映画『Oddity』完全ネタバレ徹底解説と海外の感想評価まとめ

「評価は高いが、正直微妙」全米で2024年7月19日に公開された映画『Oddity』のあらすじ結末までネタバレ解説と海外の感想評価をまとめて紹介する。盲目の霊能者である双子の姉妹ダーシーが、惨殺された妹ダニの真相を暴くため、憑いている遺品を使って復讐するというオカルトホラーだ。

アイルランド製のホラー・スリラーとして注目を集めた映画『Oddity』は2024年3月8日にサウスバイサウスウェスト(SXSW)で世界プレミア上映され、観客賞を受賞した作品である。製作国はアイルランドで、上映時間1時間38分の本格ホラー映画として制作された。

監督は2020年のデビュー作『Caveat』で注目を集めた新鋭ダミアン・マッカーシーがつとめ、主演にキャロリン・ブラッケン(双子の姉妹ダーシー・ダニ役)、グウィリム・リー(精神科医テッド役)を迎えた。IMDb評価6.7点を獲得している。

今回は、異色のオカルトホラーとして話題となった映画『Oddity』のラストについて解説していこう。以下の内容は本編の結末のネタバレを含むため、必ず劇場で鑑賞してから読んでいただきたい。

『Oddity』物語結末ネタバレ

ここから先は『Oddity』の核心である重大なネタバレを含む。

姉妹の絆

アイルランドの田舎で、精神科医のテッド・ティミス(グウィリム・リー)と妻のダニ(キャロリン・ブラッケン)は古い石造りの家を改装しながらのんびりと穏やかに暮らしていた。

ある夜、テッドが病院での夜勤中のため、ダニが一人で家にいるとテッドの患者オリン・ブール(タドグ・マーフィー)が家を訪ねてくる。片目が義眼の浮浪者のようなオリンに対し扉を開けるのを躊躇っているとダニに向けて「家の中に誰かいる」「あなたは一人じゃない」と脅迫のような脅しをしてきたためダニは扉から後退りするが、ダニは惨殺されてしまう。

後日、オリンは頭が爆破したような死体で発見される。

テッドはダニの双子の妹ダーシー(同じくキャロリン・ブラッケン)の営む古美術店を訪問する。ダーシーは盲目の霊媒師で、古美術品に触れることで過去の出来事を視ることができる特殊能力を持っていることを知っているダーシーに、ダニを殺した犯人オリンの義眼を手渡して店を後にする。

ダーシーはオリンの義眼に触れ、ダニ、オリン、そしてもう1人の仮面の男を過去視で視た後、深刻な表情で店の奥で封印していた箱の蓋を開けるのだった。

ダニの死から1年後、テッドは製薬会社の営業担当ヤナ(キャロライン・メントン)と再婚していた。そこへダーシーから突然店の奥に封印されていた箱が届き、驚いているとダーシーが自らテッドの家を訪ねてくる。ダーシーは家の中に入ると送った巨大な木箱の蓋を開ける。ー中にあったのは不気味な等身大の木製ゴーレム。ゴーレムの顔は苦悶に満ち、口を大きく開けて叫んでいるような恐ろしい造形だった…。

突然のダーシーの訪問を訝しんでいたヤナに対し、ダーシーはダニの幽霊を使い家から追い出してしまう。

帰宅したテッドに対し、ダーシーはすでにオリンの義眼からダニを殺したのは元患者のオリンではなく、テッドであること。テッドは病院職員のイヴァンを利用してオリンを犯人に仕立て上げ、ダニの殺害後は証拠隠滅のためにイヴァンはオリンを殺害して完全犯罪をおこなっていたことを全て知っていたと話すと、テッドはすでにヤナとの不倫関係にあり、ダニとの離婚で家と財産を失うことを恐れてダニを殺したと自白する。

しかし、2階からダーシーを突き落として殺害する。

結末ネタバレ:呪いの鐘

テッドはイヴァンに死体の隠蔽を依頼し、イヴァンは床で死にかけているダーシーを見つける。ダーシーは最後にイヴァンを見つめながら呪文を唱えるとゴーレムに命を吹き込む。

イヴァンが遺体や証拠を隠滅しようとしていると、ゴーレムがイヴァンに襲いかかり顔を両手で掴み上げ、イヴァンは気絶してしまう。ダーシーは息を引き取る直前に笑顔のヤニを見かけて満足そうに目をつぶる。

イヴァンは救出され目覚めるが、そこはテッドの精神病棟で手足を拘束された状態だった。テッドすぐに証拠隠滅のため、人肉食癖のある患者バーニーをイヴァンの病室に解き放ち彼を殺害させた。

すべてが終わったと思われた時、テッドの家に小さな荷物が届く。中にはダーシーの店にあった呪いのベルが入っていた。このベルを鳴らした者は皆死ぬという言い伝えがあったが、懐疑的なテッドは迷信を信じず、軽々しくベルを鳴らしてしまう。

周囲を見渡し何も起こらないと安心したテッドの背後に、鬼の形相のベルボーイの亡霊が静かに立っている姿で終わる。

『Oddity』作品情報

『Oddity』のネタバレを読んで興味を持った読者のために、ダミアン・マッカーシー監督による本格的なアイルランド製ホラー映画の詳細を紹介する。前作『キャビアット』で注目を集めた監督が、より洗練された恐怖演出と独創的な復讐劇で国際的な絶賛を獲得した傑作である。

『Oddity』興行収入

本作は2024年3月8日にサウス・バイ・サウスウェスト映画祭で世界初上映を果たし、ミッドナイター部門でオーディエンス賞を受賞した。アメリカでは2024年7月19日に限定劇場公開され、その後VODでも配信開始。アイルランドとイギリスでは8月30日に劇場公開された。限定的な上映ながら全世界で140万ドルの興行収入を記録し、ストリーミング配信でも大きな成功を収めている。

ダミアン・マッカーシー監督紹介

1981年1月生まれのアイルランドの映画監督・脚本家ダミアン・マッカーシーは、低予算心理ホラー映画の名手として知られている。2020年の長編デビュー作『キャビアット』(ロッテントマト83%)で国際的な注目を集め、その独特な恐怖演出センスで業界から高く評価されている。

彼の作品は一貫して孤立感と精神的な恐怖をテーマにしており、「理解できない何かに直面した時の人間の脆さ」を巧妙に描き出す上手さが際立つ監督と評価されている。

映画学校時代から多数のショートフィルムを制作し、その多くが映画祭で受賞歴を持つ。『Oddity』では前作以上に洗練された演出技法を見せ、現代ホラー映画界の重要な才能として確固たる地位を築いている。

ダニ/ダーシー役「キャロリン・ブラッケン」紹介

アイルランド・ティペラリー県ネナー出身のキャロリン・ブラッケンは、地元劇団「ネナー・プレイヤーズ」で4歳から演技を始めた生粋の舞台女優である。ダブリンのゲイティ演技学校を卒業後、30代に入ってから本格的に映画界入りした遅咲きの女優だった。

2021年のホラー映画『You Are Not My Mother』で母親役とその邪悪な分身という二役を演じ、悪夢のような印象を残す演技で注目を集めた。2022年には『The Quiet Girl』で「女性」役を演じ、この作品は世界的な話題となった。『Oddity』では双子の姉妹という難しい二役に挑戦し、全く異なる性格とエネルギーを持つキャラクターを見事に演じ分けている。37歳で自閉症と診断されており、その経験も演技に深みを与えている。

海外の感想評価まとめ

『Oddity』は海外で圧倒的な高評価を受けている。ロッテントマトでは批評家96%・観客77%、IMDbでは6.7点、メタクリティックでは78点と、2024年ホラー映画の中でも最高クラスの評価を獲得。特に批評家からは「エレガントで不気味な幽霊譚」「恐怖の基本に忠実でありながら叫び声を上げるほどの結果を達成している」と絶賛されている。

IMDb(総合評価:6.7/10)

①私は現代のホラー映画を観るとき、どうしても「それほど怖そうに見えない」という気持ちになってしまうことが多い。だが『Oddity』は違った。これは本当に恐ろしい作品だ。予備知識なしで観ることをお勧めする。トレーラーも見ない方がいい。

②私にとってホラー映画を多く観ている者として言えるが、今日の観客を恐がらせることがいかに困難かよく知っている。この映画は私を完全に怖がらせた。間違いなく2024年に出た最も恐ろしくオリジナリティあふれるインディー・ホラー映画の一つだ。

③私は長年にわたってホラー映画をほとんど諦めかけていた。大半は意図せずコメディになってしまっている。不安感を覚えることすら稀だが、この作品はそれに成功した。キャロリン・ブラッケンの演技は素晴らしく、彼女の今後の作品をもっと見たい。

④私は『Oddity』が正式に2024年のお気に入りホラー映画の一つになったと断言できる。犯罪、超常現象、サイコメトリー、取り憑かれた物品、迫り来る恐怖といったすべての要素を持っている。キャスト全員の演技が素晴らしく、視覚的にも美しく、極めてオリジナリティがあり、適度な奇妙さも備えている。

IMDb – Oddity

Rotten Tomatoes(批評家:96% / 観客:77%)

①私は『Oddity』がエレガントで不気味な幽霊譚として恐怖の基本に忠実でありながら、巧妙な衝撃で区切られ、叫び声を上げるほどの結果を達成していると思う。マッカーシーの二作目は何よりもまずホラー映画だが、キャストの演技が興味深いカメレオン的なトーンを与えている。

②私が評価したいのは、アイルランドの監督ダミアン・マッカーシーが超自然的な戦慄と暴力的な復讐をECコミックの伝統で組み合わせた、エレガントに構築された物語で不気味な雰囲気を作り出す優れた技術を示していることだ。

③私にとって『Oddity』の印象的な点は、ほぼすべてのショットが不安にさせることだ。マッカーシーは世界の幻想的な要素を控えめに表現することで、不確実性と疑念への扉を開き、それが私たちを蝕み続ける。

Rotten Tomatoes – Oddity

Metacritic(総合評価:78/100)

①私は『Oddity』の物語自体も魅力的だが、マッカーシーがそれを語る特別な方法こそが、これを今年最高のホラー映画の一つにしていると思う。彼は超自然的な戦慄と暴力的な復讐を巧妙に組み合わせている。

②私が印象的だったのは、マッカーシーの二作目の特徴として、何よりもまずホラー映画でありながら、キャストの演技が興味深いカメレオン的なトーンを『Oddity』に与え、観客が映画が真に属するジャンルを常に疑問視する余地を作り出していることだ。

③私にとって2024年のインディペンデント・ホラーが君臨している年において、このような劇場での体験が人生をより楽しくしてくれる。マッカーシーは恐怖の基本を理解し、それを自由度と新鮮さで使用している。

Metacritic – Oddity

批評家レビュー

海外の専門批評家による『Oddity』の詳細な評価を紹介する。木製ゴーレムを中心とした復讐劇の独創性、ダミアン・マッカーシー監督の巧妙な恐怖演出、そしてキャロリン・ブラッケンの二役演技など、この映画の多角的な魅力と完成度の高さを理解できるはずだ。

Roger Ebert サイト 高評価

シェイラ・オマリー氏「『Oddity』は殺人ミステリー、超常現象ホラー、ホーム・インベージョン・スリラーがすべて混ざり合った作品である」

Roger Ebertサイトでは3.5星の高評価を与えている。マッカーシー監督の忍耐強い演出手法を評価し、「彼は安易なジャンプスケアで圧倒しようとはしない。不安感を積み重ね、積み重ねていく」と分析。特にキャロリン・ブラッケンの二役演技について「ダニとダーシーは全く異なる女性で、異なるエネルギー、外見、姿勢を持っている。二人が一緒に映ることはないが、彼女たちの絆を疑うことは決してない」と絶賛している。木製ゴーレムのデザインについても「苦悶に満ちた顔、大きく開かれた口で叫んでいる恐るべき創造物」と評している。

評価点
忍耐強い恐怖演出、キャロリン・ブラッケンの見事な二役演技、完璧な最終フレーム

批判点
予測可能性の高い展開、既存のホラー・トロープへの依存

(RogerEbert.com – Oddity)

Variety 肯定的評価

ガイ・ロッジ氏「マッカーシーはホラーのトロープを熟知しているが、自由度と新鮮さでそれらを使用し、特定のジャンルから作品を押し上げている」

Varietyは監督の成長と技術的な進歩を高く評価している。前作『キャビアット』との比較において、「『Oddity』は同じ魅力的な雰囲気とウィットなジャンル根性を持ちながら、より引き締まった予算で巧妙に作られている」と分析。特に木製ゴーレムの効果的な使用法について詳しく言及し、「観客全員がそれを見ることができる状況で、いつその忌まわしいものが動き出すのかを待つという、ヒッチコックの『テーブルの下の爆弾』理論を見事に実践している」と称賛している。

評価点
技術的な向上、効果的な恐怖演出、ジャンル映画としての完成度

批判点
より大きな予算があればさらなる可能性があったかもしれない

(Variety – Oddity)

The Guardian 高評価

レスリー・フェルペリン氏「マッカーシーは物語のカードを巧妙に操り、素材に段階的に増大する不安感を注入する新鮮な方法を見つけている」

The Guardianは5星中4星の高評価を与え、監督の演出技法を詳細に分析している。「マッカーシーは恐怖映画の視覚的記号や物語的傾向を巧妙に操作し、熟練した観客向けに斬新な何かに変貌させている」と評価。特に木製ゴーレムという小道具の使い方について「ユダヤ民話のゴーレム伝説にインスパイアされた独創的なアイデア」として高く評価している。キャロリン・ブラッケンの演技については「双子姉妹の微妙な違いを見事に演じ分けている」と称賛している。

評価点
独創的なストーリーテリング、優れた美術デザイン、段階的な恐怖構築

批判点
一部の展開が予測可能、ジャンル映画の枠を完全には超えられていない

(The Guardian – Oddity)

IndieWire B+評価

デイヴィッド・エーリッヒ氏「2024年最高のホラー映画の一つとして、マッカーシーは恐怖の基本に忠実でありながら叫び声を上げるほどの結果を達成している」

IndieWireは比較的高いB+評価を与えており、独立系ホラー映画としての価値を強調している。「低予算ながら大きな物語を語ることに成功している。インディーな粗さがかえって恐怖感を増している」と分析。特に最終シーンについて「完璧な最終フレームが期待を超越している。コールバックでありながら同時に未来への一瞥でもある」と高く評価している。マッカーシー監督の将来性についても「現代ホラー映画界における重要な声になる可能性を示している」と予測している。

評価点
低予算を活かした恐怖演出、完璧な結末、監督の将来性

批判点
スタジオ映画のような洗練さの不足、一部のキャスティング

(IndieWire – Oddity)

個人的な感想評価:50点

うーん微妙。

最初から捨て身で行かず、ベルを送りつけたら見事な終わりだったような。。

殺された妻の姉妹が盲目の霊媒師でサイコメトラーで、妹を殺された恨みで木製のゴーレムを消しかけて復讐をしようと思ったけど、返り討ちにあったから、最後に呪いのベルを送りつけたらまんまと鳴らしたでござる。ザマァ。

日本のような精神的な恐怖を狙って、上手に暗闇に何かが、、、的な演出を・・・するほどの能力もなく。アメリカでお馴染みのジャンプスケア・・・シーンがある訳でもなく。

幽霊のシーンは人形、もしくは特殊メイクされた人間。

展開も不明瞭で、テッドの被った仮面も恐怖心を引き立てるものでもなく、木製のゴーレムも微妙な作りで自由に歩き回るシーンも微妙で、殺し切るほどの能力はなく、イヴァンを気絶させるだけで、最終的にダーシーの命懸けのゴーレムに命を吹き込む呪文は全く意味なかったんじゃないか?という疑念が残る。最初から呪いのベルをテッドとイヴァンに送りつけたら終わりだったんじゃねぇかな?

とか、ツッコミどころが多くて、なんだか楽しめなかった。

海外の専門批評を総合すると、『Oddity』は2024年ホラー映画の傑作として確固たる地位を築いている。特に評価すべきは、ダミアン・マッカーシー監督の恐怖演出の巧妙さである。安易なジャンプスケアに頼らず、じわじわと積み重ねる不安感で観客を心理的に追い詰めていく手法は見事と言われているが、、、ずっと安っぽいプラスチックでできたお化け屋敷を探検しているかのようなモヤモヤ感だけが残った。

キャロリン・ブラッケンの二役演技も特筆に値するとは言われているが、双子でありながら全く異なる性格とエネルギーを持つダニとダーシーを完璧に演じ分け、特にダーシーの復讐への執念は鬼気迫るものがあったと言われているが、、、双子なのに黒髪と白髪で演じ分けただけで、見事な演技力!とは思わなかった。盲目ならではの動きがあるわけでも演技力が光こともなかった気がする。

最初から最後まで、見事に私の感性と噛み合わず最後まで「?面白いか?」と思い続けた。

まとめ

『Oddity』は、双子の姉妹の絆という普遍的なテーマから出発し、復讐という古典的な物語を現代的な恐怖演出で蘇らせた傑作である。盲目の霊媒師が木製ゴーレムを駆使して復讐を果たすという独創的な設定は、観客の予想を裏切り続ける緊張感に満ちた展開を生み出した。

海外での評価は圧倒的で、ロッテントマトの批評家96%という数字が示すように、専門家からの絶賛を受けている。特に評価されているのは、ダミアン・マッカーシー監督の忍耐強い恐怖演出と、キャロリン・ブラッケンの見事な二役演技である。

最終的に『Oddity』は、低予算という制約を創意工夫で乗り越え、大作ホラーにはない独特の恐怖感を創造した模範例と言えるだろう。2024年ホラー映画界において、確実に記憶に残る一作として評価されている。マッカーシー監督の今後の作品への期待も高まっており、現代ホラー映画界の重要な才能として注目され続けるに違いない。

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