映画『ニトラム/NITRAM』物語エンディングまでネタバレと感想「怖い。ひたすらに」




映画『ニトラム/NITRAM』物語エンディングまでネタバレ。彼はなぜ史上最悪の銃乱射事件を起こしたのかを犯人マーティンの生い立ちから事件当日をリアルに描き、危うい精神状態の二トラムの行動全てに緊張感が走り一瞬も油断できず疲れますが、数々の賞を受賞しただけのことはあり、視聴後に様々な感情を抱かせてくれる作品です。

スポンサーリンク




映画『ニトラム/NITRAM』あらすじ

1990年代半ばのオーストラリア郊外で、父と母の3人で暮らすニトラムは周囲に溶け込めないもどかしさと孤独を抱えながら生きていた。しかし、引きこもりの相続人ヘレンという親友を思いがけず見つける。しかし、その関係は悲劇的な結末を迎え、ニトラムは孤独と怒りを募らせ、災難へと向かってゆっくりと下り坂を歩み始める。

スポンサーリンク

映画『ニトラム/NITRAM』受賞歴

第74回カンヌ国際映画祭で男優賞を受賞、第54回シッチェス・カタロニア国際映画祭で監督賞と主演男優賞、2021年度オーストラリア映画テレビ芸術アカデミー賞で作品賞・監督賞・主演男優賞など8部門を受賞。

スポンサーリンク

映画『ニトラム/NITRAM』キャストスタッフ

監督
ジャスティン・カーゼル
脚本
ショーン・グラント

キャスト
ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ… ニトラム
ジュディ・デイヴィス… ママ
アンソニー・ラパリア … パパ
フィービー・テイラー… ライリー
ショーン・キーナン… ジェイミー
コンラッド・ブラント … ドクター
ジェシー・ウォード …母親
エッシー・デイヴィス … ヘレン

映画『ニトラム/NITRAM』エンディングまでネタバレ

映画の冒頭で少年ニトラムは大量の花火を扱い負傷し入院中の間に地元の記者のインタビューを受けており「もう花火で遊びませんか?」との質問に「また遊ぶ」と何が悪かったのか理解していない様子を映し出していた。

発達障害のある青年ニトラム(ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ)は、オーストラリアのポートアーサーで両親と暮らしている。成人した彼は、現在も庭で大量の打ち上げ花火を鳴らし隣人が咎めても隣人に打ち上げ花火を飛ばす問題行動を繰り返していた。

彼の父親は融資を受け、B&Bを購入して、ニトラムに経営を手伝ってもらおうと考えていた。

ニトラム

ある日、ニトラムは海岸でサーフボードを行う一人の青年をずっと見ていた。その横で海を眺めていた女性ライリー(フィービー・テイラー)に話しかけるがボーイフレンドのジェイミー(ショーン・キーナン)によってあしらわれてしまう。だが、ニトラムはずっとジェイミーに憧れを抱いていた。 彼に近づくためサーフボードを買おうとニトラムは、付近の住民を訪ねて回り、庭の芝刈りをして資金を得ようと試みるがあしらわれてしまう。

すぐに諦めたニトラムは公園の遊具で遊んだ後小学校の横で花火を打ち上げ小学生に持ち上げられ良い気になっているところをを父親が止められてしまう。良い気分を台無しにされたニトラムは父親の車を破壊し父親が止めてもクラクションを鳴らし続け、何を言ってもわがままな行為を止めることのないニトらむに父親は心底疲れ切っている様子が窺える。

スポンサーリンク

ヘレン

ある日ニトラムは豪邸に入り込み芝刈り機の必要はないかと声をかけに行く、現れた裕福な中年女性のヘレン(エッシー・デイヴィス)はお金に困っているニトラムを快く受け入れ芝刈りを依頼するが芝刈り機が壊れて動けずに狼狽えているニトラムを遠くから眺めていたヘレンは笑っていた。そこで彼女の提案でヘレンの飼っている10匹近い犬を散歩するバイトをするようになる。

不思議とニトラムと馬のあうヘレンは親密になり、ニトラムと一緒に車の試乗を行うがヘレンの運転中悪意なく悪ふざけのつもりでヘレンのハンドルを勝手に動かす危険な行動を咎めるディーラーの男だったが、ヘレンは気にせずニトラムに高級車を買い与えるのだった。

両親の咎めに苛立っていたニトラムは家を飛び出しヘレンの邸宅で一緒に暮らし始める。

誕生日を迎えたニトラムは、カフェテリアでヘレンを両親に紹介する。彼の母親はヘレンに、ニトラムが幼い頃、迷子になったふりをして母親を心配させ、狼狽える姿を見て悦に入っていた逸話を聞かせる。また、車を乗り回している彼が運転免許証をもっていないことも伝える。最後に母親が疑問を伝える「なぜ私の息子なの?」と、しかしヘレンは「彼は気が利いて面白い人、そして私にとって特別な人だから」と好意を持っていること伝えるのだった。

スポンサーリンク

ヘレンの死

彼は、ヘレンの庭でエアライフルを使って遊び始め、彼女に本物の銃を買って欲しい頼むが、彼女は拒否する。その日の夜ニトラムはヘレンに二人でアメリカロサンゼルスに行こうと誘う。元女優だった頃を忘れずにいたヘレンもその気になる。空港へ向かう途中の車の中で上機嫌の二人だったが、いつも通りニトラムがヘレンのハンドルを操作する運転の邪魔をするが、ヘレンが笑って咎めるため調子に乗ってもう一度行った結果、操作不能となった車は事故を起こしヘレンは死に、ニトラムだけ生き残ってしまう。事情を聞きにきた警察に対しヘレンが居眠りしたという主張が通り二トラムにお咎めはなかった。 ニトラムはヘレンの家を相続して一人で住み始める。バーを訪れたニトラムは憧れていたサーファーのジェイミーに酒を奢って近づく。ジェイミーと一緒に大麻を楽しみ親密になるが、駐車場にいた女性をナンパしろと言うが、ビビって踏み出せない彼に対し、小声で何度も何度も「ニトラム」と囁いた後、がっかりした様子で車から立ち去るのだった。この時彼は怒りを隠すことなく大麻を吸う器具を外に捨てて割るのだった。

父の死

母親が二トラムの家を訪れ家に戻るように催促するが、ニトラムはヘレンから全てを相続し500万ドル手に入れていると笑顔で調子に乗っていた。しかし父親の調子が悪いとつたえ一緒に帰宅する。

父親はB&Bを始めるため購入を考えていた物件が他の人に買われてしまったことで夢が奪われてしまったと落ち込み鬱になっていた。鬱を理解できない二トラムはどんなに父親を励ましても動かないことに腹を立て酷い暴力を振るう。やっと立ち上がった父親に対して嬉しそうにキスをするが彼にとっては優しさのつもりなのだろう。

後日父親の購入予定だった家に先に住んでしまった老夫婦を訪れ家を譲るように大量のお金を見せて懇願するが、お金の問題じゃないと追い出されてしまう。帰り際二トラムは郵便受けを破壊して立ち去る。

サーフボードを手に入れた彼はサーフィンをしようと海に入るが彼は泳ぎもサーフィンの技術も未熟で波に飲まれ続け何もできずに海岸で凹む。

数日後、遺体となった父親が川で見つかる。自殺だった。

父親の葬儀に参加しようと、彼なりに立派な姿(水色のスーツに派手なネクタイ、カウボーイハット、金のネックレス)で登場するが、あまりの姿に母親に拒絶され葬儀への参加を断られてしまう。

孤独になったニトラムはヘレンと一緒に行くはずだったロサンゼルスを一人で旅行、ビデオカメラで撮影しながらハリウッド観光をするが、彼は楽しそうには見えない。

スポンサーリンク

銃の購入

1人で延々とエアライフルを撃ち続ける。

何かを思いついたニトラムは地元の銃器店を訪れて様々な重火器の説明を受ける。武器のライセンスを持っていないことを二トラムは正直に言うが、大金を見せていたおかげか、店主の性格かは不明だが、店主は”ライセンスを持っていなくても問題ない”と二トラムにセミオートライフルやショットガン、リボルバーなど銃火器を大量に売るのだった。(購入時も彼は銃の説明を聞きながら銃口を他の客や店員に向ける悪戯をして嗜められているのに)

ニトラムはジェイミーに会いに行き、調子に乗った様子で手に入れた大量の武器を見せびらかして(仲良しになりたい風)に気前よく拳銃を渡そうとするが、異変を感じた彼は受け取らず無言で二トラムから距離を置き立ち去るのだった。理解できないニトラムは泣きそうな顔をしている。

スポンサーリンク

エンディングネタバレ「ポートアーサー銃乱射事件」

二トラムは本物の銃を使い一人で射撃訓練を始める。庭に戻った二トラムは独り言を繰り返して彼の精神状態が悪い状態になりつつあるのを示唆している。

その後スコットランドの小学校で起きた銃乱射事件に関する報道を食い入るように見て触発されたニトラムは、衣類を揃えると別の銃器店を訪れ大量の武器を購入、帰宅した彼はヘレンの家中の大掃除を行うと家のあちこちに銃を隠す。

翌朝、彼は購入した衣服に着替え新しい靴を履く。

鏡をずっと見つめ、鏡の自分に向かって長いキスをする。誰にも愛されなかった彼は自分で自分を愛しているということだろうか。

住宅街に到着すると、ヘレンの家で大量に飼っていた犬たちを放して立ち去る。そして父親が購入しようとしていた例の家に住んでいた老夫婦を訪れノックして出てきたところを即座にセミオートライフで射殺すると次の場所に向かう。

そして、両親とヘレンが彼の誕生日を祝ったカフェテリアに車で乗り付け大量の銃をしまったバックを持ったまま席に座る。

注文したゼリーを食べジュースを飲んだ後、録画ボタンを押したビデオカメラをテーブルに置いて、銃を取り出し乱射する。 ニトラムの家では、この虐殺事件のニュースがテレビから流れ、彼の母親は庭で一人たばこを吸っていた。

文章が流れる。

1996年4月28日 タスマニア州ポートアーサーで35人が死亡、23人が負傷。孤独なガンマンは35回の終身刑を言い渡された。

この出来事でオーストラリアの銃規制法案が見直され改革法案は異例の12日で行われ合意され64万丁の銃器を政府が”買う”形で押収し破壊された。

しかし現在、1996年よりも多くの銃器がオーストラリアに存在している。

スポンサーリンク

まとめと感想「事件の真相を知ると気分が変わる」

先に言っておこう

この二トラム、私の友人にそっくりなのだ。

お陰で視聴中、二トラムの突飛な行動を行う彼の精神状態や”分かって欲しいこと”が分かってしまい…気分が悪くなってしまった。

彼も二トラムも幼少期から発達障害っぽい言動を繰り返し、成人してしまい、親を困らせ、自分がやりたいことを続け、咎められると暴れ、友達が欲しいから頑張るけど友達作ったことないからやることなすこと全部空回りして、最悪のタイミングで金持ちに出会って好かれちゃったから調子に乗ってしまい、お金でなんでも解決する馬鹿野郎になり、お金で友人を作ろうと思ったけどダメで馬鹿にされて。。。までは一緒なのだ。

ニトラムはこの後、父親にも母親にも避けられ、嫌われ、死なれ、最終的に考えたのは無差別殺人している。もちろん友人はここまでやらないだろう、が、大金を手に入れて人格が変わってしまった彼とかなりダブって嫌悪感が湧いてしまった。

おっと。

映画は良かった。

視聴時にはよくわからなかった無差別殺人事件を起こした犯人の話、ということで二トラムの発達障害のそれの危険な言動の片鱗にいちいち緊張感を持ってしまいドキドキして見入ってしまった。最後の席を立ち上がるあの瞬間まで恐怖すら感じた。映画を見終わった後は、良い映画だったな。というピリッとした緊張感が残る感覚で誰かとこの映画について話をしたくなるような高揚感を得た。

が、その勢いでこの映画の基になった「ポートアーサー事件(wiki)」を調べて失敗したし後悔した。彼はあの後、35人もの人を射殺したのだが、無差別であり、大人も子供も関係なく、後ろから横から前から遠くから、誰も構わず好き放題殺すのだ。子供を守って助けて欲しいと命乞いをされても彼は親子共々殺している…って知ってしまい、映画の気分を一気に壊されてしまった。

映画作品と史実は切り離すべきなのだろうが、このクソ野郎の行動の真実を知ってしまうと如何にもこうにも感情が切り離せずもうこの作品を見たいとは思えない。あの事件を忘れないためにって教訓にもなるのだろうが、、、ああもう!ってなっちゃう。

良い映画だけどセルビアンフィルムぐらい人に薦めれない作品である。

関連



コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

error: Content is protected !!