疑問だ。

④楽しくて気楽なSFアクション映画だ。1100万ドルの予算で素晴らしい出来だ。恐竜アクションはクールで、特にティラノサウルスが登場するシーンが好きだった。最後にティラノサウルスが全員を破壊するのを見るのは最高だった。ずっとR指定の恐竜映画が欲しかったが、これは実現してくれた!

IMDb – Primitive War

Rotten Tomatoes(批評家:53% / 観客:86%)

①銃対恐竜で、ティラノサウルスの咆哮とラプターの数に加えて、F爆弾の量も多い。良質なキャンプBムービーの楽しみで、予想以上に知的だった。単なる兵士たちが走って銃を撃ちながら恐竜の攻撃をかわすだけでなく、驚くほど感情移入できる作品だ。

②近年で最高の非ジュラシック・パーク恐竜映画だ。低予算で作られたとは信じられないクオリティで、恐竜デザインも忠実だ。ベトナム戦争という設定が、恐竜の脅威をさらに際立たせている。

③恐竜は好きだが、軍隊の描写はあまり良くなかった。彼らの意思決定プロセスや機動方法が不自然だった。命を賭けて逃げているのに、なぜ開けた場所で休憩するのか? 恐竜は十分にリアルだったが、軍事面はリアリティに欠けていた。

Rotten Tomatoes – Primitive War

Metacritic(総合評価:未集計)

①ルーク・スパークが現在のオーストラリアで最高の監督の一人であることの証明だ。この映画は機能するはずがないクレイジーな前提を持っているが、なぜか機能している。恐竜のVFXは素晴らしく、ベトナム戦争の雰囲気も完璧に再現されている。

②2時間15分は長すぎる。編集が雑で、本来なら削れたシーンが多すぎる。恐竜アクションは楽しいが、その間の人間ドラマが退屈だ。もっとタイトに編集すれば、はるかに良い作品になっただろう。

③低予算でこれだけの映像を作り出したことは称賛に値する。しかし、予算の制約を隠すために多くのアクションシーンが暗すぎる。疑わしいCGIモデルを見るほうが、何も見えないよりはましだ。

(What’s After the Movie – Primitive War)


批評家レビュー

主要メディアの批評家たちは『プリミティブ・ウォー』をどう評価したのか。恐竜VFXとベトナム戦争設定、そして野心的な試みに対する専門家の見解を紹介する。

The AU Review 2/5

ピーター・グレイ氏「真面目すぎる荒唐無稽な物語」

この映画は意図的に荒唐無稽な物語を真面目に扱いすぎており、キャラクターに明らかに焦点を当てているため、楽しさが損なわれている。恐竜とベトナム戦争というコンセプトは素晴らしいが、実行が伴っていない。

監督のルーク・スパークは、Bムービーの楽しさよりもシリアスなドラマを優先してしまった。その結果、どちらの要素も中途半端になっている。恐竜アクションシーンは迫力があるが、その間のキャラクタードラマが冗長で退屈だ。

評価点
恐竜のVFXは低予算を考えると驚くべきクオリティで、ティラノサウルスやデイノニクスのデザインは忠実だ。ベトナム戦争の雰囲気も衣装や小道具で効果的に再現されている。

批判点
135分というランタイムが長すぎて、物語がだれる。真面目なトーンが裏目に出て、Bムービーとしての楽しさが失われている。キャラクター描写に時間を割いているが、結局は表面的なままだ。

(Rotten Tomatoes – Primitive War Reviews)

Bloody Disgusting 評価なし

メーガン・ナヴァロ氏「膨張したランタイムで無駄にされた可能性」

敵対的な領域に派遣されたエリート軍隊部隊が先史時代の捕食者に襲われるというハイコンセプトは、観客を確実に劇場に引き込む要素だ。暴力的なベトナム戦争映画と恐竜の大虐殺を融合させることは、ジャンル映画の楽しみとして素晴らしい可能性を秘めている。

しかし『プリミティブ・ウォー』は、膨張したランタイムに詰め込まれた定型表現で、プロットが薄いまま引き延ばされており、その可能性を無駄にしている。

トーン的に、『プリミティブ・ウォー』は退屈な程度に真剣に自分自身を捉えすぎており、2時間15分のランタイムを苦痛なマラソンに引き延ばしている。しかし時折、困惑するほど愚かな瞬間を挿入する。例えば、雌雄のティラノサウルスのつがいを登場させ、メスには女性的な羽毛の房をつけている。彼らは映画全体の中で唯一、動物的本能を超えた知性を示す恐竜だ。これは映画の一貫性や論理への無関心を示している。

兵士たちが常に前進し、戦地を走り抜け銃を撃ちながら先史時代の攻撃をかわしているにもかかわらず、『プリミティブ・ウォー』は驚くほど不活性だ。膨張したランタイムを支えるだけの肉がなく、次の恐竜攻撃を待つ間に観客が掴むべきものが何もない。

評価点
恐竜のVFXは低予算インディー映画としては驚異的で、特にティラノサウルスの顎の音響効果が印象的だ。ベトナム戦争映画の定型を効果的に利用しており、ヘリコプターと「フォーチュネイト・サン」のオープニングは象徴的だ。

批判点
ランタイムが長すぎて物語が薄い。真剣すぎるトーンがBムービーの楽しさを台無しにしている。多くのアクションシーンが暗すぎて、明らかにCGIの品質を隠すためだが、何も見えないよりは悪いCGIでも見たほうがましだ。

(Bloody Disgusting – Primitive War Review)

TL;DR Movie Reviews 評価なし

ブライアン・マクナマラ氏「ジャンルに精通した楽しい融合」

『プリミティブ・ウォー』は、ベトナム戦争と恐竜を融合させた大胆でB級のアクションホラーハイブリッドだ。強力なクリーチャーエフェクト、堅実な演技、そしてジャンルに精通したストーリーテリングが、この作品を予想外に思慮深い野性的な体験にしている。

映画の最も優れた点は、B級映画の性質を全面的に受け入れていることだ。「フォーチュネイト・サン」がヘリコプターの上で鳴り響き、ナパームが背景で爆発する最初の数秒で、この映画がどこに設定されているかは完全に明確になる。曖昧さはゼロで、それが新鮮だった。

ライアン・クワンテンは物語を動かし続ける要としてうまく機能している。トリシア・ヘルファーはキャストに素晴らしい追加で、他のアメリカ軍人キャラクターとのバランスとして機能している。ジェレミー・ピヴェンは風景を噛み砕いており、気難しい将軍として楽しんでいるようだった。

恐竜の使用は素晴らしかった。映画製作者たちは過去に戦争映画で多くの作業を行ってきたため、設定を売るのに役立つすべての特徴、衣装、小道具を持っている。そのため、最初の恐竜との接触の前に、多くの時間をかけて物事を始める必要はない。

評価点
恐竜のVFXと実用エフェクトのバランスが良く、ベトナム戦争の設定が完璧に再現されている。キャストの演技が堅実で、特にクワンテン、ヘルファー、ピヴェンが光っている。ジャンルの定型を理解した上で効果的に使用している。

批判点
地元住民への影響を探ろうとするテーマが中途半端で、うまく機能していない。キャラクターの数が多すぎて、一部の登場人物の掘り下げが不足している。アナ・トゥ・グエンのキャラクターをもっと見たかった。

(TL;DR Movie Reviews – Primitive War)

Film Fugitives 評価なし

ロヒタヴラ氏「ジュラシック・ワールドより楽しい」

『プリミティブ・ウォー』は本当に楽しい恐竜映画だ。ジュラシック・ワールドのフランチャイズ全体よりも楽しめる。もちろん問題もあるが、編集と説明台詞の2つが特に気になった。

このプロットで135分の映画が正当化されることは絶対にない。編集者が雑な仕事をしたせいで、本当に楽しいにもかかわらず、最終的な作品はかなり膨張している。説明台詞も多すぎる。もっと自然な方法で情報を観客に伝えるべきだった。

しかし、それらの欠点を差し引いても、これは純粋に楽しい映画だ。恐竜は素晴らしく、アクションシーンは迫力があり、キャストは全力を尽くしている。そして何より、R指定の恐竜映画がついに実現したことが嬉しい。

結末は明らかに続編を示唆している。ブロントサウルスの群れがアメリカ軍基地を通り過ぎていくシーンは、恐竜危機が終わっていないことを示している。ソフィアが予測した通りだ。原作小説には続編がたくさんあるので、『プリミティブ・ウォー』の続きを見ることは確実だろう。残念ながらベイカーはもういないが。

評価点
恐竜デザインが忠実で、CGIのクオリティが予算を考えると驚異的だ。R指定を活かした暴力描写が、ジュラシック映画に欠けていた要素を提供している。ベトナム戦争という設定が新鮮で効果的だ。

批判点
編集が雑でランタイムが不必要に長い。説明台詞が多すぎて、観客を信頼していない。本来90分で収まる内容を135分に引き延ばしている。

(Film Fugitives – Primitive War Ending Explained)

個人的な感想評価

『プリミティブ・ウォー』は、恐竜とベトナム戦争という荒唐無稽な組み合わせを真面目に描いている。

先に言っておくがB級映画と思って視聴すると痛い目にあう。真面目にジュラシックパークを越そうと作られたアクション大作映画である。

NHKとかBBCとかナショナルジオグラフィックとか「古代の恐竜を最新技術で映像化」みたいな番組で、ジュラシックパーク以上の質の高い恐竜を見たことがないため、いつの間にか「恐竜を扱う作品=低品質」という思い込みがあると思う。ないだろうか?あるよね?
その思い込みを真正面からぶち壊してくれるオーストラリアが本気で作った作品で、誰もが見たかった作品を作ってくれている。まず最初にこの作品に感謝しよう。あの時、ティラノサウルスに追いかけられた興奮を再び、しかもそんな質の高い映像でジュラシックパークと地獄の黙示録を融合させた映画となれば、、、最高だろう?実際に最高に面白いのだ。

恐竜描写
もちろん最初は私も、どうせ大したことのない映画・・・と思って見ていたが、予想以上にしっかりと描かれた恐竜描写に驚くだろう。最初は安っぽさを隠すために暗闇で襲われるものと思っていたが、しっかりと明るい場所でも耐えうる恐竜のCG描写は迫力があり、舐めていたことを後悔するほどだった。さらに近年の研究で明かされてきた羽毛恐竜をかなり細かく描かれているため、見たことあるようで見たことのない恐竜たちを見るのは子供の頃の興奮を思い出した。特にグッときたのは翼竜の描写、今までジュラシックシリーズでも彼らは足で人間を掴んで大空へ飛び立つしか能がないと思っていたが、まるでカマキリの捕食シーンのように素早い動きで人間の腹を嘴で貫くシーンは震えた。まだ恐竜にこんなに面白い挙動があるとは!!と個人的に最高だった。その後空いた穴からズルズルと内臓をついばむシーンも良き。

映像の質の高さ
わずか700万ドルの低予算でありながら、恐竜のVFXは驚くほど高品質で、彼らをB級映画と呼ぶのは相応しくないレベル。特に最初から最後までお世話になるデイノニクスの集団戦は何度か起きるが、見事としかいう他ない。通常であればどこかに粗があるものだが、動きに安っぽさや機械っぽさは見えず、人間と一緒に映る構図でも違和感は見られず見事に現実との融合を果たしているため、見応えがあることに驚かされる。

上映時間
批評家の中で酷評されている最大の問題135分という過剰に長い上映時間に関しては、確かに多少展開を間延びしたような説明パートが複数あるが、つかの休息の後にさまざまな恐竜に襲われまくる展開があるため、特に気になることはない。気がついたら見たこともない恐竜に襲われるシーンが楽しみになるほどである。

唯一欠点を挙げるのなら、ちょっと真面目に作りすぎているため、冗談だよな?みたいなシーンであっても本気で演じる演出で逃げ切ろうとするため、B級映画としての楽しさを損なっている。ほんの少しで良いから軽快でユーモラスなアプローチを取れば、はるかに楽しい作品になっただけに超残念。

それでも、R指定を活かした容赦ない暴力描写と、ジュラシック映画にはない大人向けの恐竜アクションは評価できる。ハリウッドに拒否されても諦めず、独立制作で完成させたスパーク監督の情熱には敬意を表したい。完璧な作品ではないが、恐竜映画ファンなら一見の価値はある。

Rotten Tomatoes(批評家:53% / 観客:86%)

これが全てを物語っている。批評家が好まず、観客が好む映画は大体面白いのだ。

隠れた名作。

必見。

まとめ

この記事では、映画『プリミティブ・ウォー』の物語結末ネタバレと、IMDb、Rotten Tomatoesにおける海外の感想評価、そして主要批評家のレビューを紹介した。

本作は、イーサン・ペッタスの2017年の小説を原作とし、ルーク・スパーク監督が映像化した作品だ。1968年のベトナム戦争中、密林の奥地でグリーンベレー部隊が消息を絶ち、捜索に向かった偵察部隊バルチャー・スクワッドが、ソビエト連邦の科学実験によって現代に蘇った恐竜たちと遭遇し、生き延びるために戦う物語として展開する。

2025年8月21日に全米で限定公開され、批評家と観客の間で賛否が分かれた。Rotten Tomatoesでは批評家53%、観客86%、IMDbでは5.4点という評価だ。批評家は厳しい評価だが、観客の支持は高い。

海外の評価で最も称賛されたのは、恐竜のVFXクオリティだ。わずか700万ドルの低予算で制作されたとは思えない映像で、ティラノサウルスやデイノニクスのデザインは古生物学的に忠実だと評価されている。ベトナム戦争の雰囲気も、衣装や小道具で効果的に再現されている。R指定を活かした暴力描写も、ジュラシック映画に欠けていた要素として歓迎された。

キャストの演技も概ね好評だ。ライアン・クワンテンはリーダーとしての説得力があり、トリシア・ヘルファーは知的な役柄で作品に深みを与えている。ジェレミー・ピヴェンの大げさな演技も、エンターテインメントとして機能している。

一方で批判点も多い。最大の問題は135分という過剰に長いランタイムだ。多くの批評家が「30分は削れた」と指摘しており、編集の甘さが作品の勢いを削いでいる。真剣すぎるトーンも裏目に出ており、Bムービーとしての楽しさが失われている。キャラクター描写に時間を割いているが、結局は表面的なままだという意見も多い。

The AU ReviewやBloody Disgustingといった主要メディアの批評家たちは、作品の野心と技術力を認めつつも、実行面での問題を指摘している。しかし、観客の反応は批評家よりもはるかに肯定的で、特に恐竜映画ファンからは「ジュラシック・ワールドより楽しい」という声も上がっている。

興味深いのは、本作がハリウッドの全てのスタジオに拒否されたという背景だ。「ジュラシック・ワールドに似すぎている」という理由だったが、スパーク監督は諦めず独立制作で完成させた。その情熱と技術力が、限られた予算でも大作級の映像を実現させた。

原作小説には続編が複数あり、映画の結末も明らかに続編を示唆している。恐竜たちが渓谷から外の世界へ広がっていく描写は、物語がまだ終わっていないことを暗示している。観客の支持が高いため、続編制作の可能性は十分にある。

『プリミティブ・ウォー』は完璧な作品ではないが、恐竜とベトナム戦争という前代未聞の組み合わせに挑戦した意欲作だ。低予算インディー映画の限界を超えた映像と、R指定の容赦ない暴力描写は、恐竜映画の新たな可能性を示している。ジュラシック映画に飽きた恐竜ファン、ベトナム戦争映画が好きな人、そしてB級映画を愛する人にとって、本作は見逃せない一本である。

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