映画『V/H/S/85』あらすじ結末ネタバレと海外の感想評価まとめ

ブラックフォン、ヘルレイザーの監督が作ったシリーズ6作目の映画『V/H/S/85』のあらすじ結末までネタバレ解説と海外の感想評価をまとめて紹介する。本作は、V/H/Sシリーズ第6作目となる1985年を舞台にしたファウンドフッテージ形式のホラーアンソロジー映画で、アメリカとメキシコの合作で制作された。IMDb5.6点、Rotten Tomatoes批評家73%、Metacritic53点という賛否分かれる評価を獲得した作品だ。

監督はデヴィッド・ブラックナー(ヘルレイザー)、スコット・デリクソン(ブラック・フォン)、ジジ・ソウル・ゲレーロ、ナターシャ・ケルマニ、マイク・P・ネルソンが担当し、5つの独立したセグメントと1つのフレームストーリーで構成された意欲的なオムニバス作品となっている。主演にはフレディ・ロドリゲス(プラネット・テラー、シックス・フィート・アンダー)が刑事ウェイン・ジョンソン役で出演している。

今回は、V/H/Sシリーズの中でも特にゴア描写が激しいと評される映画『V/H/S/85』のラストまでを完全解説する。以下の内容は本編の結末のネタバレを含むため、必ず鑑賞してから読んでいただきたい。また、暴力的な描写や不穏な内容が含まれるため、注意していただきたい。

『V/H/S/85』あらすじ結末ネタバレ

ここから先は『V/H/S/85』の核心である重大なネタバレを含む。
本作は1985年を舞台に、VHSテープに録画された5つの恐怖の物語を、架空のドキュメンタリー番組という形式で展開する。各セグメントは独立しているようで、実は「古い秩序と新しい秩序の衝突」というテーマで繋がっている。

トータル・コピー(序章)

ドキュメンタリー番組「トータル・コピー」の撮影チームはスタマー大学の科学者チームーーパイク・スプラットリング博士、ゲイリー・ニューウェル博士、マーガレット・ポーター博士、サラ・グレイソン博士の研究を撮影している。彼らのチームは奇妙な生命体「ロリー」を研究している様子が映し出される。

ロリーは砂漠のビュートの頂上で発見された謎の存在で、人間の姿を模倣する能力を持っている”何か”である以上の情報はないため、科学者たちはこの生命体に人間文化を教育しようと、1980年代風の部屋に閉じ込め、エアロビクス番組などのテレビ放送を24時間流し続けていた。スプラットリング博士はロリーとコミュニケーションが取れると確信していたが、グレイソン博士はその危険性を警告していた。

しかし、ロリーは徐々に変異を始める。最初は小さな少年の姿だったが、やがて触手のような四肢を生やし始めた。その形状はスパイクのついた粘液状の腕のようなものだった。

フレームストーリーに戻ると、ロリーがさらに変異を続けていることが明らかになる。科学者たちは状況を議論するが、スプラットリング博士は依然としてロリーは学習していると主張し、危険性を軽視していた。

ノー・ウェイク

若者7人ーーロブ、アンナ、ジャレッド、ドリュー、ロビン、ケビン、ケリーはビデオカメラで撮影をしながらキャンピングカーで「Lake Evic(邪悪な湖)」を訪れる。湖畔には「遊泳禁止」の警告看板が複数立っているが、アンナとジャレッドを除く5人はこれを無視して水に入り遊び始める。

彼らは水上スキーを楽しんでいたが、突然、岸から何者かに銃撃され頭を撃ち抜かれる。若者たちは何が起きているかを理解する前に5人全員撃たれて死んでしまう。

ところが数分後、5人は致命傷を負っていたはずなのに意識を取り戻す。頭や顔に酷い怪我を負っているのに生きている彼らがキャンピングカーに戻ると、岸で休憩していたアンナとジャレッドは死亡しており、キャンピングカーには血でローマ数字の「VII」が描かれていた。

生き返った5人は湖には死者を蘇らせる力があり、水に入った者だけが復活したのだと状況を理解して冷静になると怒りが湧き起こり、自分たちを襲った犯人に復讐することを決意するところで映像は終わる。

死の神

1985年のメキシコシティ。
朝のニュース番組の収録準備中、テレビ局のクルーたちーー司会者、カメラマンのルイス、その他のスタッフーーが冗談を言い合いながら仕事をしている様子が映し出されている。

ニュースが始まりしばらくすると突然、地震が発生。スタジオは激しく揺れ、建物が崩壊しクルー全員が瓦礫の下敷きになるが、ルイスだけが奇跡的に生き残る。

救助チームーーエディ、カーラ、ハビエル、ミゲルーーが到着し、ルイスを助け出すが余震の影響で出入り口が崩れたため建物からの脱出路が見つからない。そんな中、ハビエルは瓦礫に押し潰され致命傷を負ってしまう。助からないと感じたハビエルはカーラに自分を楽にしてくれと懇願し、カーラはためらいながらも彼にとどめを刺し脱出口を目指す。

残された4人は建物の地下に降り続け、やがて頭蓋骨で覆われた壁に囲まれた地下の部屋にたどり着く。そこにはアステカの死の神「ミクトランテクトリ」の像が置かれていた。

奇妙な壁面に驚いているとエディが突然、ミクトランテクトリに憑依されたエディは自分の腹を抉り腸をつかみ出して笑い出すと、次にミゲルに襲いかかると心臓を引きずり出す。皆が恐怖で叫ぶ中、エディの背後にミクトランテクトリの実体が現れ、エディの心臓も取り出して食べ始める。

逃げ延びたと思ったルイスとカーラだったが、カーラにミクトランテクトリが取り付きルイスを襲って心臓を抉り出すとミクトランテクトリに捧げひざまづくが、地震の影響で邪神の地下空洞も全て埋まっていく。

地上では、記者が生中継でこの悲劇を報道していた。地下室は完全に崩壊し、全員が死亡したという報道だった。

フレームストーリーに戻ると、ロリーが繭に包まれており、そこから生まれたのは彼の世話をしていたニューウェル博士の姿だった。科学者たちの間で緊張が高まるが、スプラットリング博士はこれを「進歩」だと解釈していた。

TKNOGD

パフォーマンスアーティストのエイダ・ラブレースが小さな観客の前でショーを披露する。彼女は「世界は神を殺し、テクノロジーの神に置き換えた」と演説し、仮想現実装置のデモンストレーションを始める。

エイダはVRのヘッドセット、グローブ、全身スーツを装着する。スクリーンには電子的な風景が映し出され、エイダが見ている映像が観客にも見えるようになっていた。

彼女は「テクノロジーの神」を呼び覚ます呪文を唱えると、スクリーン上に謎の存在が現れた。彼女が用意した映像ではないため、エイダは動揺してヘッドセットを外そうとするが、その存在はVRの中で彼女を攻撃し始めると、現実のエイダも同じ影響を受けていく。。

そしてエイダの身体は持ち上げられ、首を絞められ、投げ飛ばされる。仮想世界でエイダの手が噛みちぎられると、グローブを外した時には現実でも手が失われエイダは絶叫しながら死亡する。

しかし観客たちは、これが全てパフォーマンスの一部だと思い込み、拍手を送る。カメラマンが近づいてバイザーを持ち上げると、エイダの露出した脳と顔面組織がヘッドセットと融合していることが明らかになった。

フレームストーリーでは、ロリーがさらに変異を続け、より人間に近い形態を取り始めていた。グレイソン博士の警告はますます切実なものになっていたが、スプラットリング博士は聞く耳を持たなかった。

アンブロシア

ライリー一家が娘ルースの祝賀会を開いている。ルースは従兄弟のジェームズとビデオ撮影をしている。どこにでもある一般的なホームビデオの映像で和やかに進む誕生パーティーのようにも見える。ルースが外に出ると親戚一同から祝福され、さらに幼い親戚のアダムが水鉄砲でルースを撃って驚かせてくる、ルースはどこでその水鉄砲を手に入れたのかと尋ねるとさっき「キャンピングカーにいた女性」からもらったと語る。背後でどこかで見かけたキャンピングカーが走り去っていく。

夜になり、ライリー家は古い家族の伝統を祝う通過儀礼をルースが完了したと伝え、親戚一同が手首に「Ⅶ」のタトゥーを見せ祝福する。そして、ビデオの上映会が始まる。

そこに映し出されていたのは、冒頭の若者たちの物語「ノー・ウェイク」の7人の若者を襲うライリー家の若者の映像だった。若者は湖で遊ぶ若者たちを狙撃銃で次々と撃ち続けている。ビデオの上映中、突然武装警察が突入し一族全員が銃を取り出し、激しい反撃を行う。

銃撃戦の中で、ルースは死んでしまう。

しかし、彼女の体には「ノー・ウェイク」で登場した湖の水が入っており、ルースは蘇生して警察官たちを撃ち殺す。しかし致命傷を負って復活してしまったことにショックを受けたルースは銃で自殺を試みるが、すぐに生き返ってしまい、警察たちに連行されていく。

ここで「ノー・ウェイク」と「アンブロシア」の2つのセグメントが繋がっていることが明らかになった。ライリー家は、湖の復活能力を利用して不死の能力を得るカルト集団だったのだ。

フレームストーリーに戻ると、ロリーは次にニューウェル博士の姿を完璧に模倣し、科学者たちを操り始めていた。グレイソン博士は危険を訴えるが、スプラットリング博士はロリーの「進化」を評価し続けていた。

結末ネタバレ:ドリームキル

この物語は『ブラック・フォン』と同じ世界観を共有している。

刑事ウェインが奇妙な連続殺人事件を捜査していた。奇妙というのは、犯人が撮影したとされる殺人ビデオテープが、実際の殺人が起きる1週間前に警察に送られてくるのだ。

ビデオ映像は一人称視点で撮影された殺人シーンと、監視カメラで撮影された警察の捜査シーンが交互に映し出され、一人称視点の殺害映像は死体を弄ぶリアルな映像が映し出されグロい。

捜査を進めるうち、ウェインはボビーという男性とその息子ガンターに行き着き取り調べをすると、ガンターは超能力者で、未来の殺人現場を予知夢として見ることができること、ボビーはこの能力を利用して、息子の夢に基づいて殺人を実行していると言う。

ついに真犯人に辿り着いたと思ったウェインだったが、息子を助け出すために警察署を襲撃しに来たボビーに殺されてしまう。しかし最終的にグンターは父親の邪悪さを理解したのか、自らの手で父親を射殺することで連鎖を断ち切る。

フレームストーリーの結末では、怪物の姿に変身したロリーが油断していた研究員たちを皆殺しにしていく。

ロリーは部屋に戻るとテレビに映るエアロビクス映像を真似て、死体を操ってダンスを踊るシーンで映画は終わる。

(https://en.wikipedia.org/wiki/V/H/S/85)

『V/H/S/85』作品情報

映画『V/H/S/85』は、5人の監督が手掛ける5つのセグメントと1つのフレームストーリーで構成される。ホラー界の実力派監督たちが結集し、1985年という時代設定を活かした独創的な恐怖を描き出している。

興行収入

本作はShudder独占配信作品のため、劇場公開による興行収入データは公開されていない。

デヴィッド・ブラックナー監督情報

デヴィッド・ブラックナー(1977年または1978年生まれ)は、アメリカのホラー映画監督。代表作にNetflix配信の『ザ・リチュアル いけにえの儀式』(2017)、レベッカ・ホール主演の『ザ・ナイト・ハウス』(2021)、そして2022年のHulu配信『ヘルレイザー』のリブート版がある。

アトランタで育ち、警察探偵の父と救急看護師の母のもとで育った。ジョージア大学でジェイコブ・ジェントリーやA.J.ボウエンと出会い、後に『ザ・シグナル』(2007)で共同監督デビューを果たす。

2012年には『V/H/S』の「Amateur Night」セグメントを監督し、ファウンドフッテージホラーの新境地を開拓した。『ザ・ナイト・ハウス』では心理ホラーの傑作を生み出し、『ヘルレイザー』リブートではジェイミー・クレイトンをピンヘッド役に起用して新たな解釈を提示した。V/H/Sシリーズには複数回参加しており、本作『V/H/S/85』ではフレームストーリー「Total Copy」を担当した。

共同監督スコット・デリクソン情報

スコット・デリクソン(1966年7月16日生まれ)は、ホラー映画とMCU作品で知られる監督・脚本家。代表作に『エミリー・ローズ』(2005)、『シニスター』(2012)、マーベル・シネマティック・ユニバースの『ドクター・ストレンジ』(2016)、そして『ブラック・フォン』(2022)がある。

『シニスター』はイーサン・ホーク主演で批評家から高い評価を受け、製作費300万ドルに対して全世界で7800万ドルを稼ぐ大ヒットとなった。同作の脚本パートナーC・ロバート・カーギルとは長年のコラボレーターで、『ブラック・フォン』でも再タッグを組んだ。

『ドクター・ストレンジ イン・ザ・マルチバース・オブ・マッドネス』の監督に就く予定だったが、クリエイティブの相違により降板し、サム・ライミが後任となった。本作『V/H/S/85』の「Dreamkill」セグメントは、『ブラック・フォン』と同じ世界観を共有しており、Super 8フィルムを使った『シニスター』的な映像美が特徴となっている。

海外の感想評価まとめ

海外では「V/H/Sシリーズの中で最も一貫性のある作品」として評価されている一方で、「80年代設定を活かしきれていない」という批判も見られる。IMDbでは5.6点、Rotten Tomatoesで批評家73%・観客64%、Metacriticで53点と賛否が分かれた。なぜこの評価になったのか?海外レビュアーたちの評価を見ていこう。

IMDb(総合評価:5.6/10)

①V/H/Sシリーズのファンなら楽しめる作品だ。期待通りのダークで不穏な雰囲気が全編に漂っている。今回は構造的な変化があり、それがゲームチェンジャーとして機能している。いくつかのセグメントは他より優れているが、20分間台無しにするような完全な駄作はなかった。

②新しいV/H/S作品の中では最も気に入らなかった。期待していただけに残念だ。湖の超自然的な能力や、未来の殺人を映したビデオテープを受け取る刑事の話など、魅力的なアイデアはあった。特にScott Derrickson監督の「Dreamkill」は、『シニスター』や『マンハンター』を彷彿とさせる映像が素晴らしかった。

③バックグラウンドで流していると不気味な雰囲気が漂う作品だ。多くのシーンが超現実的で不穏なので、ふと見上げた時に衝撃を受ける。最初のセグメントは集中して見るほど強くなかったが、流しっぱなしにしておくと、このスタイルが生み出す落ち着かない雰囲気が素晴らしかった。

④ストーリーは多様で、いくつかは複数のパートに分かれており、バラエティと親しみやすさの両方がある。恐怖、ゴア、殺人、モンスターがあり、ほとんどがよくできていて演技も良い。全てが80年代のVHSのグリッチとカオスで綴られている。

IMDb – V/H/S/85

Rotten Tomatoes(批評家:73% / 観客:64%)

①V/H/Sシリーズに愛着があり、85も期待を裏切らない。いつも通り、ヒットとミスの混合だが、良いものは本当に良い。今回はアナログホラーの雰囲気を強く押し出しており、それが効果的だ。粗い映像品質、奇妙な編集、「今見たのは何?」という瞬間が恐怖を高めている。

②Years Trilogy(94、99、85)の確固たる終結として強力な作品だ。VHSで実際に撮影されたセグメントもあり、本物の恐怖に回帰している。全てのセグメントがしっかりしており、陽気なものから恐ろしいものまで幅がある。ただ、分かりにくい部分があるのが欠点だ。

③短編映画の集合体として、V/H/S/85はまあまあだ。いくつかはアンソロジー形式の素晴らしい例で、1つは非常によくできていてもっと見たいと思わせる。しかし別の1つは、課題を完全に理解していないように感じられた。

Rotten Tomatoes – V/H/S/85

Metacritic(総合評価:53/100)

①ヒット・アンド・ミスのホラーアンソロジーというサブジャンルにおいて、V/H/S/85は輝く灯台だ。映画製作者たちは様々なアイデアを探求する空間を与えられており、特定のアンソロジーの型に制約されていない。

②V/H/Sシリーズは、ファウンドフッテージホラーの無限の柔軟性を示し続けている。才能ある映画製作者たちに自分の実力を披露し、境界をテストする機会を与えている。V/H/S 85では、全員が本気だ。

③クリエイティブな監督たちに大きな挑戦の機会が与えられ、実際にそれを実行した時、結果はこれまでにない悪夢のような体験をもたらす。V/H/S/85のこうした瞬間は、シリーズの価値と最終的に提供できるビジョンを思い出させてくれる。

Metacritic – V/H/S/85

V/H/S/85 批評家レビュー

主要な映画批評媒体からのレビューを紹介する。V/H/S/85は80年代ホラーへのオマージュでありながら、現代的な恐怖も描き出そうとした意欲作だ。

Roger Ebert 2.0/4

サイモン・エイブラムス氏「V/H/Sフランチャイズが最初に持っていた約束は、V/H/S/85にはほとんど存在しない」

何らかの理由でジャンルファンを1980年代のアナログ過去に連れ戻すことを約束する低エネルギーな作品だ。収録されたセグメントのほとんどは、現実の媒介された性質について語るべきことがほとんどなく、ただ「VHSテープで何でも見られた時代を覚えているか?」という程度のものだった。

評価点 ナターシャ・ケルマニの「TKNOGD」とマイク・ネルソンの「アンブロシア」は簡潔で意地悪な作品として機能している。特に「TKNOGD」はパフォーマンスアートの降霊会が予期せぬ流血に変わる過程を短く描いている。

批判点 最も視覚的に印象的なセグメント「Dreamkill」は、最も中身がない。警察が発見するテープが近未来に撮影されたように見えるという捻り以外に、目立った要素がない。フレームストーリー「Total Copy」も政府の隠蔽と暴力的な変身エイリアンについての不気味なニュースレポートで視聴者を引っ張るが、ほとんど意味をなさず、中途半端に面白いだけだった。

(Roger Ebert – V/H/S/85)

Slashfilm 7/10

ジェイコブ・ホール氏「シリーズで初めて、すべての監督が月を目指して撮影しているように感じる作品だ」

V/H/Sシリーズの美点は、ファウンドフッテージホラーの無限の柔軟性を示し続けることだ。スリリングなジャンル映画製作者たちに実力を披露し、境界をテストする機会を与えている。V/H/S 85では、全員が本気で取り組んでいる。

評価点 デヴィッド・ブラックナーのフレームストーリーは、過去のV/H/S作品の中で最も優れたものの一つだ。変身する人型生命体を発見した大学の科学者チームを描いたパノス・コスマトス風のモックドキュメンタリーで、各セグメントを繋ぐ役割を見事に果たしている。マイク・P・ネルソンの「No Wake」は、湖での虐殺という古典的なスラッシャーの設定から予想外の方向へと展開する。

批判点 80年代設定を謳っているにもかかわらず、実際には時代性をほとんど活用していない。数か所の散発的な瞬間とベータテープについての冗談を除けば、V/H/S/85に収録された5つの短編はいつの時代でも成立する内容だった。もっと80年代という時代に踏み込んだ作品を期待していた。

(Slashfilm – V/H/S/85)

Dread Central 4/5

メアリー・マカンドリュース氏「V/H/S/85はおそらくシリーズで最も一貫性のある作品だ」

各セグメントが宇宙的ホラーに焦点を当て、80年代の変化する文化意識を取り入れている点が素晴らしい。フランチャイズの中でも特に統一感のある仕上がりになっている。

評価点 ジジ・ソウル・ゲレーロの「God of Death」は、1985年のメキシコシティ地震という実際の悲劇を題材にしながら、アステカ神話の恐怖と組み合わせた野心的な試みだ。ナターシャ・ケルマニの「TKNOGD」は、テクノロジーが新しい神になるというコンセプトをVRを通じて描き、時代を超えた恐怖を提示している。各監督がAゲームを持ち込んでおり、明らかな弱点がない。

批判点 一部のセグメントは展開が速すぎたり、唐突に終わったりする傾向がある。もう少し時間をかけて登場人物の背景や動機を掘り下げれば、さらに効果的だったかもしれない。それでもアンソロジー映画の宿命とも言える欠点であり、本作の創造性と悪趣味な楽しさがそれを補って余りある。

(Dread Central – V/H/S/85)

IndieWire C+

デヴィッド・エーリッヒ氏「フランチャイズのMVPはデヴィッド・ブラックナー監督だ」

ザ・ナイト・ハウス監督のデヴィッド・ブラックナーが、他のどの監督よりも印象的で満足感のあるセグメントを提供している。しかし全体として見ると、V/H/S/85は期待値を下回る出来栄えだった。

評価点 ブラックナーのフレームストーリー「Total Copy」は、異星の生命体が人間の文化を学習していく過程を描き、最後の7分間ワンカットシーンは圧巻だ。スコット・デリクソンの「Dreamkill」も視覚的に印象的で、80年代テキサスの衣装やヘアスタイル、スロッビング・グリッスルの楽曲使用が際立っている。

批判点 V/H/Sフランチャイズが6作目にして80年代を舞台にするのを待っていたことよりも奇妙なのは、実際にそこに行った時にその時代をほとんど活用していないことだ。年に1本のペースで製作しなければならないプレッシャーが、品質管理の問題を引き起こしている。既視感のある展開が多く、皮肉なひねりや後付け的な調整で誤魔化している印象が強い。

(IndieWire – V/H/S/85)

The Hollywood News 4/5

キャット・ヒューズ氏「フランチャイズ最高の作品の一つだ」

V/H/S/85はシリーズの中でも最高の作品の一つとして称賛に値する。特にネルソンの最初のセグメント「No Wake」は、シリーズ史上最も血まみれで、混乱していて、ゴア描写が激しい物語として際立っている。

評価点 マイク・P・ネルソンの「No Wake」は圧倒的だ。昼間に起こる虐殺シーンの残虐性は、シリーズ全体を通じて最もグロテスクで容赦ない。このセグメントだけで本作を見る価値がある。各監督が全力を尽くしており、明らかな弱点が存在しない。宇宙的ホラーと80年代の文化意識の変化に焦点を当てた点も評価できる。

批判点 80年代という時代設定をもっと活用すべきだった。ベータテープについてのジョークや散発的な小道具以外に、1985年という年代を感じさせる要素が少ない。もっと時代に踏み込んだストーリーテリングを期待していた観客は物足りなさを感じるだろう。

(The Hollywood News – V/H/S/85)

個人的な感想評価

初V/H/S シリーズ視聴。なんだこれ全体的にファウンド・フッテージで語られた5つの短編ホラーが詰まっており、全体的に30点〜50点ぐらいの絶妙にクソ作品を見るという流れになっているんだな。面白いと言えば面白いが、いきなり予告もなしにこの作品群を見た人は驚いちゃうだろうな。最後のエイリアンのやつがアホなオチだったからよかったものの、他の作品で締めくくられていたら悲しい気持ちになっていたかもしれない。

で、みんなも言っているけど85年要素ってなんだった?VRのやつとか好きだけど、85年ってマリオとかの時なのに、時代を先取りしすぎだって。せめてマリオが画面から出てきて殺されるとかにしておけば良いのに。などなど全編ツッコミどころ満載なのが面白いのかな。

さっさと酔っ払ってみるのが正解か。

V/H/S/85は、シリーズ史上最もゴア描写が過激でありながら、同時に最もテーマ性を意識した作品として仕上がっている。らしい。そうか?他のやつもっとヤベェのか?

海外レビューを総合すると、古い秩序と新しい秩序の衝突というテーマが各セグメントを貫いており、それが80年代という時代設定と見事に呼応している点が高く評価されている。
デヴィッド・ブラックナーのフレームストーリーは、過去のV/H/S作品のような単なる繋ぎではなく、それ自体が独立した恐怖として機能しており、7分間のワンカットシーンは圧倒的だ。マイク・P・ネルソンが「No Wake」と「Ambrosia」という2つのセグメントを連結させた構造も、シリーズ初の試みとして革新的である。
スコット・デリクソンの「Dreamkill」は『シニスター』と『ブラック・フォン』の世界観を繋ぐ野心的な作品であり、Super 8フィルムの質感が不穏な雰囲気を醸し出していた。一方で、80年代設定を十分に活かしきれていないという批判は的を射ている。ベータテープの冗談程度では、1985年という時代の空気感を捉えたとは言い難い。それでも、各監督が全力で取り組んだ結果、明らかな駄作セグメントが一つもないという点は、V/H/S/94以来の快挙だろう。

海外の批評家ってなんでこうもクソ作品を褒める言葉を紡ぐのが上手いんだろうね。

よし、次は99を見てみるとしよう。

まとめ

この記事では、映画『V/H/S/85』のあらすじ結末までのネタバレと、IMDb、Rotten Tomatoes、Metacriticでの海外の感想評価をまとめて紹介した。

本作は「V/H/Sシリーズの中で最も一貫性のある作品」として期待され、デヴィッド・ブラックナー、スコット・デリクソンといったホラー界の実力派監督5人が集結した。1985年を舞台に、科学者が研究する変身生命体、湖で蘇る若者たち、メキシコ地震で目覚めるアステカの神、VRパフォーマンスの悲劇、そして予知夢に基づく連続殺人という5つの恐怖を描き出した。特に「No Wake」と「Ambrosia」が物語上で繋がる構造は、シリーズ初の試みとして注目を集めた。

内容面では、各セグメントのゴア描写が過激で、特にマイク・P・ネルソンの「No Wake」は「シリーズ史上最も血まみれで残酷」と評された。デヴィッド・ブラックナーのフレームストーリーは7分間のワンカットシーンで科学者たちの虐殺を描き、圧倒的な映像体験を提供した。スコット・デリクソンの「Dreamkill」は『シニスター』を彷彿とさせるSuper 8映像と『ブラック・フォン』の世界観を融合させ、独特の不穏さを演出している。

評価は賛否両論に分かれた。IMDb5.6点、Rotten Tomatoes批評家73%・観客64%、Metacritic53点という数字が示す通り、「シリーズ最高傑作」と絶賛する声がある一方で、「80年代設定を活かしきれていない」「既視感がある」という批判も根強い。ただし、「明らかな駄作セグメントがない」「全監督がAゲームを持ち込んでいる」という点では概ね一致しており、V/H/S/94以来の安定した品質として評価されている。

海外では「古い秩序と新しい秩序の衝突」というテーマ性、実際の1985年メキシコ地震を題材にした野心、2つのセグメントを連結させた革新的構造が高く評価された。一方で、年1本ペースの製作による品質管理の問題や、80年代という時代性を表面的にしか扱っていない点が指摘されている。それでも本作は、ファウンドフッテージホラーの可能性を押し広げ、各監督の個性が存分に発揮された意欲作として、V/H/Sシリーズの中でも重要な位置を占める一作となった。

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