映画『ちひろさん』物語ネタバレと原作ファンから見た漫画との違いと魅力を紹介




「この人と友達になりたい」Netflixオリジナル映画『ちひろさん』物語結末までネタバレ。原作が大好きな私が漫画との違いと感想を解説。先に伝えておきたいのはこの作品は原作ファンも楽しめる丁寧で優しく角が取れた、ちょっと疲れている人に見てほしい作品になっています。

「ちひろさん」は江角マキコ主演ドラマ「ショムニ」の同名原作漫画の著者「安田弘之」さんの全9巻の作品。元風俗嬢ということ以外不明でつかみどろこのない風来坊のような根無草で自遊に風の吹くままに生きるちひろの日常を描いた作品です。

彼女の周辺にも小さいけれど大きな傷を負った大人から子供がいて、ちひろさんはいつもその中心的存在で頼れる姉のようで妹のようで母のように振る舞うちひろの内面が時折描かれたりそれでも彼女のことは最後までわからないのですが、読む人の心を穿つ描写もあれば、読むたびに心の緊張がほぐれるような優しさも感じられる大人のためのサプリメントのような作品です。

すみませんこの作品を文章化は無理です。

ファンだけどこの作品の感想を書けません。

それぐらい複雑で見事な作品なので気になる人はぜひ原作漫画もしくは本作のネタバレを読んでみてください。

とにかく私が言いたいのは、そんな漫画を実写映画化なんて正気か!?と思ったこと、でも2時間後に漫画と同じ不思議な優しい気持ちで見終わったこと。実写というか邦画そのものが嫌いな私が久しぶりに邦画を楽しめたことだけは先に伝えたいのです。

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映画『ちひろさん』物語ネタバレ

ちひろさんは公園で猫を撫でて遊具を楽しみ海を眺めた後お弁当屋のパートを始める。ちひろさんが元風俗嬢だったことはみんな知っている。

ちひろさんは子供にいじめられていた浮浪者を助け家でシャワーを浴びせる。(浮浪者は何もせず丁寧にお辞儀した後帰る)

女子高生のオカジはそんなちひろさんの動向を追って写真を撮るのが趣味だった。夜になると家族一緒に集まって仲良く食事をしているように見えるが、母親は夫を怒らせないように慎重に注意深く行動しているように緊張感がある。

ちひろさんは廃墟のビルに住む助けた浮浪者にお弁当を届け一緒に食事をしていたがある日を境にいなくなってしまうのだった。

浮浪者がいなくなったビルを秘密基地にしている女子高生べっちんと知り合い定期的に訪れては漫画を読む。

ちひろは風俗嬢時代に知り合った親友のバジルと一緒に食事をして昔話に花を咲かせバジルの男運のない辛い話を聞く。

翌日、ちひろさんは口の悪い悪戯っ子のマコトにコンパスで刺されて出血するが、ちひろさんは微笑みマコトにお弁当を食べさせると心を開いたマコトから”ごめんなさい”の謝罪を受け笑顔で許してあげる。マコトの母親は夜の仕事をしており育児放棄気味だった。

その後、海に足を浸して夕日を見ているちひろの横にオカジが現れる。

ちひろはお弁当屋の店長の奥さんの多恵のお見舞いに行く。失明している多恵とは長い付き合いなのか互いにちゃん付け呼びをしているが、ちひろが多恵と知り合いなのはなぜか店長には内緒にしていた。

ホームレスがいなくなってからちひろはずっとホームレスを探し続けていたが、ついに見つけたホームレスは家屋の隙間で隠れるように亡くなっていた。ちひろは裏山に向かうとホームレスの墓穴を掘って埋める。

夏祭りをバジルと歩いていると金魚すくいの屋台を経営している元風俗店の店長と出会う。バジルは店長に一目惚れしていた。

ちひろ繋がりで知り合ったマコトにオカジは勉強を教えていた。ちひろが現れオカジは完璧そうに見える家庭で完璧な料理を作る母だが、あの食卓の食事は味がしないのだと言う。ちひろは理想的な家庭を望む父親のための場所だからだね、一人で食べても美味しい食事は美味しいよとアドバイスする。昔の客から聞いた人間は同じじゃなくて他の星からきた宇宙人だから、分かり合えることはできないこと、家族であっても他の星から来たから無理なものは無理だということ、そう考えた方が面白いじゃないかと教えてくれる。

ちひろは弟から電話で母が亡くなった話を聞くが、葬式には行かないことを伝え何か伝えたそうな弟に対して仕事だからと電話を切る。

オカジはいつものように家族四人で食卓を囲んでいる最中に、父親が一方的に決めていた週末の予定を断る。父親は家族よりも大事なものがあるのか?と洗脳するかのように問い詰め母親はそんな父親を怒らせないように怯えてオカジを責める。

ちひろから宝の地図だと聞いて廃墟ビルを訪れたオカジは秘密基地のようにソファと椅子と漫画に囲まれて過ごすべっちんと知り合い同じ学校で同じ趣味と感覚を持っていることを知り友人になる。

ちひろはラーメン屋で知り合った弁当屋の常連谷口と一緒に飲む。寡黙な谷口は過去に父親と壮絶な喧嘩をして殴って逃げたこと、色即是空と彫られた手首の刺青を戒めのように触って見ている谷口と話をしているうちにしたくなったと一夜を共にする。せっくすをしている最中涙を流す谷口。

バジルはちひろに飄々と自由に生きるちひろに対し誰かを独占したり恋愛したくならないのか?と質問すると下戸のお酒みたいなもので飲み過ぎるとキツくなるから自由でいたいこと、セックスしたくならないのか?と聞かれると生理現象みたいなものだと答え穏やかな夜を過ごす。

オカジはちひろと出会ってからほんの少しだけ自分の意見を言うようにした、家族に対しても友人に対しても。おかげで友人からは離れて孤独に過ごすが、屋上に行くとべっちんと会えるので似た境遇の二人は互いに会えたことを喜んでいた。

ある日、マコトの母親が誕生日に花束を渡されたのはちひろの入れ知恵だと文句を言いにきた。そんなことよりもマコトをもっと見てあげて、あなたの焼きそばが好きだと言っていたこと、そして花束のことは何も知らないと伝えると母親は何も言えなくなって立ち尽くしていた。

店長の熱帯魚店に押しかけたバジルが働いていた。

マコトの母親の一件のせいか、ちひろは水の底にいる状態だと店長とバジルの飲みの誘いを断っていた。そこに現れたオカジとマコトが押しかけてきたため少しだけ元気をもらったようだった。そこで根無草のちひろが唯一店長にだけは懐いている理由は父親だからだと説明する。その話を聞いたバジルは勘違いしてちひろを責め仲違いしてしまう。

あの一件以来家族と不仲になったオカジはマコトのために食事を用意していると、母親がお前が家庭を壊したと非難するも父の顔色ばかり伺い娘の私のことを何も見ていないじゃないかと叫ぶ。オカジはおにぎりをマコトに食べさせた後、帰ってきたマコトの母(マコトの花束に添えたメッセージカードが飾られていた)の作った焼きそばを食べると、オカジは大粒の涙を流す。

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エンディングネタバレ

大雨の日、多恵の願いで病院に内緒で車で旅行をしていた。実はちひろは多恵が店番をしている時に弁当屋で多恵と出会い、この人は私と同じ星の人だったんだと気がついたと話す。それがこの弁当屋で働くきっかけだったようだ。

そんな多恵を母親だったらどんな感じなのかなとつぶやくと多恵は今のあなたが大好きだよと言われた後、多恵に抱きしめられたちひろは安心したような表情を浮かべる。

店長の熱帯魚屋のビルの上で、店長、バジル、マコト、オカジ、べっちん、弁当屋の店長と奥さんの多恵さんがみんなで食事会を開く。途中で離席したちひろを察した多恵から電話で”そのままいなくならないでね、またあした”と言われるが返答はしない。

翌日、弁当屋にちひろの姿はなかった。ちひろは遠い地で酪農の手伝いをしていた。

前の職業を聞かれたちひろはお弁当屋さんですと笑顔で話すのだった。

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原作との違いは”ほとんどない”

安田弘之さんは漫画を書く時は通常”Gペン”と呼ばれる筆を使わず、文房具屋で普通に売っている”丸ペン”を使っているため、柔らかい独特なタッチが生み出されています。原作ひろさんはこんな感じです↓

でも細かく見てもらうと分かる通り、キャラは全てデフォルメされていますが、表情が見事に描かれており文系の私であっても察することができます。さすがにデフォルメされたこの表情までは実写映画は100%作り出せてはいませんが、珍しく映画と原作漫画にほとんど違いがないです。

なんとか違いを絞り出すとするならば、原作漫画だと、バジル姉さんはもっと妖艶だったり、マコトの母親はもっとひどい母親でしたが、映画だとちひろの言葉を真摯に受け止める素直な余裕がないだけの人だったり。オカジと家族の話はもっと暴力的で一方的にオカジが辛い思いをする、映画の方がシリアスで心を締め付けるようなシーンやキャラは極力丸く削られているのでダメージが少ないです。(一応漫画では全て解決し、その決断によって成長するので将来的には正しい選択だったことがわかりますが、途中の描写がキツかったりします)

あ、あとラストが少しだけ違うかも。漫画だともっと自由に異国に行ったりしていつか帰ってくるんだろうなーとかオカジとかマコトが懐かしむところに、どんなに遠く離れていてもまるで近所に住んでいるかのようにちひろから挨拶だけの連絡が入ったりして”身近にいるよ”と読者を安心させてくれるラストでしたが。映画版だとパーティーの最中に抜け出してそのままいなくなってしまったラストだったりするのでちょっと寂しかったりしますね。

でも違いという違いはそんなものでしょうか。あの9巻使ってゆっくりと成長していく皆の姿を綺麗に端折って視聴者に魅力だけを凝縮させて伝えてくれた見事な脚本と編集された作品だと思います。おお、漫画原作の実写映画で褒めたのは生まれて初めてじゃないかな。

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で誘惑に勝って4巻だけで満足した人はコメントください。

負けて全巻買っちゃった人もコメントください^^

布教ばかりでこの漫画を好きだという人に出会ったことがないので、私の好きな漫画を読んだ人がどんな感想を持ったのか知りたいのです。

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まとめと感想「男性に読んで観てほしい」

ちひろさんの友達になりたい。

いきなりキモいこと言ってすみません。でも違うんです、この言葉は原作漫画を読んだ人が全員思うことなんです。

私は前述した通り原作漫画のファンです。漫画好きという人に出会ったら必ずこの漫画を布教しています。この作品を嫌いと言った”男性”はいませんでした。

男性、と言ったようにこの漫画は女性向きではないと思います。上手に説明できませんが、この作品の主人公”ちひろさん”は”男性の潜在意識を具現化したような存在”だからです。実際パートナーやママ友達たちにこの漫画を紹介しましたが誰にも共感されません。

そして著者の安田弘之さんはちひろさん一巻の最後にこのようなあとがきを残しています

この人がどこかで生きている気がする。
ちひろさんに会ってみたい、
話してみたい、飲んでみたい
友達になりたい。
そう感じてもらえたら嬉しいです。

男性は特にこの言葉が刺さるような内容です。

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