
「サム・ライミの狂気を再現した傑作」2025年8月15日に全米公開された映画「ジミー&スティッグス/(原題:Jimmy and Stiggs)」のあらすじ結末までネタバレ解説と海外の感想評価をまとめて紹介。イーライ・ロス製作によるホラー・セクション第一弾作品として話題を呼んだネオン・スプラッターホラーのネタバレあらすじ。IMDbで6.0点、ジョー・ベゴス監督・脚本・主演、マット・マーサー共演を紹介。
本作は、失業中の映画監督がコカインとアルコールに溺れる中でエイリアンに誘拐されたと主張し、旧友と共に自宅アパートで壮絶な戦いを繰り広げる低予算ホラーコメディだ。ジョー・ベゴス監督が自宅で4年間かけて撮影し、16mmフィルムと実用的特殊効果にこだわった異色作として注目を集めている。
グラインドハウス・ホラーとして注目を集めた映画『ジミー・アンド・スティッグス』は、2025年8月15日にエリ・ロス製作のホラー・セクション・スタジオ配給で全米公開された。製作費わずか17万5千ドルで製作されたアメリカのインディペンデント・ホラー映画で、コロナ禍中のグラスルーツ・プロジェクトとして始まった作品だ。
監督・脚本・主演は『クリスマス・ブラッディ・クリスマス』で知られるジョー・ベゴス(年齢不詳)が務め、共演には『コントラクテッド』のマット・マーサー、『クリスマス・ブラッディ・クリスマス』のライリー・ダンディが名を連ねる。ベゴス監督は自宅のアパートを舞台に、100日間の撮影日数を費やして本作を完成させた。
今回は、イーライ・ロスが「サム・ライミやピーター・ジャクソンの低予算スプラッター映画以来の狂気」と絶賛した異色のホラーコメディ『ジミー・アンド・スティッグス』の詳細について解説・考察していこう。
以下の内容は本編の結末のネタバレを含むため、必ず鑑賞してから読んでいただきたい。また、薬物使用と暴力的な描写が含まれるため、注意していただきたい。
『Jimmy and Stiggs』物語結末ネタバレ
ここから先は『Jimmy and Stiggs』の核心である重大なネタバレを含む。
破滅への序章
失業中のインディーズ映画監督ジミー・ラング(ジョー・ベゴス)は、自宅アパートでコカインとアルコールに溺れる日々を送っていた。映画の企画が頓挫したという知らせを受けたジミーは、さらに深い自暴自棄の渦に陥り退廃的な生活を送る。
恋人のレクシー(ライリー・ダンディ)からの心配の電話やメッセージを無視し続け、ポルノを見ながら酒と薬物に浸るジミーの部屋はゴミと空き瓶で溢れ、壁には意味不明の落書きが描かれ、完全にゴミ屋敷化した生活で過ごす廃人となっていた。
そんなある夜、アパートに謎の振動が起こる。最初は地震だと思ったジミーだが、振動は寝室を中心に発生していることに気づき寝室に向かい説明のつかない体験をする。
最初のアブダクション
寝室に入った瞬間、ジミーの身体は見えない力によってベッドの上に持ち上げられた。手足を動かすことができず、まるで金縛りにあったように身体が完全に麻痺している。視界の端に奇妙な光が点滅し、耳鳴りのような高周波音が響き渡ると突如気を失う。
目覚めると寝室の出来事から数時間が経過。レクシーからの大量の着信とメッセージが残されていた。記憶も曖昧で顎に強い痺れと痛み、身体全体に説明のつかない違和感があるジミーは、かつての親友スティッグス・ランドルフ(マット・マーサー)と一緒に見ていたジョン・レッドグレイブ(ジェームズ・ルッソ)のインタビュー映像を思い出す。
レッドグレイブはエイリアン・アブダクションの体験者で、彼の証言はジミーが体験したことと不気味なほど一致していた「顎のラインの痺れ」「失われた時間」「浮遊感覚」「身体の麻痺」——すべてが完全に符合する。
さらにレッドグレイブは「アルコールと薬物がエイリアンの精神支配を防ぐ」という、ジミーにとって都合の良すぎる理論を展開していた。ジミーは自分が本当にエイリアンに誘拐されたと思い込み、同時に自分の薬物依存を正当化する口実を得たと喜ぶ。
恐怖と興奮に駆られたジミーは、かつての親友スティッグスに連絡を取る。トラブルでジミーとの映画制作パートナーシップも解消しているスティッグスは薬物とアルコールを絶って人生を立て直そうとデトックス中だった。しかし、ジミーの危機的状況を知ったスティッグスは、最終的に彼のアパートを訪れることを決意する。
親友の再会と対立
スティッグスがアパートに到着すると、部屋の惨状に言葉を失う。チェーンソー、大型ナイフ、マチェーテ、ショットガンが部屋中に配置され、まるで戦争の準備が整えられていた。
ジミーはスティッグスに酒を勧め始め、「エイリアンから身を守るため」という理屈で飲酒を強要する。6ヶ月間の断酒を続けてきたスティッグスを、再び破壊の道に引きずり込もうとする。さらにジミーは、スティッグスが本当に人間なのか確かめるため、彼に酒を飲ませて「エイリアンではない証拠」を求める。
スティッグスの断酒の決意とジミーの薬物依存、解散した映画制作パートナーシップへの恨み、そして何より長年の友情に対する複雑な感情が爆発して激しい口論が始まる。
が、日が沈むと同時に、エイリアンの攻撃が始まり痴話喧嘩なんてしていられなくなるエイリアンが本当かどうかは…少なくとも、ジミーとスティッグスにはそう見えている。エイリアンの攻撃と同時に彼らの部屋の全ての出入り口と窓が謎の壁で封鎖され、二人は完全に閉じ込められてしまう。
エイリアンたちは昔のグレイエイリアンそのもので、銀色、巨大な頭部、巨大な黄色い目、小さく細い手足、さらには空中に浮遊する能力を持っていた。
戦闘が始まると、二人がエイリアンたちを攻撃すると、エイリアンたちのネオンカラーの蛍光塗料のような「血液」を大量に噴出しブラックライトの効果で、部屋もエイリアンもジミーとスティッグスも全てがネオンでサイケデリックな発光蛍光色戦場と化していく。
ネオン血祭りの狂乱
ジミーとスティッグスは武器を手に取り、エイリアンたちと壮絶な戦いを繰り広げる。チェーンソー、ナイフ、素手——あらゆる手段を使ってエイリアンたちを次々と惨殺していく。ジミーがエイリアンに頭突きを食らわせると、エイリアンも頭突きで応戦してくるなどカオスな状況が続くが事態はもっとカオスになっていく。
戦闘の最中も、ジミーとスティッグスは過去の友情と現在の対立について激しく言い争いながら戦い続ける。「ファック」という言葉が何千回も繰り返され、コカインを吸引し、酒を煽りながら、エイリアンをぶっ殺しまくる。
物語の終盤、スティッグスはエイリアンの物量に圧倒され殺されてしまい、ジミーはいつの間にか宇宙船の内部にいることに気づく。ジミーは完全に孤立し、意識も曖昧なのにアドレナリンで興奮状態、コカインそして酒を煽りまくった彼にとって現在の状況も現実と幻覚の区別がつかない。
結末ネタバレ:曖昧な結末
映画は明確な答えを提示せず終わる。
エイリアンを殺しまくって撃退したが本当にあった出来事だったのか、エイリアンの侵入は本当にあったのか、それともすべてはジミーの薬物によって引き起こされた幻覚だったのか。友人スティッグスは本当に訪れたのか、それとも彼もまたジミーの孤独な精神が生み出した幻影だったのか。
『Jimmy and Stiggs』作品情報
Jimmy and Stiggsのネタバレを読んで興味を持った読者のために、イーライ・ロスの新設立スタジオ「ザ・ホラー・セクション」の記念すべき第一弾作品となる本作の詳細について紹介する。ジョー・ベゴス監督が4年間にわたって自身のアパートで撮影したDIYホラーの傑作として、16mmフィルムと実用的特殊効果のみを使用した手作り感満載のスプラッター・コメディとなっている。
Jimmy and Stiggs興行収入
本作は2025年8月15日にイーライ・ロスのザ・ホラー・セクションとアイコニック・イベンツの配給により全米劇場公開された。限定公開ながら、Beyond FestやSitges映画祭で絶賛を浴び、特にホラーファンの間で熱狂的な支持を獲得している。エリ・ロスは「このレベルの狂気を達成した映画監督はほとんどいない」と絶賛し、自身の新スタジオの記念すべきデビュー作品として選んだ理由を語っている。
ジョー・ベゴス監督紹介
ジョー・ベゴス監督は現代インディペンデント・ホラー界で最も注目される監督の一人で、『Bliss』(2019年)、『VFW』(2019年)、『Christmas Bloody Christmas』(2022年)などのカルト的人気を誇る作品を手がけてきた。本作では監督・脚本・主演・撮影・プロダクションデザインを一人で担当し、まさにワンマン・プロダクションを実現している。16mmフィルムとネオンライトを多用した独特の視覚スタイルで知られ、サム・ライミやピーター・ジャクソンの初期スプラッター作品からの影響を公言している。新型コロナウイルスのパンデミック期間中に着想を得た本作は、彼の最も個人的で野心的な作品となっている。
ジミー・ラング役「ジョー・ベゴス」紹介

ジョー・ベゴス自身が演じるジミー・ラングは、失業中の映画監督として薬物とアルコール依存に苦しむ主人公である。ベゴス監督は本作で俳優としても挑戦し、批評家からは「バスター・キートンとブルース・キャンベルを足したような身体的パフォーマンス」と評価されている。
イーライ・ロスは「彼の演技力を披露する素晴らしい機会となった」と述べており、監督業と同時に主演を務める難しさを見事にこなしている。特に薬物摂取による妄想状態と現実の境界線を曖昧にする演技は、映画の核心的テーマを体現している。
スティッグス・ランドルフ役「マット・マーサー」紹介

マット・マーサーは本作でジミーの親友スティッグス・ランドルフを演じている。インディペンデント・ホラー界では『The Mind’s Eye』などでも知られる実力派俳優で、断酒に取り組みながらも友人を見捨てられない複雑な人物を好演している。ベゴス監督とは長年の友人関係にあり、本作でも自然な友情の化学反応を画面上で披露している。特に薬物の影響でエイリアンと戦うことになった際の狂乱状態の演技は、コメディとホラーの絶妙なバランスを保っている。
海外の感想評価まとめ
2025年8月15日に全米劇場公開された本作は、B級ホラーファンと映画批評家の間で大きく評価が分かれている。手作り感溢れる特殊効果とネオンカラーの視覚的インパクトは高く評価される一方で、過度な暴言とスプラッター描写、そして明確な物語構造の欠如について批判的な意見も多く見られる。Rotten Tomatoesでは限定的な批評家レビューながら概ね好意的、IMDbでは6.0点と中程度の評価となっている。
ここから先は彼らはなぜこの評価をしたのか?本音を聞かせてもらおう。
IMDb(総合評価:6.0/10)
①私はこの映画が好きか嫌いかどちらかだと思う。中間はない。私はこれをとても楽しんだが、一緒にいた人は大嫌いだった。これは今や私のカルト・クラシックのお気に入りに加わり、特にハロウィンには最適だ。奇妙な効果、大げさな殺し方、最高に良い意味での純粋な混乱だった。
②私の感想では、これは効果、殺戮シーン、演出、すべてにおいて素晴らしかった。ジョー・ベゴスが小さな予算でこれほど良く見せることができたのは、彼の能力への真の賛辞だ。エイリアンが悪役として登場することで、1950年代への下品な懐古作品のように感じられる。
③私たちは多くの素晴らしいレビューを見てこの映画を試してみようと思った。結論から言うと、ひどい演技と対話のために30分で視聴を止めなければならなかった。チャンスを与え続けようとしたが、本当にひどかった。これらの素晴らしいレビューに騙されてはいけない。
④私の評価では、これは完璧に嵐のような悪いニュースで、失業中の映画制作者が薬物摂取の渦に陥り、その間にエイリアンに誘拐されたと主張し、彼らの帰還を恐れて古い友人に戦争の準備を手伝ってもらうよう連絡するという物語だ。
Rotten Tomatoes(批評家:限定的レビュー / 観客:未発表%)
①私の感想として、ジミー・アンド・スティッグスは混沌とした、激しく血まみれで wildly 創造的な狂気への降下であり、すべてが終わった後でも振り払うのが困難だ。
②私が評価するのは、ジミー・アンド・スティッグスが80分間これを維持していることは印象的で、多くの人がベゴスがコミットすることを選択したほぼすべてのものの容赦のなさによって忍耐力を試されることだろう。
③私の印象では、網膜を焦がすネオンがジョー・ベゴスの観客を喜ばせる真夜中のアナーキーの巨人の基盤を形成している。ジミー・アンド・スティッグスを大きく、大音量で、できればサングラス越しに見てほしい。
Rotten Tomatoes – Jimmy and Stiggs
Metacritic(総合評価:データなし/100)
①私にとって、これはイーライ・ロスによるライドをどう説明すればいいのか全くわからない。面白くて、混乱していて、最高の意味であらゆる場所にある。
②私が評価するのは、この映画が16mmフィルムで撮影され、興味深い実用的効果があり、革新と技術が詰まっているということだ。
③私の印象では、このエイリアン攻撃ホラー映画は、叫び声、悪態、飲酒、薬物、そして途切れることのない噴出するネオンカラーの地球外生物の粘液のエスカレートした猛攻撃だが、それだけだ。
Metacritic – Jimmy and Stiggs(評価データ収集中)
批評家レビュー
海外の専門批評家による『Jimmy and Stiggs』の詳細な評価を紹介する。ジョー・ベゴス監督が4年間かけて自宅アパートで撮影したDIYホラーの野心作について、批評家たちは実用的特殊効果の素晴らしさとネオンビジュアルの独創性を称賛する一方で、過度な暴言の連続と物語構造の欠如について厳しい批判を述べている。エリ・ロスのザ・ホラー・セクション第一弾作品としての話題性も評価の分かれ目となっている。
Roger Ebert 評価2/4
サイモン・エイブラムズ氏「映画は確実に自分がやることをやっているが、よく宣伝された売り物を超えて満足させることはない」
「ジミー・アンド・スティッグス」は、滑らかで自己破壊的な精神状態への浸り込みであり、プロットとキャラクター開発に欠けるものを純粋な活力と音量だけで頻繁に過剰補償している。個性のひらめきは全体を通してあるが、ベゴスが次の大きな神経をテストする効果の山に我々を急き立てるため、それらはしばしば画面から溢れ出してしまう。
しかし、ベゴスの物事を動かし続けることへの落ち着きのない注意(そしてそれ自体の自然主義的完全性を持つ)は時として印象的だ。そして映画のガキっぽいユーモアのいくつかは、ジミーが大きな頭を持つエイリアンに頭突きをして、そのエイリアンが頭突きで反撃するときのように、粘り強さの純粋な力によって成功している。
評価点
実用的特殊効果の創造性、エネルギッシュな演出、独特のビジュアルスタイル
批判点
過度な暴言の連続、ストーリー展開の希薄さ、視覚的な見づらさ
(Roger Ebert – Jimmy and Stiggs)
Bloody Disgusting 評価4/5
スティーブ・バートン氏「これはジョー・ベゴスのスキルの見事なショーケースであり、なぜ彼が今日活動している最もエキサイティングなインディーホラー映画制作者の一人であるかを示している」
ジミー・アンド・スティッグスは非常にシンプルなストーリーを提示している。失業中の映画制作者ジミーが、誘拐後にエイリアンと戦争を繰り広げ、友人スティッグスの助けを借りる。しかし、映画の視覚効果、撮影技法、実用的効果については全くシンプルではない。
それは「少ないほど多い」傑作だが、同時にそのローファイな性質において極めてマキシマリストでもある。ほとんどの監督が初作品として作るような種類の映画を、ベゴスがキャリアのこの時期に制作していることで、それが特別なものに感じられる。
評価点
革新的な視覚効果、友情をテーマにした深いストーリー、優れた編集と撮影技法
批判点
一部の観客には過激すぎる内容
(Bloody Disgusting – Jimmy and Stiggs)
Collider 評価3.5/5
ジェイク・ライリー氏「プロダクションデザイン、照明、カメラワークが活気に満ちた魅力的な世界を創り出している。ジョー・ベゴスとマット・マーサーが疎遠になった友人として魅力的な演技を提供している」
最初から、ジミー・アンド・スティッグスは見るだけで壮観だということに気づくだろう。明るい色の喧騒は人間の脳のより基本的な部分にアピールするようで、この映画はそれを理解している。あなたのカラーパレットがベージュのさまざまな色合いに時折パステルが投げ込まれたものなら、ジミー・アンド・スティッグスに悩む必要はない。
しかし、あなたのスタイルが今まで製造されたすべてのネオンライトが、あなたが今まで見た中で最も怪しいダイブバーに投げ込まれたものの方向にあるなら、神よ、この映画はあなたの通りにある。グラハム・ハートが率いるアートデパートメントは、ここで絶対に的確だ。
評価点
圧倒的なビジュアルデザイン、創造的な実用的特殊効果、キャストの優れた演技
批判点
ニッチすぎる作風で万人受けしない
Vague Visages 評価3.5/5
ジョーイ・キーオ氏「ジョー・ベゴスは、今日のホラー界で最も犯罪的に過小評価されている監督の一人からの最新のゴンゾ作品だ」
16mmで4年間にわたって撮影されたジミー・アンド・スティッグスは、慣例に逆らいながら、同時に自分自身のためにさらに多くの仕事を作り出しながら、ベゴスが主役のジミーとして主演している。映画が始まると、カメラリグが主人公に取り付けられているように見え、一人称POVがすぐにアクションを不快なほど緊急で触覚的に感じさせる。
エイリアンたち自身は、ジミーによって「アンチョビ、イワシのようなクズ野郎」と魅力的に表現され、信じられないほど見える。彼らは血液装置や他のすべての印象的な実用的効果と一緒に、ラッセルFXによって念入りに手作りされた。
評価点
独創的な撮影技法、手作り感のある特殊効果、ユニークなアパート設定
批判点
実験的すぎて一般観客には理解困難
(Vague Visages – Jimmy and Stiggs)
個人的な感想評価
好き、目が超疲れる。
映画館とは相性が悪すぎる見事な極彩発光蛍光色とブラックライトの化学反応に目を奪われるが、90分後、目が疲れた、、、。
が、全体的にアホでバカで低予算でホラーで、そっちがそうくるならとこちらも飲酒して武装するとあら不思議、「おいおいおいい!後ろ!」「違う!お前も頭突きしろ!」「よしいいぞ!」「いけ!」「やれ!」とジミーたち同じ目線でこの映画を最大限楽しむことができる。
この作品は低予算でクソみたい。そんな意見も聞いた。でもこの安っぽさはジミーの依存症そのもののメタファーだと思ってみれば傑作になる。
ただの人形でしかない安っぽい見た目のエイリアン、何度倒しても再び現れ終わりのない戦い、それらは全てジミーの想像力から生み出されたもので、残念なほどチープなエイリアンの造形は残念なほどにジミーの想像力は枯渇していて、延々と襲いかかるエイリアンたちはジミーの薬物への渇望を外部化したもの、そしてエイリアンを撃退する唯一の方法が暴力とアルコールというのも彼の倒錯した願望で、、、全てが薬物飲酒中毒者の一方的な自己正当化による末路で、お酒やコカインへの啓蒙として楽しむことができる。
(これはチープすぎると嘆いていた友人に咄嗟についた適当な意見である。気にする人はそう思い込めば楽しめるし、最初からジミーと同じぐらいの知性の人はもっと楽しめるよってだけだ。私の知性はジミーだった。それだけだ。)
最後まで、この全てが現実なのか幻覚なのかは観客の解釈に委ねられる。ジミーの薬物に侵された現実認識の曖昧さをそのまま反映した、混沌とした結末となっている。
海外レビューを総括すると、『Jimmy and Stiggs』はインディペンデント・ホラーの新たな可能性を示した野心作として評価できる。ジョー・ベゴス監督が4年間という歳月をかけて自宅アパートで撮影した手作り感は、CGIに頼らない実用的特殊効果と相まって、1980年代のB級ホラー映画を現代に蘇らせることに成功している。
しかし一方で、80分という短い上映時間にも関わらず、延々とつづく暴力シーン、過度な暴言の連続による疲労感は否めない。物語よりも視覚的インパクトを重視したアプローチは、一般観客には受け入れ難い面もあるだろう。が、完全にカルト映画ファン向けの作品として作られているため、監督たちはそんなことを気にしないで私たちのレビューを読んで大笑いしていると思う。
まとめ
『Jimmy and Stiggs』は、ジョー・ベゴス監督による最も個人的で野心的な作品として、インディペンデント・ホラー映画の新たな地平を切り開いた。この記事では、失業中の映画監督ジミーがエイリアン・アブダクションを体験し、親友スティッグスと共に自宅アパートで壮絶な戦いを繰り広げる物語の完全ネタバレを紹介した。
期待度について言えば、『Christmas Bloody Christmas』で注目を集めたベゴス監督の新作として、またエリ・ロスのザ・ホラー・セクション第一弾作品として大きな話題を集めていた。4年間という製作期間と監督の自宅での撮影という話題性も、ホラーファンの期待を高める要因となっていた。
内容の評価としては、実用的特殊効果の素晴らしさとネオンビジュアルの独創性が高く評価される一方で、明確な物語構造の欠如と過度な暴言の使用について批判も多い。16mmフィルムで撮影された映像美とDIY精神は称賛されているが、万人受けする作品ではないという評価が一般的だ。
海外での評価は、限定的な劇場公開ながらホラー専門誌やカルト映画ファンから熱狂的な支持を獲得している。一方で一般観客からは賛否両論の反応が見られ、特に過度な暴言と視覚的な過激さについては批判的な意見も多い。IMDb6.0点という評価は、作品の実験性を評価する声と理解できないという声の分裂を反映している。
本作の最大の功績は、大手スタジオでは絶対に製作不可能な狂気的なビジョンを、限られた予算と環境の中で見事に実現したことにある。ベゴス監督の「監督・脚本・主演・撮影・プロダクションデザイン」を一人でこなすワンマン・プロダクションは、インディペンデント映画制作の新たな可能性を示している。
また、新型コロナウイルスパンデミック期間中に着想を得た作品として、隔離状態での創作活動という現代的なテーマも内包している。友情と依存症、現実と幻想の境界線といった普遍的テーマを、エイリアン侵入というB級ホラーの枠組みで描いた点も評価に値する。
エリ・ロスのザ・ホラー・セクション第一弾作品として、今後のインディペンデント・ホラー映画界への影響も期待される。サム・ライミやピーター・ジャクソンの初期スプラッター作品が現代に蘇ったような本作は、CGIに頼らない手作りホラーの魅力を改めて証明した記念すべき作品となっている。
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