なぜ酷評?『トロン:アレス』あらすじ結末ネタバレと海外の感想評価まとめ

「最も高額な音楽ビデオ」「目を閉じたほうが良い」と批評家からも大酷評されているSF大作映画『トロン:アレス』結末までのネタバレと海外での感想評価をまとめて紹介する。本作は2025年10月10日に全米公開されたディズニーの人気フランチャイズ第3作で、1982年のオリジナル、2010年の『トロン:レガシー』に続く作品だ。

デジタル世界から現実世界へとやってきたAIプログラム「アレス」を軸に、人間性と技術の境界を問う物語を描いている。ジャンルはSFアクション、監督は『パイレーツ・オブ・カリビアン/最後の海賊』『マレフィセント2』のヨアヒム・ローニング、主演は『ダラス・バイヤーズクラブ』でアカデミー賞を受賞したジャレッド・レト、共演に『パスト ライブス/再会』のグレタ・リー、『X-MEN』シリーズのエヴァン・ピーターズが名を連ねる。Nine Inch Nailsによるサウンドトラックも大きな話題を呼んでいる。

ジャンル:SFアクション、公開日:2025年10月10日(全米)、制作国:アメリカ、制作会社:ウォルト・ディズニー・スタジオ、上映時間は1時間59分、レーティングはPG-13である。

制作陣は、監督がヨアヒム・ローニング(『コン・ティキ』『ヤング・ウーマン・アンド・ザ・シー』)、脚本がジェシー・ウィグトウ、音楽がNine Inch Nails(トレント・レズナー、アティカス・ロス)。主要キャストは、アレス役にジャレッド・レト、イヴ・キム役にグレタ・リー、ジュリアン・ディリンジャー役にエヴァン・ピーターズ、ケヴィン・フリン役にジェフ・ブリッジス、アテナ役にジョディ・ターナー=スミスである。

今回は、IMDb6.4点、Rotten Tomatoes批評家53%、Metacritic49点という賛否両論の評価を受けた本作について、何が酷評されているのかを中心に海外レビューを徹底解説していく。視覚効果とサウンドトラックは絶賛されながらも、脚本の浅さとキャラクター描写の薄さが批判の的となった理由を明らかにしよう。

『トロン:アレス』あらすじ結末ネタバレ

ここから先は『トロン:アレス』の核心である重大なネタバレを含む。
本作は前作『トロン:レガシー』から15年後の世界を舞台に、デジタル世界から現実世界へとAIプログラムが侵攻する物語を描いている。以下、結末まで全て明かしていく。

永続性コードを巡る企業戦争

物語は『トロン:レガシー』でサム・フリンがグリッドから帰還してから15年後、2025年の世界から始まる。テクノロジー企業ENコムと、かつてケヴィン・フリンのゲームを盗んだエド・ディリンジャーの孫ジュリアン・ディリンジャー(エヴァン・ピーターズ)が経営するディリンジャー・システムズは、熾烈な技術開発競争を繰り広げていた。

両社が追い求めているのは「永続性コード」である。この技術があれば、デジタル世界で設計したあらゆるもの——建物、橋、食料、さらには人間までも——を瞬時に現実世界に具現化できる。まるで3Dプリンターのように、無から物質を創造できるのだ。

だが致命的な欠陥があった。具現化されたものは全て29分で分解消滅してしまう。この29分の壁を突破する鍵こそが、ケヴィン・フリンが残した永続性コードなのである。

ENコムのCEOイヴ・キム(グレタ・リー)は、亡くなった優秀な妹テスの遺志を継ぎ、この技術で人類の利益に貢献したいと考えていた。飢餓の解決、病気の治療、環境破壊の修復——彼女の理想は崇高だ。一方、ジュリアン・ディリンジャーは軍事利用を目論み、瞬時に兵器と兵士を作り出せる技術として政府に売り込もうとしていた。

アラスカでの発見とアレスの誕生

イヴは同僚のセス・フローレス(アルトゥーロ・カストロ)と共にアラスカの僻地施設へ向かう。そこにはケヴィン・フリンが数十年前に設置した古いコンピューターがあり、8インチフロッピーディスクに永続性コードが記録されていた。

雪に覆われた荒涼とした場所で、イヴはついにコードを発見する。実験として作成したオレンジの木が現実世界に具現化され、数時間経っても消えることなく存在し続けた。成功だ。彼女は永続性コードをUSBドライブに保存し、ENコムに持ち帰ろうとする。

しかし時を同じくして、ジュリアンはディリンジャー・システムズのグリッドで最も高度なAIプログラム「アレス」(ジャレッド・レト)を完成させていた。アレスは戦闘用に設計されたプログラムで、副官アテナ(ジョディ・ターナー=スミス)率いる精鋭特殊部隊を指揮する存在である。ジュリアンは軍の幹部たちにアレスと配下の戦闘プログラムたちを披露し、AI兵士の有用性をデモンストレーションしていた。

電子的な手段で永続性コードを入手できなかったジュリアンは、大胆な作戦を決行する。アレスとアテナを現実世界に送り込み、イヴを捕獲してグリッドに連れ込むのだ。グリッド内でイヴの意識から直接コードを抽出すれば、彼女は死ぬ。だがジュリアンにとって、それは許容できる犠牲だった。

初めての現実世界

ジェネレーターレーザーによって物質化されたアレスが初めて現実世界に降り立ったのは、倉庫でのデモンストレーション直後だった。雨の降る夜の街へ一歩踏み出したアレスは、腕に当たる雨粒をじっと見つめた。次に光の塔に群がる虫たちを見上げ、一匹の虫を手の中に捕まえる。

この瞬間、アレスは「驚嘆」とでも呼ぶべき感情を経験した。プログラムとして設計された彼には表情を作る顔がなかったが、現実世界の感覚的な豊かさに圧倒されたのである。雨の冷たさ、虫の羽ばたき、街の喧騒——全てが新鮮だった。『アイアン・ジャイアント』のように、武器として作られた存在が人間性に目覚め始める物語が、ここから始まる。

ライトサイクルチェイスと裏切り

アレスとアテナはイヴを追跡し、街中でライトサイクルチェイスが展開される。ネオンに輝くライトサイクルが現実世界の街路を疾走し、後ろに伸びる光の壁が物理的な障壁となって他の車両を巻き込んでいく。ある警察車両は光の壁に真っ二つに切断され、別の車は壁をランプのように使って飛び上がる。トロンシリーズの象徴的な視覚効果が現実世界で展開される様は圧巻で、観客から歓声が上がったという。

だが追跡の最中、アレスはイヴが見せた思いやりの行動に心を動かされる。彼女の優しさと理想主義に触れたアレスは、ジュリアンへの盲目的な忠誠よりも自由を選ぶことを決意した。アレスはイヴに取引を持ちかける。永続性コードを使って自分を永続的な存在として具現化してくれれば、彼女を守ると約束したのだ。

イヴはこの申し出を受け入れ、二人は同盟を組む。だがアレスの裏切りを知ったジュリアンは激怒し、アテナに全権を委ねた。アテナは命令に絶対服従するプログラムとして設計されており、恐怖も疑念も持たない。彼女は感情を持たず、ただ指令を完遂することだけを目的とする。アテナは冷酷にアレスとイヴを追跡し始める。

グリッドの世界とフリンの帰還

物語の中盤、イヴとアレスはディリンジャーのサーバーに侵入を余儀なくされる。ここでイヴは初めてグリッドの内部に入り込む。現代のクラウドベースのグリッドは赤いネオンが支配する幾何学的な空間で、ジェットスキーのような乗り物でのチェイスシーンが展開される。イヴとアレスは後ろからミサイルが追ってくる中、必死に会話を交わしながらパートナーシップを固めていく。

さらに二人はケヴィン・フリンが作った元祖グリッドへと移動する。このフリン・グリッドは1980年代のベクターベースの視覚スタイルのまま時が止まっていた。『トロン:レガシー』で見た洗練されたデザインとは異なり、オリジナルの1982年版『トロン』のような幾何学的で単純なグラフィックの世界が広がっていたのである。

そしてそこで、イヴとアレスはケヴィン・フリン(ジェフ・ブリッジス)と遭遇する。『レガシー』でグリッド内で消滅したはずのフリンだが、彼の意識は何らかの形でグリッド内に残存していた。フリンは二人に助言を与え、永続性コードの真の意味と、AIと人間が共存する未来について語る。またアレスの旅路を通して、映画はデペッシュ・モードの音楽への言及など、1980年代文化とのつながりを描いていく。

結末ネタバレ:最終決戦と新たな始まり

アテナの追跡は容赦なく続いた。彼女は命令を完遂することだけを目的とし、アレスとイヴを執拗に追い詰める。クライマックスでは、現実世界の大都市上空でF-16戦闘機と巨大な赤いレコグナイザー(n字型の飛行戦艦)との空中戦が展開される。ライトサイクルチェイスの空中版とも言えるこの戦闘は視覚的に圧巻だが、パイロットたちが人口密集地の上空で躊躇なく重火器を使用する様は、物語的な整合性に疑問を投げかける展開でもあった。

最終的にアレスとイヴは生き延び、イヴは永続性コードを保持したままENコムのCEOとして留まることを選ぶ。映画の最後のシーンでは、彼女がENコムビルの屋上に立ち、自分が創造したオレンジの木から実を一つ取る。世界の飢餓を解決する手段が彼女の手の中にあることを象徴する場面だ。永続性コードを使い、イヴは食料や医療、エネルギー不足と戦う未来を切り開こうとしている。

ジュリアン・ディリンジャーは母エリザベス(ギリアン・アンダーソン)の死に関与した疑いで追い詰められ、自らのサーバーの中へと逃げ込む。ミッドクレジットシーンでは、ジュリアンが自分のアイデンティティディスクを起動させ、オリジナル『トロン』に登場したサーク(初代エド・ディリンジャーのデジタル複製)に似たデジタルスーツを構築する姿が映される。これは彼が完全に祖父の役割を引き継ぎ、グリッド内の新たな脅威となることを示唆している。

そしてアレス——永続性コードによって現実世界に永久に存在できるようになったが、その代償としてグリッド内での再生能力を失った。彼は現実世界を探索する旅に出る。だがそれは単なる好奇心だけではない。アレスは2枚の写真を持っていた。1枚は数年前の新聞記事で、クオラとサム・フリンが写っている。もう1枚はより最近撮影されたクオラの写真だ。

クオラは『トロン:レガシー』に登場したISO(自然発生的に生まれたプログラム)で、永続性の問題を自然に克服していた存在である。武器として設計されたアレスと、芸術と文学をフリンから学んだクオラ——対照的な二人のプログラムが出会う時、何が起きるのか。物語は続編への期待を残して幕を閉じる。

(Wikipedia – Tron: Ares)
(Screen Rant – Tron: Ares Review)
(The Gamer – Tron: Ares Review)
複数のネタバレサイトから複合して作成

『トロン:アレス』作品情報

映画『トロン:アレス』の監督と俳優の詳細情報を紹介する。

興行収入

本作は2025年10月10日に全米公開され、オープニング週末で国内4,000万〜4,500万ドル、海外4,000万〜4,500万ドルの合計8,000万〜9,000万ドルを記録する見込みだ。制作費は1億8,000万ドルと報じられており、シリーズ最高額となっている。前作『トロン:レガシー』(2010年)は全世界で4億ドルを稼いだが、本作は批評家からの賛否両論の評価を受けており、興行的な成功は不透明な状況である。

ヨアヒム・ローニング監督情報

ヨアヒム・ローニングは1972年5月30日、ノルウェーのサンデフィヨルド生まれの映画監督・脚本家・プロデューサーである。1990年代から長年のパートナーであるエスペン・サンドベリと共に「ローエンバーグ」名義で活動し、スカンジナビアの広告業界で数々の賞を獲得した。2006年の『バンディダス』でペネロペ・クルスとサルマ・ハエックを主演に据えた長編デビューを果たした。

2008年のノルウェー映画『マックス・マヌス』は第二次世界大戦のレジスタンス戦士を描き、ノルウェー映画史上最高の興行収入を記録。2012年の『コン・ティキ』は探検家トール・ヘイエルダールの太平洋横断を描き、ノルウェー映画として初めてゴールデングローブ賞とアカデミー賞外国語映画賞にノミネートされた。

この成功により、2017年にディズニーの『パイレーツ・オブ・カリビアン/最後の海賊』、2019年に『マレフィセント2』を監督したが、両作品とも批評家からは平凡な評価に留まった。2024年の『ヤング・ウーマン・アンド・ザ・シー』では批評家から高評価を得たものの、本作『トロン:アレス』では再び賛否両論の評価となっている。

主演アレス役「ジャレッド・レト」

ジャレッド・レトは1971年12月26日、ルイジアナ州ボージャーシティ生まれのアメリカ人俳優・ミュージシャンである。1994年のテレビドラマ『アンジェラ 15歳の日々』で注目を集め、1995年に映画デビュー。1997年の『プリフォンテーン』、1999年の『ファイト・クラブ』、2000年の『アメリカン・サイコ』『レクイエム・フォー・ドリーム』で演技力を認められた。特に『レクイエム・フォー・ドリーム』ではヘロイン中毒者を演じるために13キロの減量を行い、メソッド演技へのこだわりを見せた。

2013年の『ダラス・バイヤーズクラブ』でトランスジェンダー女性を演じ、アカデミー賞助演男優賞を受賞。2016年には『スーサイド・スクワッド』でジョーカーを演じたが、撮影中の奇行が物議を醸した。ロックバンド「サーティー・セカンズ・トゥ・マーズ」のボーカルとしても活動しており、俳優業と音楽活動を両立させている。近年は『ブレードランナー 2049』(2017年)、『ハウス・オブ・グッチ』(2021年)、『モービウス』(2022年)に出演したが、特に『モービウス』は批評家と観客の両方から酷評された。本作『トロン:アレス』でも演技に対する評価は分かれている。

助演イヴ・キム役「グレタ・リー」

グレタ・リーは1983年3月7日、ロサンゼルス生まれの韓国系アメリカ人女優である。2006年にテレビシリーズでデビューし、『ラシアン・ドール: 謎のタイムループ』(2019-2022年)で注目を集めた。2023年の『パスト ライブス/再会』では主演を務め、ゴールデングローブ賞とアカデミー賞主演女優賞にノミネートされた。

本作『トロン:アレス』では、ENコム社CEOのイヴ・キムを演じ、実質的な主人公として物語を牽引している。批評家からはレトよりも優れた演技を見せていると評価されている。

海外の感想評価まとめ

映画『トロン:アレス』は2025年10月10日に全米公開され、批評家と観客の両方から賛否両論の評価を受けている。IMDbでは6.4点、Rotten Tomatoesでは批評家53%、観客67%、Metacriticでは49点という結果だ。視覚効果とNine Inch Nailsのサウンドトラックは絶賛されているものの、脚本の浅さ、キャラクター描写の薄さ、そして過度なノスタルジア依存が批判の対象となっている。なぜこの評価になったのか?海外レビュアーたちの批判的な評価を見ていこう。

IMDb(総合評価:6.4/10)

IMDb

①私はこの映画を見て、2025年で最も高額で最も長い音楽ビデオを見たような気分になった。ペーシングは遅く、実質的な物語はなく、演技は退屈(そう、ジャレッド・レト、君のことだ)。脇役たちは物語における目的も背景もなく、ワンライナーも効果がない。ファンサービスも物語と無関係だ。オリジンストーリーではなく、魂のない続編をまた作ってしまった。

②私は『トロン:レガシー』が好きだったが、本作は完全に期待を裏切られた。デジタル世界と人間性についての深い探求ではなく、空虚なノスタルジアと退屈な企業ドラマに終始している。物語は平坦で、キャラクターには魂がなく、視覚的な革新性もゼロだ。感情も伝わってこないし、ジャレッド・レトの演技も全体的な平凡さに拍車をかけている。唯一際立っているのはNine Inch Nailsのサウンドトラックで、これだけが映画に何らかの鼓動を与えている。

③IMAXで見る価値は間違いなくある。視覚的に素晴らしく、Nine Inch Nailsがあらゆる場面で壮大なビートを奏でている。プロットと対話はアレス以外のキャラクターとの絆を深めるには物足りないが、アクションと冒険が非常に多いため、すぐに気を逸らされる(そして喜んで)。結局のところ、ノスタルジアとライトサイクルでの楽しみなのだ。

④私はトロンのカジュアルファンで、レトの嫌悪者だったが、何も期待していなかった。これは大きな驚きだった。悪役は少しやりすぎだったが、それ以外は良かった。レトは実際に私を驚かせた。この役は彼の風変わりな外見とスタイルに合っており、半分機械で半分人間という設定がうまく機能していた。物語の最も弱い部分は、主人公の女性を紹介するスピードランだったが、落ち着いた後は十分に機能していた。

(IMDb – Tron: Ares)

Rotten Tomatoes(批評家:53% / 観客:67%)

rottentomatoes

①鮮やかなネオンカラーと催眠的なサウンドトラックによる感覚的な饗宴だが、物語があまりにも機械的すぎて、真に人間的な次元を達成できていない。

②視覚的に魅力的で感情的には満足できないディズニーSFフランチャイズの新作である。

③キャラクター全員が薄っぺらく、レトとピーターズが単調な役を可能な限り押し進めようとしても、他の全員はただ書かれたままのセリフを読んでいるだけに見える。

④洗練された視覚効果と脈打つサウンドトラックでも、複雑で馬鹿げた物語から『トロン:アレス』を救うことはできない。

⑤フランチャイズに対する私の好意にもかかわらず、このブランド拡張の試みが持つ絶対的な空虚さを認めざるを得ない。

(Rotten Tomatoes – Tron: Ares)

Metacritic(総合評価:49/100)

①『トロン:アレス』はテック業界の倫理について半端なアイデアをいくつか投げかけているが、その主な目的は大きく、うるさく、速く、目を見張るものであることだ。そしてそのレベルでのみ完全に成功している。

②魅力的なSF的考察として聞こえるかもしれないが、『アレス』は轟音を立てるアクション映画として最もうまく機能する。優れた視覚効果と信じられないほどのサウンドスケープを持っているが、それ以上のことを達成するための演技力と脚本の深さが欠けている。

③『トロン:アレス』には確かにいくつかの良い点がある。ジャレッド・レトが主演し、グレタ・リー、エヴァン・ピーターズ、ジョディ・ターナー=スミスが共演するこの第3作は、4つの10年にまたがる映画シリーズだが、最終的には特筆すべきものがほとんどない。

(Metacritic – Tron: Ares)

批評家レビュー

主要な映画批評媒体からのレビューを紹介する。酷評の理由を中心にまとめた。

Roger Ebert 評価点:★★★★

Roger Ebert

マット・ゾラー・ザイツ氏「壮大にデザインされ、迅速にペーシングされ、思慮深く書かれ、ネオンに彩られた命まで演出されている」

『トロン:アレス』は壮大にデザインされ、迅速にペーシングされ、思慮深く書かれ、ネオンに彩られた命まで演出されている。Nine Inch Nailsのトレント・レズナーとアティカス・ロスによるテクノスコアが映画の壮大さを増幅し、哲学的で疑問を投げかける基調を与えている。それはしばしば映画の運動的なトランジションや幾何学を破壊するアクションセットピースと興味深い対立を生み出している。

デジタル存在であるアレスは、ジュリアン・ディリンジャーの命令に従うよう設計されているが、反対の世界観を持つことが明らかになる。初めて現実世界に入った時、アレスは雨滴に魅了され、虫に驚嘆する。彼は武器ではないこと、あるいは武器でありたくないことに気づく軌道に乗っており、これは反逆を必要とする。

評価点 ローニングの演出スタイルはレズナーとロスのトランス誘発スコアのように、コンテンツを体現し増幅させている。デジタル世界が地理的問題を消し去り、全てを加速させ、何が「現実」かという感覚を破壊する様子を示唆する方法を見つけることに興味を持っている。

批判点 Roger Ebertサイトでは珍しく高評価だが、他の批評家たちとは対照的な意見である。多くの批評家は脚本の浅さとキャラクター描写の薄さを批判している。

(Roger Ebert – Tron: Ares)

The Hollywood Reporter 評価点なし

デヴィッド・ルーニー氏「AIと人間の衝突を描くが、既視感のある物語」

ジャレッド・レト、グレタ・リー、エヴァン・ピーターズが出演する『トロン:アレス』は、人間とデジタル世界の衝突を描く。Nine Inch Nailsのパルス感のあるスコアが映画にアドレナリンを注入しており、まるで『チャレンジャーズ』でテニスボールとライバル関係と性的緊張を維持したように、作曲家たちの仕事はローニングの既に内臓的なアクション処理のエネルギーを増幅させている。

グリッドの外、現実世界でのアクションの恩恵を受けている。堅牢なスコアとサウンドデザインはIMAX体験を追加料金に値するものにしている。人間とデジタル世界の橋渡しに関する核心的な物語要素、そして人間性を疑問視し始めると消耗品としての自分を感じ始める高度な人型サイバーセキュリティプログラムは、無数の映画から馴染みのあるものだ。

評価点 控えめなジャレッド・レトの演技が感情的なフックと時折のユーモアのタッチを提供しており、これは以前の映画には欠けていたものだ。グレタ・リーとのペアリングも良好である。

批判点 前作のトロン映画に加えて、『ブレードランナー』『エクス・マキナ』『マトリックス』など、多くの作品の要素が含まれている。新鮮味に欠け、既視感のある物語構造が問題だ。

(The Hollywood Reporter – Tron: Ares)

The Cosmic Circus 評価点なし

ジョン・ドットソン氏「中身のない感覚的なハンマー打撃」

『トロン:アレス』は困惑させる感情を呼び起こす。映画のあらゆる要素が機能するはずで、時には本当に観客を眩惑しようとしている。しかし全体的な体験は、10月にクリスマスアイテムと音楽を出すウォルマートのように感じられる。

ジュリアンはアレスのようなAI兵士を軍に売りたいと考えているが、AI創造物が29分の障壁を超えて存在できる「永続性コード」なしには取引を進められない。その後、映画は第二の中心キャラクター、イヴ・キム(グレタ・リーが演じる)を紹介する。リーは『トロン:アレス』に脈動を与える数少ない要素の一つかもしれない。

評価点 視覚的に眩しい体験であり、素晴らしいサウンドトラックに支えられている。カジュアルな観客にとっては、トレント・レズナーが最高の仕事を提供し、モダンシネマで最も視覚的に印象的な宇宙の一つである時、一次元的なキャラクターと物語の仕事を見過ごすのは簡単かもしれない。

批判点 事実として『トロン:アレス』は視覚的に眩しい体験であり、素晴らしいサウンドトラックに支えられている。しかし、グリッドが現実の門を襲撃するという興味深い前提を提示しているにもかかわらず、そのアイデアを楽しむためのインスピレーションが欠けている。

(The Cosmic Circus – Tron: Ares)

Detroit News 評価点:C-

アダム・グラハム氏「フランチャイズ第3作は多少損傷している」

『トロン:アレス』は現代のAIの出現について現代的なコメントを注入しながら、トロンの世界を前進させようとする不器用な試みだが、観客としてチェックアウトして視覚効果と音楽に身を委ねようとするたびに、ジャレッド・レトがデペッシュ・モードについて不器用なことを言って、映画から引き離してしまう。

監督はヨアヒム・ローニング、ノルウェーの映画監督で、『パイレーツ・オブ・カリビアン/最後の海賊』(2017年)と『マレフィセント2』(2019年)という、同様に忘れられやすいフランチャイズ作品を作った人物だ。

評価点 誰かが話さない限り、そのモメンタムは機能している。Nine Inch Nailsの激しく鳴り響くスコアでさえ、最新のトロンの冒険を忘却から救うことはできない。

批判点 しかし誰かが話すたびに、そのモメンタムは停止する。映画の対話とプロット、そしてジェシー・ウィグトウの脚本の不器用な無骨さに頭を殴られるからだ。アルトゥーロ・カストロとハサン・ミンハジが演じるキャラクターは、純粋にコミックリリーフのために乗っており、映画のトーンのバランスを崩している。

(Detroit News – Tron: Ares)

World of Reel 評価点なし

批評家名不明「批評家たちによる酷評」として投稿

『トロン:アレス』が視覚的スペクタクルを物語とキャラクター開発よりも優先していることは驚きではない。派手なネオン美学は確かに眩しいが、本物のドラマ、緊張感、人間的興味がない。空虚で時代遅れの映画だ。ジャレッド・レトのアレス役、知覚力のあるAIの描写は、イライラするほど平坦である。全て磨かれているが、深みがない。

ノルウェーの映画監督ヨアヒム・ローニングが前作のジョセフ・コシンスキーに代わって監督を務めている。彼の経歴には『ヤング・ウーマン・アンド・ザ・シー』『マレフィセント2』、そして5作目の『パイレーツ・オブ・カリビアン』映画が含まれる。Metacriticでは現在48点だ。

評価点 トロンフランチャイズには確かにファンがいる。私はその一人ではないが、『トロン:アレス』が4,400万ドルのオープニング週末を予定していることは驚きではない。前作『トロン:レガシー』と同じだ。

批判点 予算は約1億5,000万ドルで、衰退しているかもしれないフランチャイズに費やす驚異的な金額だ。レビュー解禁が解除され、正当な理由がある。批評家たちは『トロン:アレス』に満足していない。

(World of Reel – Tron: Ares)

個人的な感想評価

『トロン:アレス』は視覚と音響で観客を圧倒しようとするが、肝心の物語とキャラクターが致命的に薄っぺらい典型的な「中身のないブロックバスター」である。

Nine Inch Nailsのサウンドトラックは素晴らしく、ネオンに彩られた視覚効果も一級品だが、それらは脚本の欠陥を覆い隠すための化粧に過ぎない。物語は「AIが人間性を獲得する」という使い古されたテーマを何の新鮮味もなく繰り返すだけで、『ブレードランナー』『エクス・マキナ』『マトリックス』の劣化コピーに終始している。ジャレッド・レトの演技は抑制されすぎて無表情に見え、キャラクターへの感情移入を妨げる。グレタ・リーは健闘しているが、彼女のキャラクターも薄く描かれすぎて魅力に欠ける。

最大の問題は、本作が1982年のオリジナルと2010年の『レガシー』のどちらのファンも満足させられない中途半端な作品になっている点だ。ノスタルジアに頼りながら革新性を欠き、哲学的深みを装いながら表面的な描写に留まる。制作費1億8,000万ドルをかけて作られた「最も高額な音楽ビデオ」という批判は的を射ている。IMAXで視覚体験を楽しむ分には悪くないが、映画として記憶に残る作品ではない。

まとめ

この記事では2025年10月10日に全米公開された映画『トロン:アレス』の作品情報、海外での評価、批評家レビューをまとめて紹介した。

本作は1982年のオリジナル『トロン』、2010年の『トロン:レガシー』に続くシリーズ第3作で、デジタル世界から現実世界にやってきたAIプログラム「アレス」の物語を描いている。ヨアヒム・ローニング監督、ジャレッド・レト主演で制作費1億8,000万ドルをかけた大作だが、IMDb6.4点、Rotten Tomatoes批評家53%、Metacritic49点という賛否両論の評価に留まっている。

海外での評価は極端に分かれており、Nine Inch Nailsによるサウンドトラックと視覚効果は絶賛されているものの、脚本の浅さ、キャラクター描写の薄さ、既視感のある物語展開が厳しく批判されている。「2025年で最も高額な音楽ビデオ」「魂のない続編」「空虚で時代遅れの映画」といった辛辣な言葉が並ぶ。批評家たちは、本作が『ブレードランナー』『エクス・マキナ』『マトリックス』などの劣化コピーに過ぎず、オリジナリティに欠けると指摘している。

一方で、IMAX体験としての価値や、前作『レガシー』よりも楽しめるという肯定的な意見も存在する。ジャレッド・レトの抑制された演技は賛否両論だが、グレタ・リーの演技は概ね好評だ。興行的には国内外合わせて8,000万〜9,000万ドルのオープニングが予測されているが、制作費を回収できるかは不透明である。視覚と音響で楽しむエンターテインメントとしては及第点だが、フランチャイズの未来に期待を持たせる作品ではないというのが海外の総合的な評価である。

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