「テリファー以上の残虐さ!嘔吐者続出!?」カナダの革新的スラッシャー映画『バイオレント・ネイチャー』の物語結末まで完全ネタバレ解説。殺人鬼視点で描く衝撃作のあらすじと海外の感想評価をまとめ。IMDb5.6点、RT78%、Varietyが今年最高のホラー映画と絶賛した話題作。
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『バイオレント・ネイチャー』物語結末ネタバレ
この先は映画『In a Violent Nature/バイオレント・ネイチャー』の重大なネタバレを含みます。ご注意ください。引用元
蘇りし怨霊
森の奥深くで数人の若い者たちの声が響いている。声しか聞こえないが若者の一人が古い小さな廃屋に落ちていたネックレスを取り上げて立ち去っていく。
若者が立ち去った後、ネックレスのあった廃屋の地面からジョニー(ライ・バレット)が這い出てくる。「ネックレスは大事なものだ」ジョニーはそう呟くと若者を追って森を歩き出す。
ジョニーは森の途中で罠にかかって放置された腐った動物の死骸を発見すると足跡を辿り歩き罠を仕掛けた猟師チャック(ティモシー・ポール・マッカーシー)の家に侵入する。
ジョニーはリビングに置いてあったネックレスを見つけ手にしようとするがライフルを持ったチャックが背後に立っていた。ジョニーはライフルを見ても気にせずチャックに向けて歩みライフルを奪うと、チャックは走って森の奥に逃げていく。
自身の足罠にかかったチャックを追い詰めたジョニーは目玉を潰して殺害するが、ネックレスは自分の探していた者ではないことに気がつき「そのネックレスは我が家にとって重要なものなのだ」そう呟きジョニーは再び歩き出す。
標的たちの集結
日が落ち森を歩き続けるジョニーの前についにネックレスをうばった若者の声にたどり着く。若者たちは7人のグループだった——クリス(アンドレア・パヴロヴィッチ)とその恋人コルト(キャメロン・ラヴ)、ブロディ(リー・ローズ・セバスチャニス)とオーロラ(シャーロット・クリーガン)、そしてトロイ(リアム・レオーネ)、エーレン(サム・ロールストン)、エヴァン(アレクサンダー・オリヴァー)である。
若者たちがキャンプファイヤーを囲みながらこの森で語り継がれている「怪物ジョニー」を話し出す。この森はかつてキャンプ場だった土地で、精神的な障害を持つ子供ジョニーがおもちゃで遊びながら、この地域で働く木こりたちにいじめられ、ある日、火の見やぐらの頂上(若者たちがネックレスを拾い、ジョニーが出てきた場所)におもちゃがあると嘘を信じて登って謝って落下して死んでしまう。
木こりたちはジョニーが遊んで死んだことに見せかけるため消防士のマスクをかぶせ、遊んでいて事故に遭ったように見せかけるが、ジョニーの父親は木こりが犯人だと追い詰めるが逆に殺されてしまう。
その後しばらくして、木こり全員が残虐に殺害され、バラバラにされているのが発見された。多くの人々は、ジョニーが復讐のために戻ってきたという伝説だ。
結末ネタバレ:血の報復劇
若者たちが小屋に戻ろうとそれぞれ歩き出すと、ジョニーはエーレンの頭と胴体を切り離すと、遺体を森のレンジャー事務所に置きそこにあった消防士のマスク、斧、そして鎖に繋がったフックを手に取り歩き出す。
翌朝、ジョニーは湖で泳ぐブロディを湖に引き摺り込み溺死させると、ヨガをしていたオーロラの腹部に手を突っ込み殺して立ち去る。
次にジョニーはトロイを追いかけ斧で足を切り付けるが、背後からエヴァンのライフルで撃たれてジョニーは倒れてしまう。2人は逃げ出すがさっさと立ち上がったジョニーはエヴァンの頭に斧を投げつけて殺すと、巨大な岩でトロイの頭を潰して立ち去る。ジョニーはトロイの遺体を調べるが、ネックレスを見つけることができなかった。
クリスとコルトがジョニーと仲間の死体を見つけて逃げ出していく姿を見つめるジョニーはネックレスをつけているのを見つけて若者たちを追いかける。
レンジャー事務所に辿り着いたコルトとクリスはそこにいた地元のレンジャー(リース・プレスリー)に事情を説明すると、レンジャーは彼らが拾ったネックレスはジョニーの母親のもので、彼の魂を安らかに保つ唯一のもので過去にネックレスを拾ってしまったバカのせいでジョニーが目覚めて大虐殺を起こしたこと、その中の唯一の生存者がレンジャーの父親でジョニーを鎮まらせるにはネックレスを元の場所にネックレスを戻すことだと説明する。
そこに現れたジョニーに向かってライフルを撃ち倒れた隙に拘束しようとするが、レンジャーはジョニーを薪割り機に突っ込んで殺してしまう。
クリスとコルトは、ネックレスを戻すため小屋に向かうがコルトは斧で頭を砕かれてしまう。残されたクリスはネックレスをジョニーの前で地面に置いて走って逃げる。
道路にたどり着いたクリスは女性(ローレン・マリー・テイラー)の車に乗せてもらい、女性にはクマに襲われたと説明した後、安堵のためか気絶してしまう。心配した女性は車を止めてクリスのケガを見ようとするが、クリスは眼前に広がる森を見て怯えた表情を見せる。
森の奥深く、彼のネックレスはもうそこにはない。
彼は帰ったのか、それとも。
『バイオレント・ネイチャー』作品情報
カナダ出身の新鋭クリス・ナッシュ監督が手がけた革新的スラッシャー『バイオレント・ネイチャー』の監督と出演俳優の詳細情報を紹介。淡々と殺人鬼の視点で物語が進む本作は「アンビエント・スラッシャー」として、2024年サンダンス映画祭ミッドナイト部門で世界初上映を果たし、映画業界に大きな衝撃を与えた問題作だ。
『バイオレント・ネイチャー』興行収入
極めて低予算で制作されたインディペンデント映画ながら、予想を大幅に上回る興行的成功を収めた。IFCフィルムズ史上最大規模となる1,426スクリーンでの全米公開を実現し、オープニング週末で210万ドル、最終的に全世界興行収入420万ドルを記録した。
カナダ、アメリカで上映された際、R指定すら取得していない「無格付け」の極めて暴力的な内容でありながら、メインストリームでの成功を収めた点だ。1スクリーンあたりの平均収入も1,500ドルを超える健全で手堅い数字を記録し、配給会社IFCフィルムズにとって今年の『Late Night with the Devil』に次ぐヒット作品となった。
クリス・ナッシュ監督は「予算の制約により多くの玩具を諦めざるを得なかったが、それがより質素で荒々しい撮影スタイルを生み出した。結果的に作品の核心部分がより研ぎ澄まされることになった」とコメントしている。
クリス・ナッシュ監督紹介
オンタリオ州スーセントマリー出身の映画監督・脚本家・特殊効果アーティスト。本作が長編映画監督デビュー作となる。幼少期はCBCテレビの深夜1時から放映される無編集映画や、7本7日間7ドルのビデオレンタルサービスに影響を受けて育った。
短編映画やミュージックビデオを国際的に発表し、2014年には短編『Z is for Zygote』がホラーアンソロジー『THE ABCs OF DEATH 2』のクロージング作品に選ばれた。ガス・ヴァン・サントの「ジェリー」「エレファント」「ラスト・デイズ」、テレンス・マリック作品、オーストリアのホラー映画「アングスト」から影響を受けていると話している。
「子供の頃にVHSで『13日の金曜日』を観ていた時の4:3のアスペクト比こそがスラッシャー映画の正しい画面比率だ」として、本作を意図的にアカデミー比率で撮影。70%もの再撮影を余儀なくされながらも、友人・家族の協力を得て完成させた執念の作品だと話す。
ジョニー役「ライ・バレット」紹介
カナダの俳優で、身長194cmの圧倒的な体格を誇る。本作では復活した殺人鬼ジョニーを演じ、一言も台詞を発することなく恐怖と狂気を体現した。これまで『The Shelter』『Monday at 11:01 A.M.』などのカナダ製ホラー作品に出演し、肉体的な演技力で注目を集めていた。
撮影では重い消防士マスクと衣装を身に着けながら、オンタリオの厳しい自然環境の中で長時間の歩行シーンを演じ続ける過酷な撮影途中で当初のジョニー役俳優が医療上の緊急事態に見舞われ、バレットが急遽代役として起用された経緯がある。「ジョニーは単なる殺人マシーンではなく、悲劇的な過去を背負った複雑なキャラクターとして演じることを心がけた」と語っている。
クリス役「アンドレア・パヴロヴィッチ」紹介
セルビア系カナダ人女優で、本作ではファイナルガール役のクリスを演じる。これまでカナダのインディペンデント映画を中心に活動し、特にサスペンス・ホラー系作品での演技力が評価されている。
従来のファイナルガールとは異なるアプローチで、最後まで観客の関心を引きつけることに成功した。撮影では実際にオンタリオ州の森で過酷なロケーションに挑み、特に最終章の逃走シーンでは本物の恐怖感を画面に込めている。
「ジョニーの視点で撮影される中で、いつ襲われるかわからない緊張感は本当に恐ろしかった。でもその恐怖こそが、観客に伝わる真の恐怖感を生み出していたのだと思う」と撮影の苦労を振り返る。ニューヨークのガバナーズ島での屋外上映イベントにも参加し、作品のプロモーションに積極的に取り組んだ。
海外の感想評価まとめ
『バイオレント・ネイチャー』は海外で極めて賛否が分かれる評価を受けている。
Variety誌が「今年最高のホラー映画」と絶賛する一方で、その実験的すぎるアプローチに戸惑う観客も多い。ロッテントマト78%、IMDb5.6点という数字は、この作品の挑戦的な性質を如実に表している。特にその大胆に遅いペースと、従来のスラッシャー映画の常識を覆すアプローチが論争の的となっている。批評家は芸術性を高く評価する一方、一般観客からは「退屈すぎる」という厳しい意見も多数寄せられている。
IMDb(総合評価:5.6/10)
①「劇場で観たが、これは全く異なる種類のスラッシャー体験だった。90%が殺人鬼の視点で描かれ、セリフもほとんどない。ゲームをプレイしているような感覚になったが、それがこの作品をユニークにしている」
②「正直なところ、このコンセプトは紙の上では面白そうに聞こえるが、実際の画面では全く機能していない。映画の95%は殺人鬼の後頭部を見ながら歩いているだけで、完全に緊張感が欠けている」
③「私は本当にこの映画に5つ星をつけたかった。殺人鬼を追いかけるジャンルが大好きで、彼がただ歩いているだけの静寂なシーンでさえクールに感じられた。ほとんど空の劇場で観たが、美しい森のショットがとてもユニークだった」
④「確実に観客を選ぶ作品だが、コンセプトに対するコミットメントは本当に印象的で、映画が正確に意図したことを実行しているのを非難するのは難しい。遅く、やや反復的だが、血まみれの肉体的危害の合間に心がさまよう感覚があっても、興味深くないことはめったにない」
Rotten Tomatoes(批評家:78% / 観客:61%)
①「『バイオレント・ネイチャー』は間違いなく2024年最高のホラー映画だろう。万人受けしないが、私はこの作品を極めて興味深く、活力に満ちたものだと感じた。これは勇敢なコンセプトの激しくも欠陥のある試みだ」
②「非常にスマートで洗練されたホラー・サタイアで、愚かな20代の若者たちが冷酷で感情の死んだ殺人鬼の視点からホラー映画の中に無力にさまよい込むのを観察させてくれる。邪悪で同情的な殺人者の視点は本当に印象的だ」
③「完全に適切なタイトルを持つ見事な小さなショッカーだ。『バイオレント・ネイチャー』は明らかに悪質で、ジョニーを押さえつけることはできない。来るべき血の風呂を補完する素晴らしい撮影とショットで、クリス・ナッシュは有望な監督キャリアのスタートを実証している」
Rotten Tomatoes – In a Violent Nature
Metacritic(総合評価:71/100)
①「スラッシャーを愛し、スラッシャーの言語を愛するなら、『バイオレント・ネイチャー』の魅力があなたに届くのは避けられない。最終的には必ず届くだろう。これは巧妙なスラッシャー実験で、物語面では期待を下回るが、巧妙な殺害で十分に補っている」
②「ホラーファンにとっては稀有な逸品で、他の誰もが試みた方向とは正反対の方向にジャンルを導く素晴らしい実験だ。馴染みのある要旨への簡潔なアプローチには印象的な独自性があり、新しいスラッシャー映画を常に求めているファンを確実に喜ばせるだろう」
③「脚本・監督のクリス・ナッシュの『バイオレント・ネイチャー』は、長い間でジャンルを真に脱構築する最初のスラッシャーかもしれない。実験の結果は混合的だが、驚くべき方法で感じられる。オンタリオ北部の田舎で撮影されたこの映画は、意図的な撮影にもかかわらず、最終的には空虚に感じられる」
Metacritic – In a Violent Nature
批評家レビュー
ここから先は大衆レビューではなく、映画批評家によるレビューを抜粋してお届けする。
Variety 評価点:好意的
デニス・ハーヴェイ「『バイオレント・ネイチャー』は馴染みのある要旨への簡潔なアプローチに印象的な独自性があり、新しいスラッシャー映画を常に求めているファンを確実に喜ばせるだろう」
スラッシャー映画はしばしば、ショック要素に構造的完全性を与える意図の弱いプロットと段ボール箱のようなキャラクターのせいで、残酷なハイライトの間に垂れ下がってしまう。「バイオレント・ネイチャー」はそうした落とし穴を避けている——物語と心理的詳細の標準的な優しさを完全に回避することによって。
説明的な背景——断片的で恐らく不正確だとしても——は存在するが、そうでなければ脚本・監督クリス・ナッシュの初の長編は、一つの止められない殺戮マシーンのPOVにほぼ完全に焦点を当てることによって可能となる、一種のミニマリスト的純粋さで通常の血なまぐさい業務にアプローチしている。
それは容易に単調になりがちな賭けだ。しかしこのカナダのインディペンデント作品は、明確な恐怖というよりは不快な観客の恐怖感をかき立てながらも、我々を引き込み続けることに成功している。
評価点 従来のスラッシャー映画の構造的欠陥を巧妙に回避した脚本 殺人鬼の視点に徹底的に焦点を当てた革新的なアプローチ オンタリオ北部の荒野を効果的に活用した撮影技術
批判点 実験的すぎる手法が必ずしも全ての観客に受け入れられるとは限らない 物語の複雑さや幽默に欠ける部分がある 単調になりがちな危険性を完全には排除しきれていない
(Variety – In a Violent Nature)
Roger Ebert 評価点:3.5/4
クリント・ワーシントン「クリス・ナッシュの超暴力的スラッシャー実験『バイオレント・ネイチャー』で最も魅力的なことは、それが恐ろしくないということだ」
少なくとも、彼が明らかにリフしている『13日の金曜日』風のスプラッター映画が昔そうだった方法では恐ろしくない。ジャンプスケアはなく、緊張感の高まりもほとんどなく、最後の少女が誰になるかについての曖昧さもない。
それでもなお、「バイオレント・ネイチャー」は今年これまでで最も魅力的で、奇妙に穏やかなホラー作品の一つになっている。まさにスラッシャーの仕組みを完全にひっくり返し、ジェイソン・ヴォーヒーズになるということがどんな感じかを想像するよう求めているからだ——毎日起きて仕事に出かけ、彼が最も得意とすることをする単純で悪魔的に蘇った男:内臓摘出。
「バイオレント・ネイチャー」は、その実行時間の大部分を歩行時間のように感じさせる。ピアース・ダークスのカメラ(ヴィンテージ4:3のアスペクト比に収められた)は後ろからジョニーを追い、新鮮な獲物を求めて木々の間を着実に踏みしめる彼の後ろを、サードパーソン・ビデオゲームのような長回しで浮遊している。
これらの長いシーンは静寂で忍耐強く、奇妙に落ち着きがある——A24による「Dead by Daylight」のようだ。
評価点 スラッシャーの仕組みを完全に逆転させた革新的なコンセプト テレンス・マリック風の境界線的映像スタイルの成功 実用特殊効果による記憶に残る残酷で血まみれの殺害シーン
批判点 実行時間が時折新奇性を上回ってしまう問題 最終章での焦点のブレが作品の魅力を削いでいる キャラクター開発の不足により感情的な結びつきが弱い
(Roger Ebert – In a Violent Nature)
The New York Times 評価点:好意的
ジャネット・カツーリス「ナッシュはアートハウスと屠殺場の野心的な融合を試み、その結末の絨毯引きは分極化するだろうが、その憂鬱な論理が勝る」
クリス・ナッシュの長編デビュー作は、オンタリオで撮影され、忍耐強い人類学的な視点を持ち、「バイオレント・ネイチャー」はその実行時間の大部分を、何であれ不運なトラック運転手、10代、または父親を放血する業務に従事する不動の恐怖モンスター「ジョニー」に焦点を当てたカメラと共に過ごす。
馴染みのある構造だが、その逆転した視点と境界線的マリック風の映画制作スタイルによって決定的に馴染みのないものになっている。映画は夢のような雰囲気を持ち、その終わりの絨毯引きは観客を分極化させるだろうが、その憂鬱な論理は最終的に勝利を収める。
この作品の最も印象的な側面は、時として圧倒的に遅いペースで、単に観客を、彼が出くわす無防備な人々に大きな苦痛を与えようとしている男と同じ空間に住まわせることによって恐怖感を構築することだ。
評価点 アートハウス映画の美学をホラージャンルに巧妙に融合 夢のような独特の雰囲気作りに成功 実験的な映画制作手法への野心的な挑戦
批判点 分極化する終わりが全ての観客に受け入れられるとは限らない 時として圧倒的に遅いペースが観客の集中力を試す 従来のホラー映画への期待を裏切る可能性
(The New York Times – In a Violent Nature)
Gizmodo 評価点:B
シェリル・エディ「魅力的な芸術的実験で、ジャンルファンは間違いなく一見の価値がある。しかし従来のスラッシャーを観たいと思わせるかもしれない」
この作品は確かに魅力的な芸術的実験だが、同時に観客に従来のスラッシャー映画への懐かしさを感じさせるかもしれない。より楽しく娯楽性の高いものを求めるなら、『13日の金曜日 Part 2』などを推薦したくなるだろう。
ナッシュ監督の実験的アプローチは評価に値するが、全てのホラーファンが this レベルの芸術性を求めているわけではない。特にスラッシャー映画に明快な娯楽性を期待する観客にとっては、この作品の哲学的なアプローチは期待外れになる可能性がある。
それでも、ジャンルの境界を押し広げようとする試みとしては十分に価値のある作品だ。特に映画制作の実験的手法に興味のある観客や、従来のホラー映画に飽きた映画通にとっては必見の作品と言えるだろう。
評価点 ジャンルの境界を押し広げる野心的な実験精神 芸術的価値の高い映像表現と演出技法 従来のスラッシャー映画とは一線を画した独創性
批判点 実験性が娯楽性を上回ってしまう傾向 一般的なホラーファンには受け入れがたい可能性 従来のスラッシャー映画の魅力を削ぐリスク
(Gizmodo – In a Violent Nature)
個人的な感想評価:40点
海外で異様に持ち上げられた映画『バイオレント・ネイチャー』は、期待して見にいくと普通に退屈なホラー映画である。
退屈な脚本、典型的なお約束のような展開、面白みのない(汚れていない)洒落たマスクの殺人鬼、お約束な若者(馬鹿者)たち、13日の金曜日に影響を受けたというレベルではなく、「13日の金曜日を作ってみた」のような低予算である、という言い訳を差し引いても低レベルな作品に感じた。唯一賞賛すべきは美しいカナダの大自然を映し出す高性能なカメラ。以上である。
実験的なカメラワークとは言われているが、何分も何分も森の中を歩くジョニーの背中を三人称視点で追い続ける無意味なシーンが続くだけで、物語冒頭からそんなカメラワークを見せられるから、意味あるのかな?何か先にあるのかな?と期待していると、普通に何もなく、三人称視点で殺人鬼を追ってみたよ!って監督のしょうもないセンスが光っただけだと知りさっさと先に進めよ!とイライラしてしまう。この作品ではそんな意味があるようで意味のないカメラワーク(しかも長尺で延々と)が頻繁に出てくるのでテンポを阻害しまくって飽きてしまった。
ゴア表現がすごい!と言われているが、悪くはないが良くもない。テリファー1作目にすら届かない。血もペンキのようで殺される間際の人形感も酷い。しかし光るものは間違いなくある、見事な殺し方もあるので褒め称えたいが、それ以上に、その殺人シーンにたどり着くまでに壮大な大自然と延々と無駄なカメラワークに付き合わされてしまって心が折れているので、くそどうでも良くなるのだ。
私たちが期待するスラッシャーホラーやエンタメ性を犠牲にし、爽快感やカタルシスを一切排除した実験映画に付き合わされたい人にはおすすめ。
まとめ
この記事では、カナダ製革新的スラッシャー映画『バイオレント・ネイチャー』の物語結末までの完全ネタバレ、作品情報、そして海外での感想評価を詳しく紹介した。
当初は小規模な実験的インディペンデント作品として企画された本作だったが、サンダンス映画祭での上映を機に一躍注目の的となった。殺人鬼の視点から描くという斬新なアプローチと、既存のスラッシャー映画の常識を覆す大胆な演出が話題を呼び、映画業界に大きな衝撃を与えた。
興行的には予想を大幅に上回る成功を収め、IFCフィルムズ史上最大規模での劇場公開を実現。最終的に420万ドルの世界興行収入を記録し、低予算ホラー映画としては異例の成功を見せた。Variety誌が「今年最高のホラー映画」と絶賛する一方で、IMDb5.6点という評価は、作品の実験性が観客を大きく二分したことを如実に物語っている。
海外では「ジャンルの革新」「映画史に残る問題作」として熱狂的に支持される声がある一方で、「退屈で単調」「実験が失敗」という厳しい批判も数多く寄せられた。特にその極端に遅いペースと、従来のホラー映画ファンが期待するエンターテイメント性の欠如は、一般観客には受け入れがたいものだった。
しかし批評家レビューを見る限り、この作品が単なる話題作りではなく、真摯にジャンルの可能性を探求した意欲作であることは間違いない。クリス・ナッシュ監督の今後の作品への期待も高く、すでに続編『In a Violent Nature 2』の制作も発表されている。
『バイオレント・ネイチャー』は好むと好まざるとにかかわらず、スラッシャー映画というジャンルに新たな地平を切り開いた革新的な一作として、映画史にその名を刻むことになるだろう。この作品の真価は、時間が経つにつれてより鮮明になっていくに違いない。
絶対におすすめはしないけど。
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