「マッツ・ミケルセン最高傑作」世界が大絶賛した映画『The Promised Land(2024)』物語ネタバレと海外の感想評価まとめを紹介。
もくじ
キャスト
映画『The Promised Land(2024)』物語ネタバレ
1755年、デンマーク
退役将校のルドヴィク・カーレン（マッツ・ミケルセン）は、ドイツ軍での25年間の勤務を終え、貴族からわずかな年金、そして不毛のユトランドの湿原の土地を授かる。
カーレンはいずれこの不毛の地に集落を作ることを夢見て大地を耕すが、この土地を狙っていた無慈悲な地主のフレデリク・デ・シンケル（サイモン・ベンネビェアグ）から執拗な嫌がらせを受けることになる。
カーレンはフレデリクとの契約を破り、フレデリクの虐待から逃れてきたヨハネス・エリクセン（モーテン・ヒー・アンデルセン）とその妻アン・バーバラ（アマンダ・コリン）を密かに匿って共に土地の耕作を始める。
ある夜、カーレンの家に侵入したロマニ族の少女アンマイ・ムス（メリーナ・ハーグベリ）を捕まえたカーレンは、彼らの集落に向かい彼ら全員を雇うと宣言、彼らの知恵と力を借りて焼畑を行うなど土地の耕作を行う。
シンケルの収穫祭の舞踏会に招待されたカーレンは、シンケルの婚約者のエーデル・ヘレーネ（クリスティン・クヤス・ソープ）と出会う。彼女はシンケルとの結婚を断るため、一年以内に別の相手を探しており、カーレンに白羽の矢を立てていることを伝える。
パーティーの終盤、シンケルは、招待客の前で逃げ出した農奴をとらえたと報告し、ヨハネスを連れてくると、かつての主人の命令によって皆の前で熱湯を掛けられ続ける拷問を受けて殺されてしまう。
カーレンはヨハネスの遺体を妻のもとに持ち帰るが、貴族に捕まるとどうなるかを知った仲間たちはカーレンの元から立ち去って行ってしまう。
残されたカーレンは、アン・バーバラとアンマイの助けを借りて、ドイツから持ち込んだジャガイモを植え、長く厳しい冬を３人で乗り越え、ついに80袋を収穫し国に収め、貴族たちに驚かれる。
収穫の報告を受けた国王の勅命で、カーレンには王室調査官の称号が与えられ、カーレンの領地は入植地と認められ、ドイツから50人の入植者が送り込まれる。
カーレンの成功によって、エーデルが奪われると激怒したシンケルは、刺客を雇いカーレンの領地に忍び込ませて入植者二人と家畜を殺害して立ち去る。カーレンはシンケルの嫌がらせだと気付き直訴するが、シンケルはしらばっくれてしまう。
カーレンは仲間たちと一緒に刺客のアジトを襲撃して一味を始末するが、シンケルの将校プリスラー（オラフ・ホイゴー）に殺害現場を目撃されてしまい、カーレンは告発されてしまう。すぐに国王軍とシンケルがカーレンの領地を訪れ、殺害の罪でカーレンを逮捕し、この土地の所有権はシンケルに奪われてしまう。
エンディングネタバレ
囚われたカーレンがシンケルの屋敷で酷い拷問を受けている間に、屋敷に忍び込んだアン・バーバラが毒入りの飲み物を用意し、アンに気付いたエーデルも彼女と共謀しシンケルを誘惑し毒入りの酒を飲ませることに成功する。動けなくなったシンケルの前に現れたアン・バーバラは、シンケルの腹部を刺した後、物理的に去勢して殺す。
ボンド執事（トーマス・W・ガブリエルソン）は国王政府にすべて説明したことで、カーレンは釈放されるが、アンは終身刑、残されたエーデルはノルウェーの自宅に戻ることになる。
釈放されたカーレンは追放されたアンマイのもとを訪ね、一緒に暮らそうと二人で取り戻したカーレンの領地に戻り農場生活を始める。
数年後、
豊かに実るジャガイモ畑に囲まれて生活しているカーレンの元に、政府の人間が現れ、カーレンに男爵の称号と、400人の入植者が与えられるとの知らせを受け取る。
アンマイ・ムスは滞在していたロマニ族の仲間とともにカーレンの領地を去ってしまう。
カーレンは自身の領地を離れ、男爵の称号を捨ててしまう。カーレンは囚人車を襲撃し、アン・バーバラと一緒に馬に乗って海へ向かうシーンで物語は終了する。
海外の感想評価
2024年2月2日に全米で公開された映画『The Promised Land(2024)』の海外の感想評価をまとめて紹介していきます。
IMDb 7.7/10
8/10
2023年中に観た映画の中で、最も素晴らしい映画だった。
しばらくレビューを書いていなかったのは、一年中観たポップコーン映画のレビューをもう書く気になれなかったからだ。
約束の地』は、今年一番観た映画だった。最初から最後まで本当に素晴らしいストーリーだった。いつもなら字幕を読むのに疲れてしまうのに、この映画は引き込まれ、スクリーンが黒く染まる最後まで離さない。そう、それほど素晴らしいのだ！私はアカデミー賞のファンではないが、この映画は間違いなくアカデミー賞作品賞の候補になるだろう。本当に素晴らしい映画だった。キャスト全員に賞賛を送りたい。本当に。よくやった……みんな。
10/10
華麗なるデンマークのユトランド・ウェスタン
おそらく、今年最も魅力的でパワフルなヨーロッパ映画のひとつだろう。素晴らしいストーリーテリング、演技、監督、撮影、美術、衣装、メイクアップ。
この映画は西部劇というジャンルのあらゆる道具を使っている。広大な風景、過酷な土地を開発する入植者たち、支配階級の貪欲さ、不正、残酷さ、無慈悲さとの戦い、自分の心に従うことを学ぶ頑固な一匹狼、古い技術と新しい技術（この場合は農業技術）、裕福な地主と戦う入植者たち、人種的偏見、そしてもちろん、迫力あるお決まりの対決シーン。
私は長い間、壮大な西部劇のルック＆フィールを持つヨーロッパを舞台にした時代劇を待ち望んでいた。今までにいくつかの試みがあったが、それらはすべて、ある部分において私の期待を裏切っていた。この作品はその先頭を走っているかもしれない。ぜひ、大きなスクリーンで見てほしい。
2023年最高の映画のひとつ
いつも頼れるマッツ・ミケルセンの感情を揺さぶる演技に支えられた『約束の地』（原題：Bastarden）は、小規模で親密な人間ドラマを叙事詩のような広大なキャンバスで語り、心温まる部分と悲惨な部分のバランスを巧みに取り、一貫して魅力的なユトランド西部劇を提供している。ストーリーの核心は家族と一体感だが、水面下ではエスカレートする緊張感が漂っており、無名の野心と狂人の貪欲さが衝突する暴力シーンがしばしば散見される。
メタスコア 77/100
まとめと感想
日本人には馴染みがないが、海外ではこんな開拓時代を描く作品が人気な気がする。猛烈に退屈なやつから、さまざまなやつを見てきたが、本作は面白い。
不毛の地を開拓する男、奪おうと画策している無慈悲な地主、そして女、登場人物同士シンプルな構造で分かりやすい。リアルさを追求しているのか、彼らの服装はボロボロで食べ物も粗末なもの、なのに貴族は捨てるほどに大量の料理を前にしていたりする。デンマークの厳しいが美しい自然を相手に奮闘する様も見応えがあった。
一番グッときたのは初めてのジャガイモの収穫までの厳しい現実、食事もなく栄養が取れず、子供が栄養失調で弱り、予期せぬ天気の裏切りに奮闘する夫婦の姿は見ているこっちが寒気を感じてくるほどにリアル。
海外レビューでも話題になっていたが、映画にそぐわないレベルのゴア表現が少し出てくる。格差、厳しい現実、力の差を見せつけるために必要なシーンだったとはいえ、キツイ。
エンディングはスカッとさせるが、それぞれ旅立つシーンは少し寂しさを感じる。
なんというか、この時代に生まれなくて本当に良かった。
と思う。
見応えのある２時間で、あっという間に終わってしまった。
ただし文章にするとシンプルなもので、見応えと見やすさが見事にバランスよく、見終わった後の良い映画を見たなという多幸感を味わえる。
2024年アメリカ公開映画
ネタバレ↓