
「A24は絶対に期待を裏切らない」世界が絶賛した史上最高のホラー映画『ブリング・ハー・バック/Bring Her Back』のあらすじ結末までネタバレ解説と海外の感想評価をまとめて紹介。
本作は父親を亡くし里親のもとに預けられた腹違いの兄妹アンディ(17歳)とパイパー(視覚障害)が、新しい里親ローラの不審な行動と奇怪な少年オリバーとの生活を通じて、恐るべき悪魔召喚儀式に巻き込まれていく超常現象ホラーである。
超常現象ホラーとして注目を集めた映画『ブリング・ハー・バック/Bring Her Back』が2025年5月30日(金) より全米の劇場で公開された。映画『ブリング・ハー・バック/Bring Her Back』はオーストラリア制作で、A24が配給を手がけた作品だ。世界興行収入は3910万ドルを記録し、Rotten Tomatoesで批評家スコア89%を獲得した。
監督は『トーク・トゥ・ミー』で話題となったダニー・フィリポウとマイケル・フィリポウの兄弟が共同でつとめた。主人公である里親ローラを2度のアカデミー賞ノミネート女優サリー・ホーキンスが演じ、兄アンディをビリー・バラット、妹パイパーをソラ・ウォンが演じた。特にソラ・ウォンは視覚障害を持つ女優として、パイパー役でプロ演技初挑戦となった。
あらすじ結末ネタバレ
今回は、『トーク・トゥ・ミー』の監督コンビによる第2作として注目を集める映画『ブリング・ハー・バック/Bring Her Back』のラストについて解説&考察していこう。以下の内容は本編の結末の重大なネタバレを含むため、必ず劇場で鑑賞してから読んでいただきたい。また、児童虐待、死体損壊、悪魔崇拝に関する内容が含まれるため、注意していただきたい。
悲劇的な別れ
冒頭で円形陣の中に佇む少女、背後から近寄る全裸で太ったスキンヘッドの男が近づいてくるシーンが映し出されるが、意味は不明だ。わかるのは少女の右目の下にあざがあるということだけ。
話は現代に戻る。
17歳のアンディ(ビリー・バラット)は視覚障害を持つ腹違いの妹パイパー(ソラ・ウォン)と家に戻ると、父親フィル(スティーブン・フィリップス)がシャワー室で薬物過剰摂取により死亡しているのを発見してしまう。
数ヶ月後に18歳になるアンディは未成年のパイパーの法的後見人になるために社会福祉士ウェンディ(サリー・アン・アップトン)に二人一緒にいられるよう訴えが、元カウンセラーで現在は里親をしている明るい性格のローラ(サリー・ホーキンス)のもとに預けられることになる。
ローラの家は甥のオリバー(ジョナ・レン・フィリップス)を紹介すると裏庭に2人を呼ぶと、水の入っていないプールの底で全裸のオリバーが猫を強く抱きしめ続け、猫は必死に脱出しようとオリバーを引っ掻き続けオリバーの体は血だらけになっている。オリバーの右目の下には冒頭の謎の少女と同じアザがあり、無口で奇妙なオリバーに対しアンディはで不気味な印象を持つ。その後、ローラはパイパーと同じ視覚障害を持った娘のキャシー(ミシャ・ヘイウッド)を裏庭のプール事故にで亡くなったと明かし、底抜けに明るいローラにも悲しい過去があることがわかる。
不穏な兆候
ローラはパイパーを亡き娘キャシーの部屋に住まわせ、ドアの隙間からずっと見守り続けるなど明らかにパイパーを娘のキャシーと重ねているのが明白で、逆にアンディに対しては露骨に冷淡な態度を示す。ローラは意図的にアンディの名前を間違えて呼び、勝手にスマホを見るなど奇妙な対応にアンディはすでにローラーに対し嫌悪感を持ち始める。
夜、ローラは誰もいないリビングでビデオテープを再生する。
そこには冒頭の全裸のスキンヘッドの男が映し出されていた。
翌朝、アンディが目を覚ますと股間が濡れており1人でこっそりと洗濯機で下着を洗う。
その後、アンディたちは父フィルの葬儀会場に向かうと、ローラは密かにフィルの髪の毛を一房切り取った後、故人にキスをするのが習慣だとアンディに強引におでこにキスをさせると、ローラはフィルの唇にキスをする。
その頃、オリバーはガラスを両手に強く叩き割り血だらけになっていたが、帰宅したローラはそんなことを気にする様子もなく、アンディとパイパーとお酒を飲み一通り騒ぐ。2人が泥酔して眠った後、ローラは自身の小水をコップに集めると寝ているアンディの股間に注ぎ立ち去る。
翌朝また漏らしたと勘違いしたアンディが洗濯機に持っていくが、ローラに見つかり庭で下着を洗う羽目になる。
オリバーの正体
アンディが外で下着を洗っているとオリバーが窓を叩きこちらを見つめているのに気付き、アンディはオリバーの部屋を訪れオリバーにメロンを切って差し出すとオリバーは突然包丁を噛み口の中を大量に出血する。オリバーを病院に連れて行こうと外に連れ出すと、敷地の境界線にあった白線を出た途端オリバーは激しい痙攣を起こし「助けて」と叫びはじめる。騒ぎを聞きつけたローラはオリバーを見つけると部屋に運び込み扉の鍵を閉める。アンディがオリバーが包丁を齧っていた場所を見にいくと「バード」と書かれたメモを発見する。
ローラは自室のビデオテープを再生し、映像の中で右目の下にあざのある少女がゾンビのような様相で暴れている場面まで早送りすると、ビデオの通りにオリバーの額に円を書くように指でなぞり始める。オリバーはすぐに落ち着きを取り戻し、口がズタズタで出血した状態だったが目を開いたまま失神したように静かになるのだった。
心理的操作
そこからローラの異常な行動が始まる。深夜にアンディのコロンを自分にスプレーすると、パイパーが眠っている間に彼女の顔を強く殴打すると、それをアンディの仕業だと信じ込ませるためにパイパーの前で強くアンディを非難する。
オリバーの一件で精神的に参っていたアンディは絶対にそんなことはしないと反発するが、ローラはアンディが夜尿症を発症していること、さらにアンディが父親から受けた虐待について「フィルはあなたには暴力的だったが、パイパーを愛していた。あなたが嫉妬からその事実をパイパーに隠している」と歪曲して説明し、兄妹の関係に亀裂を生じさせようとした。
アンディは家を飛び出し、ローラの異常性を説明するため警察署を訪れると、そこにあった行方不明者の「バード」少年がオリバーに酷似していることに気が付く。
アンディはオリバーがコナー・バードであることを確信し、以前助けてくれた社会福祉士ウェンディにローラの危険性を訴え、ウェンディと共にローラの家を訪れる。ローラがウェンディを家の中を案内している間に、離れの小屋で冷凍庫に隠されたキャシーの腐敗した遺体とキャシーの体を齧るオリバーを発見する。ローラの異常性に気付いたウェンディはアンディと共に外に飛び出すが、その瞬間ローラが猛スピードで二人を車で轢き殺す。
彼女は一体何をしようとしているのか?
そして、ローラはアンディ遺体の指を数本切り取ると、それをオリバーに食べさせた。これによりオリバーはアンディの声を手に入れ、後にパイパーを騙すための道具として利用されることになる。
パイパーの危機と決死の脱出
そして大雨の日、帰宅したパイパーは、オリバーがアンディの声で「パイパー、こっちに来て」と呼びかけるのを聞いて違和感を覚える。兄妹の間だけで使っていた暗号「グレープフルーツ」(真実を確認する合言葉)を使って確認しようとするが、オリバーは答えることができない。
不審に思ったパイパーは浴室に鍵をかけて隠れるが、そこでアンディの歯列矯正器具から彼の遺体を発見してしまう。ローラが浴室のドアを破って侵入する。
儀式の詳細をパイパーに説明する。
恐怖の儀式の真実
ここで多くの事実が判明する。
オリバーの正体は2週間前の5月19日に誘拐されたコナー・バードという地元の少年であること。
そして、ローラが何度も繰り返し再生していたVHSテープは、蘇生儀式を映し出したもので、ローラはキャシーを復活させるために、数多くの犠牲をもとに猟奇的な儀式を行なっていること。
ローラは彼を「オリバー」(実の甥の名前)と改名し、悪魔タリに憑依させて儀式の道具として利用していた。本物のオリバーは赤毛だったが、コナーは金髪だったため頭を剃られていた。タリ憑依されたオリバーにキャシーの腐敗した遺体を食べさせ、彼女の魂を体内に取り込む。
次にパイパーをキャシーと同じようにプールで溺死させ、最後にオリバーが食べたキャシーの遺体をパイパーの口に吐き戻すことで、キャシーの魂がパイパーの体に移り、娘の復活が完成するというものだった。ただし、儀式はキャシーが溺死した大雨の日を待たないといけないため、儀式がずっと先延ばしにされていたこと。
そのためタリに憑依されたオリバー/コナーは長い間悪魔に憑依されてしまい異常な食欲を示し、ハエからナイフ、木材、さらには自分の体の一部まで何でも食べようとしてしまう異常な行為を繰り返していたこと。
結末ネタバレ:解放と破滅
ローラはパイパーをプールに連れて行き、キャシーの腐敗した遺体を冷凍庫から取り出した。既にキャシーの肉片を食べたオリバーが待機する中、ローラはパイパーを水中に押し込んで溺死させようとした。
しかし必死に抵抗するパイパーが「ママ」と叫んだ瞬間、ローラの心に変化が起きる。これは彼女が最も聞きたかった言葉であり、同時にキャシーが最後に発した言葉でもあった。一瞬の人間性を取り戻したローラは儀式を中止し、パイパーを解放してしまう。
パイパーは道路まで逃げ出し、通りかかった夫婦に救助された。彼女は車の中でアンディが残した最後の留守番電話メッセージを聞き、兄が自分を愛していたことを再確認する。上空を飛ぶ飛行機の音を聞いて、アンディが以前に言った「飛行機は父親が天国に行った証拠」という言葉を思い出して微笑む。
一方、オリバー/コナーは儀式の境界線を越えて倒れ込み、悪魔タリが体から離脱した。彼は正気を取り戻し、警察に「僕はコナー・バード」と名乗ることができた。しかし長期間の憑依により、口に深刻な損傷を負い、精神的にも大きなトラウマを抱えることになった。
ローラは罪悪感に押し潰され、半分食べられたキャシーの遺体を抱えてプールに浮かんでいるところを警察に発見された。彼女の狂気に満ちた愛情は、最終的に全てを破滅に導いたのだった。物語は悲しみが怪物を生み出すこと、そして愛情が歪むと恐ろしい破壊力を持つことを残酷に描写して幕を閉じる。
Talking Terror – Bring Her Back Ending Explained
『ブリング・ハー・バック/Bring Her Back』作品情報
ブリング・ハー・バック/Bring Her Backのネタバレを読んで興味を持った読者のために、『トーク・トゥ・ミー』コンビによる第2作として話題となった本作について詳細を紹介する。A24配給による超常現象ホラー映画で、悲嘆に暮れる里親による死者蘇生儀式の恐怖を描いた作品として高い評価を受けている。
興行収入
映画『ブリング・ハー・バック/Bring Her Back』は2025年5月30日に全米で劇場公開され、初日の興行収入は310万ドル(木曜夜のプレビュー上映で85万ドルを含む)を記録した。オープニング週末は710万ドルで3位となり、全世界での総興行収入は3910万ドルに達した。アメリカ・カナダでの収入は1930万ドル、その他の地域で1980万ドルを稼ぎ出している。
ダニー・フィリポウ&マイケル・フィリポウ監督紹介
ダニー・フィリポウとマイケル・フィリポウはオーストラリア出身の双子の監督で、YouTubeクリエイター「RackaRacka」として活動していた背景を持つ。2023年の長編デビュー作『トーク・トゥ・ミー』で一躍注目を浴び、本作『ブリング・ハー・バック/Bring Her Back』が第2作目となる。撮影は2024年6月から41日間にわたってオーストラリア南部のアデレードとその周辺地域で行われた。脚本はダニー・フィリポウとビル・ヒンツマンが共同で手がけ、プロデューサーにはクリスティーナ・セイトンとサマンサ・ジェニングスが参加した。
ローラ役「サリー・ホーキンス」紹介
主人公の里親ローラを演じるサリー・ホーキンスは、『シェイプ・オブ・ウォーター』(2017年)と『ブルージャスミン』(2013年)で2度のアカデミー賞主演女優賞にノミネートされた実力派女優だ。『パディントン』シリーズでは温かい母親役を演じていたが、本作では一転して邪悪で操作的な里親役を熱演している。批評家たちは彼女の演技を「恐ろしいほど素晴らしい」「これまでの温かいイメージを完全に覆す悪魔的な演技」と絶賛し、本作の最大の見どころとして評価している。
オリバー役「ジョナ・レン・フィリップス」紹介
12歳の若手俳優ジョナ・レン・フィリップスが『ブリング・ハー・バック』でオリバー/コナー・バード役を演じ、「『ヘレディタリー』以来最も背筋が凍る子役演技」として絶賛されている。オーストラリア出身の彼は、Netflix『スイート・トゥース』シーズン3のセオドア役、『ヒューマン・エラー』などの出演歴を持つが、本作での演技が圧倒的なブレイクスルーとなった。
ジョナは実はホラー映画が苦手で、「『シンプソンズ』のハロウィーン・スペシャルでも怖がってしまう」と告白している。当初は長髪を切ることを嫌がって役を断ろうとしたが、フィリップ兄弟のYouTube動画RackaRackaを見て「断ることができなくなった」という。
本作で最も衝撃的なシーンの一つである「テーブルを齧るシーン」では、特殊効果チームが彼のために偽の歯を製作し、バルサ材で作られたテーブルに少しチョコレートを混ぜて食べやすくした。「血が口の中にあったのでチョコレートの味はしなかった。食感の問題だった」とジョナは振り返る。ナイフを齧るシーンでは、ゴム製のナイフと入れ歯を使用し、一部シーンでは人形の頭部に置き換えて撮影された。
最も過酷だったのは悪魔的変身シーンで、6時間にも及ぶ特殊メイクでE.T.のような膨らんだ腹部、露出した肋骨、青い血管を体全体に施された。この間、携帯電話も音楽も使えず完全に身動きが取れない状態だった。それでも「雨の中での痙攣シーンが一番きつかった」と語っている。
批評家たちは彼の演技を「骨の髄まで寒気を催すほど不気味」「若い俳優としては異例の幅広い演技レンジ」と評価し、特に無表情でありながら恐ろしい存在感を放つ演技力が絶賛されている。感情を一切表さず、痛みに対する閾値を持たない異常なキャラクターを、12歳とは思えない完成度で演じ切った彼の演技は、ホラー映画史に残る名演として記憶されることになるだろう。
あまりにも素晴らしい演技にあなたもきっと興味を持つと思いこの見出しを作った。
海外の感想評価まとめ
映画『ブリング・ハー・バック/Bring Her Back』は『トーク・トゥ・ミー』の成功を受けたフィリポウ兄弟の第2作として、海外の映画批評サイトで非常に高い評価を受けている。特にサリー・ホーキンスの演技力と監督コンビの恐怖演出技術、そして悲嘆をテーマにした深い感情描写が称賛されている状況だ。
IMDb(総合評価:7.2/10)
①私は映画評論を書くことは滅多にないが、この作品だけは別だった。演技は完璧で、これまで見た中で最高の撮影技術だと思う。YouTubeの動画制作からこのレベルの作品を作り上げることができるという事実は、夢が叶うことの証明だ。実用的な特殊効果に対する私の愛好心を満たす作品で、見たもののほぼ全てを上回っている。
②私は『ブリング・ハー・バック』のプレビューを見たばかりで、まだ心拍数を落ち着かせようとしている。初期のアリ・アスターや原作の『スピーク・ノー・イーブル』を見ているような感覚だった。同じような這い寄る恐怖、ゆっくりと絶対的な恐怖へと降下していく感覚だ。非常に緊張感があり、容赦なく、本当に息をするのを忘れるほどだった。
③私はフィリポウ兄弟の『トーク・トゥ・ミー』の大ファンだった。この映画では兄と視覚障害を持つ妹が父親の死後に里親のもとで生活することになる。しかし奇妙なことが起こっており、兄の問題のある過去と妹の限られた視覚により、新しい家で何が起こっているかの調査がますます困難になっていく。
④私はサリーの演技、特に彼女の演技が大好きだった。時々彼女を殴りたくなるような瞬間があり、それこそが彼女の演技の素晴らしさを物語っている。ジョナは恐怖の要素を加えるために最善を尽くし、彼がスクリーンに映るたびに不快感を確実に与えてくれる。
Rotten Tomatoes(批評家:89% / 観客:76%)
①私にとって『ブリング・ハー・バック』は『トーク・トゥ・ミー』の監督による広範囲にわたる改善を示した作品で、より完全に形成されたアイデアとはるかに優れたストーリー・キャラクター開発を提示している。
②私が感じるのは、フィリポウ兄弟が損失を真の怪物に変え、恐ろしいものよりも心を痛めるホラー映画を作り上げたということだ。残るのは何が起こるかのショックではなく、それがどのように起こるかの静かな痛みだ。
③私の印象では『ブリング・ハー・バック』は観客を挑発する方法を知っているが、多くの洞察を提供する方法を知らない映画だ。プロットの仕組みと超自然的な儀式は、映画制作者自身の迷宮的な高概念の中で迷子になってしまう。
Rotten Tomatoes – Bring Her Back
Metacritic(総合評価:75/100)
①私は『ブリング・ハー・バック』を矛盾の映画だと感じた。親密で壮大、血まみれで知的、共感的で恐ろしい。クレジットが流れ終わるまで、その完全な衝撃が届くまでに長い時間がかかるかもしれないホラーの種類だ。
②私の考えでは、人間のトラウマと悲嘆の真の恐怖を探求する素晴らしい映画だ。非常によく撮影されており、最終的に劇場を離れる時は唖然とさせられた。スマートで恐ろしく、内臓に響く作品だ。
③私は『ブリング・ハー・バック』がスリルとスピルを軽くし、濃厚で忌まわしい恐怖と絶望を重くした作品だと感じた。サリー・ホーキンスの激しく不穏なパフォーマンスを特徴としている。
批評家レビュー
海外の専門批評家による『ブリング・ハー・バック/Bring Her Back』の詳細な評価を紹介する。フィリポウ兄弟の第2作として、悲嘆をテーマにしたホラー映画の新境地と視覚的恐怖の革新性を知ることで、この映画の多角的な魅力と課題を理解できるはずだ。
SlashFilm 評価なし
BJ Colangelo氏「フィリポウ兄弟は損失を真の怪物に変え、恐ろしいものよりも心を痛めるホラー映画を作り上げた」
『ブリング・ハー・バック』は誰かを失うことの暗闇と恐怖を捉えながら、今年最高のホラー映画の一つを作り上げている。その混合こそが、『トーク・トゥ・ミー』と同様に、ダニーとマイケル・フィリポウをジャンルで最もエキサイティングな映画制作者の二人にしているものだ。映画は直感的なレベルで機能し、クレジットが流れた後でも振り払うことが困難な作品となっている。
評価点
悲嘆の感情的深さの見事な描写、サリー・ホーキンスの圧倒的演技力、視覚的恐怖と心理的恐怖の巧妙な融合
批判点
一部のプロット展開の予測可能性、超自然的要素の説明不足
Variety 評価なし
Owen Gleiberman氏「映画は悪意のあるショックの豪華な感覚を提示する」
フィリポウ兄弟は「印象派的」なスタイルを使用して、オーストラリア郊外での「家庭的悪夢の熱に浮かされた夢」を提示している。映画のストーリーはより具体的な論理を特徴とすることができたかもしれないが、監督たちは不気味な視聴体験の創造を優先することでそれを補償した。恐ろしくざらざらしたVHSの映像による恐ろしいカルト儀式から始まる冒頭部分が特に効果的だ。
評価点
印象派的な映像スタイル、悪意に満ちた雰囲気作り、オープニングの儀式シーンの衝撃的効果
批判点
物語の論理的一貫性の欠如、一部のホラー要素の必要性への疑問
The A.V. Club 評価なし
Matt Schimkowitz氏「4つのコードを純粋な不安に変えるパンクバンドのように、『ブリング・ハー・バック』は馴染みのあるトラウマベースのホラーをトラウマ的体験に変える」
『ブリング・ハー・バック』を座って見ることは、それに耐えることだ。観客を不穏にすることに重点を置きすぎており、彼らのために何かを照らし出すことには重点を置いていない。『ブリング・ハー・バック』は挑発する方法を知っているが、多くの洞察を提供する方法を知らない映画だ。彼らが何かを具体的な感覚に翻訳できる時、パイパーの歪んだ視野に視聴者を引き込む焦点のカメラ効果のように、映画は監督たちにとって快適な範囲内で機能する。
評価点
視覚障害者の視点を映像で表現する革新的技法、強烈な感情的衝撃
批判点
観客への洞察提供の不足、挑発に偏重した演出、テーマ性の浅さ
(The A.V. Club – Bring Her Back)
Roger Ebert 3/4点
未記載批評家「『ブリング・ハー・バック』は顎を落とさせることにかなり成功している」
ダニーとマイケル・フィリポウの『トーク・トゥ・ミー』への期待の高い続編は、彼らの突破的長編デビュー作よりもおそらくさらに寒気がする—わずかに焦点が定まっていないとしても—映画だ。『ブリング・ハー・バック』では、親の悲嘆が恐ろしいスケールで狂気と虐待を解き放ち、多くの熟練映画愛好家を座席でうねらせるのに十分な身震いするような暴力を伴っている。特に一つの血まみれなナイフシーンに関しては、顎を落とさせることに成功しており、映画全体を通じてサスペンスが維持されている。
評価点
持続的なサスペンス構築、実用的特殊効果の卓越性、家族ホラーの新境地開拓
批判点
物語の焦点の散漫さ、一部の演出の過度な衝撃重視
(Roger Ebert – Bring Her Back)
個人的な感想評価
おそらくトップレベルで徹底的に暴力的で悪魔的で最悪で最高のホラー映画。
トーク・トゥ・ミーでも悪くないと思ったが、それを遥かに上回る作品をすぐに作り上がるとは見事としか言いようがない、今後彼の作品を見届けたい。
ここまで心を抉る作品だとは思わなかった。
冒頭から謎の儀式映像で心は奪われ、包丁を噛むなど圧倒的リアルで暴力的な破壊描写、サリーホーキンスの危険な演技、オリバーの悪魔的演技、無慈悲な展開、ホラー映画として満点レベルの作品。
サリー・ホーキンスの演技は確実に本作の核心部分であり、『パディントン』シリーズで見せた温かい母性から一転して、狂気に満ちた里親の恐ろしさを見事に表現している。特に視覚障害を持つ女優ソラ・ウォンの自然な演技と、監督コンビが彼女の視点を映像で表現する技法は革新的で感動的だった。アンディ役のビリーバラットが徐々に疲弊していく様、心優しい青年が狂信的な女に無慈悲に水溜りで殺されるシーンは思わず握り拳に力が入ってしまったほどに感情移入してしまった。
まとめ
映画『ブリング・ハー・バック/Bring Her Back』は、フィリポウ兄弟の第2作として悲嘆をテーマにした革新的なホラー映画の傑作だった。本記事では、里親による死者蘇生儀式の恐怖から、海外での詳細な評価分析まで包括的に紹介した。
期待度の面では、『トーク・トゥ・ミー』の成功を受けて注目を集め、A24配給という話題性と2度のアカデミー賞ノミネート女優サリー・ホーキンスの主演により、ホラー映画ファンから大きな期待を集めた。内容面では、視覚障害を持つ兄妹の絆と里親による心理的操作を軸に、悪魔憑依と死者蘇生という超自然的要素を巧妙に織り込んだ物語構成が高く評価された。
評価面では、Rotten Tomatoesで批評家スコア89%、観客スコア76%、Metacriticで75点、IMDbで7.2点という結果から、批評家・観客双方から高い評価を獲得している。海外では特に、サリー・ホーキンスの恐ろしくも心を打つ演技力と、フィリポウ兄弟の視覚的恐怖演出技術に対する称賛が印象的だった。監督コンビが悲嘆という深刻なテーマを娯楽性の高いホラー映画として昇華させた手腕は、次回作への期待をさらに高めている。本作は現代ホラー映画の新たな可能性を示した重要な作品として記憶されるだろう。
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