映画『V/H/S/Beyond』あらすじ結末ネタバレと海外の感想評価まとめ

「エイリアン」をテーマに統一感が生まれシリーズ最高傑作との評価も多い映画『V/H/S/Beyond』の結末までを完全ネタバレ解説。SF恐怖をテーマにした6つの物語が展開する最も血みどろで狂気のV/H/S。IMDb5.8点、ロッテントマト90%の本作を海外レビューとともに徹底紹介する。

「シリーズ史上最も血まみれで狂気のV/H/S」2024年10月4日にShudderで配信されたホラー・アンソロジー映画『V/H/S/Beyond』のあらすじ結末までネタバレ解説と海外の感想評価をまとめて紹介する。

本作はSF恐怖をテーマにした6つのセグメントで構成されるファウンド・フッテージ・ホラーだ。エイリアン、ロボット、変異体、自然の忌まわしきものたちが、VHSカメラ越しに描かれる。

本作はアメリカのファウンド・フッテージ・ホラー・アンソロジー映画で、V/H/Sシリーズ第7作目となる。2024年9月20日にファンタスティック・フェストでワールドプレミアが行われ、10月4日にShudderで独占配信された。前作『V/H/S/85』(2023)から1年後の復帰作だ。

監督陣にはジョーダン・ダウニー、クリスチャン・ロング&ジャスティン・ロング兄弟、ジャスティン・マルティネス、ヴィラット・パル、ケイト・シーゲルが参加。フレーム・ナラティブ「Abduction/Adduction」、5つのセグメント「Stork」「Dream Girl」「Live and Let Dive」「Fur Babies」「Stowaway」で構成されている。特に注目すべきは、ケイト・シーゲルの監督デビュー作「Stowaway」で、脚本は夫のマイク・フラナガンが手がけた。

今回は、SF恐怖の新境地を開いた映画『V/H/S/Beyond』のラストについて解説していこう。以下の内容は本編の結末のネタバレを含むため、必ず視聴してから読んでいただきたい。極度の流血描写、身体変形、グロテスクなシーンが含まれているため、注意していただきたい。

『V/H/S/Beyond』あらすじ結末ネタバレ

ここから先は『V/H/S/Beyond』の核心である重大なネタバレを含む。

本作は6つのセグメントで構成されたアンソロジーホラーだ。フレーム・ナラティブ「Abduction/Adduction」が各セグメントを繋ぎ、地球外生命体にまつわる恐怖が次々と明らかになっていく。

「Abduction/Adduction」

ドキュメンタリーチームはカナダのある邸宅で、中国系移民一家の長男が謎の失踪事件を追っている。邸宅からは2本のVHSテープが発見され、それらには地球外生命体の存在を証明する映像が収められているという。

専門家たちはエイリアンとの遭遇が本物かどうかを検証するため、VHSテープを再生する。

「Stork」

赤ん坊失踪事件を捜査している特殊部隊の新人隊員は初の任務で、ミッションのビデオ撮影する役割を指示される。多少の不満はあるものの、直接戦闘には参加しないため、比較的安全な任務だと言われる。

完全武装した部隊が古い屋敷に突入すると、なぜかそこにはゾンビの集団が巣食っており隊員たちに向かって襲いかかってくるが完全武装している特殊隊員に死角は無く、次々とゾンビたちを薙ぎ倒していく。その様子を新人隊員は自身も戦闘に参加しながらボディカメラで撮影し続ける。

2階に上がると、巨大な石が置いてある部屋を調査すると天井に巨大な穴が空いていることから、目の前の巨石は隕石で、一連のゾンビ騒動の原因はこの隕石だと思われるが確実なことは誰にもわからない。その間も次々とゾンビが襲いかかってくるため考える余裕もないのだ。

ゾンビを撃退しながら地下に降りると連れ去られた赤ん坊を見つけるが、すでにゾンビに感染していた。そんな赤ん坊を守るかのように部隊の前に現れたのは羽のない巨大な鳥のような怪物だった。隊員たちは即座に一斉射撃を行い何人か隊員を道連れにされながらも鳥頭をぶっ殺し、残った4人の隊員たちは鳥頭を中央に記念撮影を行う。

「Dream Girl」

インド

パパラッチの二人は人気上昇中の歌手タラのミュージックビデオ撮影スタジオに不法侵入し、タラの控室に隠れる。帰ってきたタラが突然顔を外してロボットの素顔を晒すと、驚いた男が小さく悲鳴を上げタラに見つかってしまう。

男はスタジオに飛び出すが、追ってきたタラはロボットの顔のまま追いかけ、スタッフが近づくとタラはスタッフの体を引き裂き破壊してしまう。タラは逃げるパパラッチの男を追いかけながら目についた人間全員に襲いかかり破壊していく。

スタジオが停電となり犠牲者たちの悲鳴が響き渡る中、パパラッチの男は暗視カメラに切り替え周囲を見渡す。目の前にタラが現れパパラッチの男は腕を引きちぎられて殺されてしまう。

タラはそのまま外に出るが、異変に気付きスタジオの外に集まっていた人々に対しても襲いかかるシーンで物語は終了する。

「Live and Let Dive」

ザック(Zach)と友人たちはジェス(Jess)の誕生日を祝うため、スカイダイビングに挑戦するため飛行機に乗り込むが、これから飛び降りるというタイミングで、パイロットが「UFOだ」と叫び、ザックたちが窓の外を見ると巨大な宇宙船と、宇宙船を撃退するためか空軍の戦闘機も出動して戦い始める。

UFOが突如進路を変えたためザックたちの飛行機に空中衝突し機体が大破してしまう。ザックたちは空中に放り出されるがなんとかパラシュートを開くことに成功する。周囲を見渡すとエイリアンが他の乗客を襲いながら落下していく姿を見届けながらなんとかオレンジ畑に着地するが、衝撃で足を負傷してしまう。

なんとか立ち上がりジェスと合流してオレンジ畑を歩いていると、落下したエイリアンが生き延びて周囲の人間たちに襲いかかっている姿を目撃し逃げるがジェスは捕まって殺されてしまう。ザックは走り続けオレンジ農家の親父に助けを求めるが間一髪間に合わず農家の親父は殺され、ザックはエイリアンに謎の光を浴びる。

ザックが目を覚ますとエイリアンの姿は消えており、助かったと思ったザックが車を走らせているとザックは車ごと空中に浮かび上がりエイリアンのUFOに連れ去られたところで物語は終了する。

「Fur Babies」

ベッキー・バクスターという中年女性が「Doggy Dream Home」という犬の保育園施設を紹介する動画が始まる。ベッキーが笑顔で動物たちを紹介する後ろの暖炉の上には施設で亡くなったペットが剥製にされた状態で飾られていた。

この動画見た動物愛護活動家たちは、死んだペットを剥製にしているベッキーの施設で何が起きているか証拠動画を撮影するため、スチュアートとアンジェラはペットの犬の首輪にカメラを仕込んでベッキーの施設を訪れる。

やはりベッキーには不審な点が多かった。一人暮らしと言いながら、無口な弟ボーも同居していたり、剥製の犬ゲイリーが消えている点を指摘するが、ベッキーは説明をはぐらかし地下にある剥製製作現場を案内すると二人を連れていく。

薄暗い地下室には檻に入れられた男性が呻き声をあげていた。二人が声を上げるよりも先に背後からボーが二人に襲いかかり気絶させられてしまう。

ベッキーは自撮りをしながら自分が作り上げた犬を紹介すると言って檻に入れられたスチュアートとアンジェラの顔を映し出すと、二人の下顎は取り除かれ代わりに犬の下顎が移植され化け物に改造されていた。そんな彼らをベッキーは犬と呼び笑顔で紹介する。

そこに二人を心配した動物愛護団体の職員たちが駆けつけベッキーの正体を糾弾するが、ベッキーはすでに完成した別の異形の犬人間を檻から解き放つと、犬人間は動物愛護団体職員に襲いかかりあっという間に全滅させてしまう。

ついでに解き放たれた犬人間は玄関前に置かれた宅配便を狙った泥棒にも襲いかかり物語は終了する。

結末ネタバレ:「Stowaway」

ある日、空から何かが落下するのを目撃したハリーは現場へ急行する。そこには墜落したエイリアンの宇宙船があった。生き物のようにウネウネと蠢く宇宙船に興味を抑えきれないハリーは躊躇なく船内に侵入する。

宇宙船内部は蛹の表面に似て不気味だが、ハリーは臆することなく未知のテクノロジーに触れていくが指を怪我してしまう。天井から蝿のような群体がハリーの怪我した指にまとわりついたと思ったら指が傷ひとつなく元通りになる。ハリーはこれをナノマシンによる治癒装置だと述べ興奮を隠せず先に進んでいくと、突如船内が光り始め、あっという間に宇宙に飛び立ってしまう。

地球がバレーボールぐらいに見える距離まで一瞬で移動した船内でハリーはどうしようもないと諦めを呟いた途端にUFOは超高速移動を開始。ハリーは反動で船に叩きつけられ粉々になってしまう。空中に浮いたビデオカメラが時々ハリーの姿を映し出すと、天井から大量のナノマシンがハリーの肉片を集めて治療を始めるが、ハリーの姿は巨大な蜘蛛の怪物に変化していた。ナノマシンは船の持ち主のエイリアンの姿にハリーを作り変えてしまったのだ。

ハリーの体はその間も作り変えられ続け、痛みに悶えるハリーの姿、絶望する姿が記録されるが最終的にハリーがどうなったかは語られることはなかった。

エピローグでは、VHSを見終えた専門家たちの議論が続く。そして最後に、彼らが見たVHSの映像が映し出されるが、失踪した男性の部屋に佇むエイリアンの姿が映し出され物語は終幕となる。

Wikipedia – V/H/S/Beyond

『V/H/S/ビヨンド』作品情報

映画『V/H/S/ビヨンド』の制作陣と主要キャストの情報を紹介する。本作はV/H/Sシリーズ第7作目として、6人の監督が共同で制作したアンソロジー・ホラーだ。各監督が独自のセグメントを手がけ、SF要素を盛り込んだ恐怖を描き出している。

興行収入

本作はShudder独占配信作品として2024年10月4日に全世界で配信開始された。劇場公開は行われず、ストリーミングサービスのみでの展開となったため、興行収入の公式発表はない。V/H/Sシリーズは第4作『V/H/S/94』以降、全てShudder Original Filmとして配信限定でリリースされている。

ジョーダン・ダウニー監督情報

ジョーダン・ダウニーはオハイオ州出身の脚本家・監督で、ホラーコミュニティでは既に知られた存在だ。大学在学中にホラー映画の巨匠ウェス・クレイヴンの下でインターンとして働き、その後カルト的人気を誇るホラー・コメディ『サンクスキリング』(2008)で映画界にデビューした。

ダウニーの代表作には、わずか3,500ドルの予算で製作された『サンクスキリング』がある。この作品は感謝祭をテーマにした殺人七面鳥が主人公という荒唐無稽な設定ながら、そのB級映画的魅力で熱狂的なファンを獲得した。続編『サンクスキリング3』(2012)はファンの資金援助によって製作され、さらにミュージカル版も制作されて完売公演を記録した。

その後、短編『テクノ・ウエスタン』や『クリッターズ:バウンティ・ハンター』でファンや批評家から称賛を受けたが、彼を新たな高みへと押し上げたのは3作目の長編『ザ・ヘッド・ハンター』(2018)だった。中世を舞台にしたこのホラー映画は、映画祭で複数の賞を獲得し、Vertical Entertainmentから世界配給された。批評サイトRotten Tomatoesで94%を記録し、批評家からはミニマリスト的なストーリーテリングが高く評価された。ホラー専門誌Rue Morgueは「ジョーダン・ダウニーと彼のチームが次に生み出すビジョンの壮大さを想像するばかりだ」と絶賛している。

『V/H/S/ビヨンド』では、一人称視点シューターゲームを思わせる「Stork」セグメントを監督し、激しいアクションと実践的な特殊効果で観客を魅了した。

監督ケイト・シーゲル情報

ケイト・シーゲルは1982年8月9日生まれのアメリカの女優・脚本家で、本作『V/H/S/ビヨンド』の「Stowaway」セグメントで監督デビューを果たした。夫である著名ホラー監督マイク・フラナガンとの度重なるコラボレーションで知られ、ホラー界の「スクリーム・クイーン」と呼ばれている。

シーゲルの代表作には、夫フラナガンと共同脚本を手がけた『ハッシュ -静寂の叫び-』(2016)がある。この作品で彼女は聴覚障害を持つ主人公を演じ、表情と身体表現のみで卓越した演技を見せた。同作はサウス・バイ・サウスウエストでプレミア上映され、Netflix独占配信として高い評価を得た。

その他の出演作には、フラナガンが監督した『オキュラス/怨霊鏡』(2013)、『ウィジャ ビギニング ~呪い襲い殺す~』(2016)、スティーヴン・キング原作の『ジェラルドのゲーム』(2017)などがある。テレビシリーズでは、Netflixの『ザ・ホーンティング・オブ・ヒルハウス』(2018)でセオドラ・クレイン役を熱演し、その後も『ザ・ホーンティング・オブ・ブライマナー』(2020)、『ミッドナイト・ミサ』(2021)、『ザ・フォール・オブ・ザ・ハウス・オブ・アッシャー』(2023)に出演している。

2016年にマイク・フラナガンと結婚し、2人の子供を授かった。『V/H/S/ビヨンド』の「Stowaway」は夫フラナガンが脚本を担当し、夫婦の創造的なパートナーシップが結実した作品となっている。監督としてのデビュー作で、シーゲルは静謐で哲学的な恐怖を描き出し、他のセグメントとは一線を画す独自の世界観を構築した。

海外の感想評価まとめ

『V/H/S/ビヨンド』は批評家と観客の両方から高い評価を受けた。Rotten Tomatoesで批評家支持率90%、Metacriticで65点、IMDbで5.8点を記録し、V/H/Sシリーズの中でも上位に位置する評価を獲得している。特にSF要素との融合、実践的な特殊効果、各監督の創造性が称賛された一方で、一部のセグメントの冗長さやCGIの使用については批判的な意見も見られた。なぜこの評価になったのか?海外レビュアーたちの本音の評価を見ていこう。

IMDb(総合評価:5.8/10)

①私はV/H/Sフランチャイズの大ファンで、アンソロジー・ホラー全般を楽しんでいる。宇宙をテーマにした今回の『ビヨンド』には本当に期待していた。最初のセグメント「Stork」はフランチャイズ全体で最高の作品の一つだと断言できる。その後の2つと3つ目のセグメントも新鮮で楽しく、予想外の展開に目が離せなかった。

②私が感じたのは、この作品がフランチャイズ史上最も一貫性のある仕上がりだということだ。各セグメントが宇宙人というテーマで完璧に統一されており、散漫な印象を与えない。「Live and Let Dive」は『V/H/S/2』の「Safe Haven」以来最高のセグメントかもしれない。批評家たちが90%の高評価を付けたのも納得だ。

③私は混合的な感想を持っている。4つ目の「Fur Babies」はテーマから外れており、退屈で記憶に残らなかった。5つ目の「Stowaway」も遅すぎて予測可能だった。暗すぎる撮影のせいで何が起きているのか判別できなかった。これら2つのセグメントで約50分も使い、映画の勢いを完全に殺してしまった。

④私はこのアンソロジーシリーズを楽しんでいるが、正直なところ、娯楽作品として割り切って観た。バラエティに富んだストーリーがあったが、すべてが中途半端だった。最初のセグメントは良く作られていたし、他にも及第点のものがあったが、残りは凡庸か酷い出来だった。全体的に楽しめたとは言えない時間だった。

IMDb – V/H/S/Beyond

Rotten Tomatoes(批評家:90% / 観客:54%)

①私はファウンドフッテージやアンソロジーをあまり好まないが、これは大半の作品よりも良い体験だった。多くの短編が激しく狂気じみており、面白くて病的なコンセプトを探求していた。奇妙なことに、映画は最も遅いストーリーで終わることを選択したが、それでも楽しめた。

②私は『V/H/S/ビヨンド』が例外的に優れた作品だと感じた。次から次へとヒットを連発し、この長寿フランチャイズにまだ生命(そして残虐な死)が残っていることを証明している。「Stowaway」と「Live and Let Dive」は確実な勝者だ。「Stork」は一人称視点のアクションを提供してくれた。

③私が気に入らなかったのはCGIへの依存だ。「Live and Let Dive」は「Stork」の素晴らしい実践的エフェクトの後だったため、特に安っぽく見えた。興味深い前提やストーリーを持っていたのは「Stowaway」だけで、残りは同じパターンの繰り返しだった。実践的な視覚効果を使い、CGIは控えめにしてほしい。

Rotten Tomatoes – V/H/S/Beyond

Metacritic(総合評価:65/100)

①私は『V/H/S/ビヨンド』がシリーズ最も一貫性があり、最も優れた構成で、最もクリエイティブに補完し合った作品だと考えている。このようなファウンドフッテージの狂乱を毎年ハロウィンに届けてくれることを願っている。各セグメントが暗いパズルのピースのように感じられ、現実の境界を超えたものへの不穏な好奇心によって縫い合わされている。

②私が評価したいのは、すべてのV/H/S映画が特定のテーマを中心に展開しているが、『ビヨンド』ほど完全にテーマを体現した作品はないということだ。宇宙人という新しいテーマの工夫があるにもかかわらず、5つのセグメントはアイデアにおいて馴染み深く、実行において記憶に残らないと感じた。

③私の意見では、これはフランチャイズの中間に位置する作品だ。最初の映画ほど恐ろしくなく、『V/H/S:Viral』ほど酷くもない。代わりに、最近のエントリーとほぼ同等だ。「Stork」「Live and Let Dive」「Stowaway」といったセグメントの良い結果が、シリーズに一時的な猶予を与えているが、年次リリースは決して満たされることのない獣のように感じられる。

Metacritic – V/H/S/Beyond

批評家レビュー

主要映画批評サイトやメディアによる『V/H/S/ビヨンド』の詳細なレビューを紹介する。本作は批評家から概ね好意的に受け止められ、シリーズの新境地を開いたと評価されている。

Roger Ebert.com 2.5/4

ブライアン・タレリコ氏「今やこのシリーズの長所と短所はかなり確立されている。巧妙なコンセプトと、一貫性のない実行だ」

『V/H/S/ビヨンド』は巧妙なログラインを誇るが、実行面で失敗することが多い。まるで制作のどこかの段階でもっと微調整が必要だったかのようだ。これは最近の『V/H/S』アンソロジーの中では優れた作品の一つだが、次回作は2年かけて制作すべきではないかと思わずにいられない。

ジョーダン・ダウニーの「Stork」は、一人称視点シューターゲームのように展開する射撃アクション・セグメントだ。警察官たちが行方不明の赤ん坊を探しているうちに、怪物的な創造物に占拠された古い家に行き着く。そのうちの1体はチェーンソーまで振り回している。WTFな結末までは、最も率直なセグメントであり、独自の狂ったアクション的な魅力で楽しめる。

ジャスティン・ロングの「Fur Babies」はあまり面白くない。『タスク』が本当にロング氏をおかしくしてしまったようだ。あの映画の変形フェティシズムのバリエーションであり、えぐい特殊メイクを特徴としているが、多くのセグメントと同様に、長すぎる。

評価点

ケイト・シーゲルの「Stowaway」は私のお気に入りだった。マイク・フラナガンが脚本を担当したこのセグメントは、他の『V/H/S』セグメントとは異なる感触を持っている。実際にテープに何度も録画されたもののように見える。混乱に依存しておらず、シーゲルが隠すことを選んだものが強みを与えている。

批判点

『V/H/S/ビヨンド』がほぼ2時間もある必要はない。今後の作品が最善を尽くすべきことは、セグメントを15〜20%削減することだろう。6作すべてのほぼすべてのチャプターに削減の余地がある。

(Roger Ebert – V/H/S/Beyond)

/Film 9/10

ライアン・スコット氏「パウンド・フォー・パウンド、セグメント・フォー・セグメント、死・フォー・死、これはホラー・アンソロジーに我々が望みうるすべてだ」

本作はV/H/Sシリーズの中でも最も野心的で成功した試みの一つだ。SFホラーという新しい領域に踏み込むことで、フランチャイズは新鮮な息吹を得た。各セグメントが異なるアプローチで宇宙人との遭遇を描きながらも、全体として統一感のあるテーマ性を保っている。

ジョーダン・ダウニーの「Stork」は、実践的な特殊効果の素晴らしい例だ。コウノトリ型の異星生物のデザインは不気味で独創的であり、チェーンソーを持ったゾンビとの戦闘シーンは純粋なアドレナリン・ラッシュを提供する。一人称視点の撮影技法が、プレイヤーがゲームをプレイしているかのような没入感を生み出している。

ヴィラット・パルの「Dream Girl」は、フランチャイズ初のボリウッド・セグメントとして歴史的な意義を持つ。音楽シーケンスを恐怖に変える手法は見事で、タラの変身シーンは視覚的に衝撃的だ。

評価点

「Live and Let Dive」は古典的なUFO侵略物語の現代的な再解釈として機能している。スカイダイビングという設定が、新しい視点からの宇宙人遭遇を可能にし、空中戦闘の混沌とした美しさを捉えている。

批判点

「Fur Babies」は他のセグメントほど強力ではないが、リビー・レトローの狂気じみた演技が作品を引き上げている。ボディホラーの要素は効果的だが、テーマ的に他のセグメントから若干逸脱している感がある。

(/Film – V/H/S/Beyond)

The A.V. Club 評価なし

マシュー・ジャクソン氏「他の『V/H/S』作品が形式と時代によって結びついた散発的なものだった一方、『V/H/S/ビヨンド』は我々の理解を超えたものへのテーマ的探求として、ほぼ完璧にまとまっている」

『V/H/S/ビヨンド』の最大の成功は、そのテーマ的な一貫性だ。過去のシリーズ作品がVHSという媒体と特定の時代設定でのみ繋がっていたのに対し、本作は宇宙人との遭遇という明確なテーマを軸に、各セグメントが有機的に結びついている。

フレーム・ストーリーであるジェイ・チールの「Abduction/Adduction」は、単なる繋ぎではなく、それ自体が知的な考察を提供する。ミッチ・ホロウィッツやCorridor Digitalの専門家たちが、映像の真正性について議論する様子は、ファウンドフッテージというジャンルそのものへのメタ的な批評となっている。

ケイト・シーゲルの「Stowaway」は、シリーズの中でも最も野心的で思索的なセグメントだ。マイク・フラナガンの脚本は、SF映画『メッセージ』や『アナイアレーション』を彷彿とさせる哲学的な深みを持ちながら、ファウンドフッテージの制約内で機能している。ハレーの個人的な犠牲と宇宙探求への執着は、人類の好奇心の代価を問いかける。

評価点

各セグメントが異なるサブジャンルを探求しながらも、「我々の理解を超えたもの」という統一テーマに忠実だ。「Stork」はアクションホラー、「Dream Girl」はボディホラーとミュージカルの融合、「Live and Let Dive」はサバイバルホラー、「Fur Babies」はブラックコメディホラー、そして「Stowaway」は哲学的SFホラーと、多様性と統一性のバランスが見事だ。

批判点

一部の視聴者にとって、「Fur Babies」と「Stowaway」のペース配分は遅すぎると感じられるかもしれない。特に「Stowaway」は、明確な答えを求める観客を欲求不満にさせる可能性がある。曖昧さを芸術的選択として評価するか、不完全さとして批判するかは、視聴者の好みによる。

(The A.V. Club – V/H/S/Beyond)

Flickering Myth 評価なし

評価者不明「『Dream Girl』はベストの一つだ。ヴィラット・パルの作品は我々をムンバイに連れて行き、ボリウッドのスター女優が魔女だという噂を追う」

本作のセグメントは質にばらつきがあるが、それはアンソロジー映画の宿命だ。しかし全体として、『V/H/S/ビヨンド』は平均以上のコレクションであり、いくつか新しい試みを行っている。

「Dream Girl」はベストの一つだ。ジャーナリストが真実を暴こうとして想像以上のものを手に入れる展開は、ボリウッド映画の人気ミュージカル・セグメントを効果的にパロディ化している。キャッチーな歌詞がスターの真の性質への手がかりを提供するという仕掛けは巧妙だ。

「Stork」は、一人称シューターゲームのスタイルで撮影されており、ある程度効果的だ。時間が経つにつれて疲れてくるが、おそらく半分の長さであれば、認めざるを得ないほど面白いチェーンソー・セクションを含めて、もっと効果的だっただろう。モンスターも見応えがある——不気味な鳥とアリクイの融合のようなクリーチャーだ。

「Live and Let Dive」は基本的に、UFOに遭遇するスカイダイビングだ。着地した者たちは、不気味な宇宙人の暴走に直面して生き延びようとしなければならない。これは聞こえるほど面白くはない。

評価点

「Fur Babies」は素晴らしい『ミザリー』風味を持つ次の良作だ。リビー・レトローの演技が作品を引き上げており、彼女の明るい狂気は観ていて楽しい。

批判点

フレーム・ストーリーのモキュメンタリーは、ケーブルテレビの「宇宙人の真実」番組のように正確すぎて、ほとんど刺激的ではない。ホイットリー・ストリーバーの著書『コミュニオン』の重要性を詳述するインタールード——1980年代後半のクリストファー・ウォーケン主演の超奇妙で素晴らしい映画になった——を含んでいるが、全体として繋ぎの役割を十分に果たせていない。

(Flickering Myth – V/H/S/Beyond)

個人的な感想評価

いやいや、驚いた。しっかり進化していた。

99、85、94そしてビヨンドの流れで見ると驚きの予算の増量さに驚かされる。まず、映像が綺麗。やはりVHSの粗さは魅力的ではあるが、シリーズで毎回あの映像は目が疲れ、後半につれて疲れがピークになるのが欠点だった。しかし、ビヨンドでは冒頭からいきなり4K画質の特殊部隊のボディカム映像で物語が続き、、、そして見応えのあるリアルで破壊描写マシマシのゾンビぶっ殺し映像が始まり鳥肌が止まらなかった。

全体的に質が高く見応えがあり、犬人間のような箸休めもしっかりとあったし、良い塩梅でVHSシリーズの精神を受け継ぎながらも見事に昇華した作品になっている。

さらに『V/H/S/ビヨンド』は、V/H/Sシリーズが長年抱えてきた問題——一貫性の欠如——を見事に克服して驚いた。94はなんとなく地続きな感じだったが、85と99は監督たちがそれぞれ好き勝手にやった印象で評価が低かったのを真面目に受け止めたのだろう。ビヨンドは「宇宙への好奇心と恐怖」という明確な方向性とテーマを与えたことで、シリーズでありがちである意味良い意味で散漫になりがちなアンソロジー形式に統一感をもたらしたことで、見応えのある短編映画群とブラッシュアップされている。

海外レビューを総合するとIMDbが脅威の5.8点というシリーズ最高得点を叩き出している。やはり宇宙人というテーマを統一したのが最大の成功要因だろう。

テーマが統一されたことで、各監督が同じテーマの下で全く異なるアプローチを取った点が最高に際立ってそれぞれの感性を最大限活かした結果、全く見たことのない想像したことのないような未知の作品が生み出されたという化学反応が本当に素晴らしい。

ダウニーはアクションホラーとして、パルはボディホラーとミュージカルの融合として、マルティネスはサバイバルホラーとして、ロング兄弟はブラックコメディホラーとして、そしてシーゲルは哲学的SFホラーとして、それぞれ宇宙人遭遇を描いた。この多様性こそが、本作を単なる「宇宙人もの」以上の作品に引き上げている。

どれが好きかと言われると全部。

としか言えないぐらい全てが良い塩梅で面白いのだ。

まとめ

この記事では、映画『V/H/S/ビヨンド』の結末までの完全ネタバレ、作品情報、監督と主演俳優の詳細、そしてIMDb、Rotten Tomatoes、Metacriticの海外レビューと主要批評家の評価をまとめて紹介した。

V/H/Sシリーズ第7作目として大きな期待を背負った本作は、宇宙人との遭遇というSF要素を全面に打ち出した野心的な挑戦だった。ジョーダン・ダウニー、ヴィラット・パル、ジャスティン・マルティネス、クリスチャンとジャスティン・ロング兄弟、ケイト・シーゲルという6人の監督が、それぞれ独自の視点から宇宙的恐怖を描き、5つのセグメントとフレーム・ストーリーが有機的に結びついた。

内容面では、警察部隊がエイリアンの巣窟を襲撃する「Stork」、ボリウッド女優の正体が暴かれる「Dream Girl」、スカイダイビング中にUFOと遭遇する「Live and Let Dive」、犬と人間を融合させる狂気の科学者を描く「Fur Babies」、そして宇宙船に侵入した女性の運命を追う「Stowaway」と、バラエティに富んだ恐怖が展開される。

評価としては、批評家支持率90%(Rotten Tomatoes)、スコア65点(Metacritic)、5.8点(IMDb)を記録した。特に実践的な特殊効果、テーマ的統一性、各監督の創造性が高く評価された。一方で、一部セグメントの冗長さ、CGIへの過度な依存、ペース配分の問題が批判された。ロジャー・エバート・ドットコムは2.5/4星、スラッシュフィルムは9/10という対照的な評価を示し、作品の賛否両論ぶりを象徴している。

本作はホラーファンの間で注目を集め、SF要素とファウンドフッテージ・ホラーの新しい可能性を示した。海外では「シリーズ最高傑作の一つ」「最も一貫性のある作品」との声も上がり、V/H/Sフランチャイズの新境地を開いた記念碑的作品として評価されている。特にケイト・シーゲルの監督デビュー作「Stowaway」は、ホラーとSFの境界を曖昧にする哲学的な試みとして、今後の彼女の監督キャリアへの期待を高めた。2025年10月には続編『V/H/S/Halloween』の公開も決定しており、シリーズの勢いは衰えることを知らない。

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